767 ミサイル到達と法務神
地球:202X年8月11日
火星:1年3月1日
ぼたんが黙って考え始めてからしばらく経った。
「光一さん、後少しで発射地点に着弾よ。テレビに映像を映すわね」
「うん。ありがとう。……おっ映った!移動式発射台が2台あるね。その内の1台はミサイルが載っているね」
「その通り。予備なのか2発目をこの後に発射させるつもりなのかは分からないけどね」
「ふむ……これは好都合。言い訳の材料が増えたね」
「そうね。来るわ。……5,4,3,2,1,弾ちゃーく!今!」
(ドォーーン。ボ~ンッ!ドォーーン……)
「着弾成功!偵察用小型ドローンは無事よ。回収するわね」
「了解!ありがとう」
「次、自爆させる2発が来るわ。映像を切り替え……5,4,3,2,1,弾ちゃーく!今!」
(ピカピカッ…………ドドォーーン)
「作戦成功。ミッションコンプリート!」
「お疲れ様。それじゃ国王代理ちゃんから発表をよろしくね」
「了解よ。朝のニュース番組でも取り上げるわ」
「うん。お願いね。……ねぇ?ぼたん?性格や価値観の違い、不満等があるのなら無理せずにお互いの為に離婚しよう。安心して。離婚後も養育費や生活費は支払うから」
僕がそう言うとぼたんは泣き出してしまった。困ったなぁ。どうすれば良いんだろう?
僕が困っているとイブがトントンと肩を叩いて来た。
「光一さん。しばらく1人にしてあげましょう?ね?私達はリビングに行くわね」
「イブ、了解。それじゃ行こうか」
僕はイブとリビングに移動した。
「はぁ……言い過ぎたかなぁ。泣かせちゃった。離婚かなぁ」
「光一さんは異世界で何度も戦闘を経験して来た。だから時には無慈悲な決断をする必要性を理解している。だけど、ぼたんさんはそういう経験がない。だから戸惑っているのよ。私は少し頭を整理させてあげれば大丈夫だと思うわ」
「そうかなぁ?元は真面目で頭が良いから、僕達とは違い少なくとも事前に警告をすべきだった。相手は軍人とは言え犠牲者を出す必要性は無かった。そう考えるんじゃないかな?……でも僕の考えは先程も言った通り。付け加えるとするなら、相手は事前に警告をしていないのだから、こちら側も事前に警告をする義理はないわな。まぁ良いや。各国の反応は?」
「アメリカの要請で国連安保理制裁委員会が緊急協議を行う事になったわ。なお、我々の行った措置については『北朝鮮が行動をエスカレートさせた結果であり、かつ、ミサイル着弾地点にはミサイルが載っている発射台があった事から相応の措置であると考えている』と発表しているわ。韓国政府は『大和王国の行為は地域の平和と安定を脅かすものであり断固非難する』と発表」
「韓国政府は北朝鮮に対しても同じ事を言ったのかな?」
「いいえ、特に触れてないわね」
「どっちの味方だよっ」
「まぁまぁ。南北で友好関係を築く努力をしている最中だから仕方ないんじゃないかしら?」
「あー、なるほどね」
「ふむふむ……やっぱりそうなのね?」
「どったの?」
「北朝鮮は『新型戦術誘導ミサイルの発射実験を行い成功した』とだけ報道しているわ。今、このタイミングで報道したのは、国内向けというよりも国外向けでしょうね。我々のミサイルに触れないのは北朝鮮側はブチ切れたのではなく、ビビったと考えて良いと思うわよ。ブチ切れたら『無慈悲な報復打撃を行う』とか言う国だもの。まぁそりゃビビるわよね?ミサイル発射元を撮影されたりと色々とされたらね~」
「さてと。イブ、僕はチョット業務用プライベートエリアで地球の法務神ちゃんと話してくるね」
「分かったわ。私は大丈夫だと思うわよ」
「まぁね。僕もそう思うけど一応ね。ではでは~」
「いってらっしゃい」
僕は業務用プライベートエリアに移動して来た。
「地球の法務神ちゃ~ん。来てくれるかな~?」
「はーい!お疲れ様です!」
「悪いね念の為の確認で来てもらって」
「いえいえ、何でしょうか?」
「えーっとね。結論を言うと僕は罪に問われるのかなって確認なの。北朝鮮がここ最近、ミサイルをポンポン日本の上空を通過させて太平洋に撃つから制裁措置として、ミサイルを撃ったのね。そしてミサイル発射元に着弾させたの。軍人だけとは言え相手側に犠牲者が出た。言い訳を3つさせてほしい。1つ目は北朝鮮はミサイルを日本の上空を通過させているけど、事故等で日本の領土に落下物や着弾する恐れがゼロではない。日本人に犠牲者が出る可能性がゼロではない事。2つ目はこちら側のミサイルを着弾させないと、北朝鮮側が気付かない可能性があったから。3つ目は北朝鮮のミサイル発射元には未使用のミサイルが1つ残っていた。また発射する前に消しておきたかった。どうかな?何の罪もない人を殺害したとして処刑等になるのかな?」
「結論を言いますとなりません。軍事活動ですから。普通の神とは異なり火星神様は国王でもあります。軍事活動を天界として処罰の対象にしてしまうと、国家運営に支障をきたすと考えます。もちろんジェノサイドは駄目です。それから事故では無くわざと民間人に犠牲者を出したら問題です。ですが今回の相手は軍人であり、今、おっしゃっていただいた言い訳の様に相手もそれなりの事をしていますから全く問題ありません」
「ありがとう。異世界で正義の女神ちゃんから『仮に2カ国が正義と正義の衝突により戦争になり殺し合いをしても地獄の門番としては罪にカウントしません』と言っていたし、大丈夫だろうとは思っていたんだけどね。一応、確認しておきたくてね。あー先日の処刑もあってさ。僕も処刑されたくないからさ。くだらない質問で呼び出してゴメンよ」
「いえ、構いませんよ。その代わり住居用プライベートエリアに少しお邪魔させてもらえませんか?見てみたくてですね」
「うん。良いよ。それじゃ行こうか」
「はい!」
僕達は住居用プライベートエリアの僕の部屋に移動した。





