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872 断れない光一

 地球:202X年11月8日

 火星:1年5月30日


 ~イブの視点~


 今は10時。部下が光一さんの退院手続きを済ませた。これから私だけで光一さんを迎えに行く。


 昨日はあの後、引っ越し等を済ませたら温泉で歓迎会をしていた。

 そして17時頃になると、萌々香さんと私だけで警視庁に行った。

 証言等から作成した調書の内容に問題ないかの確認。確認したら特に問題なかった。後は警察と検察で対応してもらえるとの事。


 警視庁での用が済んで帰ったら議論になった。何の議論かというとちゃんとした歓迎会をしようという話。

 そこで私は貸し切りで焼き肉食べ放題を提案。明日の夜で、光一さんのご両親も呼ぼうという話になった。

 光一さんのご両親に連絡したら大丈夫だった。念の為に弟さんにも連絡したら「楽しそうだから参加したい!」との事で19時に開始する事になった。


 私は大人数でも大丈夫そうな焼き肉店を検索。良さそうな店を選んで電話連絡。店長さんがいるみたいだったから「貸し切りの相談をしたいから、これからお邪魔致します」と言い電話を切った。

 私だけで直接、店を訪れ店長さんとご相談。副大統領だと名乗ると驚かれたけど、政府公式サイトの写真も見せて信じてもらった。

 そして、大人数だし時間を気にしたくなかったから、飲み食いする人数を伝えて、おいくらなら可能かを聞いた。


 そしたら「営業時間は17時から25時までなので、1日、貸し切りでこの金額は可能ですか?」と聞かれた。

 決して値段は安くはないけども、思ったよりは安いなと思って聞いたら「団体割引みたいなものですよ」との事だった。

 私は「いえ、それでしたら1日の売上以上、必要な金額をお支払いします。その代わりに美味しいお肉を提供してください……」という感じで条件交渉をした。お酒よりもソフトドリンク多めでとか色々と話す事はあるからね。そして合意すると店長さんも嬉しそうだった。お互いがウィン・ウィンの内容だからね。

 大使館から車で10分程度だから丁度良い。満足したらまたお願いしよう。


 帰って皆に報告すると、とても喜んでもらえた。嬉しいわね。そして夕食後、たまには私も一緒に温泉に入ろうと言われて入った。確かにたまにはこういうのも良いなと思ったわ。


 そして今に至る。光一さんはヒカリの姿で待合スペースにいると聞いている。えーっと、どこだろう。あっ!いたいた!



 ~光一の視点~


「ヒカリさん、お待たせ」


「あっ、イブ。来てくれてありがとう。どうする?帰る?それとも何か報告とかある?」


「そうね。事件については知ってる?」


「うん、暇だから報道は観たよ?犯人はどちらも容疑を認めているとか。1件目の犯行動機は『死刑になりたかった。誰でも良かった』。誰でも良かったとか言いながら、刃物で襲ったのは先頭にいる僕ではなくて、女性なんだよね。2件目は痴漢常習犯で『バレたら刃物を使って逃げるか、道連れにしたかった』等と意味不明な供述をしているとか」


「そこまで知っているなら十分ね。逆に知りたい事はある?」


「う~ん。とりあえずは大丈夫」


「それじゃ行きましょうか?」


「りょーかい」


 僕とイブは病院から出ると物陰から住居用プライベートエリアへと移動した。


「あっ!光一、おかえり!イブもありがとう!」


「ブリタニア、それから皆もただいま」


「ふふふっ私は良いのよ」


 皆も僕に「おかえり」って言ってくれた温かい家庭だなぁ……ん?待てよ?何か人数が多い気がする!


「光一に紹介するわ。新しい家族よ」


「はいはーい!私は神崎クロエ!あっ!クロエは片仮名ね!お仕事では平仮名にしているの!これからよろしくね~!」


「い、石川萌々香と申します。助けていただきありがとうございました!これからよろしくお願い致します!」


「ちょっと待った!新しい家族って何かな?僕は結婚を認めていないよ?認める気もないよ?」


「光一!なんでそんな酷い事を言うの?勇気を出して言った2人の女の子が傷つくでしょ?」


「い、いやぁ……そ、それは僕も不本意ではあるけど。ねぇ?2人共?僕と結婚しない方が幸せだと思うよ?」


「それはないね~。私は今、お仕事がない。だから異世界に行く事は確定しているの。反対されても行く!」


「わ、私もです。もうこの世界ではお仕事もなければボッチなんです。異世界に行きます!」


「えぇ……ご家族は?」


 皆が「あっ……」って顔をした。僕、何か地雷を踏んだ?


