858 来客と商業ギルドルール
1年11月7日
今日は11時半頃に起きた……というか紗也華が起こしてくれた。
イブからSNSを開始した等の報告を受け、12時頃に皆で昼食を摂った。
昼食後は食休みをしてから『携帯プライベートビーチと温泉へのドア』を使い、6人とベッドで楽しんだ。
昨日と同様に一眠りしてドアから出て、約束の時間である14時になるまで雑談をして過ごした。
その雑談中にイブが注文用タブレット端末を使い、今日、来るお客様を紹介して行った。助かるね。
そして14時……
「光一さん、時間になったから迎えに行って来るわ」
「うん、イブよろしくね」
「任せて。皆に紹介済みだと伝えてから来るわね。それじゃまた後で」
そう言うとイブは去って行った。
~数分後~
「皆、お待たせ。お連れしたわ」
「……おぉ!景色が素晴らしい!」
「お父さん、そんな事を言っている場合じゃないよ。光一さん、父がスミマセン。お久しぶりです。今日はお邪魔します」
「お、おぉ。そうだな。光一さん、スミマセン。景色が素晴らしくてつい。今日はよろしくお願いします」
「大丈夫、謝るような事じゃないよ。景色を褒めてくれてありがとう。こちらこそよろしくね」
ルフレンスさんのお母さんのアメリエットさんと、妻のリリアナさん、エテルノのマドレットちゃんとも挨拶を交わし、席に座ってもらった。
そして、とりあえずアイスティーを飲んでもらい、リラックスしてもらった。皆、美味しいと言ってくれて嬉しいね。
「はぁ……落ち着きました。今日はお時間をいただきありがとうございます。皆さんとお会いできて大変、光栄です」
「いえいえ、来てくれてありがとうね。出来れば夕食を一緒にと思っているんだけど、今日はどうかな?」
「はい。夕食もご一緒させていただけると私達としては大変嬉しいです」
「そっか、それは良かった。僕も嬉しいよ。美味しいから楽しみにしていてね。ところでルフレンスさんもだけど、皆さんも。そろそろ普段通りに気楽に話してもらえると更に嬉しいんだけど……」
「ありがとうございます!いえ、その……神様を相手に普段通りにというのは恐れ多いです」
「ルフレンスよ。光一さんにここまで言っていただき、拒否するのは逆に失礼というものだと私は思う」
「そう……だね。お父さん、分かったよ。光一さん、それでは失礼させてもらうね」
「いやぁ~嬉しいね。それじゃ色々と聞かせてもらえるかな?」
「それでは、まずは店の事だから基本的には僕が代表して、色々と話して行こうと思うよ。お父さん良いかな?」
「うん、構わない。店の事はルフレンスに任せているからな」
「お父さん、ありがとう。光一さん、先日は建物の増築に協力してくれてありがとう。本当に助かったよ」
「うん、今回は良い事だから積極的に言っていくけど、実は全て部下がやった事で僕は何もしていないんだ。部下には後で僕から感謝の言葉を伝えておくね」
「そうだとしてもありがとうだよ。光一さんの方針によるものなんだからね。部下の方にも本当に感謝していると伝えてもらえると、大変助かるよ」
「そっか、分かった。部下にはちゃんと伝えておくよ。部下の失敗は僕の責任だけど、部下の手柄は部下のものだからね。手柄は横取りしないんだ」
「流石だね。さて、どこから話そうかな?」
「それじゃ、色々と気になっているんだけど、一番気になっている事から教えて。7階建てのマンションを建てたと報告を受けたけど、30部屋もどうするの?従業員とその家族が住む為のものとは聞いているんだけど……そんなに必要?」
「良い質問をありがとう。うん、必要なんだ。先に結論を言うと将来的に29人雇う事を考えているからね。僕を入れて30人体制」
「29人も!?」
「そうなんだ。店が大きくなってスーパーになった。人員は余裕を持たせて常に10人は店にいた方が良い。結婚した等の事情で仕事を辞めたり、体調を崩す事も考えられるからね。従業員には辞める場合は早めに遠慮無く言う事、体調を崩したり用事があって休む場合は出来るだけ早めに連絡をする事をお願いしているよ。あーうちは休んだからって給料を引いたりしない。管理が面倒だし、事情があるなら仕方ないからね」
「なるほど。でもそれだと事情は特に無く頻繁に休むんじゃ……?」
「うーん。給料は良いしサボったりしないと思うよ。一応、そういう事が発生した時の為に『正当な理由がある場合は解雇出来る』という条件を入れているし」
「それなら大丈夫かな?」
「そう願うね。それで今回、店がスーパー化したから、定休日を無くしたんだ。そして店の営業時間は9時から21時まで。営業時間前と営業時間後に準備や片付け等がある。休日がないとやっていられないし、休日があっても1日に12時間以上も働きたくない」
うん、僕は社畜時代、普通に働いていたけどね……そして、身体を壊したと。うっ……思い出したら頭がぁ!
