874 薬剤耐性菌と弟の結婚の話題
地球:202X年11月8日
火星:1年5月30日
しばらく会話を楽しみながら飲み食いをしていたら弟が来た。
まぁその間も妻が何人も遊びに来ていたんだけどね。気のせいか真剣な表情をしている。
「ローラさん。隣、失礼しても良いかな?」
「もちろんよ。歓迎するわ」
「うん、ありがとう。いやぁ~ヒカリ。肉は美味いし、お酒も美味しいぞ~!招待してくれてありがとう」
「イブのお蔭。私は特に何もしていないよ」
「まぁだとしてもヒカリの力は大きいと思うよ。イブさんにも後でお礼を言うけどね」
「そう?褒めてくれるなんて珍しいじゃん。もしかして酔ってる?」
「珍しくもないと思うけどなぁ。それからまだ酔ってないから」
「酔っぱらいは皆そう言うんだよ?」
「いや、本当に酔ってないよ。お酒は強い方だからね」
「逆に私は弱いんだけどな」
「そうだったね。皆は病気は大丈夫なんだっけ?あー僕もか」
これは「病気にならないのか?」という質問かな?
「ならないはずだよ」
「感染の心配は?」
「それもないはず」
「皆の国と行き来することで、ウイルス等を持ち込んでしまったりしない?」
「それは絶対にないと断言出来る……偉い人からそう聞いているからね」
ん?生命神さんから世界管理システムを使ったメールだ。ふむふむ。スマホを読んでいるフリをしよう。
「おっ友人からメールだね。私達は病気や感染の心配はないみたい。どうかした?」
「ローラさん。余計なお世話かもしれないけど良いかな?」
「良いわよ。ハラスメント系以外ならなんでも言ってみて」
「報告を受けているかもしれないけど、国内でも薬剤耐性菌が増えているんだ。院内感染の事例もある。人口が半減したのに増えているのはマズイ」
「その件ね。報告は受けているわ。だけど現場の意見を聞きたかったの。実際マズイ状況なの?」
「抗菌薬がまったく効かない菌が増えているんだよ。発症しても治療手段がなくてね。実際、うちの病院でも8人、亡くなっているよ。地球破壊の件が6月21日だったと思うけど、それ以降で8人ね。治療手段がないから死亡率が高いというのが問題」
「4ヶ月ちょっとで8人も亡くなっているの?1つの病院で?それに抗菌薬がまったく効かない菌が増えている。発症しても治療手段がないとまでは聞いていないわ。感染拡大したらマズイじゃないの」
「だから聞いたんだ。皆が感染したり、皆の国に持ち込んだり、逆に皆の国から日本に持ち込む恐れがないかってね」
「なるほどね。僕……おっと私達は大丈夫だよ」
「ヒカリも大変そうだね」
「まぁね」
「僕の研究室は人が死なない研究は自己満足だと言われているよ。例えば幼稚園等の砂場から菌が出たで終わりの研究。だから何?砂場を定期的に消毒するの?仮にその菌に感染しても治るんでしょ?なら良いじゃんって偉い人に言われる。しかし今、増えている耐性菌は治療手段がなくて人が死ぬ。これは自己満足の研究ではないんだ」
「人が死なない研究も大切かなって思うけど?」
「ヒカリ。まぁね。だけどうちの研究室はリソースが限られているから。偉い人は人の命に関わる研究をしてほしいんだろうね」
「なるほどね」
「とは言え色々な医師から依頼されて、うちの研究室も人が死なない研究をしているんだけどね。お蔭様で忙しいよ」
「資金はあるでしょ?人を増やせば?」
「ヒカリは簡単に言ってくれるねー。そうだ!ヒカリの会社の社員さんを応援で1人お願い出来ないかな?」
「うーん?イブに相談しないと……」
「うん!ヒカリ、私がイブと話してくるわ。厚生労働大臣はエテルノだからね」
「ローラさん、私を呼んだかしら?」
「流石はイブね。薬剤耐性菌の件は認識している?」
「ちょっとした裏ワザで話は聞いていたわ。大臣には私から必要な指示を出したから安心して。応援についても了解よ。認識していたかという質問については、正直に答えると私も大臣も認識していなかった。どこで情報が止まっていたかの調査も指示したわ」
