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おとぎ話の悪役令嬢は罪滅ぼしに忙しい  作者: 石狩なべ
四章:仮面で奏でし恋の唄(前編)
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第2話 おつかいライフ(1)


 あたしの会社の、仕事案内紹介所の売り上げと信頼は向上だ。


 年々、日々、積み重ねていく事に契約会社も増えていく。登録者も増えていく。あたしでもわかりやすいようにグラフにして見せてもらうと、そのすごさがわかる。

 子供から大人まで、働ける所やお金をきちんと貰える所に誘導することで、城下町もどんどん安定し、社会貢献にも十分繋がっている。

 この会社を作った本人が言っていた、企業の革命、というのが、最近よくわかってきた。必要だったのに誰もやってなかった。そして、結果、国中の人々が遠くからはるばる城下に来るほどこの会社は求められている。なるほど、こういうことか。


 ただ、その売上金額は、もはや0の桁がすごいことになりすぎて、あたしにこんな思いがよぎった。


(……破産、回避出来るんじゃない? これ)


「事業でも拡大するべきかしらー??」


 オレンジジュースを飲みながら、可愛い笑顔を浮かべる。


「それともお給料を上げる? 従業員の皆様はよくやってくれてるわ。ね、そうでしょ。Mr.ジェフ。あたしに出来ることある? この0が無くならない限り、あたし、皆様にどんなことでもやってあげたいの!」

「素晴らしいお考えです!! 貴女はなんて善人なんでしょう! テリー様!!!」


 紹介所の責任者であるジェフが、どばっと涙を流し、今日もハンカチでその涙を拭う。あたしが腹の裏で破産回避のためのお金が欲しいと思いながら、皆のためなのよという顔をすればこれだ。とにかくお金があればいいのだ。お金が増えたらいいのだ。世の中はお金で成り立つのだ。お金さえあれば、裁判で訴えられても何とかなる。払い切ればどうにでもなるのだ。


(あたし達のせいじゃないのに、お金を払うのはあたし達なのよね)


 あたし達、何も悪くないの。悪いのは氷山と船長なのよ。


「でしたら、少しご相談が。最近派遣登録をしている方からの話でして」

「ん? 相談?」


 耳をジェフに戻そう。首を傾げると、ジェフが頷く。


「紹介所が城下町にしかないのが、手間だと」

「紹介所を他にも作れってこと?」

「離れた街からやってくる者もいます。確かに、こういった紹介所は他にございません。信頼も厚いです。どこか、ここから離れた街に建てるのも、大人も含め、子供達を救う手助けにも繋がるかと」

「…なるほど。…確かに、その方が遠方から来てくれている人の移動時間を割く必要がないかも。充分な資金もある。建てるのは構わないけど」


 あまり詳しい事はわからない。

 正直、どんな仕組みで会社が設立しているのかも、あたしには知識不足だ。勉強はしているのだが、社会の仕組みは難しい。こういうもの、と思って色々勉強するが、教科書のように簡単なものではない。重要な書類もあるし、その文章を見ただけでは、今のあたしには許可していいものなのか、サインしていいものなのかも判断出来ない。


(『あいつ』に相談するしかないか)


 軽薄な笑顔を浮かべる『婚約者』の顔を思い浮かべる。


(……会いたくない……。……でも、相談しないと……)


 にっこり笑って頷いた。


「わかった! 彼に相談してみるわ! 個人的には、紹介所を別に建てるのは賛成よ!」

「うまくいけば、城下もますます盛り上がりますぞ! 図書館もそろそろ改築を終了するようです」

「図書館ね」


 どでかくなるのよねー。

 両手を握って、にっこり笑う。


「あたし、すっごく楽しみ! これで本がいっぱい読めるわ!」

「資料の本なども取り揃えてくれれば、我々も使えますからな」

「そうね。そう思ったら、この波に乗らないと駄目だわ。ますます紹介所の事を相談しないと。もちろんあたしは…」


(お金が増えるなら)


「大賛成!」

「ふふっ。テリー様、それでは、このまま真っ直ぐあの方の元へ行かれますか?」

「うーん。そうね。あたしは時間あるし、街に来たついでに寄ろうかな。暇そうだったら相談だけしてくる」

「そうですか。それでは、その、…大変お手数なのですが、おつかいをお願い出来ませんか?」

「……おつかい?」


 きょとんと瞬きをすると、ジェフが大きな緑色の封筒をあたしに差し出した。


「月に一度、売り上げをまとめた書類や、その他の報告書類をお見せしているんです。見せるためのものですので、折り曲げても大丈夫ですよ」

「書類というものを折り曲げるのは良くないって、家庭教師の先生が言ってた」

「ふふ、さようです。その先生はとても優秀な方ですな」

「…えっと、そこまで気を使わなくてもいいってこと?」

「ええ。重要書類と申せば、テリー様がかなり慎重に扱われると思いましたので」

「Mr.ジェフのその心遣いは尊敬に当たるわね。わかった。渡しておく」

「恐れ入りますが、よろしくお願いいたします」


 封筒を大きめの紙袋に入れてもらい、それを受け取って微笑むと―――途端に、ジェフの目から再び涙がどばっ、と噴き出た。


(あ?)


