表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

819/899

816 アリエットの家族について

 1年10月12日


「さーて、ハミルトン。続きを話して良いわよ」


「お母さん、ありがとう。アリエットちゃん、ご両親はどんな方かな?」


「娘の私が言うのも何だけど真面目よ。私と同じくこの国と王族を愛しているから安心して」


『本当です』


「横から失礼するね。本当みたいだけど……あー。ゴメン。指輪で本当かどうかを確認していたんだ。あー僕も敬語じゃなくて良いから。僕が許可したから大丈夫。それから名前に『さん』か名前に『お兄さん』で良いよ。おっと、僕の名前は光一ね。光るに数字の一で光一」


「そ、それじゃ恐れ多いけど光一さん、謝る必要はないわ。むしろ、確認してもらった方が助かる。嘘をついていないと証明してもらえるから」


「良かった。それで変な質問なんだけど、どうしてそこまでこの国と王族の事をご家族で愛しているのかな?」


「うん、それはね。私の両親の過去が影響しているの。私の母はエルフの国の王都出身なんだけど、母の両親はエルフ至上主義というかあまり性格が良くなくてね。それに多くの近隣住民との性格とも合わなかったみたい。それで私と同じ16歳の頃、家を飛び出して来たの。そしてエルフの国に自分の居場所はないと思った母は、隣国のグラウベ聖国に来た」


「おぉ、グラウベ聖国とはこれまた大変そう」


「そうなの!光一さんが統治を始める前の状態よりは、少しはマシだったらしいんだけどね。でも貧しい国だった。それでお金もあまり持っていないから、最短ルートでリーベ王国に行って、お金を稼ごうと思ったみたい。だけど、リーベ王国に入る後、一歩。リーベ王国の隣街に移動する馬車で事件が発生したの!」


『本当です』


「じ、事件?」


「母は料金が安いなと思いつつ、馬車に乗ろうとしたんだけど……騙された。奴隷商人の馬車だったの。そうとは知らずに馬車に乗ろうとした所、偶然、仕事で来ていた私の父に助けてもらった。あっ!私の父の家はそこそこ大きな商店をやっていてね。本店はリーベ王国の王都にあるんだけど、父は地方の店で研修も兼ねて働いていたの!本当に偶然、店の仕事でグラウベ聖国にある隣町に来ていてね~。騙されているエルフがいると思った父は、慌てて助けて2人は出会ったんだ~!」


『本当です』


「お、おう。やっぱりグラウベ聖国は昔からそうなのね。いやぁ~運命的な出会いだね~」


「そうなの!父も当時は16歳だったから。それでお互い一目惚れ。父は自分の両親を説得して結婚したという訳ね。結婚に伴い父は地方から王都に戻ったんだけど、母は父と父の両親の性格の良さに感動したの。街の雰囲気もエルフの国の王都よりは息苦しさも無かったみたいだからね~。まぁ身の安全の為に耳は隠す必要はあったんだけどね。それでもエルフの国よりはマシだと思ったみたい」


『本当です』


「エルフの国、どんだけ酷かったの。……って一瞬思ったけど、襲撃事件とか、第一王女が結婚出来ない程、性格が悪いエルフが多い事を考えると何となく分かるわ」


「それで母は17歳で兄を出産したわ。そして20歳で私を出産したの」


「という事はアリエットちゃん、お兄さんがいるんだね?」


「ハミルトンくん、そうなの!安心して妹の私が言うのも何だけど優秀だし、真面目だから」


『本当です』


「そうなんだね。それじゃお母さんは結婚の経緯等が理由で、お父さんは先祖代々、リーベ王国民だからかな?」


「そうね~。ハミルトンくん、それもあるんだけどね。リーベ王国の王族が財務大臣に騙された話でね。母も騙された過去があるから……同じ被害者と言ったら失礼かもしれないけど、その件で王族に対して親近感が湧いたの。食糧不足で国民は苦労していたけど、王族も贅沢な暮らしをしていた訳ではないというのも分かったし。……特にお父さんがニュース番組で謝罪する様子をみて、王族に対する好感度が上がった国民は多いと私は思うわ」


