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~時薙ぎ~ 異世界に飛ばされたレベル0《SystemError》の少女  作者: にせぽに~
帝国と王国の交声曲《カンタータ》
58/209

変態・再臨!!

「………」


早朝のフロアに沈黙が支配する、そんな雰囲気中ケジンさんは

相買わず奇妙なポーズを取りながらフロア内を見渡し………

私達に目を止める。


「ん~、おやおやおや!!」


あ、見つかった。

とっさに退避の構えを取りそうになるもぐっと堪える。

その瞬間に変なポーズのまま接近して来るケジンさん

………って早っ!!一瞬で間合いを詰められる私。


「おおおお!!君達はまさかのマイクラァ~ィアンテェルじゃないか!!

 こんな所でのエンカウンタ~なんて流石の僕でも予想GUYだったよ!!

 HAHAHAHAHAHA!!」


え…えーっと、相変わらず何言ってるか分かりづらい………


「ん?ケジンってばこの子達知り合いなの?」


マリーさんはいつもと変わらない様子でケジンさんに質問する。

慣れてるんだろうけど凄いね、ケジンさんに普通に話しかけてる。


「知り合い?ノ~ンノ~ン

 僕と彼女達はそんな薄っぺらいリレィ~ションシップなんかじゃなんだYO!!

 僕と彼女達はそう………強固なフェイトで結ばれてる間柄なのさ!!」


ケジンさんは両手を上に掲げ、恍惚の表情で喋り続ける。

………強固な運命って何それ

と言うか貴方最初に顧客って言い切ってたような………


「へぇ、変人だけど疑り深い貴方がそこまで言うなんてね

 よっぽどこの子達が気に入ったのね」


疑リ…深い……!?

初対面から距離なしで突っ込んできた印象しかないんだけど………


「えっと、思わぬ出会いでテンション上がってるとこ悪いんだけど

 早速人形達のメンテナンスお願いしていいかな?

 ちょっと期間が空いたから流石に心配でね」


こちらも慣れてる様子でデューンさんがケジンさんに仕事を促す。

………ホント、慣れてるとは言えこの人に普通に接せれるのは凄いと思う。


「オッケイオッケェイ!!外ならぬ親友の頼み、フ~ルパワーで

 頑張らせて貰うとするよ、HAHAHHAHA!!」


ケジンさんは高らかに宣言すると人形達をまじまじと見つめ始める。

………何か、絵面的に危険な感じがするのは気のせいだよね。


「うわぁ、これって何処からどう見ても不審者が小さい子を

 じろじろ見まわしてる様にしか見えないね」


ちょっ…マリス!?あまりにストレートに言い過ぎだって!!


「ふふっ、確かに傍から見たらそんな風にしか見えないわね

 外で同じ事やったら間違いなく憲兵がすっ飛んで来るでしょうね」


その言い回しが可笑しかったのかマリーさんはクスクス笑いながら言う。


「あははは………けど、ちょっと見てて

 あいつの腕は間違いなく()()だから」


デューンさんは苦笑いしながらも優しげな眼でケジンさんを見てる。

その様子から確かな信頼が感じ取れる、そう言えばケジンさんが

デューンさんの事親友って言ってたし結構な付き合いなんだろうね。


「ナ~ナナナナ~♪ ナナナナ~ナナ~♪」


人形を一通り見終わったケジンさんは調子っぱずれた鼻歌を歌いながら

懐からインベントキューブを取り出し、中から次から次へと工具らしきものを

大量に取り出した……んだけど、明らかに人形の整備に

使わなそうな物まであるのは何故?

と言うかその大きなドリルは何?そんなもの絶対人形の整備に使わないよね!?


「おんや、魔導回転錐(マジカル・ドリル)なんてまた珍しいもの持ってるね

 しかもえらく改造してない?」

「HAHAHA、ドリィルはクリエイターにとって浪漫でありながらも必須工具なのですYO!!」


そう言ってケジンさんはドリルを手に持って回転させる。

けたたましい駆動音を響きさせながら高速回転するドリル。


「うわお、なかなか凄い事になってるね

 リーゼに持たせて突っ込ませたら強力な武器になるかも」

「………そうですね、それに何故か分かりませんが高揚を感じています。

 マスター、如何致しましょうか?」

「いや、確かにリーゼが持って突っ込んで行ったら強力な武器にはなりそうだけど

 あんな『いかにも突っ込みますよ~』な形状の武器を持って突っ込んでも

 流石に避けようとするんじゃないかなぁ」


いくらベタ足での殴り合いが主流の戦い方なここ(エルシェーダ)でもこんな危険物(ドリル)

持って突っ込んできたら流石に避けるよね?


「あははは、まぁそだね~

 しかしそれ以外もなかなかレアな工具揃えてるねぇ」

「そうなんだ、良く分かるねマリス」

「まぁね~、これでも無駄な知識が豊富なのが自慢だからね~」


………ホント何でも知ってるねマリスって。

最近では分からない事があったらまずマリスに聞く様になっちゃったし

マリスも聞かれるのが楽しいのかいつも笑顔で答えてくれる。

うん、これからはなるべくマリスを飽きさせないようにしないとね。


「オゥケ~イ!!準備完了だYO!!

 それではメンテスタ~ト♪

 ………ほぉあたたたたたたたたたたたた!!」


準備が済んだらしきケジンさんが謎のポーズを取った後、目にも止まらぬ動きで

人形達のメンテナンスをし始める。

………は?何この動き、目で追うのがやっとなんですけど!?