 ジェフがあたしから顔を背ける。


「あああああ…! すみません! ぐすん! テリー様の笑顔に、このジェフの心は改めて思ってしまったのです…! なんて女神のような笑顔なのだと…!」


(この人、何を言ってるのかしら)


 白い目で、大粒の涙を噴き出すジェフを見上げる。


「髪をお切りになられた貴女を見た時、ジェフは心底心配致しました。一体何があったのかと! 嫌なことでもあったのかと! でも、ただの気分転換だとテリー様はお仰った…! ぐすん! 気分転換で、髪をお切りにあるご令嬢が、今までいたでしょうか! いいえ!! ご令嬢というものは見た目を気にされる方が非常に多い! にも関わらず! テリー様は短髪に! しかも非常に可憐で! まさにテリーの花のように儚くて!! 美しい!! ショートヘアーの貴女はまさに新たな女神! テリー様のようなご令嬢様と出会えて、『あの方』もさぞ運がよかった! いーや!! もうお二人が出会えたのは運命そのもの…! はあああん…!! このジェフ、感激して! 涙が止まりません!」


 ああ、そういえば、短くなった髪を見て、ジェフは顔を真っ青にしてたわね。何かあたのかと訊かれたから、


「気分転換」


 て言って、そのまま仕事の話になったのよ。オレンジジュースを貰ったのよ。


(でも反応が遅すぎない?)

(新たな女神って何?)

(メニーのこと?)

(ジェフ。あたし、貴方のことは嫌いじゃないけど、時々反応に困ってしまうわ)

(早く泣き止みなさい)


「じゃ、あの…あたし、そういうわけで…行くわね…」

「どうかお気つけて! テリー様! 知らない人に声をかけられてもついていってはいけませんぞ!! ぐすん!!」

「はいはい」


 空になった紙コップを捨てて、ジェフの泣き声を聞きながら、所長室を後にする。


(おつかいね)


「ま、ついでよ。どちらにしろ相談しに行かなきゃいけないし」


 紙袋をぶら下げて、あたしは歩き出した。



(*'ω'*)



 この二度目の世界で、一度目の世界とは全く違う出来事があたしの身に起きた。

 はっきり言おう。あたしは婚約をしている。

 ……してると言っても、名前だけ。口約束のような、軽い約束。いつかは終わる契約。なぜそうなったのかは長い経緯になるが、とにかく、記憶が戻ったばかりのいたいけで可愛かった10歳のあたしに、当時14歳だったあいつが、婚約の話を持ち掛けてきたのだ。


 ―――俺の将来のお嫁さんになる約束をしてくれないか?


 断ったのよ。あいつと関わりたくなかったから。でも、そしたらどこかに誘拐されそうになったから、しぶしぶ承諾した。でも、その代わり、


 ―――プラスアルファよ。

 ―――あたしを必ず守って。

 ―――あたしが国から死刑宣告を受けて群衆の前でギロチン刑にされそうになっても、必ずそこから助け出して。

 ―――そこまでしてくれるなら、婚約者でも、結婚相手でも、なんだってなってあげる。


(あたしはあいつの婚約者)

(あいつはあたしのボディーガード)


 それだけの関係。ただ、やっぱり関わる相手は選ぶべきだ。


『キッド』


(嘘つき)

(腹黒)

(女たらし)

(ナンパ野郎)

(口が上手いペテン師)

(何考えてるかよくわかんない)

(悪魔)

(策士)

(嘘つき)

(あ、二回目)

(とにかく、あたし、あいつだけには必要最低限、関わりたくないのよね)


 でも、


(あたしを助けてくれるのは、あいつしかいない)


 離れたくても、離れられない。何があっても、どんなことがあっても、キッドだけは、あたしを最後まで守り、助けてくれる。


(ま、そういう契約だし。当然よね)

(…あいつも今年で17歳か…)


 出会った頃と比べても、だいぶ身長が伸びた。高かった身長はもっと高くなった。

 見上げても見上げても、何度見上げることが出来ても、見下ろすことはあたしには出来ない。そしてあいつは、そんなあたしをにやにやしながら見下ろしてくるのだ。


(あの野郎、いつか覚えてなさいよ…)


