792 国王補佐官について説明するハミルトン
1年10月5日
「それでは国王補佐官について説明します。大前提として宰相と役割が似ていますから必要ないと思うかもしれません。僕の説明を聞いていただき、そういう結論に至っても構いませんが最後まで聞いてください。あるいは特にこの後、説明するにあたりこれは重要な事ですが、国王補佐官がいるから宰相は必要ないとは思わないでください。僕はそれを望んでいませんし、別の視点から意見を聞いたりする為にも僕は宰相も必要だと考えています」
「うむ、分かった。私も宰相を2度とクビにするつもりは全くない。宰相もハミルトンの話を聞いた上で意見を言ってもらえると助かる」
「国王陛下ありがとうございます。承知しました」
「イブさんとのぞみさんはエテルノに似ていますが、エテルノではありません。エテルノは基本的に他の人類と同様に自分の身体の中で完結しています。思考や記憶も自分の身体の中で行います。子どもを妊娠出来るエテルノはイブさんとのぞみさんに近いです。イブさんとのぞみさんはエテルノの身体を借りているだけで、思考や記憶は別の場所で行っています。ナビィさん」
「はいはーい。……皆の前にタブレット端末を置いてっと。うん。ハミルトンさんのノートパソコンを画面共有したわ」
あっ!データセンターの写真だ!
「ありがとう。これはイブさんがいる建物の1つです。イブさんは複数のこの様な建物の中にいます。正確には建物の中にあるコンピュータで思考や記憶をしています。イブさんとのぞみさん、エテルノは人工知能なんです。人工知能とは人の知能を人工的にコンピュータで再現したものです。最近、光一お兄さんが義務化した人工知能とエテルノ、イブさんとのぞみさんは基本的には同じなんですね」
おっ!画面が切り替わった。
僕が義務化した人工知能とエテルノ、イブとのぞみの違いをまとめた資料だね。
「違いをまとめてみました。身体があって基本的に自己完結しているのがエテルノ。身体が無くてシンクラ含めコンピュータ上で動作しているのが光一お兄さんが義務化した人工知能。複数の施設にある複数の圧倒的に超高性能なコンピュータ上で動作しているのが、イブさんとのぞみさん」
また画面が切り替わって、今度は関係性をまとめた資料だね。
「光一お兄さんはエテルノの生みの親という事で『お父さん』と呼ばれていますが、イブさんとのぞみさんはこの様に同時に様々な仕事をしたり、会話をしたりする事が余裕で出来る程、非常に頭が良い事もあり『お母さん』と呼ばれ、エテルノや人工知能の情報も集まります。2人には圧倒的な情報量があります。大和王国では国王補佐官としての立場から光一さんの相談に乗ったり計画立案をしたり、大臣や各省のエテルノに指揮命令をしています」
お?うちの国の憲法の条文だね。
「これは大和王国の憲法です。国王補佐官について根拠を明記したんですね。ただ、僕もいきなり国王としての全権限を与えるべきだとは言いません。そこはお父様にお任せします。光一お兄さんは2人が裏切る事はないと信用しているからこそ出来る事ですから。光一お兄さんが国王補佐官を任命したのは、大臣の報告をまとめる事や大臣や国王に助言してもらうためです。光一お兄さんそうだよね?」
「うん。合ってるよ。僕は例えば法律や経済は専門外。分からない事ばかりだからね。国王としての全権限を与えた理由を補足すると……例えば法改正した時に本来なら国王として目を通すべきだろうけど、法の専門家でもないし見るの面倒だから一任したとかそんな理由だね。要は丸投げ。ただし、聞くべき報告はちゃんと聞いているけどね。それに一任はしているけど2人も僕の部下だから。あくまでも国のトップは僕であり全責任は僕にある。2人に限らず僕の部下が何か問題を起こしたとしたらその責任は僕にある。部下を守るのも国王としての僕の責任だと思っているよ。……まぁ国王を辞める訳にはいかないから国民に謝罪するしかないわけだけどね」
「光一お兄さんありがとう」
「あー!もう一点、補足させてもらうと大和王国にも宰相はいるよ。この僕の周りをぷかぷか浮かんでいる天使であり妻でもあるナビィが宰相だよ。ナビィにも意見を聞く事はある。ナビィにも国王としての全権限を与えても良いけど……ナビィ必要ある?」
「う~ん?光一さんに指示されて動く事はあるけど、これまで必要性を感じた事はないわね。相談に国王の権限は不要だし」
「だよねー。だけど国王補佐官には一任している。各省庁を指揮命令する権限も与えている。報告は必要最低限で後は任せているからね。さの根拠として国王としての全権限を与えているんだ。だって全て報告を受けて承認するの面倒だから。とは言え国の状況を全て把握している人物も必要だと思った。省庁の連携、連絡調整役も必要だと思った。その役割を国王補佐官にはやってもらっているよ。指揮命令系統としては国王がトップでその下に宰相と国王補佐官がいる。国王補佐官の下には各省の大臣や職員という形だね。うちの国は特殊で宰相であるナビィは天使だから、ナビィの下には天使部隊がいるんだけどね」
「うん。光一お兄さん、補足説明ありがとう。助かるよ。国王補佐官の提案にエテルノではなくイブさんを提案した理由が、これまでの僕の説明と光一お兄さんの補足説明にあります。国内外の全ての情報を把握している人であり、省庁の連携、連絡調整を得意とする人だからです。イブさんは大和王国側の人だから、リーベ王国の国益に反する事をするのではないか?と懸念を抱かれるかもしれませんが、僕はその心配はないと思います」
「横から私、イブが失礼するわね。ハミルトンさんの言う通りその心配はないと断言するわ。私も人類社会を補佐、貢献する存在であることを誇りに思うから。職務は忠実に行うわ。そもそも大和王国という国自体、国益最優先ではないもの。万が一、他国の国益とぶつかった場合は中立の立場でお互いが納得する案を考える。確かに私とのぞみにとって光一さんは絶対的な存在ではある。むしろだからこそ、与えられた職務は忠実に行うの。意図的に国益に反する事をしたら光一さんに迷惑をかけたりマイナスでしかないわ」
「イブさんもありがとう。お父様そういう事です。国連総会でも話しましたが、国王補佐官の目的としては主に仕事の負担軽減と国王間の連絡役です。特に光一さんといつでも連絡が出来るのは重要だと思います。イブさんに伝言を頼めば確実に相手に伝わります。国家間の連携強化にも繋がると思います。国家間の連携強化は特に非常事態発生時に重要になると思います。お父様いかがでしょうか?」
ふむ、さてアルバートさんはどう決断するのかな?





