親友だから。
これからは訂正やお知らせがあったらTwitterでお知らせします。
「···············知らない天井だ」
俺は確か家を出て、そのまま訳も分からず無我夢中で走りまくって···············
「おはよう」
「うごあ!?」
ゴンッ
「〜〜〜〜〜っ!」
俺は突然視界に入ってきた狐の面に驚いて思わず体を起こし、その拍子に俺の頭と無駄に硬い面に激突して、俺はあまりの痛みに頭をお抑えながら絶叫した。
「だ、大丈夫か?」
「ってぇ···············て、なんで白神がいんだよ」
「そりゃぁここは僕の屋敷だし」
「···············そういえば」
周りを見渡せば、虎やキジ、トンビなどの絵が描かれた襖がいくつもあり、見渡す限り部屋、部屋、狐の面をつけた男、部屋、そして広い庭。京都の修学旅行で見た昔の殿様の城を思い出す。
「相変わらず恐ろしく広いな」
「そりゃぁ腐っても御三家ですから」
こいつは俺と同じ、エロ本同好会(と言っても三人だけ)の一人でもある俺の親友。白神だ。
御三家でもある白神は昔も今もずっとこいつ一人だ。昔から家臣も、嫁も、部下も持たず、1人でこの屋敷に住んでる。
普通ならこんな広い屋敷だ、鬼や妖怪が金目のもの目当てに襲うはずなのだが、この屋敷には『掟』があり、何者もこの屋敷での一切の戦闘を禁止するとかなんとか···············。
「···············なんか久しぶりだな、神域だっけ?てか外竜巻でも起きた?すごいことになってるけど」
「最近酒呑童子がまた酔っ払って大暴れしてまして。止めるのに10日もかかってしまいました」
白神はやれやれと首を軽く左右に振りながら呆れている。
「そういや酒呑童子が酔っ払うとそれって天災扱いだっけ?」
「おかげで本当の姿を晒すことになってしまいました」
ちなみに白神の今の姿は偽の姿で、本当の姿は獣の上半身に、下半身は魚、首は無くて、口は首についているらしい。
昔"源頼光"に首をもがれて、堕神として姿が醜く変化してしまってからはいつも人の姿に化けてるんだとか。
「本当に良かったんですか?」
「····················俺じゃぁあいつらに釣り合わないし、幸せにできるかどうかも危うい」
「···············大和がそれでいいなら、きっとそれでいいんでしょうね」
「うん」
しばらく二人は何を言うわけでもなく、部屋には沈黙の空気が流れた。
ぐぅ
「···············そ、そういえば夜の飯がまだだったから·····」
「それでは何か作ってくるので、大和は寝ててください」
「あ、あんがと」
白神の狐のお面が少し笑った気がした。
すると白神は立ち上がってそのまま廊下に出て、奥へと歩いていってしまった。
「···············いつ見ても綺麗な体してんな」
白くて薄い肌に、細い手足、三つ編みの白い艶のある髪、人間の俺でも組み伏せてしまいそうだと思う小さな体。
本当に男の体か見まごうほどの美し肌と体。
ついつい見惚れてしまう。
「····················」
···············全く情けない。ふと、頭の中にそんな思いが過った。
他の男に好きな女を取られ、それを指をしゃぶってみているだけ。
なんて情けない。悔しい。何故取り返そうとしなかった。何故拒絶した。
もっと別の方法が他にあっただろ!?