裏ワザねぇ……どうせ僕のスマホでも盗聴していたんだろうなぁ。
「やっぱりね。困ったものだわ。必要な指示と言うと?」
「国内の状況調査。薬剤耐性対策実行計画に力を入れて取り組む事の指示ね。予算に限りがあるから研究開発や創薬の推進は難しいけども、感染予防や管理等の出来る事に取り組む方針でいるわ」
「まぁ政府として出来る事はそんなところか。ごめんなさい。確認だけど院内感染?感染経路は分かっているの?海外渡航歴があるとかは?」
「あまり大きな声では言えないけど院内感染だね。全員、海外渡航歴はないよ。病院内で薬剤耐性菌が発生したならまだ良いんだけど。まだマシというだけで良くはないね。1人目の患者さんまでは特定したけど……どこで何から感染したかは不明。少なくともうちの病院ではないんだよね」
「他の病院に行っていたとかは?」
「それはないみたい。ちなみにどこで何から感染したか不明の患者さんは、大学本部に隣接している病院だけではないんだ。うちの大学が運営している他の病院でも見つかっているよ。同じく海外渡航歴はなし」
「念の為の確認だったんだけど……事態は深刻みたいね。『国内でも薬剤耐性菌が増えている』というところまでは聞いていたのだけどねぇ。ヒカリ、明日は時間ある?」
「ローラ。時間はね。つくるものなのだよ……あっはい。あります。例のドアを使えば時間はつくれます」
ちょっとフザケたら睨まれた。可愛かったけどね。
「まったく困った人だわ。最初からそう言いなさいよね」
「はーい。でも私は役に立たないっすよ?」
「別件で相談があるの。午後3時にお願いね」
「りょうかーい。仕事柄、なんとなく何の件か分かるけどねぇ」
「多分その件よ。あなたも情報ありがとう。まったくスピード重視だって言っているのにね。混乱がどうこう言って情報を止めるヤツが必ずいるのよねぇ」
「少しでもお役に立てたなら幸いだよ。あー、僕からの情報だって事は内緒にしておいてね?」
「もちろんよ。安心して。記者と同じで情報源は内緒にするのよ」
「助かるよ。イブさんもよろしくね」
「えぇ色々と任せて」
「うん、それじゃ僕は失礼するね」
「あら?もう少し話しましょうよ?プライベートの事とか」
「う~ん?プライベートと言っても仕事しながら海外ドラマ観ている程度だよ?」
「あ、あなた家でも仕事しているの?それに仕事しながらドラマって観られるもの?」
「忙しいからねぇ。家でも仕事しているよ。仕事しながらドラマについては、マルチタスクが得意だから余裕だよ」
「逆にヒカリはマルチタスク苦手よね」
「紗也華の言う通り。私は全てにおいて真逆なんだよねぇ」
「でも社畜なのは一緒よね」
「紗也華さん、やだなー。僕は好きでやっているの。それにヒカリみたいに24時間労働とかはしていないからね」
「どんぐりの背比べよ」
「はぁ……紗也華さんの言う通りね。本当に応援は1人で良いのかしら?いえ、2人にしておくわ。それから自宅での仕事は禁止。明日から仕事の日は、うちの子が転移魔法で迎えに行くから。マンション1階のコンシェルジュに声をかけてね」
「えぇ~仕事と言っても趣味なんだけどなぁ。まぁお世話になっているから素直に従うけども。迎えに来てくれるの?通勤時間がなくなるのは助かる」
「素直に従ってくれて良かったわ。それじゃ私は失礼するわね。明日、楽しみにしていてね」
そう言うとイブは元の席に戻って行った。
「ねぇ?何で彼女をつくらないの?」
「あっその質問はマズイ」
「あー、ヒカリ。僕がその質問が嫌いなのは上司とかが下品で不快な聞き方をしてくるからだよ。ローラさんのは平気」
「そっか」
「それで質問に答えると。研究と仕事で忙しくて彼女をつくる余裕なんてないから」
「明日から余裕が出来そうだけど?」
「そうだねー。でもやっぱり無理だなぁ。結婚するなら頭の良い子で……とか色々と条件が厳しくてね。そんな子はいないんだよ。いても僕を好きになってくれないだろうからね。万が一にもそういう女性がいても困る」
