820 食品冷却サービスについて
1年10月13日
結婚式会場についての話が終わった頃。
「話が一区切りついたわね。建物の大改造が完了したわ。あっ!建物の電気代は無料化しておいたから。ハミルトンさん、税金はかかる方針で良いのかな?」
「うん。申し訳ないけど、僕が国王になったとしても、税金免除まで特権を与える訳には行かないかな」
「そしたら電気代がない分、税金がかかっちゃうかもしれないけど、そこは許してもらいたいわ。それで店の設備についてと、住居部分の引っ越しというか荷物の整理を相談させてほしいの。店の設備は例えば冷蔵または冷凍機能の付いたショーケースとか」
「建物丸ごと、電気代を無料化していただいたんですか!?税金はもちろんお支払いします!……ですが良いんですか!?あのショーケースが使えちゃうんですか!?お父さん凄い事ですよ!」
「お、おう。そうだな。……ショーケースは良く分からないが」
「うん。使えるわ。それじゃ一旦、アリエットさんのご両親とお兄さん、建物に行きましょうか?」
「ナビィ、チョット待った。あのショーケースってメンテナンスが必要だよね?」
「光一さん、そうだけど……エテルノのマドレットさんがいるから大丈夫かなって」
「空調設備の本格的なメンテナンスには結構な労力がかかると思うけど」
「光一さんの言う通りね。ショーケースの清掃は出来ても本格的なメンテナンスまでは出来ないわ」
「そ、そう?」
「……ナビィさん、頭を近付けてもらえる?」
「は、はぃぃ……ふむふむ。そういう感じね。了解よ。とりあえずその方針でやってみるわ」
「お願いね」
「そ、それじゃ今度こそ、一旦、建物に行きましょう?」
「分かりました。それでは皆さん、失礼します!」
お父さんのトーマンドさんが言うと、お母さんとお兄さんも「失礼します」と言ってナビィと一緒に去って行った。
「イブ、設備の導入から運用、保守、メンテナンスまで月額料金で一括して行うサービスを出来ないかな?運用、保守はクラウドを活用するカタチで」
「流石は元システムエンジニアね。私も同じ事を考えていたわ」
「流石は超頭が良いイブ。冷蔵設備については専門外だけどIT機器と似たようなモノだと思う。つまり、壊れたり障害が発生する。そういうのが無くても定期的なメンテナンスが必要という認識でいる。だから需要があるかは分からないけど新サービスを始めたい」
「認識に相違ないと考えるわ。まず、需要については前提として3つの情報を。1つ目はあの様な地球で言うコンビニ程度の大きさは少ないけどもそれなりにある。コンビニ程度の大きさでは無くてもそれに近いお店もあるし、殆どのお店がショーケースを設置可能。やはり、商品を置かないと売れないから。教育を受けていなくても長年の経験から鮮度の良い商品、見た目が良い商品が売れやすいみたい」
「まぁそうだよね。商品は選びたいよね」
「2つ目は全ての食品が常温で置かれている。冷蔵した方が良い青果、肉、魚等もね。だから鮮度が落ちやすい環境にある。あまりよろしくないわね。3つ目は複数の街に店があるという商店が決して少なくない。だからクラウドは適していると思うわ」
「なるほど」
「私の考えるサービス案はこんな感じよ。1つ目、温度監視、メンテナンスサービス。温度が低すぎれば設定温度を上げる。逆も然り。また、様々なセンサーで冷蔵設備の管理をする。温度異常が発生したらスタッフを派遣してメンテナンスをする。2つ目は点検、清掃作業の代行。これは結構、面倒な作業だわ。かと言ってサボると故障や食品衛生に関わる。だから最初から行う」
「ほうほう」
「3つ目は見える化。クラウドにログインすれば機器の情報を見られる様にする。例えば警報履歴、電気使用量、機器の温度の情報を分かりやすい画面で、グラフ等を用いて、見える化する。また、日報も作成する。温度を分析して、温度設定を可能な限り上げて省エネ化をする。ログインする際に見られる権限を管理出来るようにする。例えば本店の店主は全権限保持者で全ての店舗の情報を見られる。全権限保持者が権限の管理をする事ができ、例えばA店はA店の店長に。B店はB店の店長だけしか情報を見られないとかね。4つ目は故障や老朽化した機器を追加料金無しで積極的に交換する」
「おー!良いね」
「まとめると、24時間体制での機器監視と障害対応。毎日、機器の最適化や点検、清掃を行う。見える化。機器交換。これをサービスとして提供する」
「うん。良いと思う。『食品冷却サービス』と名付けるとして……料金設定はどうしようか?」
「これは店の規模と導入する冷蔵設備によるからお客様毎に見積もりが良いと思うわ。地球だと同様のサービスでスーパーマーケット程の大きさだと月々約75万円だけどね……。我々の場合は導入コストがかからないから月々8万円かな?ナビィさんにはショーケースの工場建設もお願いしたわ」
「たっか!まぁでも日本の主要都市にあるスーパーマーケットなら、十分やっていける金額か。いや、過去形にすべきか」
「そうね。例の人口が激減した事件の影響で過去形になるでしょうね」
「まぁ、例の事件は置いておいて。料金は見積もりで要相談という事で、僕からは基本方針だけ。普及させる事を優先してもらって、料金は基本的に安めでお願い。儲けても国の予算になるだけだしさ」
「了解よ。まぁそのつもりでいたから安心して」
「あなた達は相変わらず金儲けの事を考えるのが得意ね」
「いやいや、ブリタニア。嫌だなぁ。別に金儲けが目的ではないよ?……全てがそうとまでは言わないけど。国民生活を豊かにする事を考えた結果、そうなっているんだからね?それに良いじゃない。誰も損をしていない訳だし」
「まぁ。利益は基本的に国の予算になって、人口増加等の政策で国民に還元されているものね。私腹を肥やしている訳ではないから良いんだけどね」
「あっちなみに。会話には参加していないけど、僕も裏ではイブちゃんと連絡して関わっていたりするんだなぁ」
「やっぱり?だから『2人』とは言わずに『あなた達』って言ったのだけど正解だったわね。……それで、良いんだけどね?仕事の話をするの本当に好きよね」
「ブリタニア、そりゃ僕もたまには本格的に仕事をしようと思うよ?」
「たまにはねぇ?……まぁ良いわ。それよりもアレはいつやるの?」
「まぁまぁ、ブリタニア。そう焦らずにね。ハミルトンくん、帰って来たら……」
僕はナビィと3人が戻って来た後の会話について、ハミルトンくんと打ち合わせをする。





