831 リーベ王国開拓計画
1年10月16日
「それでイブ、何か計画があったりするのかな?」
「光一さん、あるわよ。まずは大和王国国内の果樹園や茶畑で、試験的に生物成長促進魔法を使って収穫してみる。それで問題無ければ、次の段階に進めるわ」
「次の段階?」
「そう。アルバートさん、それから次期国王のハミルトンさん、お願いがあるのだけど……ブルーローズテクノロジー社に街の外の未開拓地を貸してもらえないかしら?貸してもらえたら開拓させてもらって、大規模農園をつくってコーヒーや紅茶、小麦、蕎麦……その他に野菜、果物等をつくろうと思うのだけど……駄目?」
「お父さん!条件次第だけど、前に話した食料自給率の問題の観点からもここはお願いをすべきかと思います!」
「お、おう。ハミルトン、そうだな。私も同じ考えだ。それで……どの様な条件だろうか?」
「とりあえずリーベ王国の中央辺りの未開拓地を無償で貸してもらいたいわ。収穫した作物は全てリーベ王国に無償で寄付させてもらうから。しばらくはこの条件でお願いしたいわね。ただし、将来的には農業を学んだリーベ王国民を雇用したいと考えているの。その際も継続して収穫した作物の全てを無償で寄付させてもらう。その代わりに従業員の給料分は、例えば人工知能サービス等の他で稼いだお金からの寄付が少なくなるけど、そこは許してもらいたいわ」
「え?そんな条件で良いのか?無償で貸すも何も、しばらくは開拓する予定も使ってもいない土地だ。なにせ人口が少ないからなぁ。そこを開拓してくれる上、収穫物を全て国に無償で寄付してくれるのか?私は開拓した代わりに収穫物を買わされるとかするかな等と思っていたんだが……他に条件はないのか?」
「他に条件はないわ。これは条件では無く、お願いなのだけど、恐らくだけどリーベ王国だけでは、とても消費しきれない程の量を収穫出来ると考えているわ。そこで、出来れば余った分は大和王国政府に無償提供してもらえないかしら?後は大和王国政府から世界各国の政府に無償で分配させてもらうから。リーベ王国を含め世界各国の政府には引き続き食料の物価を安定させてもらいたいの。どうか協力してもらえないかしら?……あっ、輸送は全て大和王国側で行うから安心して。リーベ王国政府が大和王国まで運ぶ必要はないわよ」
「私は是非とも協力したいと思うが……それならブルーローズテクノロジー社側で収穫物を市場で販売して、余った分を世界各国に……という形で良いのではないか?」
「それでは意味合いが変わってくるのよ。土地はあくまでもリーベ王国のもの。それを無償で貸してもらい、開拓させてもらった見返りに、ブルーローズテクノロジー社は収穫物を国に全て寄付させてもらうという名目。開拓したから土地の所有権は、ブルーローズテクノロジー社にある……と考える事も出来るけどね。まぁ考え方次第ではあるけども、契約書で土地の所有権は求めないと明記するわ。例えば国から『その土地から出ていけ』と言われたら出ていく考えだし、それも明記するわね。ここまでは良いかしら?」
「いや、将来的に我が国の国民を雇ってもらえるのなら、『出ていけと言われたら出ていく』というのは、雇われている国民の生活の観点から良くないと思う。私は土地の所有権は認めるべきだと考える。確かに他国が土地の所有者なら問題だが、ブルーローズテクノロジー社なら問題ないと思う。最高経営責任者は半永久的に光一くんなのだろう?」
「ブルーローズテクノロジー社の最高経営責任者は、アルバートさんの言う通り半永久的に僕だね。大和王国もだけど、僕の子孫に王や経営を譲ってもそれを上回る権限は保持し続けるつもりでいるから」
「それなら何の心配もない。将来的にどうしても開拓してもらった土地が必要になったとしても、相談すればすぐに対応してくれるだろうからな。名目については契約すれば良い話だ。何の問題もないと思う」
「それじゃ、そうさせてもらうわね。それで続きの話ね。面倒かもしれないけども一度、リーベ王国に寄付をして、余った分を大和王国に無償提供というカタチにした方が良いの。そうするとリーベ王国民を含め、世界各国の人々は『リーベ王国は世界各国の為に貢献しているんだ』と思うんじゃないかしら?生産したのはリーベ王国政府でないけども、リーベ王国政府が大和王国政府に無償提供をし、世界各国へ……という事実が重要だと考えるわ」
