表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

884/899

881 幸運ステータスは冬休み?

 地球:202X年11月10日

 火星:1年6月2日


 紗也華が泣き止んで食事も終わった。容器はイブが回収して店に返した。もう20時過ぎだ。


「光一、さっきはありがとう」


「うん?あー良いよ。僕の力だけでどうにか出来たら良いんだけどな。はぁ……役に立たないで迷惑をかけてばかりでゴメン」


「謝らないで。光一はいつも頑張っているし、役に立っているから!それは皆も言っていたでしょ?」


「うん、だけどさ。妻がツライ時に力になれないのは、本当に申し訳ない」


「私の方こそゴメン。もう言わない」


「いや、紗也華。良いんだよ。もっと本音を言って」


「それなら謝らないで!」


「う、うん」


「光一、紗也華さんのご家族も私達みたいにしたら良いじゃない?」


「いや、お母さん。簡単に言うけど神界も色々とルールがあるみたいで難しいんですね」


「少しは妻の為に努力はしたらどうなの?あなたそれでも夫?」


「光一のお母さん、良いの。本来、人はいつか亡くなるものだから。仕方ないの」


「紗也華さん……光一!」


「分かりました。お母さん、上司に土下座して頼んでみるよ」


「光一!家族のルール違反!」


「ルールとは破る為にあるんだよってね。冗談です。妻の為になら頑張らせていただきます」


「……やぁ。生命神だよ」


「あっ!生命神さん!治療ありがとうね」


「よく言うよ。腰も腕も激痛で苦しんでいるくせに。鎮痛剤を打つからしばらく横になっていて。トイレは?」


「流石だね。バレたか。トイレはまだ大丈夫」


「僕の部下が悲鳴を上げたからね。分かるよ。良い?しばらく横になっていてよね?」


「そういう事か。了解。ウィンドウとアクアオーラお願いね」


「光一、腕って?あっ!……ゴメン」


「紗也華、謝らないで。言ったでしょ?妻の為になら頑張るって」


「そんな事で頑張らないでよ。私、逆にツライじゃん。看病するどころか邪魔になっている」


「逆効果になって申し訳ない。だけど紗也華。いてくれるだけでも僕は助かっているよ。あーイテテ。2人共ありがとう」


「紗也華さんは光一くんの心の支えだよ?もちろん。ウィンドウさんとアクアオーラさんもだけどね」


「生命神さんの……言う通り。はぁはぁ。生命神さん?横になったら…更にキツイんですが?」


「光一!本当にバカなんだから!」


「紗也華さんの言う通り。光一くんはバカだよ。横になったからキツイんじゃなくて、痛みを意識したからだよ」


「あのー。輸血した方が良いんじゃないですか?」


「アクアオーラさん、血液は貴重だからね。こんな事で無駄にしたくないよ。それに痛いのはどちらかと言うと脳の問題。脳が損傷し、治療したけど、まだ完全に機能が回復していないんだ。それなのに無理矢理に腕を動かしたり、無理をするから痛みを感じる」


「なるほど。それで痛みを認識したから更に辛くなったと」


「そういう事。チクッとするよー」


「うぅっ!」


 いってー!何がチクッとだよ!激痛だよ!神経でも刺したんじゃねーか!


