766 ミサイル迎撃と発射
地球:202X年8月11日
火星:1年3月1日
(バンバンバン)
「うわぁっ!?」
「はぁ……やっぱりかぁ」
「おはよう。今ならまだミサイルを迎撃出来るけどどうする?」
「ファイヤー!」
「光一さん、了解。それにしても『うわぁっ』って驚いてから冷静に判断するまで早いわね」
「まぁ指輪のお陰様かな?発射地点の特定って出来る?」
「もちろん。特定済みだけど何故?」
「それに答える前に北朝鮮の指導者がいる場所の特定も完了している?別の場所?」
「完了しているわ。別の場所よ。スヤスヤ寝ているんでしょうね」
「そんじゃ2発は発射地点に着弾させて、2発は指導者がいる場所の上空で自爆させる方針で……つまり2発ずつ発射でよろ」
「ラジャー!計4発を発射するわね」
「チョッ!?着弾!?」
「着弾地点は偵察用小型ドローンを送り込んで、自爆させる方はエテルノをステルスで送り込めないかな?」
「可能よ」
「それじゃそれもよろしく」
「了解」
「着弾地点……つまり相手の発射地点にはまだ発射台とか人員とかいるのかな?」
「チョット待ってね~。……あーいるわね。完全に油断しているわ」
「ふぅ~ん。了解」
「ち、ちょっと光一?着弾地点はに人がいるのはマズくない?」
「ぼたん。ミサイルを撃って良いのは、撃たれる覚悟のある奴だけだというのを分からせる」
「流石に犠牲者が出たら国際社会から非難されるわよ」
「民間人に犠牲者を出さなければ平気でしょ?何度も国連決議違反をしている事に対して制裁をしただけ。何の問題もない」
「北朝鮮の指導者がブチ切れるわよ」
「そうしたら馬鹿めと言ってやれ……馬鹿めだ。当たり前でしょ?さっきも言ったけど撃って良いのは、撃たれる覚悟のある奴だけ。舐めて一方的に撃てると思っているから、こうしてポンポンとミサイルを撃つんでしょ?……ブチ切れる?逆ギレもいい所だ」
「光一さん、ミサイルの迎撃に成功したわ」
「イブ、報告ありがとう」
「光一、軍人かもしれないけど犠牲者が出るのよ?」
「ぼたん、国のトップというのは時にはそういう決断をする必要があるものなんだよ。僕は異世界でクーデター未遂事件等で何度もそういう決断をしている。余裕がある時は電撃魔法で気絶させて無力化し、裁判をさせたけどね。結局は死刑。それも異世界は時代が時代だから一族郎党死刑。中にはまだ幼い子どももいたよ。だけど法治国家だから仕方ない」
「そうかもしれないけど……今回はその必要はないんじゃないの?」
「僕は他国の装備なんて知らないし興味もないけどさ。あの国はミサイル防衛装備がない。あるいはレベルが低いと思っている。ミサイルに気付かない可能性があると思っている。空中で自爆させるだけでは『あれ?火球かな?』としか思わない可能性もあるとね」
「でも映像があればミサイルだと認めるんじゃない?」
「映像は合成出来る世界だし、常に偵察しており偶然、火球の撮影に成功しただけではないか?とか考えるかもしれない。だから最低1発は着弾させる必要がある。まぁ北朝鮮と仲が良いロシアがミサイルの情報を教えるかもしれないけどさ。これは制裁。舐めている相手は一回ぶん殴っておかないといつまでも舐めた態度をとってくる。良い?日本の上空をミサイルが飛んでいる時点でアウトだと分からせる必要がある。こちら側の覚悟を一度見せる必要があるんよ。怒らせたらアイツは怖いとね」
「光一、私は正直、あなたが怖い」
「それじゃ聞くけど、ぼたんには覚悟ってあるの?例えば偶発的にでも軍事衝突が起きた。相手は護衛艦にミサイルを撃って来る。当然、迎撃する。さて問題です。日本政府、日本の政治家は反撃する決断は出来るのか?反撃しなければいずれ迎撃に失敗して撃沈。自衛隊に多数の犠牲者が出る。まぁ生存者は護衛艦から海に脱出するでしょう。相手国に救助されたら捕虜とするのか人質とするのか分からんね。反撃したら相手に多数の犠牲者が出るかもって?戦争になるかもしれないって?攻撃された時点でそんな事を言っている場合じゃない。隊員も自国民だよ。良いかい?一度、自国政府が現場の隊員を見捨てたら、全体の士気が下がる。怖くなって辞めて行くかもね?世界各国からは呆れられるわな。ぼたんは最高指揮官として決断する覚悟はあるの?軍事衝突が戦争に発展しないようにするのは政治の仕事だよ。相手国や関係各国と連絡するとかさ」
