848 天界のメール機能と世界神になる光一
1年10月21日
「でも天使にもお礼を言いたかったなぁ」
「あー、それなら割と最近実装されたメール機能を使うと良いかも」
「メール機能?」
「うん、9月の頭に話したと思うんだけど、世界管理システムのハードウェアを増強したんだよね。それで、魔法神ちゃんが魔法管理システムに光一くん専用の報告機能を追加実装したでしょ?」
「あーしたね。時々、使っているよ」
「うん、それでね。僕は思ったんだよ。光一くん達は家族内のチャットを使っているし、天界も同様の機能を追加実装したら良いかもしれないなぁってね。そう思った僕は創造神様にお願いして機能を追加してもらったんだ。使い方は簡単!イメージするだけ」
「分かった。これって天使も使えるの?というか知っているのかな?」
「それはナビィが答えるわね。天使も使えるし、知っているわ」
「え?そうなの?」
「えぇ、光一さん。天使間では自分達でサーバーを建てて、主にチャットツールを使っているみたいだけどね」
「あのぉ……何故、部下が知っていて僕は知らないんですかねぇ?」
「あー、ごめんなさい。言う機会を逃して……」
「まぁ良いや。……ところで何故、部下の天使から僕にメールしてくれなかったんだろ?」
「そりゃ光一さん、社員が社長さんに直接メールは中々、出来ないのと同じだとナビィは思うわ」
「まぁ、そうかもしれないけど……やっぱり風通しが悪いなぁ。今後は何かあったら直接、連絡してもらうように伝えよう」
「ナビィはそうならないように今後は改善します」
「エイドも同じく」
「今後は定例会議があるし、一緒に頑張って行こうね」
「うん、光一さんもよろしくね」
「エイドからもよろしく~」
「こちらこそだよ。それじゃメールするね。えーっと、メールをイメージか……」
おー!目の前に半透明のウィンドウが出た!魔法管理システムの報告機能と同じだね。違うのは宛先を選択出来る点。
ほうほう、メールと同じくTO……つまり宛先とCC、BCCを選べるのか。ナビィとエイドを除く部下の全ての天使をBCCに指定!
……出来た!宛先は自分を指定。CCにナビィとエイド、ブリタニア、紗也華を指定。
う~ん。個人的にはビジネスメールの方が楽だけど、相手は部下とは言え堅苦しいのは違う気がする。
・件名:【返信不要】今日は色々とありがとう
・内容:
休日に突然、メールしてゴメンね。どうしても直接、皆に気持ちを伝えたかったから失礼するね。
今まで皆の声を聞こうとしなかった事、大変申し訳ない。また、ブラック企業化していた事も非常に申し訳なく思っている。
今後は定例会議で天使の幹部から直接、色々と意見を聞いたり相談させてもらおうと思うからよろしくね。
僕の全ての天使へお願いがある。
もしも不満や問題等を直属の上司に伝えても改善されない。あるいは直属の上司には伝えたくない場合は僕に直接、連絡してね。
お願いだから恐れ多いとか思わず、気楽に僕にメールしてね。そう言われても無理という子は命令だと思ってもらえれば良いかな?
よろしく頼むよ。本当に皆には心の底からいつも感謝しているんだ。
まず、幹部の皆は定例会議で長時間つき合ってくれてありがとう。今後ともよろしくね。
次に僕の全ての天使へ感謝を伝えたい。先程は僕の事を邪神から救ってくれて本当にありがとう。
皆の演奏と歌に僕はとても癒やされたよ。最高だった。結婚式でもよろしくね。
僕からの連絡は以上だけど、気を遣ってこのメールへの返信はしなくて大丈夫だからね。
改めて今日は色々とありがとう!今後ともよろしくね!……以上。
……うん。これで良いだろう。「送信」っと。
「あっ!光一さんからナビィにメールが届いた!」
「エイドも~」
「私にも何か来たわ」
「ブリタニアも?私も光一から来た」
『光一様からメールが届きました。初回の受信者限定で案内です。メールを開く際はその事をイメージするだけで大丈夫です』
おっ!僕にも届いた。魔法神ちゃんの音声で受信を知らせてくれるのね。助かる。
試しにやってみるか。メールを開くのをイメージっと……おっ!開いた!確認出来たから閉じる。
皆も確認が完了したようだ。
「世界管理システムも創造神様が構築から運用管理までしているんですか?」
「基本的にはそうじゃな。特に担当の神はおらんからのぉ」
「……もしも、創造神様が新しい世界を創る際はこの世界から去るんですか?」
「まぁ、そうなるの。赤子と同じでしばらくは目が離せんからの。もちろん、この世界のプライベートエリアに誰か来てくれたら、ボットがワシに知らせるようにはするが……それがどうかしたかね?」
「その時には僕が世界神として、創造神様の代わりに世界を管理するんですよね?」
「そうじゃな」
「僕が世界神になった時に自分で生み出せば良いのかもしれませんが……情報通信技術神の様なものを生み出しませんか?世界管理システムまで僕がみるのは厳しいなと思いまして。もう24時間システム障害に怯える日々は懲り懲りなもので」
「う~ん。障害の可能性は低いが……絶対ないとは言えんし、システムを構築から運用管理までするのは負担かもしれんのぉ」
「僕も障害対応や、システムの機能追加等を考えると専門の神がいても良いと思います。地上も情報社会になって来ていますし、それに合わせるという意味でも良いのではないでしょうか?」
「生命神も賛成か……う~む、しかしのぉ。生み出したばかりの神に世界管理システムの全権限を与えるのは不安じゃ」
「分かりました。僕が世界管理システムの監査神になればどうですか?その代わり光一くんは世界神になってね?」
えっ?マジで?僕、世界神にならないといけないの?
