834 国境線について
1年10月21日
「やぁ、光一くん、それから皆もおはよう。生命神だよ~」
「おぉ!生命神さん、おはよう!ヘルプミー!」
皆も生命神さんに挨拶をしていった。
「皆、挨拶ありがとうね。それから農業計画についてもありがとう!疑問に答えて行くね」
「助かるけど、良いの?『甘えるな!自力で答えを見つけろ!』って言われてもおかしくないと思うんだけど」
「あー。まぁね。本来ならそうなんだけど、それを言っていたら年単位の時間が必要になるよね?そりゃ何でもかんでも答えを教えちゃったら面白くないと思うけどさぁ。この件に関してはお互い年単位の時間をかけたくないでしょ?」
「うん。全くもってその通り。待っていられないね。何故なら現状、世界各国は大和王国の食料に依存しているけど、これは国王として危険だと思うから。大和王国は災害が多いんじゃないかなと思っている。何らかの災害で大和王国の作物が駄目になった時、世界各国にも影響するのは避けたい。また、食糧不足で人がお亡くなりになったりしたら困る。だからリスク分散はしておきたい」
「この世界はイージーモードだから、地球ほどは災害は酷くないけどね。まぁ備えあれば憂いなしだよね。あぁ、そうそう、災害と言えばもうすぐ冬だよね?北海道は雪が積もるけど大雪という程ではないから安心して。とは言え雪まつりとか、スキーやスノボー等が出来る程度には積もるよ。山は別だけど、平地ではマイナス1桁だね。だから凍死する心配はないよ」
「穏やかな気候と聞いているけど、それなら過ごしやすそうだね。いやぁイージーモード助かるわ~」
「更に話が脱線するけどハワイは大和王国の領土にしないの?」
「また急だねぇ。大和王国の領土にする予定はないよ。そりゃ確かに紀伊半島の南にあるけど、やっぱりハワイは違うなぁと思うんだよね。急に話した理由は?」
「いや、ほら。観光はもちろんの事ながら、農業も良いと思うんだよね。例えばコーヒーとかマカデミアナッツの生産なんて良いんじゃないかな?と思うんだ~。大和王国の領土にしなくても、光一くんの子どもが王の国にする為の一時的な統治ならどう?」
「なるほど。あまり、世界各国の農産物の生産状況は詳しくないけど、南米とかも結構、色々と生産していたと思う。正直、迷う事はあるよ。開拓しておいた方が僕の子どもの為ではないか?とか。でもさ、国境をどうするか決められない。そこは僕の子どもと決めたいと思う。だから保留。……だってさぁ。アーシア大陸の4ヶ国は結構、大きい。これは世界が違うから当然だけど国境線が地球とは既に異なるでしょ?そりゃ国境線なんて重要なもの、実際に統治する子どもに相談せずに勝手に決められないよ」
「そっか。ゴメンね、話が脱線して。それじゃ今度こそ疑問に答えて行こうか?」
「その前に私から1つ補足させてもらっても良いかしら?」
「うん?ブリタニアさん、何かな?もちろん、良いよ」
「ありがとう。光一、何故、リーベ王国があの様な国境線になっているかを説明するわね。まず、リーベ王国の首都の目の前に、現在、大和王国の領土である大きな島があるでしょ?」
「あー。あるね。そう言えば創造神様に世界地図を見せていただいた時に、リーベ王国の領土として色が塗られていなかったからさ。何も考えずに領土にしちゃったけど、マズかった?」
「いえ、問題ないわ。というのも、リーベ王国の首都の目の前と言っても結構、距離がある。その上、大きな島で魔物もいた。だからリーベ王国は敢えてあの島を自国の領土にしなかったの。仮に将来、魔物を駆逐出来ても管理出来ないし、メリットがないから」
「あー、そういう事?」
「そう。次にティア王国との国境線について。その国境線には真ん中辺りに山脈があるの。海まで続いている訳でも無ければ、北の国境線の端まで続いている訳ではないけどね。本当に真ん中辺りだけ山脈がある。その山脈に沿うカタチで国境線が出来た」
「川や山脈等の地形に合わせて国境線が出来るのは、よくあるパターンな気がする」
「そうね、光一。でもティア王国の北側の国境線っておかしいと思わない?」
僕はイブか、のぞみがレストランの各席に設置されているタブレット端末に表示した地図を見る。
う~ん。……ん?確かにおかしい。
「なんでこれ、ティア王国はアーシア大陸4ヶ国の中央付近にある湖まで領土を細々と延ばしているの?そこまで、この湖って魅力的なのかな?」