「あら?どうして?」
「僕は寿命がないからね。でも普通の人には寿命があるでしょ?好きな人との別れって辛いと思うんだよ」
「あー分かるわ。それならエテルノならどう?頭は良いし寿命の心配もないわよ」
「ローラさん。エテルノにも自我があるでしょ?僕の好みに合う子で、僕を好きになってくれる子がいたら良いけどなぁ」
「お兄ちゃん……」
「ヒカリ、それ止めて。何だかよく分からないけどキモい」
「おいっ!まぁ気持ちは分かる気がするから良いけど。それで?そんな子がいたら結婚するの?子どもはどうする?エテルノなら寿命がないエルフやハーフエルフも産めるよ」
「うーん?どうだろ?会ってみないと分からないね。エルフやハーフエルフかぁ……その場合、学校はどうしよう?」
「日本の学校ではダメなの?」
「ダメではないけど……種族が違う事によるイジメの心配とかあるし、魔法の勉強もさせてあげたいかなって思うんだよね」
「あら?結婚する気がないみたいだから、あまり考えていないのかと思っていたわ。ちゃんと考えているじゃない」
「ブリタニアさん。今まではあまり考えていなかったけどね。この歳にもなると色々と考えるものなんだよ」
「そうだなぁ……日本に学校を創っても良いんだけどね。面倒だから私達の国に来ない?娯楽はこれからの後進国だけど、色々と勉強は出来ると思うし。うちの国なら種族が違う事によるイジメの心配もなければ、魔法の勉強も出来るよ」
「そうだね。考えておくよ。そもそも相手の女性がいなければ話にならないからね。見つかると良いな」
「ふふっ私はきっと見つかると思うわよ」
「ブリタニアさん?」
ブリタニアは何だか楽しそうな顔をしている。可愛い。けど心当たりでもあるのかな?
「それで?それで?厳しい条件って具体的にどんな内容なの?」
「えぇ!?ローラさん?そんなに興味ある?」
「私達もあなたの事をもっと知りたいのよ」
「そ、それじゃえーっと……」
そうして妻と弟との楽しい会話が続いた。何故か僕の黒歴史までバラされた。妻と弟の両方からね。穴があったら入りたい。
22時半頃、皆の会話が落ち着いて来たらイブが終了を宣言した。
僕はイブの隣で歩きながら店長さんに「美味しかったです!また来ます!」と言ったら嬉しそうに返事をしてくれた。良いね!
酔っぱらい…主にお父さんはグダグダしていたけども……皆、バスに乗って出発!大使館に帰ってきた。
両親や弟とはそこで別れて僕たちは天界のレストランに戻ってきた。
そして僕はパウラやウィンドウ、アクアオーラ、クロエ、萌々香が集まって座っている所に来た。
「皆、お疲れ様。ゴメンね。酔っぱらいの相手を押し付けて。嫌がらせとかされなかった?」
「光一さん、私達は大丈夫よ。とても楽しかったわ」
「ウィンドウ、本当に?皆、無理しなくて良いんだよ?」
「ん~?光一、無理はしてないぞー。とっても楽しかったのだー!焼き肉も美味かったし最高だったぜ!」
「そう言えばクロエはお酒は飲まなかったの?」
「私の場合はお酒を飲むと記憶が飛ぶからな~。萌々香そうだろー?」
「うん、クロエちゃんはお酒を飲むと笑いが止まらなくなる上、寝て起きたら記憶がなくなっている事がよくあるからね」
「それはそれで楽しそうで良いな。僕はお酒を飲むとトイレとお友達になるからなぁ」
「おー!萌々香の仲間だな~。萌々香もダメなんだぜ」
「光一もなんだー。お父さんも弟さんもお酒強いから意外だなぁ」
「まぁね。弟とは基本的に間逆なんだよね。パウラはどうだった?大丈夫?」
「光一さん、私もとっても楽しかったです!また機会があったらお願いします!」
「それは良かった。ウィンドウとアクアオーラは飲食はどうしたの?」
「私もウィンドウさんも止めておいたわ。お手洗いに行くのが憂鬱だったから」