『本当です』


「いやぁ、嬉しいが私にとっては恥ずかしい話だなぁ。でも、ありがとう。私は本当に嬉しく思う」


「うん。私も嬉しいわ!」


「また横から失礼して。3つ質問しても良いかな?」


「光一さん、何でもどうぞ!」


「ご両親の家が王都にあるんだよね?一人暮らしする時に反対されなかった?」


「いえ、そろそろ結婚相手を探したいし、自立したいと言ったら応援してくれたわ!安全面から心配はされたけどね。でも人工知能のカレンちゃんがいるから大丈夫って……あっ!カレンちゃんをどうしよう!?」


 カレン?どこかで聞いた名前だなぁ。……あー!3歳児のいる財務職員の!3歳児、通称ラスボスのお母さんの名前だ!

 やっぱり地球の様に人気のある名前とかあるのかな?


「横の横から失礼して、僕から。ハミルトンさん、アリエットさんは、この家のどこに引っ越しをする予定なんだい?」


「えっと~。2階の空いている部屋かな?」


「そっか。それじゃこの家、人工知能はいないし一緒に引っ越してくれば?メイドさんの仕事を奪う様な事はしないように僕から言っておくから。『どうしよう』って言ってくれるという事は大切にしてくれているんだろうからさ」


「僕は良いと思うよ」


「ハミルトンくん、ありがとう!うん。とっても大切にしているの!良かった~!お別れは寂しいから」


「大切にしてくれてありがとう。おっと、光一さん続きをどうぞ」


「のぞみ、ありがとう。アリエットちゃんも人工知能を大切にしてくれてありがとう」


「うん!これからも大切にするわね!」


「2つ目の質問だけどお母さんはエルフだよね?実はエルフとハーフエルフには寿命がないんだけど、将来、お母さんどうするのか心配でね」


「寿命がないんですか!?ほへー。……あっ!驚き過ぎて敬語になっちゃったわ。そういう事なら多分、大丈夫。しっかり者の兄がいるから!兄もハーフエルフだからね。大丈夫だと思うわ。お母さんはエルフの国に帰る気は全くないし。両親も亡くなっていると思っているみたい。お母さんのお父さん……私からすると、おじいちゃんは軍人みたいでね。多分、生きていれば軍人を辞める様な人じゃ無かったし、だとすると軍関係の事件で死刑になっているだろうとね。あーもしそうだとお母さんも犯罪者になっちゃうのかな?……ん?あれ?私も?」


「再度、横から失礼。僕はアリエットさんのお母さんは、リーベ王国に亡命して来ていると考えているよ。事実、そうだから。だとすると最早、お母さんにエルフの国は関係ない。帰る気が全くないなら尚更ね。ただまぁ、リーベ王国が保護する必要もないよ。何故なら、エルフの国の警察側としても、事件は問題無く解決済みとして処理されている。もう終わった話だから大丈夫」


「え?そうなの?」


「うん。心配しなくても大丈夫だよ。そりゃ逃亡犯もいたけど全員捕まえたし。試しにお母さんの名前を言ってみて」


「ア、アメリエットよ」


「……うん。被疑者死亡で処理された中にも含まれていない。警察の全データベースに該当者無し。エルフの国のおじいさん、おばあさんの名前は流石に分からないよね?」


「お母さんから聞いた事があるし、覚えているから分かるわ。おじいちゃんはダニエリー。おばあちゃんはアリアネットよ」


「了解。……答える前にアルバートさんに聞いておきたいな。不利な材料として扱ったりする?」


「いや、アリエットやお母さんのアメリエットさんは我が国の法を犯した訳ではない。仮に他国で容疑者とされていても関係ない事だ。旅行中に法を犯したら話が変わってくると思うが、今回はそうではない。光一くんの補佐官からあったように、ただ移住した訳では無く亡命だろう。我が国の法には亡命に関するモノは無かったと思うが、法に無くても関係ない。既に我が国の国民であり、他国とは何ら関係ない。国民の生命と財産を守るのは国の使命だ。祖父母の事も何ら関係ない。縁を切っているようだし尚更だ」