 イライラを胸に込め、キッドの家に向かう。

 広場から離れた人気のない裏道。その先に木造で出来た二階建ての小さい建物がある。それがキッドの家。本当に彼の家がここなのかも、正直、分からないのだけど。


(ま、キッドが何者であれ、あたしには関係無いことよ)


 名前だけの婚約者、兼、あたしの騎士のキッド君。

 あたしには、それだけの情報しかない。


(詮索はしない)


 訊いたら、彼の事情に深入りしてしまいそうで、

 訊いたら、全てが壊れてしまう気がして、

 訊いたら、あたしの死刑への未来が近づく気がして、


(あたしは避けるわ)


 世の中はね、知らない方がいいことが沢山あるの。あたしは痛いほど学んだわ。沢山知りたいと思ったから、痛いことを沢山知ってしまった。知ってしまったら最後。頭の中で錆となってこびりついて離れない。だから欲張りな人って報われないの。知りすぎてしまうから。


(無駄な情報ならいらない。それがキッドのことなら、もっといらない)


 キッドとあたしの関係は、必要が無くなるまで続ける。お互いそれが分かってる。それ以上の情報は必要ないでしょう? いらないわよ。今の関係で十分なんだから。


 あたしはキッドの家の扉を叩く。

 開けられるのを待つ。

 しばらくして物音が聞こえ、扉が開けられる音が聞こえて、ああ、来た。と思えば、


(…………え?)


「はい?」


 出てきたのは、あたしの頭が白くなるほど整われた顔立ちの、超美人の、リンゴ柄のエプロンをした女。


(…………………………)


 あたしの頭で、思考回路が光の速さで動き出す。


(家を、間違えたか?)

(いや、ここは間違いなくキッドの家)

(この人、誰?)

(あいつ、まさか引っ越した?)

(手紙が来てない)

(入れ違い?)

(引っ越しましたって手紙をあたしが見る前にあたしがここに来てしまったとか?)

(燃やした手紙にはそんなこと書いてあったかしら…?)

(うん? 待って)

(落ち着くのよ。テリー。大丈夫よ。あたしは今日も美しいわ)

(……誰。この女?)


 白い肌、赤い頬、赤い唇。ぱちぱちした、丸くて大きな瞳。どこか見覚えがある顔だった。透き通るような青い目も、すっとした鼻も、雰囲気も、どこかで、見かけたような、どこかで、どこかで―――。


 考えが混ざり合って、答えを見つけ出す前に、黙り込むあたしを見下ろした女が、微笑みながら首を傾げる。


「…キッドのお友達?」

「え?」


 キッド、という名前に、あたしが自然と反応する。それを見た女が、嬉しそうにぱっと表情を明るくさせた。


「まあ! そうなの!? 初めまして!」

「ああ、ええっと、あの…」

「ああ、いいのよ。中に入って! せっかく暑い中来てくれたんだもの! 冷たいものでも飲んでいって!!」

「え? あの、えっと…」

「さあさあ!」


 はっとした時には、女が見えない速さであたしの後ろに回った。


(何!? 残像だと!?)


「さあ! 入って!」

「ちょっ!」


 背中を押される。


「さあさあ!」

「えっと!」

「さあさあ!」

「えーーーーーっと!」


(この女、美人な上に、手の力が強い!)


「さあ! 座って! お客様!」

「ふぎゃん!」


 椅子に座らされ、あたしの横に女が輝く目でしゃがみこみ、顔を覗き込んできた。


「紅茶はお好き? 今の時期、ホットよりもアイスがいいわよね! リンゴ、レモン、ハーブ、うふふ。ミルクもあるわ。甘くした珈琲もいいわね。何がお好き? ねえ、貴女お名前は? いくつなの? 彼氏は? 彼女は? ボーイフレンドは? ガールフレンドは?」


(何よ! この女! 話題を質問から質問に移しやがった!)


 てめえこそ何者よ!


「あの、えっと…」


 あたしが訊く前に、


「動物は好き? 猫派? 犬派? 鳥派? 鳩派? 鼠派? トナカイ派? 馬派?鹿派? 人間派? 猿派? 象派? キリン派? 兎派? 赤い狐派? 緑の狸派? スカンクって可愛いわよね? 臭いけど」


(こ、この女、話題を動物からスカンクの匂いに移しやがった!)


 てめえ何者よ!


「あの、えっと………」


 あたしが訊く前に、


「おとぼけなことを眠そうな顔でくしゃみしながら照れてごきげんになるおこりんぼな先生はお好き?」


(こ、この女、話題をとうとう意味不明な話に移しやがった!)


 てめえ何者よ!


「あのーーーーー……」


 あたしが訊く前に、


「趣味は? 好きな事は? 特技は? 休日は何してるの? 運動は好き? テレビは好き? ラジオは好き? 映画は好き? 本は好き? ゲームは好き? 遊びは好き? ダンスは好き? バレエは好き? お芝居は好き? トランプは好き? 空はどうして青いの?」


(こ、この女、話題を挙句の果てに空の話に移しやがった!)


