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864 イラストレーターがいない問題

 1年11月9日


 今は15時。業務用プライベートエリアの会議室にいる。


 午前中は家族全員で温泉に入り、昼食後に例のドアを使い、妻12人と順番にベッドで避妊具をつけて楽しんだ。

 昨日と同様にドアの中で2回、寝た。1人2時間以上だから流石に疲れるのだ。でもこれで1週して全員と2人きりの時間を楽しめた。

 そしてドアから出たら、しばらく雑談をしながら休憩をして、今に至る。


「それじゃ会議を始めるねー!まずはイブ。ルフレンスさんの店と3棟のマンションの状況を教えてもらえるかな?」


「了解よ。店とマンションの建設は全て予定通りに完了したわ」


「おぉ、それは良かった。ナビィ感謝の言葉を伝えてもらえるかな?」


「りょうかーい!任せて!」


「うん、ありがとう。イブ続けて」


「了解。店の状況から説明すると、従業員は無事に全員雇ったわ。新しく雇った従業員は今朝、役所の職員が手伝ってマンションに引っ越しをした。今日は店を営業せずに業務内容を教えているわね。皆、若くて優秀だから既に業務内容を覚えたみたいだけどね」


「すげぇ。そしたら明日は営業するのかな?それとも明後日の僕たちの結婚式は休みだから、明日も休みかな?」


「明日は営業するみたいよ。ルフレンスさん達はリーベ王国の王族に会うから不在だけど、前からいる従業員が『我々にお任せてください!』と言ったみたい。それで『何かあったら必ず連絡する』という約束で店を任せたの。まぁ人工知能のサポートもあるから私は大丈夫だと思うわ」


「そっか。それなら安心だね」


「それからマンションについてね。前の建物の住人……つまり、ルフレンスさん達や従業員の引っ越しは昨日済ませたわ。店内の引っ越しもね。引っ越しが完了したら、庭の隅っこに移動させておいた引っ越し前の建物を取り壊したわ。少し脱線して大阪のマンションについて報告しておくわね」


「ん?大阪のマンションに何か問題でもあった?」


「まぁそうね。ちょっとした問題ね。マンションの1階にスーパーマーケットがあるから、バス停が目の前にあるのだけど……入居希望者がいない問題が発生したの」


「え?その条件でなんで入居希望者がいないの?」


「子どもを沢山生むには狭いという理由で不人気なのよ。そこで、リーベ王国のマンションと同じ仕様に変更した。各階34戸から20戸にね。それと同時に、ルフレンスさんのマンション所有権は34階と33階だったけど、34階から31階に変更したの。工事は今日、天使にお願いしたんだけど、先程終わったと連絡があったわ」


「どう?住んでもらえそう?ルフレンスさんの反応は?」


「予約を開始したら10分程で埋まったわ。ルフレンスさんは店の関係者が全員住めると喜んでいたわよ」


「おぉ~!それは良かった。リーベ王国の方は?」


「店の正面は大通りに面していてね。こちらも店の目の前にバス停をつくったわ。それもあって入居希望者が多数。3棟建設して良かったわよ。すぐに全部屋埋まったからね。引っ越しは役所の職員が手伝っているわ」


「そっか、そっか。いやぁ~良かった。これでひと安心」


「報告は以上かな?他に聞きたい事はある?」


「結婚式や披露宴ってネット配信するんだよね?観客席は満員になった?」


「ネット配信もするけど、私とのぞみちゃんが宣伝を頑張ったから、座席のチケットは完売したわ。抽選制にしたけど落選した人が多数いるほどよ」


「お、おぉ。そんな感じなんだ。イブとのぞみありがとう」


「光一さん、お役に立てて幸いだわ」


「僕も同じく」


「それから提案なんだけど……」


 僕は昨夜、まつりと会話した第5世代までのゲームや、4K解像度対応のモニターの販売。配信を4K解像度に対応化する事、バーチャルアイドルの育成について提案した。


「そうね……今のパソコンのスペックだと、前にも話したけど第3世代……例えばプレイルーム3(PR3)のゲーム機までが限界。だから第5世代までとなると、グラフィックボード搭載パソコン、又はゲーム機を生産して売る必要があるわ」


