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868 後処理と結婚?逃亡?

 地球:202X年11月7日

 火星:1年5月29日


 ~イブの視点~


 ブリタニアさんと紗也華さんが光一さんを連れて天界に飛んだ。さて、私は光一さんに任された「後処理」をしましょうか。

 とりあえず犯行の様子の動画をアップロードして、捜査一課の高木さんか佐藤さんに連絡ね。今も担当部署にいると良いけど。


 おやおや、やっと駅の交番から警察官が走って来たわ。


「ぼたんさん、変装を解除してもらえるかしら?」


「はぁ……そうね。面倒だけど仕方ないわ」


「それから、神崎くろえ先生?無事かしら?」


「私のせいで……私の……」


「神崎くろえ!」


「は、はひぃ!」


「良いかしら?あなたのせいではないわ。犯人のせい。そこを間違えないで頂戴。分かった?聞こえてる?」


「は、はい。イブさん聞こえています。でもヒカリさんは……」


「大丈夫よ。無事に助かるわ。私はそう確信している。だから、あなたも安心しなさい」


「イブさん、どうしてそこまで言えるんですか?」


「騙していてごめんなさい。あなたを助けたのは我が国の国王であり、神でもある。だから、そう簡単に死んだりしないわ」


「え……?」


「あなた、勘が鋭いわね。あなたが指摘した通りヒカリは男よ」


「ローラさ……だ、大統領!?なんで!?」


「姿を変える魔法よ。立場が立場だから姿を変えないと私も夫も自由に遊び歩けないの!」


「えぇ……はっ!?大統領、色々と大変失礼致しました!」


「良いのよ。気にしないで。それよりも面倒事に巻き込んじゃって悪いわね」


「え?」


「ヒカリがランジェリーショップに一緒に行けない本当の理由は男だからなのよ。家族ならまだしも他人のあなたと一緒に行けないでしょ?ここまでは『いや、それは自分も一緒に行くって言ったから』と思うかもしれないけどね。大事なのはここから。結果論ではあるけど、夫に1人で駅に行かせれば少なくともあなたは事件に巻き込まれずに済んだ。だからごめんなさい」


「あっいや、わ、悪いのは犯人ですから。お気になさらずに……?あっ!」


「ふふっ、そういう事よ。さてさて。話は一旦、終わり。警察官が来たからまた後で話しましょう」


「分かりました。私も色々と言いたい事が山程ありますが、頭を整理しておきます」


「お手柔らかにお願いしますってね。あなた達!到着が遅い!寝てたんじゃないでしょうね?」


「えっ!?だ、大統領!?……はっ!申し訳ありません!こ、交通事故でしょうか?」


「あのねぇ?ただの交通事故であんな爆発すると思う?」


「まぁまぁ、ぼたんさん。落ち着いて。私、副大統領のイブよ。身分証明書を見せた方が良いかしら?」


「い、いえ。大丈夫です!」


「間もなく応援が来ますので少々お待ちください」


 警察官Aと警察官Bは何も聞いていないのかしら?


「……そのようね。とりあえず本件は殺人未遂事件であり、交通事故ではないわ。被疑者はそこで眠っている男よ」


「「さ、殺人未遂事件!?」」


 随分と仲の良い警察官2人ね。


「はい。このタブレット端末で事件の様子でもみてもらえる?説明するの面倒なの」


「ありがとうございます!お借りします!」


 2人の警察官が映像をみている間に応援の警察官が来て規制線を張ったり、交通整理をしたりしている。

 消防車も来て車の消火等の活動をしている。光一さんが張った結界魔法は解けているようね。

 あっ!ブリタニアさんからチャットで連絡が来たわ。


 ブリタニア『光一は生命神さんが治療して無事。1時間程度で意識も戻るみたい。被疑者が1時間も行方不明だと、日本の警察も困るだろうとの配慮もあり、光一は東方大学病院で入院させたわ。凶器は共有のアイテムボックスに紗也華が入れたからよろしくね。生命神さんによると、生命神さんの指紋だけしか消していないけど、犯人の指紋しか残っていないとの事』