 てめえ何者よ!


「あのおおおおおおおおーーーーーー」


 あたしが訊く前に、


「チョコ派? クリーム派? 苺派? チーズ派? メロン派? 餡子はこしあん派? 餡子は粒あん派?」


(こ、この女、話題を突然味の話に移しがった! あたしはチョコ派!)


 てめえ何者よ!


「あのっ!!!!」


 あたしが訊く前に、


「あら。質問ばかりで申し訳ないわ。何を飲む?」


 にっこりと満面の美しい笑みを向けられる。


(うぐっ!!)


 ぎゃあああああああああああああああ!! やめてええええええええええええええ!! 美しいリンゴのような可憐な笑顔にやられて、醜いあたしが溶ける! 溶けてしまう!! いやああああああああああああああ!!!!


(なんて強敵なの…!)


ごくりと固唾を呑む。


(大丈夫よ。テリー! あたしにはまだ手札が残されているわ! 手札OPEN! 13歳の少女! そしてこっちもOPENするわ! 出でよ! 猫かぶり!!)


「あのー」


 あたしは猫と猫と猫を装備して、猫を撫でた声を出す。


「あたし、お水がいいですぅ」

「お水?」


 女がぽかんと瞬きした。


「貴女、今、お水って言った?」

「はいっ! あたし、水道水で、いいですぅ!」


 あたしは下手に出られる可愛い13歳の女の子! こんな家に住んでるんだから、大した金のかからないお水と言ってもらえて嬉しいでしょう!? ほら、出してごらんなさいよ! お水!


「嫌だわ! うふふふ!」


 女が口を押さえて笑い、再びあたしの顔を覗いた。


「遠慮してるのね? 大丈夫よ。何でも言ってちょうだい。せっかくのお客様なんだもの! おもてなしさせてちょうだいな! 紅茶も珈琲も何でも用意するわ。あ、ジュースの方がいい? だったら、『怒りん坊』の採りたて果物で何でも作ってあげる」


(怒りん坊? 誰それ?)


 分からないが、分かるのは一つ。


(この女が、キッドの関係者だと言うこと)


 なんであいつの周りにはろくな人がいないわけ? この女、誰? 質問に質問されまくって、あたし可哀想。もう帰りたい。ああ、そうだ。あたしもう帰ろう。キッドはいないみたいだし。書類だけ置いて帰っちゃおう。よし、帰ろう。あたし、暇じゃないの。忙しいお嬢様なの。女の子はいつだって忙しいの。女の子は大変なの。だからあたしもう帰る。いつまでもこんなきらきらした美人な女の前にいられない。いたたまれないわよ。全く。てかあいつなんでいないのよ。また女の子と出かけてるわけ? あー、もう、肝心な時にいないんだから。お前なんて木の棒に足引っかけて転んで「ママぁあ!」ってわんわん泣き喚いていればいいのよ。


(にしても美人な女ね)

(メニーといい勝負だわ)


 本来のあたしと年齢も近いかも。


「ねえ、どうする? 何飲む?」

「お構いなくぅ。綺麗なお姉さぁん。あたしすぐに帰りますぅー」

「え、帰っちゃうの!?」

「キッドにちょこっと用事があるだけだったのぉー。あたし帰りますぅー」

「駄目駄目! まだ帰らないで!」

「あたし帰りますぅー」

「せっかく来てくれたんだもの!! 何かお出しします!」

「結構ですぅー」

「水道水なんて言わないで、もっと他のものを注文してちょうだいな!」

「うるせえな…。帰るっつってんだろ…」

「どんなわがままでもお答えしますわよ!!」

「いいえ! もう満足ですぅー!」

「いいえ! 私が不満足なのよ!!」

「いいえ! 大丈夫ですぅー!」

「いいえ! 大丈夫じゃないのよ!!」

「いいえ! これだけキッドに渡してくださぁーい!」


 紙袋を差し出す。


「うっふふぅー!」


 女が両手で丁寧に受け取り、封筒に書かれている会社名を眺め、呟いた。


「これ、紹介所の封筒…?」

「あたしぃー、キッドに渡すように頼まれちゃってぇー!」

「頼まれた?」

「はいぃー!」

「誰から?」

「あの髭のおじちゃんからぁー!」

「ジェフ?」

「はいぃー!」


 にっこりと、満面の笑みを浮かべる。

 女が目をぱちぱちと瞬きさせる。

 あたしは満面の笑みを向ける。

 女がまた紹介所の封筒を見る。

 あたしは満面の笑みを向けている。

 女があたしをもう一度見た。


「お嬢さん、ジェフの親戚なの?」


(ジェフを知ってるのね。この女)


 あたしは笑顔で首を振る。


「いいえー! 知り合いですぅー!」

「知り合いのジェフから頼まれたの? この書類を」

「はいぃー!」

「キッドに渡すようにと?」

「はいぃー!」

「貴女に?」

「はいぃー!」

「キッドを知ってるの?」

「はいぃー!」

「ジェフを知ってるの?」

「はいぃー!」

「なるほど」


 質問攻めをした女が、にこっと笑い、自らの頬に手を添えた。


「ねえ、ちょっとお話ししましょうよ。美味しいジュース作ってあげるわ。リンゴはお好き?」


 ―――――途端に、あたしの体が硬直した。


(え?)