「あー、それね。私の両親って頭が残念でねぇ~。消えた内閣と一緒に消えたんだぜ。一人っ子だし、親戚とは疎遠だ。何の問題もない」


「同じくです。私、両親がいなくなって。親戚とは良好な関係ではないし、一人っ子だから家族がいなくなって……娘の私が言うのも何ですが自業自得ではあるんです。腐ったマスコミなんか信じて……消えた内閣と一緒に両親も消えたんです。娘の私には優しかったのですが、周りにはキツイ性格だったので。お蔭でボッチです」


「それは……僕を恨んでいるでしょ?」


「いーや。萌々香の言った通り。ありゃ自業自得だ。気にする事はない。私も別に何とも思っていない。親子関係も良好じゃなかったからねぇ。当初の仕事先は大人向けゲームだったのもあってなぁ。それがバレたら勘当だ。だから本当に何とも思っていないんだ」


「光一さん。さっきも言った通り自業自得なんです。今は健全ですがあの当時の腐ったマスコミなんか信じたのが悪かったんです」


「いや、でも異世界に来なくても萌々香さんは分からないけど、クロエさんはお仕事があるでしょ?」


「ないったらないのだ~!行くのは決定事項なのだよー!」


「はぁ、光一さん。萌々香さんはね。『この世界で私の最後の仕事ですね♪私もトラックに轢かれたりしたら異世界に転生出来るかな~?出来ないか』と言う程、この世界に本気で絶望して危険な状態だったの。だから私が保護した。大和王国で雇う事にした。異世界に行く事は決定事項よ」


「そ、そうなんだ。で、でも僕と結婚しなくても……」


「せめて理由を聞いてほしいんだぜ」


「まぁ分かったよ」


 僕は2人から結婚したい理由を聞いた。愛の告白ってやつだね。


「はぁ……2人共、重いなぁ。それから普通の顔で悪かったなぁ。自覚はあるけども」


「光一!いい加減に認めなさい!私達は全員が賛成したんだからね!あなたに拒否権はないわ!」


「えぇ……ブリタニアさん、マジすか?」


「あー、それからお電話で光一のお母さんに電話して結婚のご挨拶を済ませたから」


「はぃ!?紗也華それマジ?や、やべぇ。怒られる」


「いや、怒っていなかったわよ。それからね。今晩、焼き肉店を貸し切って2人の歓迎会をするから。光一のご両親と弟さんも一緒にね。イブが色々と交渉してくれたから感謝しなさいよね」


