81 トラバント地方と夜戦
1年6月3日
「目が覚めたら隣にいるはずの夫がいない。トイレかなと思ってみてもいない。部屋中どこを探してもいない。私がどんな気持ちだったと思う?」
「悪かった。配慮したつもりだったんだけど心配と不安にさせてしまって」
「私はあなたがいないと駄目なの!この国はあなたがいないと駄目なの!」
「はい」
後ろでは戦闘が続いている。
「私も産まれた時から王族よ。王族としての考え。あなたの考えも理解出来るわ。でも今のあなたはこんな光景を観るべきではない!」
「……」
僕は言っている事はよく分かるから何も言えない。
「私はまたあなたが倒れたら!記憶喪失になったら!廃人になったらと思うと怖いの!今回は一時的な記憶喪失で済んだけど廃人になる可能性もあったんだから!」
「そうだ……ね」
「もう私の前から消えないで!少しは私を頼ってよ!無茶しないで!お願いだから!」
「はい」
「人間同士の戦場は地獄だって事はあなたがこの世界の誰よりも理解しているんじゃ無かったの?この戦闘自体を否定している訳ではないわ。私が言いたいのは繰り返しになるけど今のあなたが地獄を観るべきではないと言いたいの!分かる?」
「分かります」
「生命神様が言っていたように今日あなたが寝れば完全回復していたかもしれないわ。でもあなたは途中で起きてここに来たでしょ?回復どころか精神的に大ダメージを受けてどうするのよ!バカ!アホ!」
「ごもっともです」
「もうっ!後ろでドンパチうるさいわね!元はと言えば原因はあいつらよね?まとめてぶっ飛ばしてやるわっ!」
頭上に青く光る何かを出したと思ったら相手陣営に向かって行った。
敵全体に青い炎が襲いかかった。何故か人だけで草木は燃えていないけど。
……青い炎って記憶が正しければ高温だよね?魔法はイメージだからそれだけ怒っているって事?
こわっ!まぁ僕が悪いんだけど半分八つ当たりにされた敵さんお疲れ様でした。うん、燃え続け骨すら残っていないもん。
あっ!急にクラっとした。
「あなた!大丈夫?倒れそうになったけど!だから言ったじゃない!」
ステータス確認。約60万あった魔力が約30万まで急激に減ったらクラっとするよね。
「今のはあなたが僕の魔力約60万の内、約30万の魔力を使ったからふらっとしたんですよ……」
「あら?私、そんなに魔力使ったの?怒りに任せてぶっ放しただけなんだけど」
この人、怒らせたら怖い。僕のステータスでも多分あの攻撃は耐えられないと思うよ。
「マスターと国王陛下。偵察用ドローンによると敵は全滅したそうです。お疲れ様でした」
「あの……ブリタニアさん、今回は本当に申し訳ありませんでした。以後、気を付けます」
「分かれば良いのよ。分かれば」
60万人の敵を瞬殺したブリタニアさんマジ怖い。
「アクアオーラちゃん、とりあえず状況終了。アイオライト含めいつでも出陣出来るように待機していた人員は帰還。今回、追加した20万人は街の治安維持のために残るように伝えてくれる?ゲートを開くから僕の所に来るようにと」
「分かりました!伝えます!」
「それから、避難していた人達は帰ってもらって大丈夫だと思う。役所とマンションの防犯用シャッターも上げてもらえればと思う」
「それも伝えます!」
「アクアオーラちゃんは私の側近なのに!」
「いや、連絡要員として便利で……はい、自分の側近を別途用意します!」
一瞬、殺気を感じた。奥さんマジ怖いです。奥さん後2人増えるの?僕、無理な気がしてきたんだけど。
ゲートを開いておいたら洗練された動きで皆、帰還していった。
うちの国、軍事力で言ったらアメリカ相手でも勝てそうな程チートな軍事力だな。
「アクアオーラちゃん。これで全てかな?」
「はい!」
「残っているメンバーには申し訳ないけど、今日は役所に泊まるか野宿してもらいたいと伝えてもらえるかな?朝になったら色々と準備するからって」
「分かりました!」
「それじゃ帰ろうか」
「うん、帰りましょう」
マンションに帰ってきた。
「風呂に入って寝ようか」
「風呂には入るけど今日は寝かせないんだから!」
「え、朝になったら仕事が……」
「寝かせないんだから!心配と不安にさせた罰よ!」
「そ、そんな」
僕、やっぱり後2人のお嫁さんが来るの無理な気がしてきた。
その後は朝まで寝かせてもらえず、ナビィを呼んで「夜戦をして疲れたから昼まで寝かせて」と待機しているエテルノ達に伝えてもらった。
僕、嫁さんの尻に敷かれていない?大丈夫?色々と不安に思いながら結局、昼まで寝たのであった。