 空気が重くなる。


(え?)


 青い瞳が、あたしを拘束したかのように動けなくなる。この女、笑ってるけど、目が笑ってない。あたしを睨んでいる。


(なんで?)


 あたし、可愛い女の子よ。


(どうしたの?)


 なんでそんな殺気のある目で見てくるわけ?


(何?)


 こいつ、何なの?


(…………)


 あたしは満面の笑みを女に向けた。


「おリンゴ? まあ、なんて素敵なの! あたし、おリンゴだぁーいすき!!」

「まあ! そうなの? よかったー!」


 女が微笑みながら立ち上がる。


「それなら、甘くて美味しいリンゴジュースを作ってあげるわ!」


 待っててね。


「帰っちゃ駄目よ」


 女が振り向き、キッチンカウンターに近づく。あたしに背を向けて、手を動かし始めた。包丁を持ち、バスケットからリンゴを切っていく。その姿を、あたしは見つめる。


(………何者よ)


 あの目で見られたら、空気が重くなり、背筋が凍った。


(あたしが動けなくなるなんて)


 震える手を隠す。


(畜生。何なのよ。あの女…)


 静かに女を睨むと、女がミキサーをセットした。


(……ん?)


 あたしは眉をひそめる。

 ミキサーって蓋するものじゃないの?


「スイッチオン!」


 女がスイッチを押した直後、ミキサーの中に入っていた物達が暴れ出した。


「はわ!?」


 女の目が丸くなる。あたしの目が見開かれる。


 ずがががががががががががががががががが!!!!!


「あらあら、大変!!」


 ずがががががががががががががががががが!!!!!


「あれ、これどうやって止めるんだっけ?」


 ずがががががががががががががががががが!!!!!


「あららららら! 大変大変! お掃除しなくっちゃ!」


 ようやく女がミキサーを止めた。女が振り向く。果物ジュースまみれの女。リンゴの皮が頭に飛んできたあたし。


「………………」

「あらあら大変! リンゴの皮が貴女のこと大好きだって! うふふ!」

「………おほほほ………」

「はいはい! リンゴの皮なんて、ぺってしちゃいましょうね!」


 女があたしの頭からリンゴの皮をぺってした。


「ちょっと待ってね」


 ジュースでずぶ濡れの女がミキサーに再び材料を入れ始める。


「らんらんらん♪」


 コトリと、あたしの前にグラスが置かれる。


「お待たせ!」


 正面に向かい合わせで座る。女が頬杖付きながら微笑んであたしを見る。あたしもひたすら笑みを浮かべる。


「遠慮せず飲んでね!」

「………………いただきます」


(毒でも入ってるんじゃないでしょうね…?)


 あたしはグラスを口に傾ける。


(………チッ。普通に美味しい)


 まるでリンゴ畑に囲まれたような爽やかな味わい。


(…美味…)


「わぁーい! あまぁーい!」

「気に入ってくれてよかったー!」

「おいしーい!」

「うふふっ。リンゴを採ってきてくれた怒りん坊に感謝ね」

「あのぉー、怒りん坊って誰のことですかぁー?」


 尋ねると、女が一瞬はっとして、ぶふっと笑い出した。


「あはは! いけない。私ったら! ビリーよ。ビリー! 知ってる? あの巨体でがっちりしてて髭がもじゃもじゃの変なお爺ちゃん!」

「……あー、はい! 知ってます!」


(ミスター・ビリーもこの女と知り合いなのね)


 で、怒りん坊って何?


「なら話は早いわね。彼ね、昔は怒ってばかりだったから、勝手に名前をつけたの。怒りん坊って」

「……あの、……ビリーの、話ですよね?」


 おだやかな老人の、キッドの付き人、ビリー。いつも暴れて回るキッドを止められる、唯一の存在。


 女がけらけら笑い、あたしに口をぺらぺらと動かす。


「そうそう! あいつね! 昔は激おこぷんぷん怒りん坊って名称がついてたくらい怒ってたのよ! あれはもうね、最高に面白いのよ。何やっても怒るんだもの! あははははは!」

「そ、そんなに笑えます…?」

「ぶふっ! だって、意味が分からないんだもの! トイレに行ったら怒るし、料理したら怒るし、寝たら怒るし、起きたら怒るし、いっつもぷんぷんしてるの! くくっ! もうね、面白いの! あっはははははは!」


(……ミスター・ビリーの話…よね…?)