「紗也華さん、それ。僕は頼んでいないんだけど……わ、分かったよ。イブ、いつもありがとう。感謝の気持ちは本当」


「ふふふっ光一さん、良いのよ」


「うぅ~ん。はぁ、断れるようになりたいものだよ。分かった。結婚してください」


「やったわ!光一さん、ありがとうなのだよー!」


「私からもありがとうございます!このご恩はお役に立つことで返します!」


「こちらこそありがとう。良いよ。そんな事は気にしないで。強制はしないけど敬語は不要だし、さんも付けなくて良いから」


「そ、それじゃ……光一、よろしくな!まぁでも私も異世界を楽しくするのに貢献させてほしいのだよー!」


「こ、光一。よろしくね!うわー!私、凄い人と結婚しちゃった!人生どん底だったのにね!」


「それじゃ僕に色々と2人の事を聞かせてほしいけど……その前にぼたん」


「ん?光一、何かしら?」


「あのー、今回は色々とありがとう。ご迷惑とご心配をおかけしました」


「あー良いのよ。光一が無事ならそれで良い。その代わりに条件ね。水曜日に皆とランジェリーショップに行きましょうね」


「あのー。僕、今、外出するのが怖いんだけど」


「いつもの指輪をしていれば大丈夫でしょ?予備もつくっておきなさいよ」


「そうだね。皆、ちょっと待ていてね。予備の超幸運の指輪といつもの指輪を並べて……コピーをイメージ。う~ん……出来た!」


「相変わらず光一さんはチートね」


「チートなナビィには言われたくないかなぁ。それじゃこの予備はヒカリの時に使う事にしようっと。それじゃ2人の事を僕に教えて

 」


 僕は2人から色々と聞いた。例えば2人が得意な事や異世界で何をしたいかとか。

 後は子どもは何人欲しいかとかも聞いた。沢山だそうです……えぇ何で。


「うわぁ……僕の子どもだけで1学年出来そう。2人はもう引っ越し完了しているってマジ!?」


「それはマジなのだよ~!いやぁ、魔法って便利だなー。私は感動したぞ!」


「うん、本当だよ。ナビィとエイドが手伝ってくれて本当にありがたいね」


「ところで2人は精神的に大丈夫?事件に巻き込まれたわけだし、特に萌々香は辛かったでしょ?」


「私か?私は大丈夫だぞ~?あーそれから何がとは言わないが水滴の件、ありがとうな。やっぱり光一は優しいなー」


「それなら良かった。水滴の件ね。いや、良いんだよ。あれは仕方ない」


「私は正直、まだ辛いね。あの恐怖と絶望等がゴチャゴチャした気持ちを忘れられないの」


「そっか……どこに向かっていたの?」


「両親の家だよ。遺品整理と資産売却をしておこうかなと思ったんだけど、痴漢被害に遭って心がポッキリと折れてね。もう生きている価値ないやって思っちゃったの」


「そうだったんだ……萌々香、もう大丈夫。今は家族がいるからね。君の事は僕が幸せにするように頑張る。だから生きてね」


「うん、ありがとう。光一も生きてね。もう無理しちゃダメだよ?」


「はい。すんませんでした……そうだ!やっぱり仮の結婚式をしちゃおう。水曜日に出かけるなら危険は出来るかけ排除しておきたい」


「……やっほー生命神だよ~。創造神様はちょっと用事があって来られないから、僕が対応するよ。まだ仮の結婚式をしていない皆、集まって~」


「生命神さん、来てくれてありがとう。何か問題でもあった?」


「まぁちょっとね。悪魔の活動が活発だから、その調査でね」


「あー、お疲れ様です。ご迷惑をおかけします」


「僕に言われても困るのと、迷惑をかけているのは地球側だから気にする事はないよ」


「それもそっか」


「集まったね。それじゃ生命神の名の元に光一くんと婚約者の結婚を承認するよ。婚約者はもう光一くんの家族!以上!」


「生命神さん、ありがとう。アイテムを皆に渡しておくね。あー、生命神さん。もしかして出歩かない方が良い?」


「まぁ、防御結界を張るアイテムがあれば大丈夫だよ。それから萌々香さん」


「……え?私?」


「そう。少し心配だから治すけど良い?簡単に言うとメンタル面ね」


「そ、それじゃお願いしようかな?……おぉ!温かい光に包まれた。凄い!心がスッキリとした!」


「うん、完了。後は17歳に若返らせてっと……オッケー」


「生命神さん、ありがとー!」


「私からもありがとう!心はスッキリ、身体は元気が湧いて来た気がする!私、まだまだ頑張れる!」


「うん。それじゃ僕は暇つぶしの仕事に戻ろうかな?あー、光一くんは何もしなくて良いから!」


「でも僕も火星神だし、何か出来る事があれば手伝うよ」


「良いから、良いから。君はもう十分に頑張った。後は僕たちに任せてよ」


「分かった。それじゃよろしくね」


「りょーかい。そんじゃまったね~」


 そう言うと生命神さんは去って行った。


「おぉ!萌々香よ。私達、本当に若返ったみたいだぞ!萌々香も肌に潤いが戻っておる!」


「そういうクロエこそ。可愛くなったね!」


「おいっ!失礼だろ!若返る前も私は可愛かった!ま、まぁ?若返って更に可愛くなったかもしれんな」


「そっちも失礼な事を言ったからお互い様なの!」


「まぁまぁ、2人共、可愛いから良いじゃん。あっ、ヤベェ。意識したら下半身がツラくなってきた」


「あれ?光一、病院で抜いて来なかったの?」


「いやいや、紗也華?流石の僕もしないから!」


「ふ~ん?それじゃ大変そうね。それじゃ私達と温泉に入りましょう?そして昼食を摂ったら私達とベッドで遊びましょう?」


「おー!萌々香よ!ついにドキドキのイベントが来たぞ!」


「き、緊張するけど頑張る!」


「あのー。2人共、ドン引きしないでね」


「あー、気にするな。私も萌々香も大人向けの作品を描いているからな~」


「さ、参考資料として私はそういう動画も観てるから!だ、大丈夫!」


「それなら良いけど……子作りはどうする?」


「あー、それならさっき。生命神さんからメールとやらが来たぞ?『言うのを忘れていたけど、この世界でしても問題ない』ってな。それから『今、異世界は11月9日だけど、次の年の3月の下旬に出産するように調整するから安心して』との事だ』