「おぉ!生命神よ。やっと上級神になる気になったか!」
「本当は面倒そうなので嫌ですけどね。仕方ないじゃないですか。他にやりたい神はいないでしょうし」
「……お待たせしました!その仕事は私がやります!」
ま、魔法神ちゃん!?
「お、おぉ!魔法神か!じゃが、お主も中々、忙しいのではないかの?無理はしないでもらいたい」
「いえ!仕事柄慣れていますから問題ありません!私にお任せください!」
「魔法神ちゃん、僕としてはありがたいんだけど……上級神になられると、様付け敬語で話さないといけなくなって嫌なんだけど」
「生命神さん、何を言っているんですか?私は少なくとも光一様と対等に親しく話しておられる方から、様付けや敬語なんて求めません!それではまるで私の方が光一様よりも立場が上の様ではないですか。そんな恐れ多いです」
「そう言ってもらえると非常にありがたいんだけどね?……本当に良いの?監査役とか面倒だと思うよ?」
「先程も言った通り問題ありません!……それとも私では駄目でしょうか?」
「いやいや、僕も創造神様も魔法神ちゃんの事は信用しているよ。ただ、心配しているだけで」
「魔法神よ。生命神の言う通りじゃ。ワシはお主の実績を高く評価しておる」
「ご心配ありがとうございます。また、創造神様。高く評価していただき、ありがとうございます。念の為に役割を確認させてもらっても良いですか?」
「むろん、構わんよ」
「ありがとうございます。世界管理システム監査神……長いですね。システム監査神としましょう」
おぉ!何だかカッコいい名前の神だ!
「例えばシステム変更をする際に承認。変更実施後にレビューで検証する。メールの盗聴や勝手なシステム変更等、不正をしていないかのログ監視。ついでに、不正以外に異常がないかもログ監視します。役割はこんな感じでしょうか?」
「それで良いとワシは思う」
「僕もそれで良いと思うけど、改めて役割を言われるとやっぱり面倒だね。良かったぁ~僕がやらずに済んで!」
まぁ生命神さんは結構、色々と仕事があって忙しそうだからね。そういう感想になるわな。
「光一様はどう思われますか?」
「うん、良いんじゃないかな?変更管理は面倒かもしれないけど、監視業務はボットで出来そうだね」
「はい!そこで創造神様にお願いがあります。創造神様、光一様、私を世界管理システムの管理者にしてください。新たに生み出す情報通信技術神は、オペレーターにしていただけますと幸いです。違いは管理者は無制限の権限を持ち、オペレーターはシステム変更時に管理者の承認を必要とするといった感じです」
「うむ、分かった。それではワシと光一くん、魔法神を世界管理システムの管理者とする。それが終わったらオペレーターとやらの権限の制限をお願いしても良いかの?」
「承知しました!お任せください!」
「それでは再度、確認じゃが。魔法神よ。システム監査神に任命しても良いかの?」
「はい!よろしくお願い致します!ただ、3つ条件があります!1つ目は光一様が世界神になる事。2つ目は私が上級神になった事を人類に発表する事。3つ目は私の銅像も設置してください!お願い致します!」
最後のは条件じゃなくてお願いになっているんだけど……。そして、やっぱり僕は世界神にならないといけないのね。
「お、おぉ、3つとも光一くんにお願いする事になるが……光一くん、良いかの?」
「あっ、はい。分かりました。僕が言い出した事ですし構いません。でも、魔法神ちゃん。後半の2つは何で?」
「私もマイナーな神から脱却して、神力を稼ぎたいんです!……あっ!システム監査神になろうと思ったのとは関係ありません!ただ、純粋にやりたい!と思っただけです」
わ、割と切実な悩みだったぁ~。
「そう言えば魔法神ちゃんって、この世界で人類の為に結構、貢献していると思うけど……稼げていないの?」
「そうなんですよぉ~!光一様~!私も最初は何故かな?と思ったんですが、人類にあまり知られていないからだと思います!」
「創造神様、そんな事があるんですか?」
「そうじゃな、光一くん。それはあり得るのぉ。実際は人類に貢献していても、人類に知られなければ貢献していないとなってしまったりとな。知られていなくても魔法が使える事に人類が感謝をしたり、祈りを捧げたりすれば増えると思うが。この世界の人類にとって魔法は当たり前になっておるからの」
えぇ……何その正しく評価されないク…………おっと、ついつい、品のない言葉が出てくるところだった。
いつ誰に心を読まれるか分からないからね。気を付けよう。
……何その正しく評価されない酷い仕様。社会ではよくある話だけど、天界でもあるんだねぇ。
「あっ!先日の魔法のバランス調整……僕の手柄になっていたりしますかね?」
「そうじゃろうな。実際、提案したのは君じゃし。人類に説明したのも君じゃからな」
「……魔法神ちゃん。何かゴメンね」
「いえいえ、光一様!お気になさらないでください。それよりも早く済ませてしまいましょう!」
「わ、分かった。それじゃ僕は世界神になります!」
宣言したら僕は温かい光に包まれた。