「でもね、いざって時は優しくしてくれるの。泣いてたら怒ってくるの。でも、怒りながら慰めてくれるの。何度も励まされたわ。うふふ!」


 女が喉を潤すためにジュースを飲み、また、あたしをそのきらきらした瞳で見つめてくる。


「ビリーとは、お話したことある?」

「ええ。あの…ミスター・ビリーには」


(それはそれはキッドの悪の手から何度も何度も救い出していただきまして、どんな状況でも彼がストップを出せばキッドがあたしから離れてくれるのでそれはそれはもう…)


「…とてもお世話になっております…」

「そうなの! 良かったわー!」


 ぺこりと頭を下げると、女がまた微笑む。


「ビリーのことよろしくね! あと、キッドも! 仲良くしてあげてね! あいつ色々小賢しい奴だけど、悪い子じゃないのよ? 悪い子じゃないの。本当に、悪い子ではないのよ。うん! 決して悪い子ってわけじゃないの! ちょっとアレなだけで! うん! 悪い子じゃないの!」


(……ん?)


 違和感。


(話し方が、キッドの身近な人のように聞こえる)


 誰だ? この女。キッドの『お手伝いさん』にしては、雰囲気も違う。


(第一、キッドのお手伝いさんなら、あんな目を13歳の女の子に向けるとは思えない)


 あたしを殺してもおかしくない目。


(……この女、本当に何なの?)


 じっと見ても、あたしの目の前には、美しい女性がにこにこしてあたしを見ているだけ。いつになったらこの笑顔地獄から解放されるのかしら。さっきから頬がぴくぴく痙攣してるのよ。


「あいつ貴女みたいに可愛い女の子の友達が多くてね?」

「うふふぅー! そうでしょうねぇー!」

「中には結婚を前提に付き合ってって告白もされてるみたいで」

「うふふぅー! そうでしょうねぇー!」

「でもね、男の子からもすごいの。愛の告白を何度もされてるって」

「うふふぅー! そうでしょうねぇー!」


 あの中性的な顔は、あの口説き文句の多い彼は、性別関係なく人間自体にモテるのだろう。


「ねえ、貴女もキッドが好きなの? 恋焦がれているの? 愛してるって思ってるの?」


 興味津々な女の言葉に、あたしは笑顔で答えた。


「何も思ってませぇーん!」


 きっぱりと断言する。


「好きじゃありませぇーん!」


 女がきょとんとした。あたしは微笑む。


(ええ。あたし、きっぱりと、そこは断言できる)


 もうかれこれ二年の付き合いになるが、キッドを好きになったことは一度だって無い。変な出会い方をして、変な契約を結ばれて、愛しているよと嘘の、偽りの言葉を吐かれて、好きになりましたと言う方がおかしい。


 あたしの言葉に、女が首を傾げた。


「え?」

「恋焦がれてませぇーん!」

「え?」

「愛してませぇーん!」

「え?」

「キッドは知り合いですぅー!」

「知り合い?」

「ただの知り合いですぅー!」

「ただの知り合い?」

「ちょこっと関わってるだけですぅー!」

「ちょこっと関わっている?」

「ちょびっと関係してるだけですぅー!」

「ちょびっと関係している?」

「あー………」


 あたしはグラスを両手で持ち上げた。


「ジュースおいしーい!」


 あたしはリンゴジュースを飲む。ごくりと喉を潤す間も、あたしは女の目が動いたのを見逃さない。

 女の目が封筒を見た。紹介所の名前を見る。女は黙る。じっと何か考え、再び目が動く。あたしを見て、にこりと微笑み、あたしの両手を見た。あたしの指を見た。


「…………」


 視線を逸らして、階段を見て、ジュースを見て、あたしがグラスを置くのを見て、女が視線を下に落とす。


「そう。私ね、貴女に訊きたいことがあるの」


 会って話してから、ずっと訊きたかったの。


「ジェフと知り合いでキッドとも知り合いで」


 紹介所の責任者のジェフと、ここに住むキッドと知り合いで、服装はドレスで、耳にしているピアスは魅力的な不思議な色のもので、見るからに貴族のお嬢様。知らない人には妙に子供っぽい仕草を見せる。


「訊いてもいいかしら?」


 貴女、もしかして、


「テリー・ベックスご令嬢?」


 にこりと、微笑んでいる女の目が、あたしを見定める。

 その視線の強さに、

 その視線の鋭さに、

 その視線の冷たさに、

 あたしの体が凍った。


(っ………!!!!!)


