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ハーンの探し物

感想欄にて書かれたmankai様の想像からハーンの過去が決定!

ありがとうございます d(ŐдŐ๑)☆スペシャルサンクス☆(๑ŐдŐ)b

というわけでmankai様の可愛いハーンの旅立ちはそのままに

番外編お楽しみください♪

(過去から現代へシャナが帰ってからの・・過去後日談) bymankai様


ちびハーン「くしょおやじー!このあいだの、あたらしい母しゃんはどうしゅたー!?」

ハーンパパ「なんだ、あの女に惚れたか?」

ちびハーン「うるしゃい!いいからおしゅえろー!!」

ハーンパパ「あの女なら帰ったぞ(未来に)」

ちびハーン「どこに!?」

ハーンパパ「遠くにだ(正確には25年後だが)」

ちびハーン「また、あえるのか?」

ハーンパパ「お前が見付けられればな(25年後にな)」

ちびハーン「しゃがしにいくー!!」

ハーンパパ「おお、行って来い(25年掛かるのは、面白いから黙っていよう(笑))」





(ハーンの探し物)    by のな




 雨でぬかるむ戦場に足を取られ、雨に打たれて視界も悪い最悪のコンディションの中、声を張り上げてかかってくる兵士がいる。

 

 ハーンの目に映ったその兵士は、鎧を着てはいるが線が細く、声も高かった。


「女か」


 ハーン15歳。

 何がきっかけかは忘れたが、家を飛び出し戦場を駆け巡る傭兵となってもう何年か経つ。

 幼い頃は何か探していた気がしたのだが、いつの間にか自分の中の有り余るエネルギーを戦場で発散するようになっていた。

 だが、物足りなさはいつもついて回る。


「女と思って舐めるなよ!」


 時々記憶を掘り起こすように体の芯が熱くなるのはこんな時だ。


 ほとんどの場所で女が女らしく生きているのを見てもなんとも思わない。

 だが、敵わないとわかっていても斬り込んでくる女や、(ねや)で反抗的に睨んでくるような意志の強い女の目を見ると何故か心が騒ぐ。


「俺に負けたら俺に抱かれるか?」


 にやりと笑って尋ねれば、女兵士は馬鹿にされたと思ったのだろう、眉を跳ね上げ、剣を勢いよく振り上げた。


「ふざけるな!」


 振りは大振り、隙だらけだ。

 がら空きの胸に剣の柄を叩きこみ、よろめいたところ、腹に蹴りを入れた。


「ぐはっ」


 女は声を上げて悶絶する。

 相手が動けなくなればもちろんお持ち帰りだ。

 いまだ戦いは続いているが、女を肩に担ぎあげ、敵は片手で斬り伏せて自分のテントへと澱みなく歩く。

 だが


「くっ…辱めを受けるくらいなら」


 死ぬ、とかそういうつもりらしい。

 ハーンはお決まりとも言っていいその言葉を耳にすると、女兵士を地面に放り投げた。


「がっ」


 女兵士は地面に背中を打ち、咳き込む。だが、目はギラリとハーンを睨みつけていた。


「男ばかりの戦場に出ておいて(みさお)は惜しいなどと甘い考えだ。そういう女に用はない。反抗的なのはそそるがな」


 ハーンはそう言うとひどく面倒臭そうに前線に戻って行った。

 その後女がどうなったかは知らない。








 殺伐とした戦場での日々が何年も続くと、やがて、ハーンは『傭兵王』などという本人にとってはどうでもいい名前がついてくるようになった。

 

 指揮官じゃなくあんたに任せたいとか、あんたがいると俺は生きていられるとか、だんだん周りがうるさく、わずらわしくなってきた頃、昔、王の寝首をかきに乗り込んだ国の王子が接触してきた。


「暗殺?」


 戦場ばかり駆け抜ける傭兵に影で動けと言うらしい。

 ハーンは目の前の美女か?と聞きたくなるような美貌の王子の依頼を話半分で聞いていた。


(そういえば、戦場で傭兵仲間が言ってたな…)


____


「あんたならどこか砂漠以外の国に出れば騎士にだってなれるだろうに、何だってこんな砂漠で傭兵稼業なんてやってるんだ?」


 砂漠を選んだのは小競り合いが多く、戦いも多かったからだ。

 傭兵のほとんどは稼ぐために砂漠に出てくる。ハーンもその口だったはずなのでそう答える。


「そういや傭兵王はまだ若いよな。何歳から傭兵稼業を始めたんだよ?」


 別の男から尋ねられ、ハーンはなんとなく何かを思い出しかけて答えた。


「確か…子供の頃に何かを探しに出た気がするが…あれがいつだったかは覚えてないな」


「へぇ、そんな小さい頃からってことか。じゃあ、砂漠以外から声がかかったらあんたの運命が変わるのかもしれねぇな」


「運命信じてるなんて、お前女かよっ」


____


 げらげら笑いあう仲間達の話を思い出し、再び目の前の美女に見える王子を見た。


(運命ねぇ…。まぁ、暇つぶしぐらいにはいいかもな)


