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88 時計とちょっと先の未来の話

 1年6月5日


「そうですか。それでは奥へどうぞ」


 部屋に案内してもらい椅子に座った。


「今回はどのような商品でしょうか?」


「こちらの2つになります」


 置き時計と腕時計を置く。

 ちなみにエイドにお願いして各街の役所の入り口上の壁に時計を設置してもらった。

 役所の時計は地球のパソコンのようにインターネットの時計サーバーで時刻を合わせるタイプで正確だ。

 2つとも魔石で動くタイプで長持ちする。役所のものは大きな魔石を内蔵しているので更に長持ち。


「これは?」


「こちらは置き時計というものでして現在の時刻を表示する魔道具です」


「後ろにあるネジを回しまして現在の時刻と合わせる必要がありますが、魔石で長時間動作します。現在の時刻は役所の入り口上の壁に正確な時計を設置しておりますので、それと合わせていただければ現在時刻が分かるようになります。魔石は交換可能になっています」


「素晴らしい魔道具ですね。おいくらでしょうか?」


「1,000円です」


「こ、これがそ、そんなに安くて良いんですか?


「はい。量産してますので在庫も沢山あります」


「それでは仕入れ値750円でどうでしょうか?」


「それで問題ありません」


「もう1つは腕時計です。こうやって腕に付ければいつでもどこでも時刻を確認できます。こちらも先程と同じく後ろにあるネジを回しまして現在の時刻と合わせる必要がありますが、魔石で長時間動作します。役所の時計で時刻を合わせてください。こちらも魔石が簡単に交換できるようになっています」


「お、お値段は?」


「こちらも1,000円です」


「これまたお安い」


「それではこちらも仕入れ値750円でお願いします」


「はい。この2つも役所の倉庫に置いてありますのでよろしくお願い致します」


「大和王国の技術力の凄さに驚かされてばかりです」


「優秀な部下と学園都市で研究しているスタッフのお蔭ですよ」


「いえ、他の世界から来たあなたがいてこそ開発出来ていると理解しています」


「ありがとうございます」


「ところでお店に在庫を置くスペースはありますか?」


「はい、もちろん。奥にございます」


「それなら良かったです。いっぱい売れそうですね」


「はい。それはもうもちろんでございます!頑張らせていただきます!」


「あ、それから明日には銀行がオープンしますので、オープンしましたらお金のやり取りはそちらで行えるように部下が説明に参りますので、よろしくお願い致します」


「昨日、お話したばかりなのにもうオープンするんですか?」


「はい。私も今回のお話で大きなお金が動くと思っております。そうなりますとそのお金を狙う輩が出てくる恐れがあります」


「はい、確かにそうですね」


「銀行にお金を預けていただき銀行でやり取りを行えば、コーネリウスさんも安心出来るかと思いまして部下に急がせました」


「ちなみにネットワークという情報のやり取りをする通信網がありまして、銀行はそれに繋がっていますので……簡単な話、この街でお金を預けても他の街でお金を引き出せますし、逆に他の街でお金を引き出したら、この街の銀行でも残高はその分、減るという仕組みになっております」


「は、はい」


「つまりですね。大金を持って馬車などで他の街に行かなくても済むということです。安心でしょ?」


「街と街の間で大金を持ち歩かなくて済むのは非常に助かります」


「それから他の街で2号店をオープンしたら2号店のスタッフが同じ口座に振り込めばお金をまとめて管理出来ます。この街のあなたの口座の残高が振り込まれた分、増えるのです」


「それは素晴らしい!」


「極端な話、あなたが学園都市に旅行に来ても銀行から残高を引き下ろせるのです。将来的にはいつでもどこでも持ち運び出来る小さな機械を使って残高の確認や振り込みを出来るようにしたいと思っています。もちろんセキュリティには配慮しますよ。端末を盗まれたらお金を引き下ろせるような事にはしません」


「今、私は心から大和王国さんに併合していただいて良かったと思っています。大和王国さんなら未来に希望が持てます。どんどん便利な世の中になっていくのでしょう」


「今はまだ作っていませんが先日、ノートブックをお見せしましたよね?」


「はい」


「それと似たような技術を使ってカレンダーを作ろうと思っています」


「カレンダーとは何でしょうか?」


「先日、創造神様から『理由はどうあれ初の国際会議が開かれたのは喜ばしい。そこで今年を1年とし来年は2年、再来年は3年と数えていくのが良いとワシは思う。使い方としては今日は6ヶ月目の3日だから、1年6月3日。明日が1年6月4日。来年は2年6月3日じゃな。創造神としては是非、使ってほしいと願う』というお話があったじゃないですか。


「はい、覚えてますよ」


「私だけかもしれませんが人間の脳で今日が何日か覚えておくのって難しくありませんか?例えば3週間後に予定を入れたとして後何日だっけ?ってなりませんか?」


「あぁ、分かりますよ。私はメモしたりして覚えるようにしてます」


「分かりやすいようにイメージを空間投影しますね。カレンダーとはこんな感じです」


 僕はコーネリウスさんとの間にイメージを空間投影した。


「空間投影も凄いですが、この商品の凄さも分かります」


「分かってもらえますか!例えば3週間後に予定ならこのカレンダーにメモしておけば良いのです。後は毎日カレンダーに何か印を付けて今日が何年の何月何日だって言うのが一目で分かるようにするんです。そうすれば例えば3ヶ月後とか長期の予定も立てやすいとは思いませんか?」


「確かにそうですね。今まで創造神様から言われるまで今日が何日かなんて意識していませんでした。しかし、今のお話を聞いてその重要性に気付きました」


「例えばです。何かの記念日……子どもが産まれたとかですね。そういう時に何年の何月何日に産まれたというのが記憶に残り。毎年、誕生日を祝ったり、そういう事も出来るようになると思うんです」


「確かにそうですね。今まで全く意識していませんでした」


「後はこういう商品も良いと思います」


 今度は日めくりカレンダーを空間投影した。


「これは……?」


「これは毎日カレンダーを破っていくタイプのものです。このように1日の終りか朝起きたときにカレンダーを破れば今日が何日か一目で分かります」


「なるほど……こちらも良いですね。売れそうです」


「私は他の世界から来てある日ふと違和感を感じたんです。この世界の人達は時間を意識していないなと。日が暮れたら仕事を終えて日が明けたら目が覚める。例えば待ち合わせをする時に何時に待ち合わせではなく『お昼頃に伺います』。のようなアバウトさを感じたんです。それが商品開発のきっかけです」


「なるほど確かにそうですね……具体的に時間が決まっていれば色々な予定が立てやすいですね」


「今、私が考えているのはそんな事です。今後ともよろしくお願い致します」


「いえ、こちらこそありがとうございます」


「それではこの辺で失礼します」


「失礼します」


「はい、またお越しください」


「ブリタニアどうだった?」


「あなたが考えている未来が見えた気がして良かったわ。断言しても良いこの国はあなたのお蔭で世界一先進的で素晴らしい国になると」


「ありがとう。でもこの国だけじゃ駄目なんだ世界が良くなってほしい」


「あなたの夢はスケールが大きいわね。一国の王のレベルではないわ。それ以上よ」


 そうして僕達はゲートで城に戻った。

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