 イブ『ブリタニアさん、報告ありがとう。了解よ。色々と配慮助かるわ』


「ぼたんさん、家族内チャットを確認してもらえるかしら?」


「うん?分かったわ。えーっと……そういう事ね。了解。警察官さん、ポカーンとしているけど、動画の確認は終わった?」


「あっ!は、はい!確認しました!状況を把握しました……多分。タ、タブレット端末ありがとうございました」


「良いのよ。まぁ理解しろという方が難しいわよね」


「ところで刺された女性と凶器はどこへ行ったのでしょうか?」


「それは大統領の私から報告するわね。刺された人物は大和王国の病院へ魔法で移動。無事に治療が完了し、東方大学病院で入院中よ。現在は眠っている。凶器は……これね。大和王国側で犯人の指紋しかない事を確認しているわ」


「あっ、いえ。間もなく本部から応援が来ます。凶器はその際にお渡しください。我々は被疑者が逃走しないように見張っているようにとだけ指示されましたので」


「あー、そうなのね。お疲れ様」


「いえ、大統領に比べたら我々は大した事ありません」


「はぁ……分かってもらえる?事件に巻き込まれるとか危機管理能力がどうのこうのって叩かれるのよねぇ」


「本当にお疲れ様です」


「あっ、本部の皆さんが来ました。我々は本件の仕事、終わりですね」


「事情聴取、頑張ってください」


 さてさて。事情聴取かぁ……面倒だけど仕方ないわね。



 事情聴取が始まり皆、聞かれた事に答えて行った。まぁ前回の事件でも対応してくれた2人の刑事さんだから話が早かったけどね。


「皆さん、ご協力ありがとうございました。しかし、国王陛下は何度も事件に巻き込まれて大変ですね。国王陛下のお蔭で、幸いにも犠牲者がゼロで済んでいるのですが……次がない事を切に願います」


「同感です。ガソリンが漏れた原因は分かりましたか?」


「あーイブさん。その事ですが、調べたところ車内から蓋のないポリタンクと思われる容器が複数見つかりました。恐らく当初の予定では駅またはビルに車で突っ込んで、その衝撃でガソリンの入ったポリタンクを倒し、爆発させる予定だったんだと考えられます。ミサイルの様な感じですね」


「爆発が普通ではなかったのでもしかしたらとは思ったんですが……やはりそうでしたか。しかし、この犯人は計画性があるようで、計画に穴があるように思います」


「えぇ、車のナンバー及び免許証の住所を確認したところ首都圏外でした」


「免許証は燃えていなかったんですね」


「はい。ズボンの後ろポケットに財布がありまして、その中に入っていました。それから周辺の防犯カメラを確認したところ、何度も同じ場所を通っているのを確認しました」


「なるほど。やはり計画性があるようで無さそうですね」


「これから取り調べをして動機等を確認する予定ですが、恐らく犯人が渋丘を選んだのは人が大勢いると考えたからだと思います。実際は日曜日のあの時間帯は、あまり人はいないんですが、犯人はそれを知らなかった。それで同じ場所を何度も回りながら、様子を見ていたら皆さんと出会い犯行に及んだのだと思われます」


「複雑な心境ですね。我々が集団で行動していたから犯行を招いたとも考えられますし、一般の方が犠牲となる事を防いだと考える事も出来ますからね」


「いえ、私は後者しかないと思います。悪いのはただ1人。犯人です。皆さんに出会わなくても何らかの犯行に及んでいたはずですからね。さて、それでは私達は戻ろうと思います。何か忘れている事はあるかな?」


「そうね。私から補足しますね。動画の共有ありがとうございました。幸いこの辺りは防犯カメラが多数あり、犯行の様子も撮影していました。ですから皆さんからお聞きした情報と、共有いただいた動画は防犯カメラが裏付けてくれます。逆もまた然りです。周辺にある防犯カメラは画質は良いのですが、音質があまり良くないか、そもそも音がありませんからね」


「あーそうだったね。共有いただいた動画は皆さんの視点からのものであり、高画質かつ高音質ですから、大変ありがたいです。ご協力ありがとうございます。それから……国王陛下はいつまでの入院でしょうか?」