 この女には逆らえない。自然と考えがよぎり、あたしは抵抗することなく慌てて頭を下げた。


「あっ、あの、失礼しました。自己紹介が遅れて申し訳ございません。あたくし、テリー・ベックスと申します。レディ」

「テリーなの?」


(呼び捨て?)


「…はい。テリーと申します」

「テリーなのね?」


(何なの。この女…?)


 一体なぜ、あたしの名前を知っている?

 一体なぜ、あたしをそんな目で見てくるの?

 冷たい目。でも熱い目。俯くあたしを見つめるその眼差し。


 沈黙が、訪れる。

 空気が静寂になる。

 女は黙っている。

 あたしも黙る。

 冷や汗が出てくる。

 血の気が下がってくる。

 何かしたのか考える。

 視線が泳ぐ。

 体が震えだす。

 視線が痛い。

 冷たい。

 氷のように突き刺してきそうだ。

 殺気。

 冷気。

 あたしに襲いかかってきそうな痛い視線。

 痛い。冷たい。

 肺が圧迫される。

 苦しい。


 怖い。


 意識がふらっと遠のきそうな、そんな気配すら感じた、



 ―――――直後、






「きゃーーーーーーーーーーーーーーーーあ!!!!」


 嬉しそうに、興奮した様に、女が黄色い歓声を上げたのを期に、あたしの青ざめた顔が上げられた。


(な、何? 何なの!?)


 見てみれば、女の目が輝き、両手を合わせ、体を前のめりにして、あたしにずいっと近づく。


「テリー…! 貴女がテリーなのね!?」

「え…?」

「テリー!!」

「え…!?」

「テーーーリーーー!!」

「え…!!?」

「可愛いーーーー!」

「え!!!???」


(あたしが、可愛い!?)

(何言ってるの!? この女!?)

(あたしは、可愛いじゃなくて、美しいなのよ!!?)


「濁ってて綺麗な赤い髪!」


(失礼な!)


「猫みたいな吊り目!」


(失礼な!)


「怒りん坊みたいな激おこおこりんぷんぷんっ子!」


(失礼な!)


「キッドの婚約者!!」


 ――――えっ…!?


 ぎょっと目を見開いて、息を呑み、なんでそのことを知っているんだと思って、呆然と驚いていると、女が張った胸に手を添えた。


「私」


 名乗った。


「キッドの母です!!」


 ――― 納 得 し た !!


 引き攣る顔で、その女を、キッドの母親を見つめる。


(道理で顔が整われてると思った!)


 正直かなり美人だと思った。見たことないくらい美人だと思った。白い肌に添えられた赤い頬と赤い唇は、その肌に映えるし、大きくて丸い目はとても可愛らしい。すっとした鼻筋。青い目。その目だけは見たことある瞳だと思ったら…。


(納得した)


 キッドだ。キッドの面影があるのよ。この女。


「やーだーもーう! 言ってくれたよかったのにー!!」


 にこにこして、にんまりして、にやにやするその笑顔も、どこかキッドのいやらしい笑みの面影を感じる。


(……帰る……)


 キッドの母親と分かれば、答えは一つ。


(あたしもう帰る!!!!)


 怖い!!


(キッドの血縁者、キッドより怖い!!)


「えーーー? こんなに可愛いなんて聞いてないわよーーー? いっつもあいつってさ、クソガキクソガキってそればっかりなんだもん!」


(クソガキ…? それはキッドの方でしょう…?)


「写真とか見せてもらった事なかったのよ。何度も見せてって言ったんだけど、テリーが嫌がるって!」


(ああ…。カメラを向けられた時に全力で拒んだから…)


「私、てっきりキッドの嘘だと思ってたんだけど、ベックス家のことを調べたらきちんと貴女の名前もあるし、キッドもその女の子って言うから、ずっと話だけ聞いててね?」


(調べた…? …今、この女、涼しい顔であたしのことを調べたって言った…?)


「今年の明けくらいにスケートで一緒に遊んだんでしょう? ふふっ。あいつ上手だったでしょう?」


(ええ。嫌なほどに)


「あと、初めてのデートにも行ったんだっけ? 雪祭? それ、お揃いなんでしょう?」


『お揃い』という単語を聞いて、ぎりっと歯をくいしばる。


「耳もキッドにやってもらったんでしょう? すごく怖がってて可愛かったって」


(あいつががちんがちんやるからよ…!)


「ポニーテールが似合うんですって? えー! 見たかったあー!」


(…もう出来ないけど…)


「髪の毛切ったの? 腰まであるって聞いてたから…」


(見たらわかるでしょ!? 切ったのよ! ばっさり切ったのよ!!)


