819 両家顔合わせについて
1年10月13日
会議室に入ると……。
「国王陛下、王妃陛下、王子殿下、お会いできて大変光栄に思います!」
「私も夫と同じです。お会いできて大変光栄です!」
「僕も大変光栄に思います!ですが、お父さん、お母さん、まずは自己紹介をしないと」
アリエットちゃんのお兄さんのルフレンスさんがそう言うと、お互いに自己紹介をしていった。
そして僕達は席に座った。
「そ、それじゃ僕から。失礼して敢えて敬語では無く、普通に話させてもらうね。僕は娘さんのアリエットちゃんと結婚させてもらいんだけど、認めてもらえるかな?結婚は既に発表している初音ちゃんとの結婚式と、同じ日にさせてもらいたいんだ。正妻ではないんだけど、それでも認めてもらえるかな?」
「それでは代表して父である私から失礼します。ありがとうございます!私も妻ももちろん認めさせていただきます。結婚させていただけるだけで、大変光栄な事であり、嬉しく思います。娘をよろしくお願い致します」
「母である私からも一言、失礼させていただいて、娘を何卒よろしくお願い致します!」
「結婚を認めてくれてありがとう。こちらこそよろしくね。アリエットちゃんの事は大切にすると共に、必ず幸せにするからね」
「ハミルトンくん、私は結婚出来るだけで幸せだわ!……ヒィッ!」
「あー!チョット待った!アリエットちゃんのお父さん、お母さん、お兄さんも怒らないで!『婚約するのだから敬語は止めて、親しくしてほしい』と僕からお願いした事だから!」
「そうでしたか。失礼致しました。娘と親しくしていただきありがとうございます」
「いえいえ、でもアリエットちゃん、結婚だけで満足してもらったら困るよ。僕はアリエットちゃんと仲良く幸せにして行きたいんだから」
「まぁまぁ、ハミルトン。私はアリエットちゃんの気持ちも分かるわよ。結婚出来るだけでも幸せなものよ。特に結婚式まではね。でもハミルトンはそれ以上に幸せにしてあげれば良いのよ」
「そういうものなの?お母さん?」
「そうよ。それから、トーマンドさん、アメリエットさん、ルフレンスさん。結婚したのだから敬語は無しで仲良くしましょう?」
「いえいえ!王妃陛下、ご提案は大変ありがたく、私からお断りするのも恐縮ですが……正直、お恥ずかしい話、緊張しております。仕事柄、敬語の方が楽ですのでこのままでお許しいただきたく存じます」
「私も夫と同じです」
「あら?そう?まぁ気持ちも分かるから徐々に……そうねぇ。まずは徐々にくだけた敬語にしていきましょう?そうだわ!まずは名前で呼んでもらえると嬉しいわ。『エイリーンさん』って呼んでもらえるかしら?……疑問形だと呼んでもらえないか。それではその様に呼んでね。敢えてここは命令というカタチにさせてもらうわね」
「エイリーンの言う通りだ。公式な場では問題になるかもしれないが、ここはそうではないからな。ハミルトンの婚約相手の家族とも仲良くして行きたい。私もお互いに徐々に距離を縮めて行けたら嬉しく思う。そういう訳で私も『アルバートさん』と呼ぶ様に。よいな?」
「承知……いえ、分かりました。ありがとうございます。それではエイリーンさん、アルバートさんと呼ばせていただきます」
「私も夫と同じくそうさせてもらいますね」
「うん。良いわね。そんな感じで徐々に距離を縮めて行きましょう?」
「お母さん、ありがとう。それじゃ僕も『ハミルトンさん』でよろしくね」
「はい!ハミルトンさん、改めて娘の事をよろしくお願いします」
「うん。任せてよ。僕も幸せにする様に頑張るから。あー光一お兄さん、エルフとハーフエルフの件、話しても良いかな?」
「良いんじゃないかな?だって、いずれ明らかになる事だから。まぁ~数千年後の事かもしれないけど」
「うん。そうだよね。それじゃ話すね。驚くかもしれないけど、エルフとハーフエルフには寿命がないみたいなんだ。あーそうだよね。驚くよね。アリエットちゃんと結婚すると僕から見て皆さんは親族になる。そう。赤の他人という訳ではないんだ。だから仲良くしてほしいな。僕は今後も年に何回か会いたいな。嫌かな?あまり関わりたくない?」