「ん…?光一さん、どうかされましたか?」
「ちょっと過去の嫌な出来事を思い出してね。続けてどうぞ」
「うん、分かった……?えーっとそれでこうしたんだ。A組とB組に分けることにした。A組は8時から15時15分まで。B組は14時45分から22時まで。それぞれ7時間15分勤務。この15分は何かと言うと、引き継ぎ等の時間を確保する為だよ。残業は無し」
「おぉ~!良いね!」
「ありがとう。A組とB組のメンバーは固定。用事がある等により、相談して合意の上で入れ替えるのは認めているけども。基本的にはA組の人は何曜日だろうとA組だし、B組の人も同じ。そして2日連続で働いたら休む体制にしたんだ」
「確かに固定の方が良いかもしれないね。そして休みは大事」
「うん。僕達は日曜日と水曜日に休みたい。つまり、従業員に日曜日と水曜日に働いてもらう事になる。A組とB組でそれぞれ10人必要だから合計で20人。この20人は月曜日と木曜日が休みの人、火曜日と金曜日が休みの人の半分に分かれる。そうすると日曜日と水曜日以外は20人中半分が休みになる」
「なるほど。つまり日曜日と水曜日以外はA組5人とB組5人になるのか……となると?トーマンドさん、アメリエットさん、マドレットちゃん、ルフレンスさん、リリアナさんの5人だから……5人足りないね」
「はいはーい!光一お父さん、私はA組とB組の両方で働くから4人だよ!」
「え?マドレットちゃん、そうなの?」
「うん!」
「光一さん、僕は反対したんだけどね。でもマドレットちゃんは、少なくとも僕の両親が働いている間、A組とB組の両方で働くと言って聞かないから認めたんだ。そこで話し合って両親はA組、僕とリリアナはB組にさせてもらった。マドレットちゃんはA組とB組の両方で働くから、A組とB組で足りないのは2人ずつという事になった」
「ほうほう」
「今は両親とマドレットちゃん、妻のリリアナが働いてくれている。だけど、いつかは一時的なものかもしれないけど僕だけになる。今回、24人雇ったけど、いつかは29人雇う事になるかもしれないと考えた。だから30部屋必要という訳だよ。1部屋余るけど、何かの予備という事で」
「……ん?24人雇うんじゃなくて、もう雇ったの?」
「うん、今日も働いてくれているね。11月1日の日曜日に面接をして11月2日は臨時休業にしたんだ。そして引っ越して来てもらった。役所の職員さんが手伝ってくれてね、何度も感謝の言葉を伝えたよ。そして、24人全員に業務内容を教えた。火曜日も臨時休業にしようかなと思ったんだけどね。24人全員から『仕事内容は覚えました!働かせてください!』と言われたと」
「おー!真面目だね~!」
「そう。皆、真面目だし優秀だから助かっているよ。光一さんが考えた店舗向けのサービスのお蔭でもあるんだけどね。例えばお会計の際に自分で計算する必要はないし、全て電子マネー決済だからお釣りの手間がないとかね。いや、本当に光一さんありがとう」
「いえいえ、役に立っているなら嬉しいよ」
「それで、火曜日は雇った24人全員が働く事になった。A組12人、B組12人だね。それに加えて午前中はお父さんが、午後は僕が様子を見る事にした。皆、優秀だから特に問題は無かったね。僕達、家族と同じく従業員も休みの日は固定なんだけど。月曜日と火曜日に働いてもらったから水曜日は臨時休業にした。従業員からは『いや、自分達は大丈夫です!』って言われたんだけど、頑張って説得したよ」
「いや、本当に真面目だね~」
「うん、全くだよ。そして11月5日の木曜日から通常営業を開始したと。いやぁ、こんなに早くに全員が仕事内容を覚えてくれるとは思っていなかったからね。ビックリだよ」
「従業員の男女比率はどんな感じなの?」