「ねえねえいくつなの? 年齢は? 何歳?」

「さ」


 違う。


「13歳です」

「あら、13歳、あ、そうか。キッドが今年で17歳だから、四歳下。そっか、13歳!」


 キッドの母親が急に黙った。じっとあたしを見つめる。目が合う。しばらくして、キッドの母親がでれんと顔を緩ませ、口角を上げた。


「えええええ!? かわいいいいいいいい!」

「……………」


 はっ!


 あたしの中に、『美人に褒められてちょっと嬉しい』という感情が現れやがった。


(畜生! 現れやがったな! 自惚れという感情め!)

(馬鹿野郎!)

(押されるな押されるな押されるな!)

(こんなのお世辞よ!)

(お世辞お世辞お世辞お世辞!!)

(負けてはいけないわよ! テリー!)

(可愛いというのには二種類あるのよ!)

(一つは美人で可愛い!)

(一つはペットのように可愛い!)

(あたしは後者よ! 下に見られてるのよ!)

(くううううう! この女! なんて女なのよ! あたしを下に見るなんて!)

(くそ! いつまでもこんな所にいられるかってのよ!)

(ここは毅然と、凛と、背筋を伸ばして! もう帰りますと宣言してやる!)


「あ! ちょっと待ってて!! キッド、部屋にいるのよ!!」


(い!!!!!?)


 びぐっ! と体が硬直した。


(キッドがいる!?)

(嘘!? どこに!?)

(どこにもいないじゃない! 嘘つくんじゃないわよ! この嘘つき!)


 そうは思いながらも、さーーーーっと血の気が下がるのを感じる。


(はっ!)


 キッドの母親が正面にいない!?


(一体どこに!? はっ!!)


 見回すと、キッドの母親が二階の階段を覗き込み、口を大きく開いていた。


「キッドーー! ねえ! キッドってばーーーー!」

「わあああああああああああ!!」


(この女あああああああああああ!!!!)


 大声で叫ぶキッドの母親を見て、あたしは慌てて立ち上がり帰る支度を進める。見てよ。あたしの顔。お前のせいで顔面蒼白よ! 書類は渡した。これ以上ここに用はない。この女のせいで魂もこの身もへとへとだ。キッドの母親だと分かっていれば、こんなに疲れることも無かったのに!


(この状態でキッドに会えっての!?)


 誰が会うか! しんどすぎて倒れてしまうわ!!


「大丈夫ですぅー! あたし、もう帰りますからぁーーーー!」


 冷や汗を吹き出しながら、あたしは震える足を何とか動かし、玄関の扉に手を伸ばす。それを見たキッドの母親の目が光り、即座にその足を動かし、瞬間移動のようにあたしの横に移動してきて、伸ばしたあたしの手をがっちりと掴んだ。その顔は、とても涼しい。


「駄目よ! テリー! もう少しお話ししましょうよ! キッドもいるから! 一緒に! ね!!」

「いえいえ! 大丈夫ですぅー! キッドも忙しいでしょうから!! きっときっと! 忙しいでしょうから! キッドが! きっとなだけに!!」

「大丈夫大丈夫! ノープロブレム! 心配なし! 大丈夫!」

「そんなそんなぁー! また来ますからぁー!」


(くっ…! 離れない!! 何なの、こいつ…!! 本当に何なの…!? なんでこんなに力強いの!? あたしが振りほどけないなんて!!)


 あたしがどんなに腕を振っても、キッドの母親の手は全く離れない。


「全然いいのよ! あいつ寝てるだけだから!」

「寝てるならなおさら駄目ですよぉー!」

「いいのよ!!」

「大丈夫です!! 寝かせてあげてください!!」

「大丈夫! あいつ昨日の夜遅くまで遊んでて寝てるだけなのよ!」

「じゃあ寝かせてあげてください!!」

「テリー!! お話しましょうよ!!」

「結構です!」

「お話ししようよ!!」

「結構です!!」

「いっぱいお話ししようよ!!」

「結構だっつってんだろ!!」

「ねえねえ!! ガラスの靴と、赤頭巾と、雪と、笛と、不思議の国と、長い髪の毛と、魔法使いと、海と、狼なら、何が好き!?」


(いいいいいいいいいいいいいい!!!)

(この質問攻めは一体何なのよ!)

(帰るって言ってるだけだろうが!)

(早くしないとキッドが来るでしょうが!)

(このクソ女! あたしがベックス家を継いだら、てめえの息子もてめえもぺちゃんこに潰してやるんだからね!!)

(だからお願い素直に帰らせて!!)

(もういい! 大丈夫! 間に合ってるから!)

(分かった! いいわ! お前の勝ちよ! はいはい! あたしの負け!)

(もういいでしょう! しつこいのよ!!)

(手を離してよ!)

(誰か!!!!)



(誰か、あたしを助けて!!!)




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