「お父さん、僕はありがたい事だと思うけど、どう思う?」
「ふむ、確かにな。凄くありがたい事だと私は思う。我が国が世界に貢献しているというのが目に見えて分かると、国民、世界各国の人々の心に与える影響は大きいと考える」
「うん。私達としては不公平感という心配事があってね。リーベ王国は我が国の次に大きな国というのもあり、今回、この話をさせてもらっているの。しかし、いくら未開拓地……それも自ら開拓したとは言え、自国の広大な土地を使って生産した食料を、世界各国に輸出ではなく、無償提供している。何故、他国の為に?不公平だ!そう思われないか心配でね。だから条件では無くお願いとさせてもらったの。それも我が国は世界に貢献していると、リーベ王国民に思ってもらえる方法でね。この心配事があったから当初、国から『出ていけ』と言われたら出ていくという案にさせてもらっていたという訳よ」
「なるほど、そういう事か。だが、心配する事はない。十分、配慮をしてもらったから大丈夫だろう。万が一、国民が反対等をしたらまずは王が必要性の説明をする事だ。いきなり『出ていけ』等と言うことはない。宰相はどう思う?」
「国王陛下と王子殿下のおっしゃる通りです。大変ありがたい提案だと私も思います。まず、食料自給率の問題が解決されます。次に雇用創出にもなります。食料の無償提供で我が国の貢献は高く評価されると思います。更に申しますと産業が発展し、国家間の輸出入が活発になればですが……食料を他国に無償提供ではなく、売れるようになれば、これは我が国の強みになります」
「宰相もそう思うか?」
「はい。本来なら自力で開拓をすべきですが、それは今の人口では難しいですから。……心配事に関しては報道で国民に目的と我が国のメリットを伝えれば、大丈夫だと思われます」
「それでは、農林省と国土交通省と話をしながら進めるわね。まずは、農林省で契約に問題がない事を確認してもらおうと思うわ。ニュース番組での報道は契約後にさせてもらうわね」
「未開拓地なら好きに開拓してもらっても構わないが……?」
「アルバートさん、そうも行かないわ。関係する省とは認識合わせをしておかないとね」
「まぁそれもそうか。それではよろしく頼む」
「了解よ」
「それでイブ?肝心の商品はいつ頃に販売出来そう?」
「そうねぇ……ナビィさんとも相談しないといけないけど、恐らく来月頭には販売出来ると思うわ」
「はえぇ……」
「おー!それは非常に楽しみです!その際はコーヒーを自動的につくる機械の導入をよろしくお願いします!」
「息子の言う通り私も楽しみです。私からもよろしくお願いします」
「そうね。その際はコーヒーマシンを導入させてもらうわね。カップの大きさは3種類。小、中、大ね。オススメは小が100円、中が150円、大が180円ね。使い方等の詳細は導入する際に説明させてもらうから、よろしくね」
「分かりました!こちらこそよろしくお願いします!」
「あー。それからついでに報告をしちゃうと、来月頭にはアーシア大陸制圧作戦が完了する予定よ。光一さんとハミルトンさんに分かりやすく言うと、地球でいうユーラシア大陸の制圧完了を意味するわね」
「おぉ!遂にこの大陸から魔物が駆逐されるのか~。いやぁ良いね。僕としては作戦が完了したらしばらく休んでもらいたいね」
「いやぁ~我が国もやってもらったが、大和王国の国防軍は素晴らしいな!本当におめでたい報告だ!」
「私からの報告はとりあえず以上よ。……いえ、農林大臣と職員が契約書を確認して、契約内容に問題ないとの事よ」
「お?そっか。私としては契約内容は先程、話した通りであれば問題ない。あー、わざわざ農林大臣を呼ばなくて構わんよ。私は見ないが、宰相はどうする?」
「それでは私は念の為に確認させていただきます」
「分かったわ。宰相さん、これが契約内容ね。確認よろしく」
「ありがとうございます。少々、お待ちください…………はい、特に問題ないですね」
読むのはやっ!片面1枚とは言え、小さな字でビッシリ書いてあるんだけど!やっぱり仕事柄、文章を読むのに慣れているのかな?
