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890 現実世界に戻る紗也華

 地球:202X年11月12日

 火星:1年6月4日


 ~ブリタニアの視点~


 私は朝の8時頃に飛び起きた。皆も寝ていたみたいだ。皆、何だかんだで疲れているんだと思う。

 何故、飛び起きたかと言うと、光一の生体情報モニタのアラームが鳴ったからだ。最悪な目覚まし時計だわ。


「イブ、状況報告!」


「ブリタニアさん!光一さんの心臓が心室細動を起こしたわ!今、私が除細動をするから近付かないで!」


「了解よ。光一、こっちの心臓に悪いわ」


 ~紗也華の視点~


 光一と会話をしていたら急に反応がなくなった。そう思ったら現実世界で、光一の生体情報モニタからアラームが鳴った。


「チョット!光一!大丈夫?聞こえてる?聞こえていたら返事をして!」


 イブさんが除細動をした。心臓マッサージをしている。


「ねぇ!光一!お願いだから返事をして!」


『……ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!あー死ぬかと思ったぜ』


「光一、冗談は止めて!笑えないわ!」


『いや、マジマジ。紗也華、心配かけてごめんね。僕は大丈夫』


「光一が無事なら良いの」


『あっ!皆、生命神さんからメールが来たわ。今回は生命神さんによる治療の必要はないって。大丈夫みたい。生命神さんの部下で対応可能だそうよ』


『ブリタニアさん。了解よ。すぐに心臓が戻って良かったわ」


「イブ、本当にね。困った夫だわ。ねぇ光一」


『ん?何かな?』


「心臓が止まるとゴールは遠くなるの?」


『うーん。そうだね。困ったものだよ。愛する家族がいなければ心が折れてたね』


「光一、私。残ろうか?」


『いや、予定通り、朝9時に現実世界に戻りなよ。僕は大丈夫。諦めないから安心して』


「でも……」


『お願い。皆に僕の状況を伝えて。まー現実世界に戻った時、ここでの記憶があるか分からないけどね』


「分かった!伝えるわ!絶対に!絶対に!伝えるわ!忘れない!」


『うん。よろしくねー。良いか?紗也華。最悪の場合は1年以上かかるけど、絶対に戻るから心を折らないでね』


「もちろんよ。必ず戻ると約束しなさい!」


『約束するよ。あー紗也華。紗也華のご両親によろしく伝えてね』


「いーやーだ!私の両親とあなたの両親に怒られなさい!」


『そんなー』


「もう1回、こっちに来られる?」


『良いよ』


「お願いね」


「きーたよ。紗也華、今日もかわいい!」


「ありがとう」


 私と光一は抱きしめ合ってお喋りを楽しんだ。



 ~ブリタニアの視点~


 もうすぐ9時になる。朝食は天界のレストランのものをイブにお願いした。

 ちなみに全員、ホットケーキ。ぼたんは昨日も食べたのにね。やっぱり光一が好きなものを食べたいのよね。


「ねぇ?イブ?共同記者会見は何時にする予定なの?」


「ブリタニアさん、午前11時の官房長官の定例記者会見が終わったら始めるわ」


「そっか」


 私は紗也華に近付き手を握った。


「さーやか。いつ意識が戻るのかな?まだ光一とお話しているの?どんな事を話したのか聞かせてほしいな」


「……おはよう。ブリタニア。待たせたわね」


「紗也華!あなた大丈夫?身体どこか痛いところある?目は見える?」


「ブリタニア。そうね。眠りすぎて身体は動かないっぽいけど目は見えるわ。ウィンドウとアクアオーラもおはよう。起こしてもらえるかな?ベッドのヘッドボードに寄りかかるわ」


「紗也華さん!もちろんよ!おはよう!ウィンドウが起こすわね!」


「おはよう。お疲れ様。アクアオーラも協力をするわ」


「2人共ありがとう。大事な話があるの。イブ、私の両親と光一の両親を呼べるかしら?合言葉は『光一は超頭が悪い』よ」


「紗也華さん、了解よ。すぐに連絡をするわ」


「イブ、ありがとう」


「紗也華!光一と話をしたのね!」


「ブリタニアその通り」


「紗也華さん、おはよう。憎たらしい妹の反応は?」


「おはよう。ふふっ。反応はねー。『コイツー!超腹が立つ!合言葉は「光一は超頭が悪い」だってさ!フザケやがって!決めた!優紀との結婚は認めん!』だってさ。私は『私の夫は器が小さかったのね。この程度の事で結婚を認めないとか言うなんて最低』と言ってあげたわ」


