796 スリッパの提案と庭について
1年10月5日
カーラさんが落ち着いた頃、僕達は1階の会議室に移動した。
「皆さん、お疲れ様。何か意見等がある方はいる?……はい、光一さんどうぞ」
「僕、思ったんです。靴箱がありますが、城への移動を考えるとクリーン魔法で靴をキレイにしてから、アイテムボックスに靴を収納した方が良いのかなと」
「あっ……確かに光一お兄さんの言う通りだね」
「それから裸足だと床が汚れますし、足の指を家具等にぶつけたりすると痛いですから、衛生面や安全面から屋内ではスリッパを履いたらどうかなと思います。ナビィ今、参考までに作れる?」
「もちろん。……はい!」
僕の目の前にスリッパが現れて空中に浮いている。丁度良いや。
「こんな感じのものです。エレベーターに乗る事を考えても安全面から履いておいた方が良いと思います。外では靴。家ではスリッパですね」
「おぉ!光一お兄さん、それ良いね!」
「私は靴下を履いているとは言え、これまで靴を履いて生活して来たから違和感を覚えたがそれは良いな。……しかし、それより私はエレベーターが気になる!」
「それじゃ丁度、皆の前にノートパソコンがあるし私がエレベーターについて説明するわね」
イブはそう言うと自分の目の前にあるノートパソコンに腕から延ばしたLANケーブルを接続した。
あーあれで直接、パソコンを操作したりするのかな?おっ!画面共有されてプレゼン資料が表示された。
「エレベーターについての説明を始めるわね。エレベーターは……」
イブはエレベーターはどういうモノか。どういう風に使うのかを説明していく。
そして設計上の安全対策も説明していく。
最後にエレベーターの注意事項を説明していく。例えばドアに服や指が挟まれないようにとかね。
……皆、最初はその利便性に感心していたが、注意事項を聞けば聞く程、顔が引きつっているね。
そしてイブの説明は終わった。
「驚かしてごめんなさいね。この様に大切な注意事項があるけれど、適切に使えばとても便利な機械だからね。それじゃ実際に乗ってみましょう?そんなに怖がらなくても大丈夫よ。9人乗りだから初めて乗る人だけ私に付いてきて」
イブ達は去って行った。宰相さんは各省が入る建物で乗った事があるから残った。
「ハミルトンくんも残ったんだ」
「うん。僕は買い物に出かけた時に乗ったからね」
「あーそっか。それじゃ少し仕事。ナビィとのぞみ良いかな?」
「光一さん何かしら?」
「ん?何かな?」
「ナビィ、世界各国の新しい住居は土足ではないよね?」
「光一さん、その通りよ。日本標準で造ったし、ちゃんと玄関で靴を脱ぐ事をアナウンスしているわ」
「それじゃブルーローズテクノロジー社を使ってシューズとスリッパの製造を世界各国で出来ないかな?靴の職人さんの仕事を奪う事になるかもしれないから、商業ギルドとも相談して進めてもらいたい。仕事を奪ってしまった職人さんは雇おう」
「光一さん可能よ。様々な種類のシューズとスリッパの製造をするように準備するわね。販売は既存の靴屋さんかしら?」
「うん、その通り。よろしくね。のぞみには準備が出来た後にニュース番組で宣伝する動画をつくってもらいたい。スリッパは家具等に足をぶつけたりする事から守られるとかメリットについてね」
「了解。任せてよ」
「我が家も運用を変えたいね。普段は裸足だけど出かける時に靴下と靴を履いてもらっているじゃない?」
「そうね。光一」
「外から帰る時に靴をクリーン魔法でキレイにしてから家に帰って靴と靴下を脱いでいるじゃない?」
「うん」
「せっかく魔法があるのだから自動化したいよね。魔法少女等が変身するイメージで今度からやってみよう」
「光一、具体的なイメージを教えて」
「変身と言うと空中に浮いて、自動でアイテムボックスから靴下と靴を装備するイメージ。変身解除と言うと空中に浮いて、クリーン魔法が発動して、靴と靴下がキレイになりアイテムボックスに自動的に収納される……こんなイメージ。『変身』が嫌なら『トランスフォーム』でも良いよ。というか魔法名を言う必要もないし」
