805 異世界の誕生日について
1年10月7日
「ところでブリタニア?この世界ってカレンダーが無かったじゃない?」
「そうね。光一、それがどうかした?」
「誕生日という概念が無かったと思うんだけど……この世界の人は、どのタイミングで何歳というのが変わるの?」
「なんだー。そんな事?教会が鐘を鳴らして、1年が終わった~と分かったら変わるわ」
「そ、それじゃぁ、例えば鐘が鳴る数日前に産まれた子はどうなるの?」
「鐘が鳴ったタイミングで1歳になるわね。聞かれる前に答えるけど、鐘が鳴る直前に産まれても同じよ」
「えぇ……それじゃ、教会がない街はどうするの?」
「えっと~。商人や冒険者等が街を行き来するでしょ?それで世間話等によって、年が明けたという情報が広まると聞いた事があるわ。特に商人は情報がとっても重要だからね!」
「もの凄く適当だなぁ。……今後は誕生日に誕生を祝い年齢を数えるのを習慣化したいな。しかしなぁ……その肝心の誕生日が分からないんだからどうしようかねぇ~」
「光一さん、僕から提案しても良いかい?」
「おっ!のぞみ、良い案ある?」
「結論から言うね。この案は色々と準備が必要だけど、生命神様にお願いしてだね?生命神様のボットを使って住民カードに生年月日を書いてもらったらどうかな?」
「おー!良いかもしれない詳しく教えて」
「まず、住民カードは6歳以上に配布して身分証明書にしているでしょ?」
「うん。そうだったね」
「住民カードを6歳未満にも配布したらどうかな?ただし、選択制にする。顔写真付きのタイプと無しのタイプ。違いは……前者は身分証明書になるけど、後者はならない。ならないけど有効期限無しというメリットがある」
「なるほど……?」
「特に小さい子どもは成長が早いだろう?だからと言って短期間で更新というのも面倒。後はギルドカード等、他に身分証明書があるから身分証明書の機能は必要ないという人もいると思う。後は王族等だね。……まぁとにかく住民カードは欲しいけど有効期限があるのは面倒という人に需要があると思うんだ」
「確かにそうだね」
「産まれたばかりの子どもであっても、役所で申請があれば住民カードを作る。ただし、申し訳ないけど子どもと一緒に来てもらう必要があるけどね。国民全員に住民カードを交付すれば、ある程度の手続きをオンライン化出来る。せっかく人工知能がいるんだから、人工知能に役所の職員の代わりになってもらっても良い訳だし」
「おぉ!それは良いね!」
「住民カードだけど、世界共通にした方が移住を考えた時に効率が良いんだよね。だけど、世界各国が独立国になった時に、カード発行と情報管理を大和王国がやっているとおかしいよね?」
「確かにそれはそう」
「だけど、シンクライアントと同じで、ブルーローズテクノロジー社がカード発行会社になって、情報管理をすれば問題ないと思う。ギルドが世界共通のカードを発行しているのと同じでね。あくまでも役所の業務を代行していると考えれば良いのかな?」
「そうだね。そういう事にしよう」
「それで、カードには顔写真付きも、顔写真無しも記載内容は変わらずに、氏名、生年月日、性別だけにする。住所やその他の情報はICチップに書き込んで、必要になったらスマホ等で読み込むようにすれば良いと思う。そこで生命神様にお願いしたいのは、氏名、生年月日、性別をカードに書き込むのをボットを使って出来ないかな?という内容なんだ」
「なるほど。了解したよ。それじゃお願いしておく……」
(バンッ)
「ハローエブリワン。お邪魔するね。生命神だよ」
「おー!生命神さん!いつも来てくれてありがとうね。悪いね」
「いやいや、良いんだって。それで、僕に仕事をくれてありがとうね。あっ嫌味じゃないよ。心からの言葉。それじゃ既存のカードには生年月日を加えておくね。次回、カードを更新する際にキレイにするという事でね。新規のカードはその仕様で発行するよ。……というか部下にやらせるよ」
「おー!ありがとう!」
「うん。ただし、期間限定ね。今年の年末までね。理由次第では延長しても良いけど。まぁ、ギルドカード発行とのバランスだと思ってよ。今回は理由が理由だから対応するけど特別だよって事にさせてね」
「あーまぁ。今後、生まれる子どもについては誕生日が分かるからね。不必要に神の部下に依存するのはマズイか」
