776 涙するぼたんと火星の民に挨拶
地球:202X年8月17日
火星:1年3月7日
「う~ん。良い物語だったなぁ」
僕は目を覚ますと率直な感想が口から出た。
「隣のベッドは……えっ!?ぼたん!?何でいるの?何で泣いているの?」
「グスン……酷い!昨日…グスン。一緒に温泉で会話もしたのに!それからぁ!あんなに感動的な体験をしたら泣くわよ!」
「あっいや、色々とごめん。ぼたんは仕事があるから不参加なのかと思って」
「き、昨日!グスン……全員参加って言っていたでしょう!」
「あー確かに言っていたわ。それじゃ今日は藤咲ちゃんが代わりに仕事しているんだね」
「そうよ!グスン…グスン。感動して泣いていたのに……グスン。悲しみの涙に変化したかも」
「いや、本当に申し訳ない」
「あまりそういう態度でいると……グスン。総理大臣や大統領辞めるからね!……うわぁぁ~ん。光一がイジメるぅ」
「悪かった!マジで申し訳ない。許して」
「光一、私も気持ちは分かるけど流石にそれはないわよ。口は災いの元と言うでしょ?」
「あっ反対側の隣のベッドは紗也華だったのね。ついビックリして言っちゃったんだよ」
「はぁ…やれやれ」
「皆、おはよう。そしてお疲れ様~。……って泣いている子が何人もいるのね。それじゃ落ち着くまで待ちましょうか」
~5分後~
「皆、落ち着いたわね。それじゃ皆、スマホからチャットで私個人宛てに感想を書いてもらえると嬉しいわ」
僕達は感想を書いていく。
僕の感想内容は簡潔にまとめると「PC版とコンシューマー版のどちらもバグや改善点は特に無し。バッドエンドを選んでしまった場合の救済措置があるのは良いと思った。違和感なく原作と同じシナリオなのも良いと思う」とまぁこんな感じだ。
救済措置は登場人物がそうならない様に自然とアドバイスしたり、嫌な予感がする様になっていたりした。
「皆、感想をありがとう。とても助かるわ。それじゃ朝食にしましょうね。ゲート」
僕達はマンション1階のレストランに移動した。
そしてそれぞれ好きなものを注文して食事を始めた。
僕の席の目の前には、ぼたんがいる。再度、謝っておこう。
「ぼたん。さっきはゴメンね」
「もう良いわよ。私も大人だし。引きずるタイプではないわ。その代わりベッドでは覚悟していなさいよ!」
「あ、あのぉ。お手柔らかにお願いします」
「いーやーだ!」
「えぇ……」
「光一は私の事が嫌いなの?だからいつも『あっいたんだ』みたいな酷い事を言うの?」
「違うよ。大好きだよ。だけど元平民のシステムエンジニアからすると総理大臣って遠い存在なんだよ。そして総理大臣は忙しいイメージがあるの。だから『え?何でいるの?』という反応をしてしまうの。そもそもの話、仕事をしていない僕が言うのもなんだけどね?藤咲ちゃんに総理大臣の仕事を押し付けているでしょ?それを知らない僕からしたら当然の反応だと思わない?」
「うっ……確かに仕事を押し付けている時に言われている気がする。言い返す材料がない……うぅ~う。分かった。で、でもベッドでストレス発散するんだから!覚悟しておいてよね!」
「……何ならサンドバッグを部屋に設置しようか?」
「ばかぁ!そういう問題じゃないのよ!サンドバッグを殴っても愛情は感じられないでしょうが!」
「まぁそうだね。はぁ分かったよ。総理にはいつも負担をかけているから国王としてそれに答えるよ」
「そういう言い方、私は嫌い」
「ごめん、少しだけイジワルした。妻にはいつも負担をかけているから夫としてそれに答えるよ」
「そう!イジワルしないで最初からそう言えば良いの!全く困った夫だわ」
「その困った夫が少し仕事をしたいんだけど良いかな?」
「もちろん構わないわ」
「イブ、トラバント地方の工事の状況はどう?」
「そうねぇ。20日の朝には完成予定よ」
「という事は火星では10日の水曜日か。丁度良いかもしれないね」
「エクセポートシティについて説明していなかったわね。水の港街という名前の通り基本的には船での人や物資の往来を想定しているの。内陸へのルートとして近くの街まで地下鉄や高速道路を繋げたわ。もちろんダンジョンもある。冒険者ギルドや商業ギルドには既に話をしていて10日の水曜日にはオープン出来そうよ」
「それじゃ今回は記者会見室で簡単に挨拶だけするから、ニュース番組で良い感じに宣伝をよろしくね」
「分かったわ。我々に任せて」
「よし!食べ終わった!皆、悪いけどちょっと記者会見室で簡単に挨拶をしてくるよ。イブ、撮影をよろしくね」
「了解よ。このレストランで生配信するから、気になる人は観ていてね。では、ゲート」
「イブ、ありがとう」
僕達は3階の記者会見室の前に来た。僕がリーダーにカードをかざして中に入る。
「光一さん、準備が出来たら言ってね」
「うん。……よし!オッケー」
「それじゃ始めるわよ。3,2,1……」
「世界中の皆さん、こんにちは。僕は大和王国国王だよ、よろしくね。テーマパークが大人気という事で僕も嬉しく思っているよ。それと同時にテーマパークで遊びたいけど、人数制限によりチケットが買えない人には申し訳ないと思っているんだ。ごめんね」
僕はぺこりと頭を下げた。
「そこで、オーエス大陸のトラバント地方にも全く同じテーマパークをつくるよ。テーマパーク2つは新京都に、もう1つは新しい街につくる事にした。そう。新しい街もつくるんだ。名前は『エクセポートシティ』だよ。『水の港街』という意味なんだ。名前の通り港街で将来的には大都市にしたいなと思っている。新京都のテーマパークと新しい街は3月10日の水曜日にオープン出来る予定だよ。新しい街のテーマパークは前回と同様にもう少し待ってね。16日にオープン出来ると良いなと考えているよ。ごめんね。少し忙しくて僕からはこの辺で失礼させてもらうね。詳細はニュース番組や大和王国の公式サイトを確認してね。それじゃばいばーい」
「はい。カット。お疲れ様、良かったと思うわ。後は我々に任せて」
「うん。よろしくね。それじゃレストランに戻りますかね」
そうして僕達は1階のレストランに戻った。