「まずは動画が役に立つのなら良かったです。国王陛下は今日は入院して明日の朝に退院ですね」


「そうですか。それでは15時頃にお邪魔させていただきます。以上かな?」


「そうね。改めて色々とご協力ありがとうございました。皆さんもお帰りいただいて大丈夫です」


「分かりました。引き続き事件のご対応よろしくお願い致します」


「はい。それでは失礼致します」


「後は我々にお任せください。失礼致します」


 そう言うと2人の刑事さんは車に乗り込み、走り去って行った。


「さてさて。皆、どうしようか?」


「イブ、13時から記者会見を開くから準備をよろしく。さて、神崎くろえ先生も色々と言いたいでしょうから、今日は帰りましょう?何か意見等がある子は手を挙げて……いないようね」


「ぼたんさん、了解よ。そしたら警護担当のあなたとあなた。光一さんのところに向かって。ブリタニアさんと紗也華さんと交代ね。他の警護担当は帰還するように。返事は通信でよろしく……うん、良いわね?それじゃ皆、帰るわよ?良い?……良さそうね」


 私は問題なさそうな事を確認して、住居用プライベートエリアのレストランに移動した。



 ~紗也華の視点~


 私達は東方大学病院のVIPルームにいる。そして、光一はまだスヤスヤと眠っている。

 病院に事情を説明したら、思ったよりも話が早かった。

 まぁ最初の若い受付の方は「何言ってんだコイツ?」って感じだったけど、偉い人を呼んでもらったらスムーズに話が進んだ。

 光一の場合、今回が初めてという訳でもないからね。


「ブリタニア、ごめんなさい。私が指輪を交換させていなかったら光一は……」


「紗也華、気にする事はないわよ。たまたま運が悪かっただけだわ」


「運が悪かったかぁ……幸運ステータスだけは絶対に下げない光一でも、そういう事ってあるんだ」


「まぁでもこうやって助かったわけだから、運が良いのか悪いのかよく分からないわね」


「確かに……あっ!イブからチャットが来たわ」


「ん?私にも来たみたいね……ふ~ん?なるほどね。気になってはいたから事件の報告助かる」


「ブリタニアの言う通りね。動機はまだ分からないけど、どうせくだらない理由だと思うわ」


(コンコンコン)