「いえ、ハミルトンさん。関わりたくないだなんて、とんでもありません。嫌でもないです。そう言っていただき、むしろ嬉しいです。ありがたいお話です。今後ともよろしくお願いします。……この様な場で言うのも何ですが、私は人間ですので老いて亡くなります。ですが、娘や妻、息子とは末永くどうかよろしくお願い致します」
「ハミルトンさん、私も嫌ではありませんし、むしろありがたく思います。ですが、質問をしても良いでしょうか?」
「僕に答えられる事なら何でも良いよ」
「縁起でもない質問ですが、お許しください。寿命がないかもしれませんが、病死はする認識で合っていますか?エルフの国にいた頃、見聞きした事があるのですが」
「あー。その件は僕が答えるね。あっ僕も光一さんでよろしくね。僕も元平民だから気持ちがよく分かるから敢えて言うね。命令という事でよろしく。それで、質問の答えだけど結論を言うと僕が整備した病院があるから助かるよ」
「光一さん、そうなんですか?」
「うん。僕が街を整備するまで衛生環境は悪かったし、病院も無かった。食糧不足という問題もあった。だから病死した。そして寿命があると勘違いされた。神々としてもこれを訂正しようとは考えなかった。何故ならエルフに寿命がないと広まると他の人類が快く思わないかもしれないと考えたから」
「なるほど。確かに人種差別等の問題が生じたかもしれませんね」
「そう。エルフの神が生命神の部下を使って、エルフとハーフエルフを守っているから大丈夫。もし身体に異常があれば早期に気付けて病院に行けば治療出来るよ。だからよっぽどの事が無ければ……例えば心臓を刺されたりね?そういう事が無ければ永遠に生き続けるよ」
「そうですか。ここで言う話でもないですが、そういう事であれば、私は夫が亡くなった時に後を追います。これでも夫を愛していますから」
「大馬鹿者!アメリエット、それで私が喜ぶとでも思っているのか?私は私の代わりに、ルフレンスやアメリエットを見守っていてほしいと思っている。私は私の死後、良い人が見つかれば再婚しても良いと思っている。愛してくれているのは嬉しいが、それなら私の意思を尊重してほしい。息子や娘の為にも私の後を追う様な愚かな事はしないでほしい」
「そうよ。私もエルフで人間の夫がいる女性という同じ立場だから気持ちは分かるわ。でもね。私達には子どもを守る責任があるのよ。寿命で子どもより先に亡くなるのは仕方ない事だわ。だけど、私達には寿命がない。せっかく神々がそうしてくれたのに、子どもを守る責任を放棄して、子どもに悲しい思いをさせてまで夫の後を追ってどうするの?大人になって結婚しても私達の子どもである事に変わりはないわ。後を追うのは子どもに先立たれ、自分一人になった時に考えなさいな。それともあなたが愛しているのは夫だけで子どもは愛していないのかしら?」
「……いえ、子どもも愛しています。そう…ですね。私が愚かでした。すみませんでした。……でもあなた。私はあなたと以外ありえないわ。それはあなたを愛しているからというのもあるけど、私の考えとして他の男性と結婚だなんて無理なのよ」
「エイリーンさん、説得にご協力ありがとうございます。アメリエット、愚かな事をしないでくれるのなら私は君の意思を尊重するよ。ありがとう」
「お母さん、もし僕が結婚しても絶対に追い出したりなんてしないからね。それが無理だと言う女性とは結婚しない。あー邪魔になるとか思わないでほしい。お母さんには僕を守る責任があるけど、僕もお母さんを守る責任があると思っているから。だから、お願い。お父さんが亡くなった際に突発的な感情で後を追ったりしないでね」
「ル、ルフレンス?私は?」
「話の流れで言わなかっただけで、お父さんも追い出したりしないよ」
「そっか。私だけ追い出されるのかと焦った」
「そんな事、僕がするわけないでしょ?」
「ルフレンス、ありがとう。分かったわ。でもお母さん、あなたが結婚したら流石に一緒に住めないわ」
「あー。横から失礼。ルフレンスくんの気持ちも分かるけど、アメリエットさんの気持ちも僕は分かるよ。ところで質問なんだけど大きな店だよね。従業員はいるのかな?」