「依頼を受けよう」


 ちなみに、この時提示された条件等は何も聞いていないハーンだった。


 




 


「あの男達は全て私のモノなのです!」


 部屋やら服やら色々と御膳立てされ、暗殺騒ぎでも起こそうものなら真っ先に疑われる状況の中、ハーンはのんびり歩きながら聞こえてきた声に足を止める。


 場所は王宮。今夜の目的は暗殺の目標を見に行くことだったが、面倒臭くなって庭を散策していたのだ。

 そこへ、聞こえてきた男女の声。

 女の方はどうやら酔っているらしいが、王宮にいる女がこんな酔い方をするモノなのかと興味を持った。


「欲しければ奪うのです! それこそ赤ずきんちゃんと狼さんの法則ですよ!」


「それは願ったりだけど…ちょっとそのビン手放さない?」


「奪えばいいんですよ~。情熱的なのが良いのです~!」


 騎士の男と会話しているのだが、女は男など眼中にないようでクルクル回りながら酒をラッパ飲みしていた。

 

(貴族じゃないな)


 ドレスは着ているが、どこかのご令嬢がするとは思えない豪快な飲み方に貴族ではありえないと踏んで、初めはなんとはなしに声をかける。


「では、情熱的に奪おうか?」


 少女はハーンにぶつかり、わずかに据わった眼で見上げてくる。

 なぜか背筋がゾクリとした。

 だが、それは微塵にも表情に出さずににやりと笑む。


「情熱的に奪ったら何をくれる?」


「満足させられたらデスヨ。そうしたら私の狼さん認定して差し上げます」


「狼?」


「私の魔狼(フェンリル)です」


 何やらうっすらと聞き覚えのある言葉だった。


(確か、この大陸を守る塔、その主を守る守護者だったか…? あの美女男が話していた内容に似てるが…ひょっとして暗殺の目標に関わる人物か? まぁ、どちらでもいいが)


「それは願ったりだ。満足いくまで相手をしよう」


 魔狼がどうとかは実はよくわかっていなかったが、何故か珍しく気が逸り、傍にいた男が消えた瞬間には少女を食い尽くすつもりですっと目を細めた。


「勝負ですね」


 少女がそう告げた瞬間、ハーンは少女の頭の後ろと腰に手を回すと、共に食いつくように口づけた。


 そのまま口づけを続けながら部屋を移動する。

 

(不味いな…溺れそうだ)


 女を喜ばせることはあっても、こちらが溺れたりすることはない。

 だが、目の前の少女になぜか体が熱くなる。


「まだ降参しないか」


 熱い吐息を吐き、早く降参しろとばかりに睨めば


「負けては女がすたる」


ときた


「はっ…勝気な女だ。嫌いじゃないが」


 ベッドに押し倒せば、胸ぐらをつかまれて馬乗りされ、さらに胸元を肌蹴させられ…逆に襲われた。

 当然襲い返す気だったが、その日は魔狼契約により続きはできず、その後もなんだかんだと流れ…。





「うにゅにゅにゅにゅ…」


 ようやく喰らい、自分の横で気持ち良さげに眠るシャナに、ハーンは息を吐く。


(何がいいんだろうな…)


 シャナの口に入りそうな彼女の髪をそっと除けてやると、ハーンの裸の胸にすり寄ってくるまだまだ幼い少女。

 だが、ハーンの心はその少女にのみざわつく。


「もう一度襲うぞ」

 

 耳元で囁けば、シャナは「ぐふっ」と微笑んだ。

 見ていて飽きない。

 本当に何がいいのかと自問を繰り返し、シャナの体のあちこちに口づけて朝を迎える。



「…くしょおやじー! また母しゃんを増やしたか!」



 それ(・・)が乱入してきた瞬間、ハーンの心にすとんっと何かが落ちてきた。

 幼すぎて忘れていた。

 だが、自分は確かに彼女に出会っていて…そして


(運命ね…)


 気恥ずかしさを感じながらも、ハーンはシャナの裸を堪能する幼い自分を見下ろし、何とも言えない表情で呟いた。


「…これが俺の初恋なんだがな」


 目を丸くするシャナに愛しさが募る。

 自覚してしまえば世界は色づき、ハーンは自分の乙女のような反応に内心苦笑しながら、心に決めた。


(見つけたのだから手放しはしない)




 ちなみに、そんな覚悟を決めたハーンの傍で、シャナは


「むへへへへへっ」


と不気味に笑うのだった。




その笑いで色々台無し…ww

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