「両方販売するとして価格設定はどうしようか?」


「普及させたいから、グラフィックボード搭載パソコンは1万4千円。ゲーム機は1万円でどうかしら?4Kモニターは様々なサイズを用意するわね。オススメは43型かなぁ?4万円」


「「「「「やっす!」」」」」


 多分、日本人全員が反応したね。僕も含めてね。


「ま、まぁ。パソコンが5千円だからね。その価格設定が良いと思うよ」


「ゲームソフトは全てダウンロード形式。ゲーム機も同じ。パソコンはもちろん、ゲーム機も後方互換あり。オンラインストアは既存のものを使うわ。Webサイトとクライアントソフトの両方から購入出来るタイプ。パソコンでゲームソフトを購入しても、ゲーム機で購入しても両方で遊べる親切設計」


「イブ、いつ頃に販売出来そう?」


「ある程度の在庫を確保しておきたいから……来月の頭に店頭で販売出来ると思うわ」


「了解。それじゃそれでよろしくね」


「任せて。それから配信の4K解像度対応は簡単に出来るけど、モニターが普及してから開始した方が良いわね。それで……バーチャルアイドルの育成なんだけど……ね。関連学部に入る人がいないという問題があるのよ。理由は現状、お金にならないからだと思うわ」


「そしたらブルーローズテクノロジー社の子会社として、青薔薇プロダクションを立ち上げよう。そして専属バーチャルアイドルオーディションを世界各国で実施する。ゲームが得意、会話が得意、歌うのが得意等、何か少しでも才能があれば採用しよう。最悪、やる気が凄いだけでも構わないよ」


「さ、採用するとして条件はどうするの?」


「最低、月25万円はお支払いする。その代わり配信活動での収益は月25万円までは、タレントさんが3割で事務所が7割の割合で受け取る。月25万円を超えたらタレントさんが5割で事務所が5割でどうかな?まつりはどう思う?」


「えーっとね。企業に所属している配信者としては、非常にコメントしづらいんだけども……その条件だと管理が面倒だから『月25万円までは』という条件はなくして、収益の内、タレントさんが4割、事務所が6割で良いと思うよ。最低、25万円払うならこの条件で十分だと思うな」


「それじゃそうしよう。イブ、まだやらなくても良いけど、動画投稿サイトに生配信での投げ銭機能を追加しよう。それから会員機能を追加。チャンネル登録者数が1,000人以上なら会員機能が使えるようにしてほしいな。会員になると会員限定の動画、生配信、メッセージ、チャットの色が配信者が指定した色に変わる等の特典があると良いかな?」


「方針は理解したわ。そこら辺は考えておくけども問題はまだあるの。配信者に合わせたキャラクターを制作する、イラストレーターさんがいないのよ」


「イブやのぞみが制作するのは?」


「流石の私達も苦手な分野よ。イラストを元にキャラクターを違和感なく動かせるようには出来るけどね。ゼロから制作するのは難しいわ」


「それじゃぁ……まずはマンガやアニメーション関係の学部を宣伝しよう。小説投稿サイトがあるでしょ?面白い作品を書籍化やマンガ化したり、アニメ化するとかどう?青薔薇社を立ち上げて、青薔薇文庫、青薔薇コミックス、青薔薇アニメーション。このブランド名でプロジェクトを進めて行くのはどうかな?」