「あっ!それ私にも来た!凄い!早いね!」


「ん?そうなの?……あれ?イブ?異世界の学年ってどうなっていたっけ?」


「面倒だから日本と同じにしているわよ。学年の分け方は4月2日生まれから、翌年4月1日生まれまで。フランスみたいに新年度は9月からにして、学年の区切りは1月にしようかなとも思ったけどね。面倒だから日本と同じにしたと聞いているわ」


「クロエと萌々香の誕生日っていつ?」


「私は9月6日なのだよ~!誕生日から語呂合わせでクロエという名前にしたそうだぞ?」


「私は10月19日だよ」


「教えてくれてありがとう。皆に提案なんだけど出産時期は5月だと嫌かな?」


「光一、理由を聞かせてもらえるかしら?」


「うん、ブリタニア。1つ目はいくら生命神さんが調整してくれるとは言え、妊娠から出産まで早すぎると心配だから。もちろん、生命神さんは信用しているけど、僕の気持ちの問題。だけど、皆の気もち次第ではある。早く出産したいならそれを尊重するよ。もう1つの理由は誕生日。5月なら比較的、誕生日が少ないんだ。エリアナと瑞穂だけだからね。だけど、3月は4人、4月は5人もいるからさ。出来るのかは分からないけど4月25日から妻1人ずつ出産だと良いのかなぁ」


「私は早く会いたい気持ちもあるけど、ゆっくりとで良いから焦らず元気に育ってほしい気持ちもあるわ。でも光一?私達は皆、双子だから誕生日は被るわよ?」


「多少は仕方ないと思う。まぁ毎日、誕生日パーティーをするかどうかも含めて意見を求む!」


「はいはーい!まつりは毎日、誕生日パーティーでも良いと思うよ。そうじゃないと子ども同士で喧嘩になったりしそうだし」


「この点について他に意見はある?……なさそうね。それじゃ毎日、誕生日パーティーに反対の人は挙手!……いない?大丈夫?怒ったりしないから、正直に手を挙げて」


「ブリタニアさん、千早から失礼するよ。賛成意見になるけど、例え毎日でも我が子の誕生日は祝ってあげたい。僕はそう思うよ」


「そうね。私もそう思うわ。特に反対する人はいないみたいだし決定ね。イブ」


「ブリタニアさん、分かっているわ。5月出産の案に賛成か反対かよね?今、画面に表示したわ」


「流石はイブね。ありがとう」


「良いのよ……アンケート結果が出たわね。全員賛成よ」


「いやぁ~流石の私も早すぎて怖いのだよ。神様は信じているけど、初めての事だからな。子どもにあまり無理をさせたくない気持ちもあるのだ」


「あっ、私にメールが来たわ。送信先は私と紗也華だけみたいね」


「やっぱり?ブリタニアのところにも来たんだ。生命神さんから『メールでゴメン。了解。可能』とだけ来たわよ?」


 何で僕に送らなかったんだろ……あぁ、重要な事だから複数人に送っておきたかったのかな?


「いつもなら来るのに来ないという事は超忙しいのかな?メールの文面的にもそんな感じだよね?」


「そうね、光一。怒っているわけでもなさそうね。ところであなた、さっきから我慢しているんでしょ?」


「ブリタニア、まぁね。ちょっと下着が汚れて気持ち悪いかも」


「それじゃ早く温泉に行きましょう?今日は私達が例のドアで遊ぶからね」


「あ、あのぉ紗也華さん……今日は何人でしょうか?」


「あー、その事なら光一。予定変更よ。地球では1日5人で良いわ。話し合って異世界組は遠慮する事にしたの。異世界に戻ってからしばらく地球組は、親御さんと過ごすからね。そしてその間は私達、異世界組の番」


「えっ?そうなの?昨日の分と合わせて12人かなと思っていたんだけど」


「私達もあなたにそんなに無茶はしてほしくないのよ。良いから温泉に入るわよ!」


「ありがとう!りょうかーい!」


 そうして僕たちは温泉に入った。何故かイブもね。

 クロエと萌々香、イブの3人が僕の身体を興味深々で触ってきて恥ずかしかった。

 ロケット噴射まで見られてね。3人して「おー!」じゃないが。まったく。

 更に何故か「ヒカリ」の姿にもさせられた。はぁ……僕はオモチャじゃないんだけどなぁ。

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