「うむ。確認ありがとう。契約書に私が署名した方が良いのかな?」
「えぇ、お願いするわ。申し訳ないけど2枚分、書いてもらえると助かるわ。リーベ王国用とブルーローズテクノロジー社用ね。ないと思うけど、どちらかが紛失したと主張してトラブルになるのを回避する為にお願いするわ」
「分かった。…………うむ、2枚分書けた」
「それじゃ、1枚だけ返してもらって、もう1枚はリーベ王国側で保管しておいてね」
「うむ。……それで問題ないかな?」
「えぇ、問題ないわ。ありがとう」
「それでは国王陛下、もう1枚は私が預かっておきます。次の定例会議で大臣が集まった際に、私から農林大臣に預けて、農林省で保管させます」
「おっと、そうか。定例会議か。とりあえず宰相、契約書をよろしく頼んだ」
「承知しました」
「それで、光一くん、18日も来てくれるなら午後からにしてもらえると助かる。午前中は定例会議の予定があってな」
「了解。定例会議をしているんだ。初めて聞いた気がする」
「国王補佐官に言われて始める事にしたんだ。隔週金曜日にな。全ての大臣と情報共有する為の場だ。現場にエテルノがいるとは言え、大臣は人間もいるからな。各省の横の繋がりを強化する為にも情報共有は重要だろうという事でな。車3台あるから大臣は各省が入った建前とこの家を行き来しやすいし丁度良いと思う」
「なるほど、それは大変そうだね。お疲れ様。あー、そう言えば僕の祖国も毎週2回、似たような事をしていたなぁ」
「まぁ私は報告を聞いたり意見を言うだけだから大した事はないが、大臣は報告をしなければならないから、大変かもしれんな。しかし、毎週2回に比べたら楽なものだろう。一体、毎週2回会って何をするのだろうか?」
「会議の内容は非公開だから不明だけど、まぁ色々な問題について話し合うんじゃないかな?僕の祖国は問題が山積みだからねぇ」
「先進国でも色々と大変なんだなぁ。ところで国王補佐官、報告はもうないかな?」
「アルバートさん、予定通りにニュース番組で報道をさせてもらったわ。今は農林省と国土交通省で合同会議を開かせてもらって、計画に問題等がないかを確認してもらっているところ。リーベ王国用の私の身体を使って説明しながらね。いずれにせよ別のプロジェクトで光一さんの天使を使っているから、工事が始められるのは19日だと思っているわ。だから我々としては18日までに各省から許可をもらえれば良いの。いきなり今日、話をして判断をしてもらうのは難しいと思うからね。彼らにもそれなりの仕事量があると思うし」
「明日の会議の主な報告内容はその件かな?了解した。そっか。工事を始められるのは19日か。別のプロジェクトと言うと、テーマパーク関連かな?」
「その通り。テーマパーク関連ね。さて、報告は以上だし仕事はこの辺で終わりにして、せっかくだし皆さんと会話しましょう?」
「うむ、そうだな。皆、せっかく来てくれたのだからな。それではリリアナさん、質問とかはあるかな?何でも構わんよ」
「そ、それでは、テーマパークって何ですかね?」
「おー!テーマパークか。光一くん、説明してもらえるかな?」
「もちろん、良いよ。テーマパークはね……」
そうして僕達は雑談を始めた。テーマパークの話をすると盛り上がり、トーマンド家の皆さんも体験してみたいという話になった。
そこで、お店を休んでもらう事になると思うけど、地球からのお客様と一緒に体験してもらう事を提案した。
最初は遠慮していたが、エテルノのマドレットちゃんが「貸し切りイベントに参加出来るのは貴重だよ!」等と言って説得。地球からのお客様と一緒に参加してもらう事になった。
そんな感じで会話をしたり一緒に食事をする内に、トーマンド家は徐々に緊張が和らぎ、心の距離が縮まった様に感じた。
解散後はいつも通りだ。夜は紗也華と寝た。もちろん遊んだけど、ゆっくりと会話も楽しみ寝た。
いやぁ~今日も楽しかった~!





