表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
佐渡ヶ島から始まる戦国乱世  作者: たらい舟
「轟襲滅進」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/254

第六十五話 ~破滅を告げる葬送曲~

連休中に9本書いていました(*'ω'*)!


字数が約6000+6000+5000+2500+5000+1300+2700+2000+2500で、約3万3千文字!

感想も評価もたくさんいただけたし、楽しく書けました(*´ω`)ありがとうございました!!


もうちょいテンポよく読んでもらえるように工夫していきます。

<佐渡国 雑太(さわだ)郡 雑太城 城内>



「糞っ! どうなっておるのじゃ!?」

「防げ! 防ぐのじゃ! 一揆勢が城に入れば、我らは終わりぞ!」


先月から、やけに一揆勢の動きが鋭くなった。

人も増えたように思われる。鎮圧に向かった手勢が返り討ちに遭うことが増えてきた。


隆盛を誇った河原田本間佐渡守(さどのかみ)貞兼(さだかね)が羽茂本間との静平の戦で腹を斬り、これで雑太の威光が戻ってくると思っていた者も多い。しかし、そんなことは一切なかった。


取り締まれば取り締まるほど、佐渡中央に位置する国仲平野の一揆勢は勢いを増した。火に薪をくべるが如く、燃え上がった炎は天にまで達しようとしていた。


「ええい! 何をしておる! 弓を射かけよ! 石を投げよ! 一揆勢を城に入れるな!!」


傷だらけの一向宗討伐奉行仲居義徳(なかいよしのり)は、怒りの炎に身を焦がしていた。弟を殺した憎き一向宗が、いつまで経っても死に絶えないことに。その一向宗が、城にまで押し寄せてきたことに。城の中の者共の不甲斐ない戦いに。そして、このままでは城内に侵入されることが近いことに。それぞれが許せなかった。怒りが憤慨に変わっていた。


南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)・・・」


外からは呪詛のような念仏が聞こえてくる。一人二人ではない、何十、何百という数だ。まるで、自分がこれまで殺してきた者達からの、地獄への誘いの言葉のようであった。


「ええい! (うるさ)い! 消え失せろ! 念仏を唱える奴を皆殺しにしろ!」


半狂乱になって義徳が叫んだ、その時だった!



ドーーーーーーーーーーーーーーーーン!!



雷が落ちたような音が雑太(さわだ)郡に響き渡った。

晴天の中の落雷? 殿が懇意(こんい)にしている青い衣を着た呪い師が、「晴天の落雷は、『凶兆』」などと言っておったが・・・もしや!?


次の瞬間、


ドガアアアン! ガガガッ! ガラガラガラッ!!


・・・強固な城門に一瞬にして穴が開き、そして一気に崩れ落ちていった!

雑太本間氏にとって、絶望的な瞬間だった。


「南無阿弥陀仏! 南無阿弥陀仏!!」


死を(いと)わない、ボロを着た一向宗が城門に殺到してきた! 手には槍や刀を持っている。ギラギラと光る刃。しかし、それ以上に一揆勢の者達は目を光らせた。()()()()()()()()がやってきたのだ。


「ふ、ふせげ!! 入れるな! 一人として・・・」


絶叫した義徳。しかし、無駄だった。

数人がかりで岩山のように塞いだ門が、相手方の勢いに押され、一寸、また一寸と下がっていった。そして・・・ ついに、一人の男が入り込んでしまった! 


「くっ! この狼藉者(ろうぜきもの)めっ! 死ねぇぇ!」


バスッッ!!!


義徳の刀が、飛び込んできた男の身体に食い込んだ。鮮血が(ほとばし)る。死は免れなかろう。

しかし、その男は至上の笑顔を見せていた。


トスッ


弱弱しくも、槍の穂先が義徳の太股に突き刺さっていた。義徳の足から、(かすか)かに血が滲む。


「南無阿弥陀、仏・・・ 南無、阿弥陀仏・・・!」


更に男は、逃れられぬ死を前にして自らの槍を離し、両手で義徳の刀を抑え込んだ。白刃を掴んだ両手は血に(まみ)れた。しかし、尚も離さない! 死出の土産として持ち帰るが如く、岩に挟まれたが如く、意地でも挟んで離さない!


「クッ! 離せ! 離さぬか!」

「・・・陀仏・・・南無、阿弥・・・」


死を恐れぬ者の力に、義徳は気圧された。周りを見れば、既に十名ほどの一揆勢が城に入り込み、多くの死者を出しながらも一人、また一人と雑太本間の武者達を殺していた。


もう駄目じゃ。ここは持たぬ!


義徳は刀を諦めた。柄から手を離し、身を(ひるがえ)すと、領主の元へと一目散に駆けだした。一揆勢がそれを追いかける、死を賭けた徒競走となった。しかし、その先に逃げ場はない・・・


義徳に殺されながらも、刀を決して離さなかった一人の男。

その顔は、極楽浄土に辿り着いたが如く、満足感に満ち溢れた死に顔だった・・・



「南無阿弥陀仏・・・南無阿弥陀仏・・・」


繰り返し流れるその経は、雑太本間の破滅を告げる葬送曲に似た調べを奏でていた。

少なくとも、俺にはそう聴こえた。


____________________



<佐渡国 雑太郡 雑太城 評定の間>



「殿!!」


死に物狂いで、仲居義徳は逃げてきた。数人の一揆勢が追いすがってきたが、最後の武器の脇差や徒手でそれを振り払った。もう武器は残されていない。が、何とか城主が待つはずの評定の間へと辿り着いた。


「殿! 殿・・・!?」


そこは、既に死臭が漂っていた。

白装束を着た城主、佐渡国国主雑太本間佐渡守(さどのかみ)泰時(やすとき)。腹を斬り、既に介錯をされて首と胴が離れていた。同様な死体が数体。首は見当たらない。すると、奥から、


パチパチ・・・バチバチ・・・


と音がした。何者かが館に火を放ったようだ。何ということを! 消そうとして奥の間へ飛び込んだ。


そこでは・・・女と子どもの死骸が待っていた。

奥方や御子も、自刃されていたのだ。何ということだ! 雑太本間の血筋は完全に断たれてしまった!


「糞ッ! 糞ッ! こんな非道が、許されてなるものか!!」

「非道? ・・・お前が言うか?」


膝をついて落胆していた義徳の後ろから、声をかけた者がいた。


「だ、誰だ!?」


後ろを振り返る。すると、幽鬼のような顔をした人物が・・・

子ども? 


「仲居義徳・・・ 会いたかったぞ。気分はどうだ?」

「ぬ・・・? お主なぞ知ら・・・  !?」


ぬ、と言いかけて止まった。見覚えがある。ま、まさか!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
[良い点] 伏線回収ナイスです♪ 散々に虐げられてたので、雑太の国人を含めた連中を一向宗に大掃除(根切り)させても他勢力からの心証は悪化しないし、 お馬鹿が溜め込んだ財産を盛大に民衆の使うだけで支持…
[一言] 雑太本間家も遂に年貢の納め時・・・。 主人公と外道家老、相まみえた、のかな。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