「全員が女性だね。商業ギルドには特に指定した訳ではないんだけど。仕事内容等を話したからそれを元に判断したのかな?まぁ従業員間のトラブル防止の観点から、女性だけの方が良いかもしれないけど。あっ、それから僕とお父さんは今回、Aランクになったよ。支店もあるし今回、本店が大きな店になり、多くの人を雇用したからなのかな?」
「おぉ!おめでとう!……で良いのかな?商業ギルドのランクってよく分かっていないんだよね」
「ありがとう。おめでとうで大丈夫だよ。最近、商業ギルドのルールが変わったから一部を簡単に説明しようか?」
「うん、僕はSランクだけど、国王として最低限、知っておいた方が良いかなと思うからよろしく」
「分かった。それじゃ説明するね」
ランクはFからSまでの6段階。昇格の際も登録料を払う必要がある。
Fランクは登録料500リーベ。年会費無料。従業員になるのに必要。また、商業ギルドに買取を依頼するのにも必要。特典無し。
Eランクは登録料千リーベ。年会費500リーベ。高校卒業以上もしくは従業員として長期間働いた経験が必要。特典として希望すれば、Fランクより優先的に雇用機会が与えられる。商業ギルドが信用度を保証する。
Dランクは登録料5千リーベ。年会費1万リーベ。商業高校もしくは大学卒業で登録可能。Eランクからの昇格の場合は長期間働き店主が推薦した場合、ギルドが審査をして昇格。特典として個人商店を持つ資格を得られる。支店は持てない。Dランク以上はギルド及び卸売市場での売買参加権が得られる(ただし場内取引への参加はギルマスの承認が必要)。売買手数料は8%。
Cランクは登録料1万リーベ。年会費5万リーベ。商業系大学卒業もしくは、ギルドへの貢献度を審査して登録または昇格。特典として本店と同じ国内に支店を持つ資格を得られる。本店を含め店舗毎に商業ギルドへ登録が必要。登録料として店舗毎に毎年1万リーベを払う必要がある。手数料は5%。
Bランクは登録料10万リーベ。年会費50万リーベ。ギルドへの貢献度を審査して昇格。特典として本店を含め店舗毎に商業ギルドへの登録が不要になる。手数料は3%。
Aランクは登録料50万リーベ。年会費150万リーベ。ギルドへの貢献度を審査して昇格。特典として他国に支店を持つ資格を得られる。Sランク程ではないが、商業ギルドや商業ギルドに所属する商人に対して、それなりの発言力がある。商売での信用が保証される。手数料は2%。
Sランクは登録料無料。年会費無料。ギルドへの貢献度を審査して昇格もしくは登録。特典として商業ギルドや商業ギルドに所属する商人に対して、それなりの発言力がある。商売での信用が保証される。Sランク商人の部下も同様の扱いになる。降格等のペナルティがない。手数料は無し。
以下はSランク未満のみ該当。
~ギルドカード(雇用主、被雇用者問わずAランクまでのギルド会員が対象)~
ギルドカードを紛失した場合、再発行の手数料は自分のランクの年会費分。ただし、Fランクは登録料。
登録した日を基準日として1年ごとに会員資格が更新される。ランクアップした場合、基準日がランクアップした日にリセットされる。年会費は1年以内に支払う。年会費が未払いの場合は更新されない。
ギルドカード更新の有効期限が過ぎた日から6ヵ月以内ならギルドカードが交付される。年会費が未払いの場合は倍の年会費を支払うか、降格等の処分。年会費を基準日から1年以内に支払っていた場合はペナルティ無し。基準日は変わらない。
商業ギルドへ直接来るか、もしくは商業ギルドの会員サイトにアクセスする事で、年会費の支払い、有効期限や年会費の支払い状況の確認、ギルドカードの交付申請をする事が出来る。ギルドカードは郵送も可能。郵送の場合は郵送料プラス手数料を会員サイトから支払う必要がある。
~掲示ルール~
店の出入り口付近の外から見て分かりやすい場所に、店主の名前とランクを掲示する事。支店の場合は店主と店長の両方の名前とランクを掲示する事。