「それは店主の私が答えますね。従業員は先月末に別の街の店に移ったので、現在はおりません。妻と2人でやっていましたが、これからはルフレンスと3人で店をやっていく予定です。ルフレンスとは、結婚後も3人でやっていくと話していたところです。ルフレンスの結婚相手が自ら手伝いたいと言えば4人でやっていく予定です」
「そっか。となると店の近くか、店の上に住みたいよね?」
「そう……ですね。はい」
「大きな店だけど2階建てだよね?周りは3階以上の建物が多いのにどうしてなのかなぁって気になったんだ。どうしてかな?」
「店は順調で生活もお陰様で余裕はあるんですが、3階建てにするだけの金銭的余裕が無かったんですね。新街に移る際に建て直そうと思ったんですが、何しろ店が大きいので、2階建てでも豪邸を建てる様なものなので、流石に3階建ては無理だと言うのと、2階建てで十分だと言う両方からですね」
「それじゃ3階建てにして完全分離型の2世帯住宅にしちゃおう。2階はアメリエットさんとトーマンドさんが住んで、3階はルフレンスさん夫婦が住むという事でどうかな?無料で対応するよ。婚約祝いという事でね。完全分離型の2世帯住宅とは何だと言うと……ひとつ屋根の下に住む事には変わりないけど、玄関が2つあり、台所やお風呂等が2つある。そうだねぇアパートみたいなものだと思ってもらえれば良いかな?これなら家から追い出す事にはならないし、ルフレンスさん夫婦の邪魔にもならない。どう?」
おっ!アメリエットさんもルフレンスさんも悪くない反応。むしろ良い反応をしている。
「い、良いんですか?まさに妻と息子の要望に合う案でありがたいのですが、本当に良いんですか?」
「もちろん構わないよ。イブ~」
「了解よ」
イブはそう言うとノートパソコンを出して、起動。そして家の設計図を表示した。
「2階部分の設計図はこれで合っているかしら?」
「おー!は、はい!合っています!」
「今の家に不満があったりする?例えば台所が狭いとか」
「いえ、特にありません」
「私も特にないですね」
「私も両親と同じく特に不満はありません」
「それじゃ~。……こんな感じにしても大丈夫?」
「あっ!そうだ。私から良いですか?」
「ルフレンスさん、何でも言って」
「今、屋内に階段があるんですが、外に階段を造るか増築出来ないでしょうか?」
「理由を聞いても良いかしら?」
「出来るだけ店を大きくしたいというのが理由です」
「ふむ……店の大きさに不満があるの?」
「はい。出来るだけ大きな店にして今、扱えていない商品も扱えたら良いなと思います」
「それじゃ2つ質問するわね。建物の裏に、少し大きな……車で言うと約32台分の庭があるわよね?建物を倍に出来そうな程の大きさね。こちら側も道路に面しているわ。この庭は必要?それとも将来、駐車場にする予定なのかしら?それから、店の倉庫は……間取り図はこれね。この大きさ必要なの?」
「その質問は店主の私から答えますね。そこは元々、不動産屋がアパートを建てた場所なんですが、需要より供給が多いとかで取り壊されて空き地になったんです。それで不動産屋から土地を買わないかと言われて買ったんですね。将来、何かに使えればと思いまして。今の所、何も予定はないのですが……。倉庫は私が魔法を使えなかった関係で、大きめにつくったんです。ですが、お陰様で魔法が使えるようになりましたので不要だと思います」
「それじゃ建物を倍にしましょう。そして店の入口を2つにするの。面倒だから今、建物が面している側を表通り。建物の裏側を裏通りと言うわね。建物を倍にして、入口を2つにする事で表通りと、裏通りの両方からお客様が入る事が出来る。そうすると裏通りに面した建物の住人も、お店に入りやすくなるわ」
「えっ!?そこまでしていただいて良いんですか?」
「構わないわ。建物自体は縦長になるわけでは無く、今まで長方形だった建物が正方形に近くなるわね。だから住居としては良いのではないかしら?縦長で倍になると不便な住居になってしまうものね。倍にする方に倉庫は無し。今までの倉庫は住居スペースにする。具体的には玄関と階段ね。後はトイレと洗面所。1階の玄関で靴を脱ぎましょう。そしてスリッパを履いてもらって階段を上る」
おー!住居部分はどうするんだろ?