「失礼だなぁ。激痛なのは感度3,000倍だからだよ」


「ぶふっ!」


「さ、紗也華さん?ぼ、僕は笑えないんですが」


「ゴメン。ついね」


「どう?楽になって来たでしょ?僕の部下が瀕死だったから回復薬も混ぜといた」


「あーそういう事ね。楽になってきてね。このまま天に昇りそうな勢いだよ」


「光一、それは笑えない」


「本当に紗也華さんの言う通り。冗談も言ってはいけない時があるんだよ?」


「いや、冗談じゃなくてマジの話」


「生命神さん、効果が強すぎたんじゃ?」


「そんな事はないよ」


「あー心地良いわ。激痛から解放されるって良いね」


「あなた、どんだけの激痛に耐えていたのよ」


「正直、そろそろ激痛のあまりヤバいかもって思ってたところ」


「光一!」


「は、はい!でもお母さん?妻の為に努力したからであってですね」


「よくやった。でもやり過ぎは良くない」


「はい。すんません」


「光一くん、土下座の件だけど僕と創造神様とエルザちゃん、地球神さんで協議するから来なくて良いよ」


「マジで!?イテテッ!」


「だから起き上がるなっての。地球から僕たちの世界へのお客様に兄弟や姉妹も追加しておいて」


「それは私から皆に伝えるわね」


「イブさんお願いね。光一くん、明日の朝までに治したいならね?早く寝ろとは言わない。おとなしくしていて」


「了解です。でも何でまた、まだ土下座していないのに協議してくれるの?」


「君の頑張りを評価してというのもあるけどね。こちらもこちらで事情があるんだよ。主に我々の世界の人口や文明レベルの面で」


「なるほど?つまり条件付きの可能性が高い?エルフ扱いにするとか?」


「まぁそうだね。しかし、エルフ扱いでは事件や事故の対策にならないから。僕は……っと喋りすぎたね。また今度」


「分かった。来てくれてありがとう。本当に治療ありがとうね」


「うん、頼むからおとなしくしていてよー。そんじゃまったねー」


 そう言うと生命神さんは去って行った。


「おーい。妹よ。僕の事を忘れていないかー?」


「スマンな。すっかり忘れてた」


「おいっ!」


(コンコンコン)


「入って」


 イブが入室を許可した。誰だろ。


「失礼します。イブお母さん、孝次さんを家まで送る件でしょうか?」


 なに?可愛い女の子の声だ!これは10代後半から20代前半だな。

 待てよ?確か「イブお母さん」って言っていたから、アルファちゃん?