昇格等により内容に変更がある場合は速やかに変更内容を反映させる事。
商業ギルドに依頼すれば掲示に使用可能な看板を発行する。
~卸売市場のルール~
卸売市場での売買手数料については、市場から市場外への取引でかかる。例えば市場内で卸売業者と仲卸業者が取引をする場合等、市場外に商品を持ち出さないような、市場内での取引は手数料がかからない。
卸売市場での取引は現金の使用を禁止する。全て販売管理システムの会員サイト上で購入者側が購入処理を行う事とする。販売側は内容に問題がない事を確認し承認する。会員サイト上で購入処理を行い、販売者側が承認すれば、紐付けられている口座から相手の口座に自動的に振り込まれる。市場外への取引の場合は売買手数料も自動的に卸売市場を管理する商業ギルドへと振り込まれる。売買手数料は購入者側が負担する。
販売管理システムの会員は、卸売業者や仲卸業者等の市場会員と、飲食店等の一般会員に分かれる。一般会員は卸売業者からの直接取引を禁止する。仲卸業者から取引をする事。
ただし、一般会員も市場開設者である商業ギルドマスターの承認を得れば、仲卸業者と同様に市場内で取引に参加し、卸売業者から生鮮食料品等を購入する事が出来る。
全ての一般会員は自分の店舗等の卸売市場外から、インターネットを通じて販売管理システムにアクセスし、仲卸業者とのみ取引する事が出来る。
~従業員について~
商業ギルドの会員サイトにアクセスして従業員の登録や削除を義務とする。(Sランクは努力義務)
従業員への給与の支払いは、商業ギルドの会員サイトからのみ行う事。天引きはこれをしてはならない。
従業員から正当な理由無く、金品を得てはならない。
従業員がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
~貢献度~
商業ギルドに年会費を払う。特に自分のランクの年会費より多く払えば払う程、貢献度が上がる。
売買手数料を払う事で上がる。売買手数料が多ければ多い程、貢献度が上がる。
支店を持てば持つ程、大きな店であればある程、人を雇えば雇う程、能力が評価されて貢献度も上がる。
従業員への給与の支払いが多ければ多い程、貢献度が上がる。
……等など。
~処分関連~
掲示ルールに従わない、もしくは虚偽の掲示をした場合は処分の対象となる。
部下の問題は雇っている商人の責任となり、場合によっては降格等の処分になる。
正当な理由無く解雇をした場合や、雇用主側に何らかの問題があり辞めた場合、処分の対象となる。
違法な商取引をした場合は商業ギルドから除名処分となる可能性が高い。
その他のギルドルール違反や違法行為が発覚した場合も何らかの処分の対象になる。
「少し説明が長くなったけどこんな感じかな?」
「教えてくれてありがとう。色々と言いたい。まず、国王補佐官?『販売管理システム』って何かな?」
「シンクラの機能改善を要望されたのよ。卸売市場でもシンクラの様な便利なサービスを導入出来ないかと。それで詳しく話を聞いたら、これはシンクラでは無く別のクラウドサービスだなと思った。だから、業務内容や要望を聞きながらシステム構築をしたの。ミスやトラブル防止の観点からも、現金を使わずに確実にお金のやり取りをしたい。在庫管理を簡単にしたい。モノやお金の流れを見える化したい等などね。そしてこれは有料化すると全体的に物価が上がる事に繋がりかねないし、儲けるメリットがないから無料でサービスを提供しているわ」
「それ教えてくれても良かったのに」
「うーん。光一さんにはあまり関係ないし、興味もあまりないかなと思ったんだけど……?」
「……うん、詳細な仕様を聞きたいと思う程の興味はないね。その説明だけで十分だわ」
「やっぱりそうよね」
「まぁ良いや」
さて、次はどこから聞こうかな?





