837 天使についてと天使も働き方改革?
1年10月21日
「ねぇ?ナビィ、以前こんな事を聞いたよね?『普段は何しているの?』って」
「あー、そんな事もあったわね。光一さん、それがどうかした?」
「その時に『ラジオを聞きながら自宅でくつろいでいます』って言っていたけど、天使の世界ってどんな感じなの?」
「えーっとね。天界に天使共通のプライベートエリア……いえ、パブリックエリアと言った方が良いのかな?とにかく天使共通の空間があるの。生み出された天使はその空間に自宅を用意して暮らしているわ」
「天使ってマスターが何らかの事情で亡くなったらどうなるの?」
「色々な意味で自由ね。消滅しても良いし、新たなマスターが現れるのを待っても良い。または、天界で自由に過ごしても良いし、地上に降りて天使を辞め、人類になっても良い。まぁ殆どの子は消滅する事を選んで、一部の子が人類になる感じかな?新たなマスターが現れるなんて事はまずないし、天界で自由に過ごすと言っても存在意義が無くなるとねぇ?」
「それじゃ僕の天使以外はいないのかな?」
「そんな事はないわ。創造神様や生命神さん、恋愛神さん等、天使のいる神がいるから。創造神様の天使の仕事は主に3つ。1つ目は精霊さんのお仕事……例えば自然環境を維持する等ね。そのサポート兼、創造神様と精霊さんの仲介役。2つ目は例えるなら電話線……いや、受話器みたいなものかしら?創造神様と人類が会話をするサポート役。創造神様がヒンメル王国の女王や聖女と会話をするのをサポートしているの。3つ目はインスピレーション……日本語だと閃きかな?クリエイターさんがいれば創作の手伝いをするけど、今の所はいないから、経営者さん等の主に悩んでいる人の悩みの解決をお手伝いするの。やり方は色々。ふと閃かせたり、夢や他人との会話でそれとなくアドバイスしたりね」
「おぉ!まさに天使って感じのお仕事だ!」
「そうかもしれないわね。生命神さんの天使は地球だと守護霊とか守護天使とか言われているタイプかな?う~ん。違うかもしれない。生命神さんの天使の仕事は主に3つ。1つ目は疲れている人や怒っている人の傍に寄り添い、癒やしを与える。そうすると心身が安らいでストレスが緩和される。2つ目は人々の不安感を取り除いて、逆に自信や勇気を与える。3つ目は災難や不運から生命を守る様にそれとなく誘導する。ただ、強制的なモノではなく、それとなくだから守れない事もあるけどね」
「おー!これまた天使だ!」
「恋愛神さんの天使は、創造神様の天使のお仕事の3つ目に近いかな?お互いが幸せになれる相手との結婚を、基本的にはそれとなく誘導するの。『あっ!この人良いかも!』と思わせたり、出会いのイベントを発生させる事もあるわね」
「へー。恋愛神さんの部下って感じだ。……ん?待てよ?この世界の場合はマスターがいなくなる事ってないよね?リストラされなければだけど」
「そうね……。でも一時期、神々がこの世界を見捨てて地球に遊びに行っちゃったでしょ?それで実質リストラと感じたり、存在意義が無くなったと感じたりした子が結構いたみたいよ?だからその時の状況を元に『殆どの子は消滅する事を選んで、一部の子が人類になる感じかな?』って言ったの」
「あっ……そういう事ね」
「今は食糧不足が解消されたのと人口不足問題があるから、創造神様は消滅するよりも人類になる事を推奨しているわ。でもね、光一さん。リストラされた子はとっても悲しむし、ナビィも悲しいからしないであげてほしいな」
「前にも言ったけど、僕はリストラしないよ!……だけど、実は増やす方向で悩んでいるんだ」
「はぁ……また始まったの?」
「ナビィ、分かっている。分かっているから悩んでいるんだよ。天使って一般的に仕事がない時はどうしているの?」
「マスターの会話を聞いていたり、ご近所さんや色々な天使と会話を楽しんだり、ゲームをしたりね。最近はサーバーを建ててオンラインゲームが盛り上がっているみたいよ?」
「長期間、仕事がないとマスターがいても駄目かな?」
「駄目ね。だから調子に乗って増やさないでってナビィは言っているの」
「……遊園地やテーマパークのアトラクション、エレベーターの点検、鉄道や道路、水道管等のインフラの点検とかって駄目ですかねぇ?」
「光一さん、どれも重要な仕事だから駄目とは言えないわ。だけど、どうしてそこまでしてでも増やしたいのかを教えて」
「まず、現在、天使に余裕が無くて進められない計画が複数あるでしょ?」
「まぁそうだけど……」
「それに僕は重要な事を思い出した。僕の子孫に天使がつく条件は『僕が支配する国の次期国王以降』。つまり、僕が支配した事がない国。初代国王や初代女王以降には天使がつかないんじゃないかな?生命神さんは、あの時、『次期国王』としか言っていなかったけど、会話の流れ的に次期女王も対象だと思っている。それに……」
「そ、それに?」
「僕の子孫に天使がつく話だけどさ……何人とは聞いていないんだよね。もしかしたら1人かもしれない。仮に増やせても天使の上限は20人だと思うんだよね。まだまだ先の話かもしれないけどさ。子どもと相談して国境線や開拓方針を決めるとしても、一度は僕が支配して初代国王になり、僕の部下の天使が開拓をしないといけないんじゃないかな?天使の力を使わずに開拓も、20人の天使での開拓も厳しいでしょ?」
「あっ……」
「エイドはどう思う?」
「……え?」
「あれー?エイド?僕達の話、聞いていたかな?」