「まぁそういうところ。割と手順が面倒なんだよ?カード発行対象者を判別して、データベースで検索して、書き込むって」
「それ、窓口に水晶を設置して、カード発行対象者に触れてもらえば少しは楽にならないかな?」
「あー。それならまだ良いかも。そうしよう。でも期間限定にさせて。水晶が消えたら終了だと思ってね」
「了解。対応ありがとう」
「うん。後、念の為に言っておくね。昨年は0年だから。マイナス1年じゃないから気をつけてね」
「オッケー」
「そんじゃ、ばいばーい。また何かあったら言ってね~」
(バンッ)
生命神さんは消えた。
いつもだけど突然、現れて、突然消えるね~。
「のぞみ、世界各国で周知をお願い」
「了解。重要ニュースとして周知するよ」
「あーチョット待ってもらえるかな?異世界組の妻や各国の王族が住民カードを発行し終えてからにしてもらえると助かる」
「もちろんだよ。あっついでに誕生日に祝うという事もニュース番組で紹介するよ」
「ありがとう。よろしくね」
「光一、私達の……誕生日が分かるのよね?」
「そうだよ?いやぁ良かった!これで妻全員の誕生日が分かる!祝える!」
実は一瞬、D-Systemでアルバートさんとエイリーンさんの記憶を、のぞみに解析してもらおうかなと思ったけど……D-Systemの説明が面倒だし、のぞみ的にも解析が面倒だろうと思って止めたんだ。
解析と言っても例えば何回、寝たかを数えたりとか、そんな感じだろうからね。それを十数年もさせられるのは流石の人工知能でも面倒だと感じるだろう。
それに、ブリタニアの誕生日が分かれば、他の異世界組の妻も自分の誕生日が知りたくなるだろう。そうなると大変な事になる。
……いやぁ。生命神さん、本当にありがとう!
「やったわ!お父様、お母様、ハミルトン!これは凄い事よ!早く役所に行きましょう!」
「お、おう。ブリタニア、しかし私達がぞろぞろと役所に行くとだな、国民に迷惑をかけてしまうと思う。警備上の観点からも良くない」
「あー。アルバートさん、それなら大丈夫だよ。大和王国に殆ど誰も来ない役所があるからね。念の為に役所の入り口に役所の職員を配置したから、大丈夫だよ。水晶が設置されたのも確認したから何の問題もないと思うよ。何故、そんな役所があるのかって?効率よりも国民の利便性を優先して開設した結果だね。国民が少ないエリアの役所なんだ」
「な、なるほど。それなら大丈夫か」
「私、ハミルトンくんの誕生日が何月何日か楽しみだなぁ」
「初音ちゃん、やっぱり気になる?まぁ僕も気になるんだけどね」
「もちろんよ。誕生日が分かればお祝いが出来るわ!それって素敵な事だし、恋人として知っておきたいと思う!ハミルトンくんは私の誕生日、忘れちゃったかな?」
「お、覚えているよ!9月4日!忘れる訳がないよ!来年、誕生日にお祝いするからね!」
「あっ、覚えていてくれたんだ。ありがとう!ハミルトンくん、大好き!」
「初音ちゃん、僕も大好きだよ」
「アルバート、誕生日をお祝いするのって何だか楽しそうで良いわね」
「そうだな。エイリーン、私も全く同じ事を考えていたところだ」
「ふふふっ本当かしら?」
「本当だとも!エイリーン?愛する私を疑うのかな?妻を愛する私としては寂しいなぁ」
「あらあら。そうね……それじゃ信じてあげるわ。私もアルバート。あなたを愛しているもの」
「それじゃ……」
「そ、そうね!お父様の言う通り、それじゃ、この場にいる皆で行くわよ!(……全く何、良い感じの雰囲気になっているのよ!)」
「お、おぉ。そうだな、ブリタニア」
「それじゃ僕が案内するよ。ゲート」
僕達、この場にいる全員がのぞみに付いて行き、無事に全員、住民カードを発行する事が出来た。
そして、誕生日も確認出来て皆、大喜びだ。
さて、肝心の誕生日なのだが……
宰相さんが「我々の様な立場の者が、王族の方々に誕生日を祝っていただくのは恐れ多い」と言って教えてもらえなかった。
ヴェスターさんも宰相さんの意見に賛同して、教えてもらえなかった。
まぁ気になるが個人情報だし仕方ないか……と僕は思った。うん。確かに聞いたらお祝いするわ。
もちろん、ブリタニアは教えてくれた。リーベ王国の王族も誕生日を教えてくれた。
各国の王族も、僕達と同じ方法で順番に住民カードを発行して行くみたい。
全員の結果が出るのが非常に楽しみだね。全員の結果が出たら、忘れないように念の為、メモ帳にまとめようと思う。