「どうぞ……あら?早かったわね」


「いえ、ブリタニア様。それから紗也華様もお待たせしました」


「様付けなくて良いわよ。ね?紗也華?」


「そうそう。お疲れ様、それじゃ後はよろしくね」


「「はい!お任せください!」」


「それじゃ紗也華行こうか」


「うん!」


 私が返事をすると景色が変わった。天界のレストランだね。


「あー!ましろちゃん!」


「あれ?くろえママもいるんだ?」


「当たり前じゃない!色々と言いたい事があるんだからね!」


 えー。めんどくせー。


「あー!今、めんどくせーって思ったでしょ!顔に出てた!」


「ごめんなさい。とりあえず座らせてもろて。アイスティーを飲ませてもろて……ぷはぁ~生き返る~!」


「おっさんかよ……」


「くろえママ、それは言っちゃいけないヤツ!それで何の用かな?」


「えーっと……ヒ、ヒカリさんは?……光一さんは本当に無事なの?」


「無事よ。この世界に一緒に来ている異世界の生命神さんに治療してもらったからね。後遺症含め何の問題もないわ。今はスヤスヤと眠っている」


「そっか。良かった。ねぇ?ましろちゃんもここまで来たら良いでしょ?本名を教えて。私は神崎クロエ!あっ!クロエは片仮名ね!お仕事では平仮名にしているの!」


「えぇ……?せ、先輩こういう時ってどうすれば良い?」


「あー。まつり達は全員教えたから大丈夫だよ」


「そうなの?それじゃ私は紗也華。えーっと魔法で字幕を出すと……小鳥遊紗也華よ」


「おー!魔法すげぇ!便利!」


「クロエママありがとう」


「あっ!以降はプライベートでママもさんもなしで良いから。呼び捨てにしちゃって」


「それじゃぁクロエ?」


「うん!……それで?私を騙していた件について説明を求むのだー!」


「クロエ、それは仕方なかったんだって。日本の大統領と大和王国の国王がいるなんて言えないよ。国家機密!」


「う~!国家機密なら仕方ないか。ね、ねぇ?光一さんって元は何歳なの?顔写真とかある?色々と教えてよ!」


「それじゃイブ、頼んだ」


「はい、はい。まずは……」


 イブは元の年齢を教えて顔写真を各席にある注文用タブレット端末に表示。クロエは色々と質問をして、イブはそれに答えて行った。

 ハハハ、イブ、お疲れ様。


「もう良いかしら?」


「うん!満足したのだー!ね、ねぇ?紗也華?やっぱり光一さんって私と結婚したくないのかな?」


「クロエと結婚したくないというよりは、誰とも結婚したくないという感じね。だからフラグを折ろうとしていたでしょ?」


「私、嫌われているかなぁ?私が光一さんと結婚出来る可能性はゼロ?」


「少なくとも嫌ってはいないと思うわよ。クロエが光一と結婚出来るかはクロエ次第かな?」


「光一さんの妻の皆様にお願いがあります!私は光一さんと結婚したいです!結婚を認めてください!お願いします!」


「うーん?クロエ?理由は?」


「ブリタニアさん。私、神崎クロエという者は今日、死にました。光一さんに助けていただいたから、今、ここにいます。そんな私の命は光一さんのものです。それから、光一さんはやっぱり素敵な男性です。自分の命を危険に晒してでも他人の命を救う素晴らしい方です。確かにイケメンでもブサイクでもない。普通の顔かもしれませんが、性格はイケメンです。私もそんな男性と結婚したいです!」


「ふ~ん?でも異世界はこの世界に比べたら面白くないわよ?」


「そんな事はどうでも良いんです。むしろ面白くないのなら面白くするのが私の仕事かなって思います。私も少しはお役に立てるんじゃないでしょうか?」


「もう敬語は良いわ。ごめんなさい。私、あなたの事をよく知らないんだけど……何が出来るの?」


「一応、イラストレーター、漫画家、アニメーター、作詞家、音楽家として活動して来たの。作詞家や音楽家は趣味みたいなものだけどね」


「あら!あなた凄いじゃない!」


「ブリタニア、そうなの!私が配信者として活動している『ましろ』をデザインした、くろえ先生はとっても凄いんだから!」


「いやぁ~それほどでも……あるかなぁ~」


「ブリタニア?例の計画を進めるには必要な人材よ!」


「紗也華、分かっているわ」


「例の計画ってなんぞや?」


「クロエ、実はね……」


 私はクロエに異世界で進めているバーチャルアイドルの育成について説明した。


「おー!紗也華、それ良いね~!それやりたーい!皆に結婚を認めてほしいなぁ。認めてもらえなくても私、異世界に行く!」


「それじゃイブ、アンケートをお願い。結婚に賛成か反対かね」


「ふふふっ、分かったわ」


 おっ!アンケートが表示された。私は当然、賛成だ。クロエが結婚したい理由だけど、私は非常に共感する事が出来るからね。

 私も光一に命を助けてもらったから、クロエは仲間だ。


「アンケート結果が出たわ。表示するわね……全員、賛成よ。クロエさん、おめでとう」


 私も含め、皆、拍手でクロエを歓迎した。


「皆、ありがとう!ヤバい。嬉しさのあまり泣きそう。あーでもなぁ。光一さんが認めてくれるかなぁ?」


「私達に任せなさい。認めさせるわ!」


「ブリタニアさん、ありがとう!」


「それじゃ光一の意識が戻るまで、家族内のルールとか色々と説明しちゃうわね」


「お、おぉ。やっぱりルールとかあるんだ。紗也華お願い」


「大した事ないから安心して。まずは……」


 そうして私はクロエに色々と説明して行った。

 まぁ内容は「うちは対外的に第一王妃とかあるけど、家庭内では平等だから気にしないで」とか、夜一緒に寝る件とかそんな感じの説明だ。

 あー、それからクロエに子どもは欲しいか聞いたら「もっちろん!」との事だった。だから、妊娠や出産についても説明したし、皆でアドバイスもした。


「さて、こんな感じかな?」


「あ、うん。紗也華、それから皆も。色々とありがとう。スーハー。皆、これからよろしくね!」


 再度、皆で拍手をした。


「うわぁ~!皆、ありがとう!」


「……はぃ?」


「えっ!?イブ?私、変な事を言った?」


「あー、ごめんなさい。クロエさんに対してではないの。光一さんが逃げたわ」


「「「「「えっ!?」」」」」

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