おかしなシマシマシッポ
窓の外に猫が座っていた。
最近ときどき見かけるようになった猫だ。
色は白で、シッポがシマシマ。シッポ以外では、顔の中央だけが黒い。シマシマシッポを白くしたような見た目の猫。白シマちゃんだ。
――この付近ではシッポがシマシマの猫が多いですよねー。血縁関係があったりするんでしょうか。
白シマは窓の外で大人しく座っている。僕の姿を見ても逃げ出すことはない。じっと見つめてくる。なかなか可愛らしい猫だ。
――この様子だと、野良猫ではなさそうですね。うちの子と仲良くなってくれるでしょうか。
と考えていると、隣の庭からシマシマシッポが現れた。
――あっ、もしかすると、シマシマシッポのお友だちなのかもしれないですね。見た目も似ているし……あれ?
シマシマシッポの様子がどうもおかしい。
頭を低くして、こっそりと移動している。
白シマの背後から近寄り、立ち止まると、お尻をフリフリ。
そして、勢いよく飛びかかった。
いきなり飛びかかられた白シマは驚いた様子。ビクッとからだを震わせて、必死になって逃げていった。
――まあ、それはそうなりますよね……。
一方のシマシマシッポは「なんで?」という顔で見送っていた。
猫同士の交流がいまいち上手くいかないのは、うちの猫に問題があると思っていたのだけれど、シマシマシッポのほうもちょっと変わったところがあるようだ。
みんなそんなものかもしれない。
夜、寝ているときに、ドアをひっかく音が聞こえた。
「うーん? 開いてますよ」
暗い中ベッドから起きてドアまで行くのが面倒だったので、僕は布団の中に寝たままで、そう声をかけた。
ドアがすっと開く。
しかし、中に入ってくる気配はない。
「どうしたんですか?」
問いかけて、じっと見つめる。
暗がりに目が慣れて、見えてきたのはシマシマシッポの顔だった。ドアのすき間から顔を覗かせている。
――えっ? なんでシマシマシッポ? うちの子じゃないの? どこから入ってきたの?
と僕はハテナマークを浮かべた。家の中に入れた記憶はない。
シマシマシッポも「なんで?」という表情をしている。
しばらく見つめ合って、そのまますっと去っていった。
――なんでいたんでしょう? いったいどこから……?
と呆然としていると、うちの猫がやってきた。
「あっ、ねえねえ、さっきシマシマシッポがいましたよね?」
と尋ねると、
「なんだ、まだ寝てなかったの。面倒だわ!」
と鼻を鳴らして去っていった。
結局真相はわからないままだった。
別の日に、リビングにいたときのことだ。
このときは、シマシマシッポが家の中に入ってきたのをちゃんと確認した。僕が窓を開けたのだ。
「いつの間にか侵入しているというのは、やめてくださいね。びっくりしてしまいます」
と鼻をつんつんすると、シマシマシッポはあお向けになって、あたふたし始めた。
つんつんをやめると、シマシマシッポもピタリと止まって、「やめちゃうの?」という顔をする。
「あはは、ちょっと待ってくださいね。あとで遊びます。まずはFAXを印刷しないといけないんですよ。いまどきFAXとか、本当に面倒くさいですよね。でもわりとFAXを使う場面って多いですよね」
などと言いながらFAXを印刷する。
ボタンを押して、ジーと紙が出てくると、シマシマシッポが飛び起きた。
びっくりしたようだ。FAXを見つめている。
「あはは、びっくりさせちゃいましたか? 生き物じゃないですよ。FAXですよ」
はらり、と印刷した紙が、床に落ちる。
その瞬間、シマシマシッポが紙に飛びかかった。ペチペチと前足で叩き、咥えて走っていく。
「ああ、おバカ! それは使うやつです。返してください!」
追いかければ嬉しそうに逃げていく。
――FAXを使うときは、周囲に注意ですね……。
庭を走り去っていくシマシマシッポを見送りながら、僕はそんなことを考えていた。
ちなみにうちの猫の場合は、機嫌が悪くなるだけで済みます。
FAXと猫の相性は悪いみたいですね……。