「ふっふふふふ。そっか。紗也華さんの言う通りだね。器が小さいヤツだ」


「ぼたん。おはよう。光一が言っていたわ。『多大なるご迷惑とご心配をおかけしていてすみません』って」


「紗也華。よく戻って来てくれたわ。おはよう。光一は謝る必要はないのに」


「いーや、あるね!私の話を最後まで聞いたら考えが変わるんじゃないかしら?それからね。私、途中から病院の様子と会話が聞こえていたの。光一は会話だけしか聞けなかったけどね。ぼたん。光一は明後日、退院可能になる事はないわ。残念ながら杞憂よ」


「えっ!?聞こえていたの?でも、どうして明後日、退院不可能だと断言出来るの?」


「それは全員、揃ってから話すわ」


「連絡をしたわ。ウィンドウは紗也華さんのご両親を。アクアオーラは光一さんのご両親を迎えに行って!場所は通信で連絡」


「ウィンドウは了解」


「アクアオーラもよ」


「「行ってくるわ!」」


 そう言うと2人は同時に去って行った。


「彩花。大丈夫?」


「紗也華、私は大丈夫ですよ。辛かったですね。よく戻って来てくれました」


「確かに辛かったけど今は大丈夫。ブリタニアは昨日、私と光一の近くにウィンドウとアクアオーラしかいない頃って覚えている?生体情報モニタを使う話をする前ね」


「あー。教授の舘野さんと話をしていた頃ね。昨日の朝の話よね。それがどうかした?」


「本当は私、その頃にはこっちに戻れたの。起きられたのよ。でも光一とお話をしたくて今日になったの」


「えっ!?そうなの?詳しく聞かせてね」


「もちろんよ。ブリタニア」


「アクアオーラ。戻ったわ」


「おー!紗也華!大丈夫か?辛かったな。お父さんだ。分かるかな?」


「紗也華。大丈夫?お母さんよ」


「お父さんとお母さん!心配かけてごめんね。私は大丈夫。記憶もしっかりしているわ。眠りすぎて身体が動かないだけでね。特に問題ないわよ」


「おー!そうか。良かった!抱きしめても良いかな?それともお父さんは嫌?」


「お父さんもお母さんも良いわよ」


「ありがとう。紗也華の声が聞けてお父さん幸せだ。ありがとう。愛しているよ」


「お父さん。私もよ。お母さんも大好き!」


「お母さん。幸せ過ぎて泣きそうだわ」


「泣かないでお母さん。私は辛かったけど今は平気よ。もう少し待ってね。全員、揃ってから色々と大切なお話をしたいの」


「分かったわ。ゆっくりで良いから聞かせて。お父さんは今日は……」


「知っているわ。仕事を休んでくれたんでしょ?私の為にありがとう」


「紗也華、良いんだ。さてお母さんに代わろう」


「あー紗也華。愛しているわ。元気そうで良かった」


「うん。お母さんもお父さんも元気そうで良かったわ」


「……うん。もう大丈夫。紗也華ありがとう」


「こちらこそありがとう。お母さんの愛を感じたわ」


「ウィンドウ戻りましたー」


「あっ!光一のお父さんとお母さん!来てくれてありがとう!」


「紗也華さん。話は聞いたよ。大変だったね」


「大丈夫?紗也華さん。辛かったわね」


「私は辛かったけど今は平気。光一のお父さん。お仕事のところごめんね。でも大切な話があるの」


「私は構わないよ。息子の様子も見たかったし。あっ!紗也華さんのご両親。いつも息子がお世話になっております」


 ~紗也華の視点~


 しばらく皆で挨拶をし合って落ち着くまで私は待った。そして皆に私の周りに集まって、座ってもらった。


「過程は飛ばして一番、大事な話をするわね。光一は意識が戻るまで、最低でも1ヶ月以上はかかるわ。半年以内に戻れると断言出来ないの。最悪の場合は1年以上かかる。だけど光一は絶対に戻って来るから皆、諦めないで待っていて」