「そっか。美味しかったから少し残念な気もするけど、気持ちは分かるし尊重するよ」
「なーんてね。私もウィンドウさんも食べたし、飲んだわ。とっても美味しかった!」
「アクアオーラさんの言う通り。たまには良いわね。楽しかったし、とっても美味しかったから」
「そ、そうなの?」
「あっ!その顔は味なんて分かるのかって顔ね?私もウィンドウさんも優秀だから分かるわよ」
「そうなんだ。それは良かったよ。また行こうね」
「うん!光一さん、大好き!あっ!まだヒカリちゃんだったわね。ウィンドウはヒカリちゃんでも大好きよ!」
「ウィンドウ、ありがとう」
「光一さん。アクアオーラも心から愛しているわ。でもお手洗いに行くのが憂鬱なのは本当。だから飲食はたまにね。お祝い事や今日みたいなイベントの時だけにするわ」
「アクアオーラもありがとう。僕も皆を愛しているよ。お手洗いはねー。憂鬱になるのも分かるよ」
「光一さん、今日はもう遅い時間です。そろそろ寝た方が良いですよ」
「おー!パウラの言う通りだね。今日はクロエと寝るのかな?」
「ん~?今日はな。ぼたんの日だぞー。私と萌々香は話し合ってな。1週してからにしたんだ」
「そうなの?」
「私も萌々香もまだ心の準備が出来ていないのだよー。は、初めてだからなぁ」
「萌々香は分かるけど、クロエも初めてなの?」
「おいっ!失礼だぞー!私の子どもの頃は真面目ちゃんでなー。いかに不良に目を付けられないようにヒッソリと生き延びて来たんだぞー!大人になってからだってな。こう見えて真面目なんだぞー!ぷんすかぷんすか!」
「光一、クロエちゃんはこう言っているけどね。実は私達、最近まで軽い男性恐怖症だったの」
「え!?そうなの?『だった』という事は今は大丈夫なの?」
「おい~。萌々香ー!恥ずかしいからバラすなよなー。今は平気だぞ~。光一の優しさのお蔭でもある」
「ふふっそうだね、クロエ。光一に出会えて本当に感謝しているの。ありがとう」
「う、うん。こちらこそありがとう」
「光一、遅い!私、明日、仕事なんだからねー!」
「うん、ごめんなさい。それじゃ皆、また明日ね。おやすみ~」
皆の挨拶を聞きながら、僕とぼたんは僕の部屋に転移した。
ぼたんに「今日は時間がないからクリーン魔法で良い」と言われ、風呂に入らずに浄化魔法でキレイにした。
そしてベッドで、ぼたんが満足するまで遊んだ。
今は再度、クリーン魔法で浄化して、面倒だからと服を着ないで2人でベッドに入っている。
「ぼたん、改めて色々とご迷惑とご心配をおかけしてゴメンね」
「良いのよ。光一が無事ならそれで良いわ。ただ、次が無い事を切に願うわね」
「それはもう大丈夫。再発防止策を徹底するから」
「そう。よろしくね。しかし、いやぁ~今日は楽しかったわ。明日は色々と忙しそうだけど、水曜日も楽しみね!」
「水曜日かぁ……僕にとっては地獄ですよっと」
「何言っているの?天国でしょ?若い女の子に囲まれて下着どれが良いか聞かれるのよ?」
「皆、可愛いから何着ても可愛いって」
「嬉しいけども。そういう事は言わないの。ちゃんと選びなさい」
「はーい」
「あなたも下着を選んだら?全く胸がないとバレるわよ。それに男性用の下着も良くないわ」
「ふぇっ!?」
「私の新品の下着をあげるから。水曜日にそれを着て自分のを選びなさいよ」
「いや、でも……」
「あら?私の使用済みの下着が良いのかしら?」
「い、いえ!新品のでお願いします!」
「ふーん?そう。ますます水曜日が楽しみになったわ」
「あのぉ、ぼたんさん?お手柔らかにお願いしますよ?」
「考えておくわ」
「はぁ……夫をイジメてそんなに楽しい?」
「私は意外と真面目に言っているのよ?あなたも男だってバレたくないでしょ?」
「そりゃそうだけどね。何だろう男性に戻れなくなりそうで怖い」
「それは困るわね。もう1回戦しておく?」
「お願いします」
「仕方ないわね」
そうして、もう1回戦してから僕とぼたんは眠りについた。