「へぇ、君はケジンの動きを目で追えるんだね」


デューンさんは目で追う様子の私を見て感心したようにそう呟く。


「あら、それは凄いわね。私なんて何度も見てるけど未だに視覚強化しないと

 何やってるかさっぱり見えないのに」

「うっわ、ホントに強化入れてやっと追いつけるって感じだよ

 レンお姉ちゃんよくこんなの素で目で追えるね」

「マスター以外の人間がここまでの動きをするとは………」


マリスとリーゼが感心したように口にする。

何というか変態のイメージが強すぎるけど、確かにリーゼの戦斧を

作り上げた人ではあるね、変態のイメージが強すぎるけど。

私達が眺めている間もケジンさんは素早い動きで人形達をメンテしていく。

そして数十分後………


「ふぅ………ミッションコ~ンプリ~ト!!

 ちょ~っとばかりお待たせさせてしまったけど、マイド~タ~達は

 みんな元気にワ~キングに励むことは出来るよ、HHAHAHAHA!!」


作業が終わったらしきケジンさんはビシッと決めポーズらしき体勢で口にする。

………この人、何かポーズを決めながらじゃないと喋れないんだろうか。


「お疲れ様ケジン、これで安心してまたお店が開けるよ

 自分達でもメンテナンスはやってるんだけど中々難しくてね」

「ノンノン♪外ならぬ永遠の親友の頼みなら何をステイしてもレッツゴ~だYO!!

 また何時でもコ~ルしてくれYO!!」


………デューンさん(イケメン)が奇怪なポーズを取り続けてるケジンさん(変態)と普通に会話してる。

何か物凄くシュールな光景に見えるのは私の気のせいなんだろうか。


「それじゃお代はいつものでいいんだね?」

「ザッツライト!!やっぱり君は僕の事をアンダスタ~ンしてくれるね!!」

「………まぁ、付き合いは長いからね

 じゃあマリーさん、悪いんだけど………」

「はいはい、承知いたしましたオーナー様」


デューンさんの言葉にマリーさんは少しだけ苦笑しながらケジンさんの元へ

つかつかと歩いていき………眼前で指を鳴らす。

するとその瞬間、ケジンさんは床に倒れた後全身に電流が流れ始める!!


「ごふっ!!あばばばばばばばば!!」

「ふぅ~ん、この程度の電撃で叫び声を上げるなんて軟弱ね

 それじゃもっと強くしてあげたほうがいいかしらね?」


マリーさんはケジンさんを見下ろし、邪悪な笑みを浮かべながら

楽しそうに口にする。

………やっぱり報酬はそれなんだ、けどマリーさん何かノリノリじゃない?

何か妙に似合ってるのは気のせいだと思いたい。


「ほらほら、頑張って耐えないと黒焦げよ?

 それともあなたはそれを望んでるのかしら?」

「あばばばばばば!!こ、このセンスは相変わらずベリ~スティミュレイション!!

 も、もっとお願いしますYO!!」

「そう、ならお望みどおりにしてあげるわね」

「ギャヒーーーーーーー!!」


目の前で行われる光景に唖然とする私。

ドМが無敵ってどこかで聞いた記憶あるけど、本当なんだね………

それとやっぱりマリーさん、あなた結構楽しんでますよね!?

瀟洒で優しいお姉さんだと思ってたんだけどなぁ。



………数十分後



「ふぅ、今日はこんな所でいいかしら?

 しかし毎度毎度飽きないわね、貴方も」


マリーさんが再び指を鳴らすとケジンさんへの電撃が止む。

うわぁ、ケジンさんの体から煙が上がってるよ………これ死んでません?


「ああ、心配いらないよ

 これでもいつもよりは軽めだから、直ぐに起き上がって来るよ。」


はい?これで軽めってどー言う事!?

明らかに人間の致死量じみた電撃量だったと思うんですが!?


「O~h………今回もいい電撃をセンキューね………

 これで明日また元気にクリエイティブにいそしめるYO!!」


倒れたまま煙を上げてる状態なのにいい笑顔で親指を立てるケジンさん。

ホントに死んでないんだ………この人の体一体どーなってるの。


「わざわざありがとうね、ケジン

 いつも通り昼ごはん食べてから帰るのかな?」

「イェ~ス、流石僕のエタ~ナルフレ~ンド、以心伝心って奴だNE♪」


終始ケジンさんに普通に接するデューンさん、何かこの2人の出会いが

気になって仕方ないかも………


「んじゃ、取り合えずフロアで待っててくれるかな

 マリーさん、悪いけど………」

「はいはい、ケジンの相手してればいいのよね

 ほら、そこにずっと寝っ転がってたら邪魔でしょ、起きなさいってば」

「オゥケ~イ!!久しぶりのデューンのクィジ~ンは楽しみだYO♪」


マリーさんに促されて、体から煙を上げたまま元気よく立つケジンさん。

何か動くたびに謎が深まってないこの人?


「悪いけど、貴方達も出来れば付き合って欲しいわね

 流石に終始このテンションだから1人で相手するのはしんどくてね」


それはそうだ、あのテンションで喋り続けられたら1時間も持たない自信がある。

このまま逃げたい気もしたけど流石にそれは薄情に過ぎるし

ここはお付き合いしないといけないね。

そう思って私が席に着こうと動いた瞬間


「お待ちください、済みませんが私はその人間に用があります」


突如としてリーゼが口を開く。

ん?リーゼがケジンさんに用事って何かあったっけ?


「マイーダが言ってました、私の戦斧がそろそろ強化できると

 ケジン、貴方に私の武器の強化をお願いしたい」


そう言ってリーゼは戦斧を取り出し、ケジンさんの前に差し出した。

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