「おかしい点はそこで合っているわ。その理由はいくつかあるの。まず、ティア王国は北の国境線の始まりを西の海に設定した。そうする事で西と南は海になり、魔物が来る恐れが無くなるから」
「なるほど。そりゃ合理的だね」
「うん。それでティア王国としては出来るだけ領土を大きくしたかったけど、北には一年中、雪がある様な標高の高い山々が連なる山脈があるの。だからティア王国は北も山脈に沿うカタチで国境線を引いた」
あー。エベレストがあるヒマラヤ山脈みたいなモノかな?そりゃどうしようもないわ。
「つまり、リーベ王国との間にある山脈よりも長くて標高の高いような……そんな山脈があるんね?もしかして、ヒンメル王国との間は西の方でしか行き来出来ない?」
「いえ、所々に谷って言うのかな?山と山の間に平地があるから、そこは行き来が出来ると聞いているわ」
「そっか。それじゃ山脈に沿うカタチで国境線を引いて行ったら、湖にぶつかったとかかな?」
「そう。理由の1つがそれね。それから国境線だけど……ティア王国とリーベ王国の北の国境線。キレイに繋がっていると思わない?」
「あー、確かにね。線を一本で書けるね」
「それは、各国の思惑が影響しているの。ヒンメル王国は東西と北を魔物の領域で囲まれていた。せめて南だけは……と国内の魔物の駆逐に成功しているティア王国と国境線を接する様にした。昔は接していなかったみたいよ?だけど頑張って南に領土を拡大して行ったということね」
「まぁ、四方を魔物の領域に囲われたら嫌だわな」
「そして、リーベ王国とヒンメル王国はこう考えた。国防上の観点から3つの国と国境を接したくないなと。グラウベ聖国は貧しかったから逆に、魔物の駆逐に成功しているティア王国から少しでも恩恵をもらえればと考えた。そして3ヶ国と国境を接した。とは言え、貧しく国内の魔物の駆逐に成功していないから、あまり領土を拡大したく無かった」
「なるほどね」
「さて、そうなるとティア王国は2ヶ国から魔物が入り込んでくる。かと言って国境線を変えても大して変わらない。だったら湖の近くに軍の拠点を設置しようとなった。水は重要だからね。それでリーベ王国だけど……他国が国境線を引いた。いつか、国内から魔物を駆逐出来た時の為に最大限まで領土を確保しておこうと考えたの。だから、地図上では領土が大きいけど、実際は他国との国境沿いにある街と、首都の付近にある街、それらの間にある中継地点となる街しかない。国内の殆どが未開拓地だわ。確かに領土は大和王国の次に大きいかもしれないけど、大した事ないの。自力で領土を大きくした訳ではないからね」
「解説助かる。まぁだけど……さ。良いんじゃないかな?自力で無くとも。それを否定されてしまうと、大和王国と……僕だね。創造神様から与えていただいた力と、大切な部下によって建国した大和王国と僕も否定されてしまうから」
「ふふふっ、私の望んだ通りの回答ね。そう、私は自力で開拓したり、国境線を決めなくても良いんじゃないかな?って思うんだけど……ハワイを開拓するのって駄目なの?」
「そう来たか……。まぁね。大和王国は僕が勝手に国境線を決めたし、開拓したからさ。『それなら、良いじゃない?』って思うのも分かるんだけどね。やっぱり僕は子どもと相談して決めたいんだ。色々な子がいると思う。『自ら開拓するのが楽しみ!』という子もいれば、『え~そういうの面倒』という子もいると思う。だから、あまり積極的に現在、各国が統治している領土以外を開拓したり、国境線を決めたくないんだ。それに必要性もあまり感じない。確かに例えばコーヒーとか、味の違いがあるかもしれない。だけど、その為だけに開拓する必要はないと僕は思う。何より世界人口が少ないから、人口が増えてからで良いと思うんだよね」
「そっか。光一の考えは分かったわ。そこまで言うなら、もう言わない。そうね……光一も街作りゲームで楽しそうに開拓していたものね。同じ様な子もいるかもしれないわね」
「うん。それにね、内心では大阪やエクセポートシティに移住する人がいるか。逆に多数の移住者により、他国に迷惑をかけないかが心配なんだ。それもあって、あまり各国の領土以外を開拓したくないの」
「心配しすぎだと思うけど、まぁ国王としてはそれが丁度良いのかもしれないわね。光一の考えが聞けて良かったわ。生命神さん、お邪魔してごめんなさい」
「ブリタニアさん、謝る必要はないよ。僕も考えを聞けて良かったと思っているところだし」
心配と言えばせっかくだし、生命神さんに前々から気になっていたアレを聞いてみようかな?