「紗也華。過程を飛ばしすぎだよ。お父さん達にも分かるように説明してほしい」


「何事も結論から報告でしょ?私、途中から病院の様子と会話が聞こえていたの。光一は会話だけしか聞けなかったけどね。私と光一は会話をしていたのよ。ちゃんと証拠もあるわ。昨日、光一は私の為に無茶をした。そうよね?ブリタニア?」


「そうね。光一は愛する紗也華の為に無茶をしたわ。それにより魂が損傷。例えるならヒビが入りまくったガラス。少し触るだけで粉々に砕け散る。フッて息を吹きかけるだけでそうなる程の状態になった。私達の世界の生命神さんが治療をしたけどね」


「私の為と言えば聞こえは良いけど。大馬鹿者よ。看護師さんは女性しかいないのが分かっていたの。それなのに無理矢理、起き上がって『紗也華に申し訳ない。身内以外に上半身裸を見せたくない』と言ったの。私は『まぁ良いか』って言ったのに。『無茶をしないで』って言ったのに。私はしばらく光一に説教をしたわ」


「あっ!紗也華。説教をしたのね」


「当然よ。ブリタニア。そのせいで意識が戻るのが更に遅くなったんだから。光一は無茶をした際にブリタニア達に言ったの。『結婚式を延期して。僕は紗也華と会話している。詳しくは紗也華から聞いて』ってね。それで、光一の弟さんの孝次さんは光一だけに聞こえるように合言葉を伝えたの」


「そうだね。僕が合言葉を伝えた。『本当に2人で会話していた証拠があった方が良いだろう』と思ってね。紗也華さんは意識が戻った時にその合言葉を言った。だから本当に紗也華さんは兄と会話していたんだよ」


「孝次さんありがとう。私は意識がない間、一本道の洞窟にいたの。光一も同じ。別々の洞窟だけどね。遠くには光が見えて後ろは、底の見えない崖だったわ。光がゴールよ。私は実は昨日の朝の時点でゴールに到着していたわ。本当は私、その頃にはこっちに戻れたの。起きられたのよ。でも光一とお話をしたくて今日になったの。ゴールからは病室が見えたわ。俯瞰視点でね」


「それじゃ紗也華。お父さんとお母さんが来た時の事も見ていたし、聞いていたのかな?」


「お父さん、その通り。ごめんね。休む必要はなかったの。ただ大馬鹿者に付き合っていただけよ。お母さん、嫌な夢は見ていないから平気よ。洞窟からこの病室を見ていただけだから。夢は見ていないわ」


「それじゃ紗也華。何故、泣いていたの?」


「丁度、その頃。一時的に光一が私の所に来たの。光一は顔どころか身体中が真っ青だし、ボロボロだったのよ。私の為に無茶をする前にも一度、私と会っていたんだけどね。その頃は顔だけ真っ青だった。その頃よりボロボロになっている姿を見て泣いたの。私はこんな愚かでボロボロの夫を残して現実世界に戻れないって思ったわ」


「それじゃ私の言葉のせいじゃないのね?」


「うん。ブリタニアのせいじゃないわ。光一のせい。光一は無茶をした。光一の洞窟はね。ゴールの光が針の穴よりも小さい。非常に遠いのよ。更に心臓が止まる度にゴールは遠くなる。だから最初に話した結論になるの。光一は休みながら洞窟を歩いているわ。光一は『愛する家族がいなければ心が折れてた』と言っていた」


「紗也華。洞窟の中で魔法は使えないの?」


「ブリタニア。光一が試したけど駄目みたい。光一から伝えてほしいと言われたのはね。結婚式は延期する事。それから皆には迷惑と心配をかけて申し訳ないと謝っていたとも伝えてほしい。後、僕は必ず戻るから安心してともお願いされたわね。また心臓が止まるかもしれないけどね。大丈夫だよって言っていたわ」


「実際、今朝の8時頃にも心臓が心室細動を起こしたからね。イブさんがAEDと心臓マッサージをして戻ったけどさ。まったく嫌な目覚まし時計だよ」


「孝次?お母さん、それ聞いてないかも」


「お母さん。そりゃ毎回毎回、報告していられないよ。頻繁と言う程ではないけど、時々、起こるからね。今日はまだマシ。夜中はなかったからね。今朝も心静止と言って完全に心臓が止まったわけではなくて、痙攣したような状態だから」


