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電子書籍化【完結】破滅ルートしかないヤンデレ攻略対象の妻になりました  作者: 綾雅(りょうが)今年は7冊!


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15.物語を壊したのって私だったり、する?

 ヤンデレから逃げ損ねた花嫁はどうなるのか……恋愛小説を読む人なら知らないはずはない。大抵、部屋に監禁され快楽漬けにされるのだ。このゲーム、R18指定掛かってなかったわよね。ごくりと喉を鳴らして、私を抱き締める男を見つめる。


 披露宴はびっくりするほど貴族が集まった。正直、我がシモン侯爵家が特殊過ぎて人が集まらないと思ってたの。茶会も夜会も主催せず、侯爵夫人は閉じ込められて屋敷から出てこない。王宮に呼ばれてもヴェールで肌を隠し、顔も見せなかった。実はすごいブスなのでは? とか、見せられない大きな傷があるらしい、なんて噂もあるくらいよ。


 あまりに酷い噂が出たので、国王陛下の命令により一度だけ人前で姿を現した。その際、15歳前後に見えるお母様に同行した私の方が年上に見え、娘より年下を誑かした変態の称号が……。お父様は誇って否定しなかったのよね。若くて美しい妻は自慢だと思うけど、娘の気持ちも慮って欲しかったわ。


 あの時の光景が衝撃的過ぎて、周囲の貴族からは距離を置かれた。これはシモン侯爵家が持つ特殊な傾向も影響している。我が家はとにかく変人・奇人を量産するが、一芸に秀でた者が生まれる。その才能は国を揺るがすと言われるほど顕著だった。


 父は財務大臣の椅子を手のひらで転がし、国の傾いた財政を黒字転換させた。婿を取って家督を継いだ祖母は、外交面で手腕を発揮し大国から領地をせしめる。現在、我がシモン侯爵家の治める領地は、祖母の代に獲得したものだった。


 さらに遡れば、惚れた王女を手に入れるため一国を滅ぼした騎士が初代だったりする。物騒ながらも、直系には何らかの才能があった。実際、私は前世の記憶がよみがえる前に公衆衛生の考えを広めている。病による国民の死亡率が半分になれば、表彰物だった。


 記憶が戻る前であっても、不衛生と感じる部分があったのだろう。下水に近い用水路を整え、手洗いを徹底させただけなのに……。こういった功績があれば、聖女として崇められるのが一般的な対応だ。褒美は貰ったが、放置された理由は物語の強制力かも知れない。


 というか、こういう衛生関係ってヒロインが手掛けるんじゃないかしら。ふと気づいて眉を寄せる。あれ? もしかして、物語を壊したのって私? だからヒロインみたいにヤンデレコースへ入っちゃったの??


 ヒロインの役割を奪ったから、自動的にヒロイン枠へ投げ込まれたとか。嫌だ、悪役令嬢にも面目があるのよ。ヒロインみたいにビッチ役はご免だわ。猫なで声を出しながら片っ端から男に媚びて、最後には逆ハーで全員と関係持つんでしょう? ただの色情狂じゃない。


 眉を寄せる私の頬や額に、大量のキスが降ってきて我に返った。披露宴は一段落したのか、酔っ払いによる余興タイムに突入している。まずい、ここで花嫁は退場して夜の御仕度をするんじゃなくて?


 彼の膝に座りぴたりと引き寄せられた私が青ざめていくのを、第二王子が別の視点で指摘した。


「花嫁殿の顔色が悪いぞ」


「心配なので、私達はここで失礼します」


 あれよあれよと、私は抱き上げられて退場となった。もちろん花婿シルが私を誰かに預ける筈もなく……初夜の支度もなしにベッドへ投げられる。


 誰かっ! 助けてぇ!!

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