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九章 正しき偽善よ鐘を鳴らせ
あたし、テリー。
テリー・ベックス。
貴族のお嬢さまよ。
大好きなパパは英雄なの。
大好きなママは元々伯爵令嬢だったの。(没落寸前だったけど)
アメリアヌはお姉さま。だけど意地悪なの。
あたしには夢があって、
それは王子さまであるリオンさまと結婚することなの!
それで、しあわせに暮らすの!
目を合わせれば、
キスをすれば、
真実の愛が生まれるんですって。
だからあたし待ってるの。
真実の愛が、訪れる日を。
「お慕いしてます」
「リオンさま」
「ずっと」
「どんなに嫌われても」
「お慕いしております」
「目を見ればわかるわ」
「真実の愛は、必ずあたしの元に来てくれる」
「あたしは愛される」
だから、
「絶対に、しあわせになれるの」
あたしも、あの子も、
「なのに」
目の前には、ギロチン。
あたしの首は、あっけなく落とされる。
まだ、しあわせになってないのに。
「真実の愛は、どこ?」