「私は……」
「米軍は例え仲間1人の為でも命懸けで助けに行くよ。自分がその立場になった時、助けてもらえるという安心感にもなるし。もしも、時の政府が見捨てる決断をしたら軍に不満が溜まるよ。あの国の場合は国民からの支持率も下がるんじゃないかな?自国民に1人でも犠牲者が出たら許さないのがアメリカ合衆国の国民性だと思っている。まぁ少し脱線したけどさ、自衛隊は優秀だと思うよ。だけど政治が弱腰だとね、いくら装備を充実させても無意味なんだよ。『あぁ日本は攻撃しても反撃して来ないから怖くないや』って舐められる。我が国は何かあったら積極的に助けるよ?だけどさ。それに甘えないでもらいたい。抑止力は軍備だけだと思ったら大間違い。政治姿勢も非常に重要だと理解してもらいたい。国民の生命と財産を守るのは国の義務。……ねぇ?ぼたん」
「な、なに?」
「これまではミサイルが通過しても日本の領土に落下しなかった。でも部品等が落下する可能性はゼロではないよね?あーうちの国のミサイルはその可能性はゼロだよね?イブ?」
「その通り。ちゃんとそうならない様に計算しているし、ちゃんとしたミサイルを使っているから」
「ぼたん。もしも北朝鮮のミサイルに不具合が発生して日本の領土に落下して自国民に犠牲者が出ていたらどうするの?遺憾と同盟国と連携しか言えないって?今は法的にそうかもしれないけどさ、仮に法的に反撃可能だったとして、最高指揮官として決断出来るのかな?良いかい?自国民に犠牲者が出てから対応するのでは遅いんだよ。犠牲者が出る前に然るべき決断をするべきなんだよ。世界が安定していれば僕もこうやってキツイ言い方はしないよ。だけどさ、今の国際情勢は不安定でしょ?緊張が高まっているでしょ?主に核抑止論が無くなった事とCVSP事件によってね。『深夜に叩き起こされてイライラする』とか言っている場合じゃないんよ。自国民に犠牲者が出る可能性があるからミサイル通過でも国民保護サイレンを鳴らすんでしょ?」
「そう……ね」
「僕はミサイル発射地点に偵察用小型ドローンを送り込んだ。一方で自爆させる方にはエテルノを送り込んだ。イブ、この違いの意図は分かるかな?」
「前者は着弾地点の監視や録画目的であり、ミサイルの爆発に巻き込まれても良いように。後者はその恐れがない上、上空で爆発させる関係で偵察用小型ドローンでの撮影は不向きだからエテルノを送り込んだ」
「正解。イブ、当初の予定では2発共ミサイルを自爆させる予定だったけど、国王補佐官としての意見を聞かせて」
「私は犠牲者が出る件について、軍事目的の為の、致し方ない犠牲だと思うわ。先程、光一さんも指摘した通り、日本の領土にミサイルが落下する恐れもあったのだから。空中で爆発なんて分かりにくい制裁よりも、確実に相手が認識する方法に変更したのは問題ないでしょう。国際情勢が緊張状態にある中、日本海ではなく日本を通過する形でミサイルをポンポン撃った。そして東側陣営はそれを止めさせなかった。文句を言われる筋合いはないわ」
「……光一、1つ聞かせて。あなたは戦争をしたいの?」
「いーや。それはない。出来るだけ回避したい。戦争がしたければリア王国が宣戦布告して来た時に現代兵器で制圧していたよ。だけどそうしなかった。相手に勝ち目がないと思わせて降参させる努力をした。そして大和王国の領土を地球に用意してもらったのも第三次世界大戦を回避する為。とは言えやられたらやり返す。ただそれだけ」
「答えてくれてありがとう。ごめんなさい。少し考えさせて」