「なんとなくだけど理解したわ。服を着るのにも応用出来そうね」
「おー!良いね~!それ採用」
「おっ!帰ってくるよ」
「のぞみ、りょうかーい」
おぉ!流石はのぞみ、本当に皆、戻って来た。
「光一くん!あの乗り物は素晴らしいな!私達は気に入ったぞ!」
「それは良かったです」
「イブさん、ナビィから情報共有したいから頭を近付けるわね」
「了解よ。……うん。データを受け取ったわ。画面に映すわね」
「お願いねー」
おっ!画面に航空写真が映った。これは日本の首相官邸だね。
「建物の前の庭を見てほしいの。庭はこんな感じにしようと思うけどどう?」
「僕は良いと思う」
「私もオシャレで良いと思うわ」
「エイリーンの意見と同じで良いと思う」
「ありがとう。イブさん、画面を次に切り替えてもらえる?」
「分かったわ」
「庭の出入り口はこんな感じに屋根付きの門があるの。警察官も沢山いるけど、今の所、近衛騎士団はここまでする必要はないと思うわ。手前側の門を無くして奥に門を設置。この屋根の下に建物を設置して警備すれば良いと思う。出入り口はここだけだから。城側にもこれと同じものを造って警備すれば良いんじゃないかしら?警備の近衛騎士団員やお客様が雨に濡れない様に門の建物を地下通路に繋げるわね。近衛騎士団長のヴェスターさんはどう思う?」
「私もその案が良いと思います」
「1つ相談があるの。出入り口以外を高い壁で囲って、敷地内を見られたり、侵入されるのを防ぐか、柵で囲って建物を見せるかどちらが良いかな?見せる場合も結界魔法を使えば攻撃や侵入は防げるわ。それから窓も内側からは外を見られるけど、外側からは見えない様にも出来るわ。あっ!ベランダも手すりが透明だけど、同じく外側からは見えないから安心して」
「う~ん。僕は正面だけなら見られても良いかな?」
「私も問題ないと思うが、エイリーンはどう思う?」
「そうね。私達は問題ないわ。カーラはどう?
「洗濯物が見られない設計のようなので大丈夫です」
「了解よ。正面以外はこの画面にある建物の周囲の様に木で隠すわね。それから念の為に高い壁で囲うわね。イブさん、次の画面をお願い」
「はいっ」
おっ!今度はアメリカ合衆国のホワイトハウス付近の航空写真だね。
「ありがとう。参考までに見てね。庭はこんな感じに芝生で面積を大きめに確保するわ」
あー。アメリカの大統領公園と同じ面積ですな。
「ナ、ナビィさん。こんなに広くなくて良いよ!」
「ハミルトンさん。この画像は地球のアメリカ合衆国の国のトップが住む建物の敷地よ。将来、家や政府機関を増やす可能性もあるから広い方が良いと思うわ。光一さんの子どもは寿命が長いし。あー庭の維持は心配しなくても大丈夫。放っておいても平気だから」
「ハミルトンよ。良いではないか?元々、王都の旧街の土地は今の所、国の所有物だから問題ないと私は思う」
「お父様、分かりました。それじゃナビィさん、よろしくね!お父様、城側はどこから地下通路へ繋げましょうか?」
「地下牢と繋げれば良いのではないか?ついでにもう地下牢は不要だし、不気味だから解体してもらおうか?」
「お、お父様?地下牢なんてあるんですか?」
「おや?ハミルトンにも言って無かったか。まぁ不気味だからと私もだが誰も近付く者はいなかったからなぁ。聞いた話だが血の跡もあるみたいだし」
「ち、血の跡ですか……?お、お父様、ですが不要になったとは言え解体してよろしいのですか?」
「私はあんな不気味なモノは無くしたいが、宰相はどう思う?」
「長年、放置されていますし、衛生面からも良くないと思われます。浄化と解体をお願いしましょう」
「ハ、ハミルトン、お姉ちゃんも要らないと思うわ」
「わ、分かりました。それではナビィさん作業開始でお願いします」
「りょうかーい。3分待ってね~」
「はやっ!」
「そりゃ光一さん、我々が本気を出せば余裕よ」
「流石です」
そんじゃ3分待ちますか~。