「あっ!助手ちゃん!来てくれたんだ!」


「はい。何の用でしょうか?イブお母さんが教えてくれないんです」


「僕と結婚してくれないかな?」


「ほぇえ!?あっ失礼しました。理由をお聞きしてもよろしいですか?」


「まず、頭が良い。仕事が出来るだけじゃない。性格も良い。丁寧だけど早い仕事。そして片付けもちゃんとする」


 コイツ、仕事の話ばっかりだな。本当に研究バカってヤツだ。


「話していても面白い。その上、とても可愛い。僕と結婚してもらえませんか?」


「あ、ありがとうございます。私、嬉しいです。ですが私で良いんですか?」


「あなたじゃないとダメなんです!」


「は、はい!分かりました。よろしくお願い致します」


「やったー!」


「お母様、お父様。お許しいただけますか?私、ロボットですが……良いんですか?」


「うん!良いわ!よろしくね!」


「お父さんも良いと思うよ」


「ありがとうございます!よろしくお願い致します!結婚式とか住居とか……こ、子どもとかはどうしますか?」


「結婚式と住居かー。どうしようね?子どもはエルフでお願いしたいな」


「分かりました。子どもは何人にします?双子も可能です。二卵性双生児ですね」


「双子が良いかな?それから婚約したから敬語は不要だよ」


「うん、分かった。双子とは欲張りだね。大歓迎よ。このキャラは嫌い?」


「楽に話してもらえれば大丈夫だよ。君の個性は大切にしたい」


「ありがとう。やっぱり良い人だ。お父さんの弟さんなだけあるね」


「おーい!そのお父さんにも顔を見せてもらえないかなー?」


「あっ!お父さん!放置してごめんなさい。嬉しくてつい」


「謝る必要はないよ。おー!可愛いね。弟よ。いいセンスだ!」


「そうだろー。良い子なんだよ」


「結婚式なら一緒にするかー?」


「お父さん良いの!?」


「えっ!?マジで?」


「僕は構わないぞー。イブ?大丈夫だと思う?」


「全て計画通りだから大丈夫よ」


「だそうだぞー。ちなみに今、メールが来てな。創造神様も生命神さんも大歓迎だそうだ」


「えーでも全世界に配信されるとか、恥ずかしいんだけど」


「でもこの機会を逃すと寂しい結婚式になるぞ?」


「孝次さん?」


「分かったよ。妹よ。よろしくね」


「仕方ないなー。イブ、住居も良い感じにお願い出来る?僕、考えたくない気分」


「マンションの空いている部屋に引っ越しで良いかしら?」


「イブさん、お願いします」


「了解よ。引っ越しはどうする?」


「イブお母さん。私がいるので大丈夫です」


「あっ!明日、天使の力でお願い出来ないかな?」


「天使2人は今からでも大丈夫だと言っているわ」


「それじゃ帰ったらお願いします」


「了解。アルファの名前を決めてあげて」


優紀ゆきでどうかな?優しいという漢字と、日本書紀の紀だね。優秀で優しいからね。それから僕との幸せな思い出を記録してもらいたいから、日本書紀の紀を選んだんだ」


「私は優紀。気に入ったわ!素敵な名前をありがとう!」


「それじゃ孝次さん。大学の案内よ。読んでみてもらえるかしら?」


「お母さんにも見せて」


「お母様とお父様の分もありますよ」


「あら、ありがとう」


「ありがとうございます」


「……紗也華」


「なに?光一」


「可愛いね」


「ありがとう。でも、どうしたのよ?」


「動けないからさ。視界に入るのは紗也華だけなんだよ。それでね。ボーッとしてきてさ」


「少し寝る?あなた疲れているのよ」


「そうだね。3分だけ寝かせて」


「もっと寝ていたら?」


「良いん…だ……よ」


 僕は眠りに落ちて行った。


『光一くん、起きて』


「はっ!はぁはぁはぁ……」


「光一くん、大丈夫かい?」


 生命神さんの声?


「ぜぇぜぇ……」


 何だろう息が苦しい。


「僕の声が聞こえていたら頷いてもらえる?」


 僕は指示通りに頷いた。


「良かった。心臓の働きを強くする薬を投与したよ。心臓が止まっている時間が長かったからね。まだ不安定なんだ。もう大丈夫だからね。落ち着いてゆっくり呼吸して……そうそう。良い感じだ」


「はぁはぁ……スーハー。生命神さん?」


「そう。僕だよ」


「僕の幸運ステータスは冬休みかな?何分間寝ていたの?」


「約2分半かな?その内、心臓が止まっていたのが約30秒」


「僕、本当に大丈夫?今晩は寝ない方が良い?」


「大丈夫だよ。寝ても問題ない。むしろ無理せず寝て。また何かあったら僕がすぐに来るから」


「悪いね。ありがとう」


「良いんだよ。それじゃ帰るよ。ゆっくり休んで」


「うん。そうするよ」


「それじゃ皆も心配かけて悪かったね。失礼」


 生命神さんの気配が消えた。隣を見ると紗也華が泣いている。


「紗也華。怖い思いをさせて悪かったね。僕のベッドに入って。こっちのベッドは大きいから大丈夫」


「うん。バカァ!眠るのは良いけど永眠は許さないんだからね!」


 紗也華が僕のベッドに入って来た。温かい。


「分かっているよ。紗也華、温かいね」


「あなたが冷たいのよ」


「そっか。イブ、皆には?」


「悪いけどちゃんと報告はしているわ。皆、あなたの事を心配しているの」


「それは明日、会うのが怖いね。両親と弟は?」


「いるわよ。こっちの心臓も止まりそうだわ。心配だから私も泊まって行こうかと真剣に悩んでいるところよ」


「それは止めて。寝言で眠れなくなるから」


「失礼だね!そろそろ本気で怒るわよ!」


「すみません。冗談ですんで許してください。だけど親がいると気が休まらんのです」


「分かったわよ」


「弟よ。代わりに泊まってはどうかな?社畜ごっこは楽しいぞ?」


「そうだな妹よ。仕方ない泊まってやろうじゃないか。感謝しろ?引っ越し作業が終わったらまた来る」


「おや?断ると思ったのに意外だな?」


「特別個室に泊まったら自慢出来るからな~。紗也華さん大丈夫?」


「私は大丈夫よ。光一のベッドで寝るから平気」


「安心して。風呂やトイレは自宅で済ますし、優紀もいるから変な事はしないよ」


「あー大丈夫よ。私と光一は魔法で身体をキレイにするからお風呂に入らないわ。孝次さん、せっかく広いお風呂があるんだから入ったら?トイレも私は気にしないわ。私も最初は病院のトイレはちょっとなーと思ったけどね。この部屋のトイレは高級ホテルの様にオシャレだし、清潔感あるから良いと思うわよ?」