「そう。紗也華さん。それじゃバカ息子はしばらくこの状態なのね?」


「光一のお母さん。その通り。1週間以内に意識が戻る事はあり得ないわ。長期戦になる。でも必ず戻ってくる。光一は『いっぱい話しかけてよ。反応は出来ないけど傍にいてくれるだけで心強い』って言っていたわ。私も皆が話しかけてくれて嬉しかったし」


「やれやれ。困った息子だわ」


「でもね。光一のお母さん。私は光一のお蔭で命が助かったの。私が邪神に襲われている時、光一は私を助ける為に、心臓が完全に止まった状態で無理をした。光一は頑張って起き上がって魔法を使い、喋ったの。『僕の妻に手を出すな』ってね。正直、私はそれを聞いて嬉しかったわ」


「うん。それは偉い。よくやったと褒めてあげよう」


「紗也華。あなた邪神に何をされていたの?」


「ブリタニア。実はね……」


 私は邪神に何をされていたのか話した。両親にはあまり言いたくないけど、正直に話した。


「紗也華。かわいそうに。辛かったわね。トラウマになったり、精神的に異常が出て当然の事よ。何も隠す必要はないわ。だから、お母さんに正直に話して。問題ない?」


「お母さん、私は本当に何の問題もないわ。異世界の生命神さんが治療をしてくれたお蔭だと思う。私も邪神に勝ったのよ。ギリギリのところを助けてくれた光一と、異世界の生命神さんのお蔭だけどね。もしも問題があったら、お父さんや光一に抱きしめられた時に発狂しているわ。でもしていないから本当に大丈夫なのよ」


「そう?それなら良いんだけど」


「紗也華さんのお母さんとお父さん。紗也華には私達がいるわ。それに紗也華は強い。だから大丈夫よ」


「そうね。ブリタニアさん、何かあったら相談に乗ってあげてね」


「分かったわ」


「紗也華は強いですね。私なら耐えられなかったと思います。私も同じ経験をしたからこそ、そう確信していますよ」


「彩花ありがとう。でも邪神のせいとは言え、私の為に光一がこうなってしまったのは申し訳なく思うわ」


「いいえ、紗也華。気にする事はありませんよ。全てはカビのようにしつこい邪神のせいですからね」


「そうよ、紗也華さん。そもそもバカ息子が油断して心臓を刺されなければ良かったのよ」


「光一のお母さん。そもそもと言われると、きっかけをつくった私の立場がなくなるの」


「あっ……ごめんなさい。ぼたんさん、そんなつもりではなかったの。私も夫もあなたを責める気はないわ」


「ありがとう。光一にはきっかけをつくったのは私ではないと言われたけど……やっぱりどうしてもそう考えてしまうのよね」


「ぼーたん。光一は本当にあなたを心配しているわ。お前は自分の心配をしろって話なんだけどね。ぼたん光一は言っていたでしょ?『悪い事をしていた邪神が悪いんだ!』って。きっかけは邪神にあるの!まぁ『申し訳なく思う』って言いだした私が言っても説得力ゼロだけどね」


「そんな事はないわ。ありがとう」


「うん。いやーでも、お父さんとお母さんに会って話せて良かった。色々とあってね。愛する人との時間の大切さを感じていたところだったから。お父さんとお母さん。長生きしてね。愛しているから」


「うん、紗也華。お父さんは頑張るよ。本当に紗也華が無事で良かった。お父さんも愛しているよ」


「そうね、紗也華。お母さんも頑張ろうかな?お母さんも会って話せて良かったわ。光一さんとどんな話をしていたの?もっと詳しく話して」


「うん!色々と光一と話した内容を話すね」


 そうして私は光一と話したり、抱きしめあった事を話していった。

 光一も聞いているんだろうなー。歩いているのかな?それとも休憩中かな?早くまたお話したいな。

 そんな事を考えていたら途中、涙が出てきそうになった。危ない、危ない。



 私の両親と光一の両親は昼食後もしばらくいて、皆で色々とお話をした。

 昼食は皆でピザを食べた。私は点滴を抜いてもらって食べた。美味しかったー。

 そして、私の両親と光一の両親が帰ったら、私は生体情報モニタを外してもらった。

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