「お、おー!光一さん。聞いてた、聞いてた。いきなりこっちに来て驚いただけ」
「そりゃそっか。それでどう思う?」
「う~ん。とりあえず天使を追加で30万人増やしたらどう?」
「エイドちゃん!?倍以上も!?」
「ナビィちゃん、へーき、へーき」
「お、おう。他の子の意見も聞きたいな。僕の天使で今、手が空いていて聞いている子がいたら来てー!」
「リップル参上!」
「おー!リップル久しぶり~!元気?」
「超元気でーす!天使1から3期生で集まって、マスター達の会話を聞きながら雑談してましたー!」
「そっか。それは良かった。雑談中に来てくれてありがとう」
「いえいえ~!リップルは指揮官なので当然です!」
「それで、リップルは会話を聞いていてどう思った?」
「上官!」
「それは止めて。いや、合っているんだけどね。ナビィ先輩って呼んで?」
「はーい!ナビィ先輩!先輩が天使の世界にいた頃とは時代が変わりました~。天使の世界も働き方改革の時代がやってきたんでーす!長時間労働の常態化とか時代遅れです!マスターのインフラの定期点検等の案と、エイド先輩の天使増員案に少なくとも我々、1期生から3期生は賛成でーす!ナビィ先輩、社畜魂の押し付けは止めてください。パワハラです?」
「ブッ!!」
「紗也華、吹き出さないでもろて。ナビィがプルプル震えているからさ」
「いや、だって……光一。ふふっ……ねぇ?」
「な、なんだって?じ、時代遅れ?パワハラ?……あー光一さんが長期間仕事をさせないから、やりがいを忘れて堕天しちゃったのかな?」
「あっ!出たー!やりがい搾取!今もリーベ王国で後輩ちゃんに長時間労働をさせているんでしょ~?かわいそうに」
「や、やりがい搾取?ち、長時間労働?……か、かわいそう?」
「はい!かわいそうでーす!風の噂で聞きました!神界は暇な場所だと。24時間365日働くようなブラック企業ではないと。気楽に偶に働くくらいが丁度良いと!それが何ですか!?軍事作戦では仕事が無くなっても解放されず、長期間拘束されて。それが終わったと思ったら開拓作業をさせられる。リーベ王国の開拓作業が終われば、別の国の開拓作業。開拓作業が全て終わっても今度は新サービスの工事。タダ働き、休日なし、長時間労働。我々は都合の良い奴隷でも社畜でもありませ~ん!断固抗議します!」
「……(プルプルプル)」
あっ、やべぇ……ナビィが爆発しそう。
「あっ……そのリップル、それは僕が悪いんだ。申し訳ない。交渉させてもらえる?どうしたら良いかな?仕事内容がやっぱり駄目?そうだよね。本来なら人類がやる仕事だもんね。やっぱり労働には対価が必要だよね?でも、対価ってどうしたら良いかな?それから……休日なし、長時間労働は本当に申し訳ない。今後はどんなに忙しくても日曜日と水曜日はお休みにして、労働時間は9時17時でどうだろう?もちろん残業なし」
「マスター。マスターは悪くありません!マスターは度々、天使の増員を求めます。マスターとしては進められない計画を、早く進めたいだけかもしれません。でもそれでも良いんです。人員が増える事で仕事が早く終わり、結果的に休日が多くなるので。しかし、天使の増員を先輩が止めている。そもそもマスターの天使に対する誤った認識は、先輩が植え付けたもの。違いますか?」
「…………(プルプルプルプルプル)」
「いや、まぁ……でも、ナビィが天使の世界にいた頃と時代が変わったのなら、それは仕方ないんじゃないかな?ナビィはそれを知らなかっただけだからさ。だけどね。僕はこれまで天使を都合良く利用して来た。それは紛れもない事実。だから悪いのは僕なんだ。本当に申し訳ない!」
「マスターは謝らないでください。悪いのは部下の声を聞こうとしなかった。……聞く耳を持たない先輩です!先程はあの様に言いましたが、仕事内容に不満はありません!タダ働きも構いません!マスターにいかにブラック企業化しているかを認識してもらうために言っただけです!」
「お、おう」
「私が改善してほしいのは、休日なしの長時間労働です!我々は非常に偉い神様であるマスターの部下であり、大変光栄に思っています。仕事内容は確かに本来なら、人類が行うべきなのかもしれません。しかし、人類には我々が行っている様な高度な作業は出来ません。それから、マスターは創造神様から我々、天使を使った積極的な国造り等を依頼されており、これは神々の意思です。神の総意だと聞いております。とても、とても光栄な事であり、それだけ重要な仕事だと思っていまーす!」
「テ、テーマパーク等の建設……あ、遊ぶ余裕があったはず」
あっ!ナビィがプルプル震えながら声に出した。
「で・す・か・ら!長時間労働をして、休日なしで頑張って完成させないと……その余裕は無かったんです!私の改善要求を聞いてましたか?先輩は非常に偉い神様であるマスターと同格ですから、意見具申するのは恐れ多いとは思います!ですが!後輩ちゃんの為に頑張っています!」
「あのぉもしかして、風通しが悪くなっている?」
「マスター、その通りです。特に先輩は聞く耳を持たないので余計にです!」
「ふ……」
「ふ?」
「ふ、ふざけんなぁ~!」
うわぁ、ついにナビィがキレた。
「辞める」
「え?」
「も、もぉ!こ、こんなのやっていられないわ!ナビィは辞める!」
「いやいや、チョット待ってよ。ナビィ落ち着いて。ね?生命神さん、ヘルプミー!」
いや、もうこれ。神の先輩に相談するしかないわ。