「了解。アリエットさんが聞きたくないなら答えない。どうする?」


「私にとっても他人よ。だって会った事もないもの。だから仮に亡くなっていても悲しまないわ。ただ、私とお母さんに影響があるかを知りたい。だから聞くわ。教えてちょうだい」


「了解。名前だけとは言え、夫婦で同じ名前、同じ職業というのは……つまり対象者でない。誤りである確率は低いと思う。とは言え確率はゼロとは言えないから参考までに聞いてほしい。良いかな?」


「分かったわ」


「ダニエリーという軍人が城の襲撃事件に関わり、妻のアリアネットさん、息子のバスチアンさんの3人は裁判で死刑判決になっているよ」


「忘れていたけど思い出したわ!お母さんのお兄さんの名前がバスチアンよ!」


「それじゃほぼ確定だね。確認開始、確認完了。警察は取り調べでバスチアンからアメリエットという妹がいると聞き、実行犯と妻からも事実である事を確認。ただし、十数年前に家を飛び出しており、その後、一切、連絡を取っていない。生死も不明。役所のデータベースを照合し、対象者がいない事も確認。警察は更に取り調べを行い、親子関係が最悪である事を確認。この事から縁を切って国外に亡命したものと判断。縁を切ったり亡命に関する法はないものの、警察は捜査の結果として事件と無関係の者であり、被疑者ではないと判断。事件は解決済みとして処理された。何ら問題ない」


「問題……ない?」


「うん。何ら問題ないね。ついでに言うとこういう事例は割と……特にヒンメル王国であったよ。だから別に特別扱いした訳でもない。法律が古いからねー。まぁ法律の意図としては『大切な家族がいるのだから事件を起こすなよ』という抑止力、家族が犯行を止める事を期待、家族も犯行により利益を得る……分かりやすい例が賄賂だね。後は家族も同じ思想で、恨み等による犯行が頻発したらたまらない。そういう事だと解釈している。その解釈で当てはまらない人は対象外としないと、いつまで経っても事件を解決済みに出来ないからね~」


「のぞみの言う通りだね~。実際、クーデター未遂事件の犯人の、妻の親族3組に結婚式で襲撃されたしさ。だから恨み等による犯行を防ぐ為ってのも、まぁ分からなくもないんだけどね。若干、時代遅れなんだよねぇ。若干ね。全否定はしない。……というか出来ない」


「というかさ。アリエットさんのお母さんはリーベ王国で結婚したわけだし、特別扱いも何も関係ないじゃない?あー仮にエルフの国で結婚していても大丈夫でしょ?アリエットさんがハミルトンさんと結婚したら王族になる様に、結婚したらその家の人になる訳だから。お母さんのお兄さんは結婚していなかったし、実行犯であるお父さんと一緒に住んでいたから、被疑者になったけどね」


「あー。のぞみの言う通り最初から関係ないじゃんね。アリエットちゃん、後ろめたい気持ちになる必要は一切ないよ」


「……そっか。良かった~。安心したわ!光一さん、のぞみさん、ありがとう!」


「僕はお役に立てたなら幸いだよ」


「いえいえ、僕は特に何もしてないよ。……ところで話を戻してお母さんの将来の心配なんだけど、商売は上手く行っているのかな?」


「主に食品を販売しているお店なんだけどね?光一さんのお陰で十分に儲かっていると聞いているわ。スーパーマーケットさんは強いけど、大量入荷して激安価格で販売するとかはしていないから。主にご近所さんが買いに来てくれるの!おじいちゃんとおばあちゃんは引退して、お母さんとお父さんでやっているわ。だから私も一人暮らしを許してもらえたし、兄は学園都市の大学に行っているわ」


「ほぉ~経済学部かな?」


「いえ、経営学部と言っていたわ!私には違いは良く分からないけど、確かに経営学部と聞いたわ」


 経営学部なんて作ったっけ?というか僕も違いが分からねぇ。

 いや、地球での存在自体は知っているんだけどね。


「のぞみ、経営学部なんてあったっけ?」


「うん。ちゃんとあるよ。第08学区に。他にも商学部があるね」


「あー!商学部にも通うって聞いたわ!」


 商学部まであるの?ますます違いが分からねぇ。


「へぇ~。頑張るね~。似た学問だから被る部分はあるけど、被らないようにはなっている。とは言え遊ぶ時間がない程、忙しいと思うけどなぁ……それとも6年コースかしら?まさかD-Systemコース?」