「それじゃお言葉に甘えて、お風呂は入らせてもらうけど、トイレは遠慮しておくよ。僕も男性だからね。あまり信用しない方が良いよ」


「信用出来ないタイプの人は自分からそんな事は言わないから。だけど私も無理に言わない。分かったわ。よろしくね」


「こちらこそよろしく」


「あっ!警察の方が来たわ」


(コンコンコン)


「どうぞ」


 今回もイブが答えた。


「失礼します……お久しぶりです。淡雪の父の南條圭です」


 あっ紗也華と一緒に寝ているのはマズイかも。

 紗也華もそう思ったみたいで慌ててベッドから出ようとする。


「あー、そのままで良いですよ。お気になさらずに」


「え?でも……」


けいさん、お久しぶりです。すみません。こんな姿ですが僕が光一です。心臓を刺された関係で身体が弱っていましてね。起き上がれないので、このまま失礼します。実はつい先程も心臓が止まって治療してもらったところなんです。紗也華が心配して泣いてしまったので、同じベッドに入ってもらったんですよ」


「心臓を刺されたとは聞いていましたが……大丈夫なんですか?体調が優れないようなら後日、来ますが」


「いえ、大丈夫です。もしも危険な状態になったら担当者が来ますから」


「そうですか。紗也華さん、本当にお気になさらずに。泣いていたのは分かりますし、事情は把握しましたから」


「すみません。ありがとうございます」


「いえ、淡雪から聞いていますよ。紗也華さんにはいつも何かとお世話になっていると。いつもありがとうございます」


「そうなんですか?」


「はい。あっ!光一さんのお父さんとお母さん。それから弟さんかな?いつもお世話になっています」


「お久しぶりです。光一の父の誠です。こちらこそお世話になっております」


「この度はわざわざお越しいただきありがとうございます。息子がご迷惑をおかけします」


「弟の孝次と申します。よろしくお願いいたします」


「お母さん、ご迷惑だなんてとんでもない。孝次さんですね?淡雪の父で警視庁捜査一課の南條圭です。こちらこそよろしくお願いします……副大統領、私に連絡してくださいよ」


「ごめんなさい。お忙しいかと思ったのと、いつもの刑事さん2人の方が裁判を進める上で有利なのかなと思ってね。ほら。身内が関わると不利になるって聞くから」


「書類仕事で忙しいですが、事件が優先です。それから淡雪が直接関わらなければ大丈夫ですよ。今回も事件現場に淡雪はいましたが問題ありません。今回は淡雪から事情を聞いて私が来ました。光一さんが町中を歩いている姿は機密レベルが高いですからね」


「僕としても助かります。毎回、姿を変えるのは面倒ですから」


「光一さん、淡雪の父としては次がない事を切に願いますよ」


「本当に申し訳なく思います。結婚式前に何やってんだって話ですよね」


「そう思う必要はありませんよ。私も警察官ですからね。私は勇敢だと思いますよ。ただ、事件現場では犯人を完全に拘束等するまで油断しないでください。次がないのが一番ですが忠告はしておきます」


「はい。おっしゃる通りです」


「しかし、同じく妻を持つ立場として、長時間の買い物、本当にお疲れ様です」


「ありがとうございます。ただ、妻の楽しそうな表情の為なら頑張れますよ」


「あれ?光一?あなたにとっては頑張るような事だったの?私は楽しかったけど、楽しくなかった?」


「紗也華。妻の楽しそうな表情を見るのは幸せだよ?でもね。楽しくないし疲れるよ。5店舗は多すぎ」


「冗談よ。分かっているわ。付き合ってくれてありがとう」


「まぁいつも退屈な会議に付き合ってもらっているからね。良いんだよ」


「会議だけど私は退屈どころか楽しんでいるわ」


「淡雪もいつも楽しいって連絡してくれましたよ」


「そうですか。それなら良かった」


「さて事件について聞かせてください。お疲れのところスミマセン」


「いえいえ、よろしくお願いします」


 そうして事情聴取が始まった。僕も流石に慣れたよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