「そうね……それで進めてみるけど、時間がかかるわよ?」


「まぁ仕方ないね」


「綾音は絵が上手いから出来るんじゃない?」


「えぇっ!?と、ともりさん!?……た、確かに私も描ける方だけど、プロという程ではないよぉ~」


「あれ?でも確かアバターを自作していたよね?」


「光一さん、デビュー当初は自作したアバターを使っていたけど、新衣装というカタチでプロの方に依頼したのはそれなりの理由があるのよ……」


 あっ……そういえば新衣装になる前は、チャンネル登録者数が伸び悩んでいたなぁ。


「うん。嫌な事を思い出させてゴメン」


「あー謝られる程、嫌な事ではないから大丈夫よ」


「はいはーい!」


「紗也華どうかした?」


「私達の母校に行って、漫画家やイラストレーター等を目指して勉強している女の子と出会って結婚すれば解決~!」


「ブッ……ゴホッゲホッ、コホンゴホン……はぁはぁ。回復魔法使っとこう…………ふぅ~、落ち着いた。紗也華~?冗談きついよ。これ以上、妻を増やす気は皆無だし、そもそもこんな最低な理由で結婚してくれる子がいるわけないでしょ?」


「半分は冗談だけど、残り半分は真面目だったんだけど……まさかそこまでダメージを与えるとは思わなかったぜ。真面目な話、結婚しなくてもこの世界に連れて来たらどう?」


「それもなし。そこまでする必要はないし、この世界に来て就職する物好きいないでしょ?色々と便利で娯楽が溢れる地球から、この世界に来るメリットがない。観光なら良いだろうけど住むとなると飽きるよ」


「それ、光一が言う?探せば異世界に転生とか転移したい子がいるかもしれないじゃない」


「だ~か~ら~。そこまでする必要はないの!」


「ふふっ紗也華さん、大丈夫よ。フラグが立ったわ」


「確かに。イブの言う通りだ」


「いやいやいやいや、フラグ立ってないから!……よし!分かった!地球に行ったら外出しないんだ!」


「光一、子どもみたいな事を言わないの。あなた永遠に引きこもっている気?」


「ブリタニア、だって紗也華とイブが変な事を言うからさ」


「言い訳はどうでもいいわ。せっかく地球に行くんだから外出するわよ。結婚したくないなら魔法で変装すれば良いじゃない」


「おっ!その手があったか。この話は終わりで次に進めよう。イブ、恩赦の件はどんな感じ?」


「急ぎ確認させて、今日の午前中に全員の確認が完了したところよ。その結果、恩赦の対象は約30万人と確定したわ。恩赦の対象者には幼い子ども以外、全員に条件を説明して同意してもらった」


 一瞬、思ったよりも多いなと思ったけど、実行犯が約22.3万人だからね。

 実行犯は恩赦の対象外だけど、家族がいる事を考えたらそんなものか。


「イブ、2つ質問。1つ目は孤児がいるか。2つ目は帰国する心配がないかを教えて」


「結論から言うと、どちらもないわね。幸いにも幼い子どもや、まともな子どもの母親はまともだったの。それから帰国はね。居場所がない。肩身が狭い思いをしてまで祖国に帰ろうと思わない等など、帰国する意思がない事を自白魔法で確認したわ」


「祖国に帰って親と一緒に暮らすとかは?」


「それもないわ。親に迷惑をかけたくないし、祖国で就職は難しいだろう。大和王国に保護してもらっていた方が経済的援助もあるし、何かトラブルがあっても対応してもらえるという安心がある。仮に親と一緒に暮らすなら親に来てもらうという感じ。移住先が都会というのも大きいわね。木を隠すなら森の中よ」


「なるほど」


「1つだけ計画を変更したわ。当初はアーシア大陸の国々なら大阪に。オーエス大陸の国々はエクセポートシティに移住させる予定だったけど、オーエス大陸の国々も大阪に移住させる事にしたの。理由は同じ大陸だと裁判の配信を観ていたり、知人に遭遇して発覚する心配があるという意見が多数あったから」


「多数の移住者がいても新しい町なら違和感がないと思って、大阪とエクセポートシティを選んだんだけどね。その心配があるか……アーシア大陸側は大丈夫なの?」


「そっちは特にそういう意見はなかったわね。まぁトラバント地方は基本的に元々そこに住んでいるか、大陸内から移住して来た人々で構成されているでしょ?だけど、大和王国の本体は世界各国からの移住者で構成されているからだと思うわ」