「あのぉ、のぞみ、ザックリで良いんで学部の違いを教えて」


「それじゃザックリと。経済学部は経済を通して社会の発展を学ぶ。どちらかと言うと理論的な分野。だから主に政府機関で働く人向けかな?経営学部は企業の活動、発展を学ぶ。だからどちらかと言うと実践的な分野。経営者向けかな?商学部は商品を中心として企業活動を理解する。より実践的な分野だね。比較的、経営学部とよく似ているよ。経営学部は経営を、商学部は売り上げを伸ばすためのマーケティング等を学ぶと思ってもらえれば良いかな?」


「なるほど……何となく分かった。それで、お兄さんは何年間大学に行くのかな?」


「いや、光一さん。8日間だよ?特殊養成学部に合格したとかでね。1日目は説明会と健康診断、2日目以降が学校だって言っていたわ。学校シミュレーターと同じだから安心してくれって。明日、帰って来る予定ね」


「あれ?のぞみ、僕、聞いたっけ?」


「話してないね。実は学部を色々と増やしたり、減らしたりしたんだ~。今の様に光一さんの知らない学部もあるから。それで学校説明会をすると結構、いるんだよ。複数の学部を勉強したいという人が。基本的にはお断りしているんだけどね。試験の成績が超優秀な人限定でD-Systemでの学習を許可しているという訳さ」


「何で7日間なの?」


「人によるね。7日間という事は約19年間、学校に通っている事になる。お兄さんの名前は?」


「兄の名前はルフレンスよ」


「……あーそういう事。普通科高校3年、魔法魔術学校3年、情報学部に約7年、経営学部4年、商学部2年、接遇マナー学部のショップ販売専攻1ヶ月に通っているね~!いやぁ~欲張りさんだなぁ」


「は?マジで?」


「光一さん、驚くのは分かるよ。流石にここまでの人は中々いないからね~」


「僕、個人的にビジネスマナー講座がさ~。堅苦しくて、むしろ非現実的過ぎてやってらんねーって思ったんだけど……そんな感じの授業をやっているの?必要最低限のマナーが出来れば良いと思うんよね」


「あー。言いたい事は分かるけど、結論を言うとそれはやってないね。日本の店で一般的にやっているレベルだよ。どこにでもある店のレベル。簡単に言うと挨拶とか基本的な事だよ。お辞儀は何度とかそういう細かい事までやっていない。学生に求められればやるけどさ~。お手本を見せるとまず皆、嫌がるね。むしろお客様にドン引きされるから無理って。優秀なルフレンスさんも苦笑いしながら断っていたね」


「なら良かった。今、ルフレンスさんは何をしているのかな?」


「今は商学部で学んでいるよ」


「そっかー。まぁ引き続き頑張ってもろて。うん!決めた!そんな頑張っているのならご褒美をしないとね!」


「あー。光一、またアレをやるのね?」


「お?流石はブリタニア。分かる?」


「当然じゃない。ふふっ反応が楽しみだわ」


「のぞみ、例のものはあるかな?」


「光一さん、もちろんあるよ。かなり稼いでいるからね。アイテムボックスに入れておくように部下に指示を出しておくよ」


「のぞみ、ありがとう」


「光一さん、何の話?」


「ん?アリエットちゃん、まだ内緒ね。……3つ目の質問は引っ越しの件だったんだけど、既に答えてくれたから大丈夫」


「内緒と言われると気になるなぁ~?」


「まぁまぁ、教えちゃうと驚きが無くて面白くないから。それより引っ越しをしようか。ナビィ~」


「……はいはーい」


「頭を近付けてもらえるかな?」


「りょうかーい」


 ナビィが頭を近付けてくれたのを確認して、僕はナビィに情報共有をする。


「ほうほう……へー。なーるほど。了解!それじゃアリエットさん、行きましょう?ゲート」


「う、うん。よろしくね」


 そう言うとナビィとアリエットちゃんは去って行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