「住居についてこだわりはある?……あーないのね。分かったわ。それじゃ~2パターン。部屋数が多い方と部屋が大きい方、どちらが良いかしら?」
イブがそう言うと画面に2パターンの設計図が表示された。
「私は部屋が大きい方が良いかもしれない。アメリエットは?」
「私は……そうねぇ。同じく部屋が大きい方が良いわ」
「私も両親と同じくです」
「ありがとう。了解よ。それで、ルフレンスさん。お店はやっていけそうかしら?」
「はい!色々と考えはあるので大丈夫です!」
「そう。それなら良かったわ。光一さん」
「うん。ナビィ~。来てくれるかな?」
「……はいはーい。ナビィ参上!」
「ナビィに2つお願いがある。1つ目はエテルノを生み出してほしい。2つ目は建物を大改造してほしい」
「お、おぉ!了解よ。とりあえずエテルノね。どんな子が良い?」
「アメリエットさん、店の警備と従業員、皆さんの護衛も兼ねて、エテルノを生み出すけど、どんな子が良い?あっ!断るのは面倒だから無しでお願い」
「え、えぇ……。ど、どうして私に聞いたんですか?」
「ん?いや、ほら。まだかなり先の話だけど。トーマンドさんが亡くなって、アメリエットさん一人になったらさ。話し相手がいないと寂しいでしょ?だから、アメリエットさんの好みの子を聞いたの」
「あー。そう……ですね。お気遣いありがとうございます。えーっと。お、お任せします」
「せ、せめて、大人が良いか子どもが良いかとか、どのくらいの年齢とか決めてほしいな」
「そ、そうですね……。店のお仕事もするとの事なので大人の女性……いや、アリエットと同じくらいの年齢でお願いします」
「ナビィ、エルフのような女の子も生み出せるかな?」
「光一さん、そりゃもちろん可能よ」
「あーでも。エルフの神さんに怒られるかな?怒られたら謝ろう。うん。それじゃナビィ、アリエットちゃんと同じくらいの年齢で金髪碧眼のエルフの女の子でお願い」
「りょうかーい!……はい!」
おー!髪が少し長めの可愛い女の子が現れた!
「……イブお母さんから情報共有を受けました。アメリエットさんが私の主なマスターで、トーマンドさんとルフレンスさんも私のマスターですね。よろしくお願い致します。それではアメリエットさんをマスターとお呼びします。マスター、私の名前を決めてもらえますか?」
「わ、分かったわ。少し待ってね……マドレットで、どう?」
「気に入りました!ありがとうございます!マスター!」
「あー。私の事は『お母さん』と呼んでもらえないかしら?それから敬語は無しでお願い」
「分かったわ、お母さん。ありがとう!娘だと思ってくれて嬉しいわ!」
「それじゃ私の事はお父さんでお願い」
「了解よ、お父さん!」
「それじゃ僕はお兄ちゃんでお願いするよ」
「そういう趣味なんですか?お兄ちゃん?」
「えぇっ!?何で僕の時だけ!?」
「冗談よ。家族として扱ってもらえるのが嬉しくて、ついね」
「そ、そっか。冗談なら良いんだ。……可愛い」
「お兄ちゃん、ありがとう!」
「私はお兄ちゃんが心配だなぁ。あっ!マドレットちゃん、私の事はお姉ちゃんって呼んでね!」
「アリエット、何の心配をしているのか分からないけど、僕は大丈夫だよ」
「お姉ちゃん、よろしくね!仲良くしてもらえると嬉しいわ!」
「お兄ちゃんが本当に大丈夫かは置いておいて、もちろん!こちらこそ仲良くしてね!」
「うん!よろしくね!いやぁ~。良い家庭だわ」
「ナビィさん、頭を近付けてもらえるかしら?」
「りょうかーい!」
「ほうほう。ふむふむ。なーるほど!りょうかーい!部下に指示を出したわ!」
「ナビィ、ありがとう」
「いえいえ~。すぐに終わるから少し待ってね」
「それじゃハミルトンくん、待っている間、後はよろしくね」
「え、えぇ……光一お兄さん、急過ぎるね。まぁ良いけどね。それじゃ~結婚式会場について話すね!」
そうしてハミルトンくんは結婚式会場について会話を始めた。
うん。最初よりはアリエットちゃんのご両親とお兄さんの緊張も和らいで来たかな?