「あー、なるほど。今後の予定は?」


「まず現在、受け入れ準備をしているところよ。恩赦の対象者には既にその事を伝えているのだけど……実は人数が多いからメンタルケアをどうするか悩んでいるの。」


「……やぁ、久しぶり~。生命神だよ~。いやぁ今回の恩赦の件、生命神としては喜ばしいね。ありがとう」


「おぉ!久しぶり!来てくれてありがとう。それじゃ素直にお礼の言葉を受け取っておくね」


「うん、それでメンタルケアだったね。光一くんなら回復魔法で簡単に出来るんじゃないかな?知識がなくてもゴリ押しで行けると思うよ」


「同じ事を考えたけどね?素人がやると不完全な治療になる恐れがあると思ったんだ」


 言えねぇ。フォルター帝国事件の際、生命神さんの代わりに創造神様が彩花や紗也華を治療したけど、不完全だった件を思い出したからなんて。


「あっ……うん。心は読んでいないけど、何を考えたかは分かるよ。確かにそうだね。ここは専門家の僕の出番だなと思ったから来たんだ」


「え?そうなの?というか、もしかして顔に出てた?」


「顔に出ていないけど、光一くんがどうしてそう思ったかを考えたらね。あの件しかないでしょ?」


「あ!光一さん、もしかして私と紗也華の件ですか?」


「彩花~。言わないでおいたのに……念の為に言っておくと謝る必要はないから大丈夫」


「あっ!はい。空気読みに失敗しました」


「彩花、気にする事はないわ。会議をしているのに、参加者に分かりにくい会話をする光一が悪いの」


 えぇ……僕が悪いのぉ?まぁ彩花の為に、ここはそういう事にしておくか。


「ブリタニアさん、ありがとうございます」


「良いのよ彩花。光一?」


「うん、そうだね。気をつけます」


「よろしい!」


「光一さんもありがとうございます」


「彩花、何のお礼か分からないけど、素直に受け取っておくよ」


「ふふっ。はい、そうしてください」


「うん。それじゃ生命神さん、話を続けて」


「あーそ、そうだね。えっとね……僕が治療をするよ。だから対象の拘置所の場所と、その拘置所内で恩赦にする人のリストを僕に教えてほしいんだ。出来れば顔写真付きだと助かるよ」


「そしたらイブ、よろしく」


「分かったわ。生命神さん、どういうカタチで……メールありがとう。このファイル形式でリストを作成して、添付したメールを返信するわね」


「うん、よろしくー」


「……メールを送信したわ」


「おっ!ありがとう。部下のボットに指示を出してっと……よしよし。ロックオンして。ゴー!」


「治療を開始したの?」


「そうだよ~。少しだけ待ってね…………ミッションコンプリート!」


「えっ?もう終わったの?」


「生命神だからね~。余裕、余裕。僕は生命神だから対象者の健康状態を一覧で見る事が出来るんだ。それで全員が問題なく、完全に健康である事を確認したから大丈夫だよ」


「おー。ありがとう!」


「いえいえ~。さて、帰る前に言っておこうっと。光一くん、今回は僕と創造神様、魔法神のエルザちゃんも地球に行くからよろしくね~」


「え?そうなの?でも今回は短期間だし面白くないと思うよ?」


「いやいや、そんな事な……うん。そんな事ないよ。短期間でも気分転換になるし、地球は面白いからね」


「ん?……そう?分かったよ」


 う~ん?何で言い直したんだろう?まぁ聞いても答えてくれないだろうし、気にしないでおこう。


「さてさて。それじゃ帰るね。今回の集合場所はここで良いから。よろしくね~」


「りょーかい。こちらこそよろしく」


「うん、そんじゃまたね~」


 そう言うと生命神さんは去って行った。


「光一さん。これで全員、今日中に移住が完了しそうよ」


「おぉ!そっか。それは良かった。引き続きよろしくね」


「了解よ」


「そんじゃ今日の会議は終了しよう」


「光一さん、そうね。お疲れ様」


「うん、イブもお疲れ様。皆、この後は温泉に入ろう!」


「「「「「おー!」」」」」


 そうして僕たちは温泉に入って、まったりとした時間を過ごしたのだった。

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