何もしなかった自分が憎い。それ以上に、自分があの男たちにほぼ全てにおいて負けているという事実が、悔しい。
金も、人気も、才能も、将来も、全てが全て自分の上を行く。
自分より、あのクズどもの方が、ましろ達を幸せに出来るという事実が、何より悔しかった。
胸の中の黒いものが急に暴れだし、その痛みで、胸を押えながら、痛みを逃がすように、涙がとめどなく流れた。
「う、うぅ。うああぁ」
俺はただ情けない自分を罵倒しながら、俺は泣くことしか出来なかった。
§
「大和、大和の好きなネギま作りま··········し、た··········」
「···············ぁ、悪い、布団濡らしちまって···············」
すると、白神が、昔俺が好きだと言って食べていたネギまとお茶を乗せたお盆を持って、襖から出てきた。
しかし、大和が両目からボロボロと止めどなく涙を流している姿を見て、白神はほんの数秒、その場で膠着してしまった。
「···············白神?」
そんな白神の姿に、大和は首を傾げる。すると、白神が無言で動きだし、ネギまの乗ったお盆を畳の上にそっと置くと、大和の横で正座をして座った。
大和は、ただ無言で座っている白神に、少し緊張した。
「大和」
「は、はい」
「僕ではダメですか?」
「はい?」
一瞬なんのことか理解できない大和は、白神の顔を見つめると、白神は大和を強く抱きしめ、自分の胸板に押し付けると、少しだけ太い声で
「僕と結婚を前提に付き合ってください」
「····················ゐ?」
人生初めての告白は、人に化けている親友でした。
そういえば俺、親友の姿って人間の時くらいしか知らないから勝手に男だと思ってたけど、性別どっちだろ。
あ、お面が少し赤い。
そんな呑気なことを考えてはいるが、自分の顔も赤いとわかるほどめっちゃ熱いし、俺を両手で離すまいと強く抱きしめる白神からは、白神がどれだけ本気か、これが俺を元気づけるためのジョークではないと伝わってきた。
「僕では、大和を幸せに出来ませんか?」
白神の抱きしめ方が、俺が泣いていた時の優しい抱きしめ方ではなく、自分だけのものにしたい、絶対に逃がさないと言った力強い抱きしめ方だと、俺はこの時やっとわかった。
続く
龙 樱花
■身長:137cm
■得意なこと:料理(中国料理)、中国語、韓国語、中国拳法
■状態:人間不信、サイコパス··········?
■必ずやること:特になし
■好き:大和
■嫌い:隆二
■見た目:灰色のショートカットに天然パーマ。体が小さい、他のところも小さい。目は紫のかかった蒼色。
キライ、キライ。
お兄ちゃんに好かれると聞いて付き合った。
キモチワルイ、キモチワルイ。
あいつの好意の全てが気色悪かった。
スキ··········、スキ·····。
初めて信じてくれた。私を愛してくれた。それが女としてではなく、家族としてだったとしても。
サイアク!サイアク!
あいつが私を強姦した。
ミナイデ、ミナイデ
汚れた。汚された。きっとお兄ちゃんも"他の人"のようになってしまう。
ステナイデ、ステナイデ
バレたくない、お兄ちゃんだけは。だから言うことを聞いた。
アタタカイ、アタタカイ
お兄ちゃんはよく頭を撫でてくれる。女子はみんな髪が汚れたり、髪がボサボサになるから嫌だと言っている。同級生のみんなは『はっ!?男なんてみんな利き手でオ⚫ニーしてんだからそんな手で髪なんて触れて欲しいわけないでしょ!!』て言うけど、私は胸がふわふわして、とても好きだ。お兄ちゃんの胸に抱きつきながら撫でられると、全身がふわふわして、とっても気持ちいい
キショクワルイ
あいつに撫でられると、気分が悪くなる。とても不愉快な気分になる。同級生の皆は頭を撫でられるとこんな気持ちだったのか。
1秒でもこいつには触れてほしくない。
こいつといると、たった一秒でも長く感じる。
1番じゃなくても··········。
彼女は、義兄が好きだった。親が極道という理由で、社会からは拒絶され、いつも独りだった。
そして、訳も分からず知らない男が代わりの親となり、とうとう肉親にまで拒絶されたと勘違いをして、心を閉ざした。
彼女自身は、ただひたすらに、誰かに少しでいいから愛して欲しかった。ただそれだけだったのに、彼女を本当の意味で愛したのは、たった二人の男だった。
それが義兄とその親だった。
しかし、義父は自分を引き取ってから数年で他界。
義兄には、自分のように彼を愛する人が増えてばかり。
だから彼女は何番目でも良かった。
1番に愛されなくても、"ほとんど"愛されなくとも
たった一言、「好きだ」と言って抱きしめてもらえるだけで、彼女はそれだけで、彼を一番に愛すことが出来た。
周りにどれだけ女がいても、それが偽りでも、たった一言、それを言われるだけで、彼女は幸せだった。
だから、それを壊したあのゴミを、彼女は許さないだろう。
それが彼女の初めて抱いた、彼への好意と、あいつへの殺意だった。
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