750 ナビィがフラフラの理由
地球:202X年8月4日
火星:1年2月24日
僕達は今、朝食を摂り終わった後だ。
結局、ナビィは起きて来なくて呼びに行こうか話し合った結果、休ませてあげる事にした。
皆、不安そうな顔をしたまま静かに朝食を摂った。皆、気になって話せる空気感にないからだ。
「生命神さ~ん」
「皆、おはよう。いやぁ分かるよ。あの様子を見た後ではこういう空気感にもなるよね。皆、気になるよね」
「生命神さん。おはよう。僕も気になって気になってね。夜しか眠れなかったよ」
「うん。しっかり眠れてるね。眠れたようで良かったよ。ありがとうね。場の雰囲気を和ませようとしてくれて」
「……逆効果だったかもね。まぁ良いや。説明お願いね」
「りょうかーい。いやぁね。ナビィちゃんは地球の外交担当の神に天使を貸してほしいとお願いをしに来たの」
「あーうん。そうだよね」
「まずはそれが失敗だね~。外交担当の神は『大変ご迷惑をおかけしているので大歓迎です!現地でお待ちください』と言ったの。ナビィちゃんは言われた通りに現地で待っていたんだ。そしたら何と多数の天使が現地に来た」
「うん。そこまではイブから聞いたよ」
「まず現地に来た天使達は組織化されていない。光一さんは組織化するでしょ?2万人の天使部隊にね」
「うん。僕はするけど……それがどうかした?」
「何で光一くんは2万人にするのかな?」
「それは天使が指揮出来るのは2万人までだから」
「そう。その通り。ナビィちゃんは地球の天使が組織化されていないから指揮出来ない。だから組織化するところから始めた」
「まぁ人だって指揮命令系統がないバラバラの集団は管理出来ないから分かる」
「ナビィちゃんはまず何人いるのか質問したけど誰も分からなかった。だから仕方なく2万人の部隊をつくって行った。人数が多いから長時間かけて苦労しながらね。ナビィちゃんは失敗した。適当に指揮官を任命して、その指揮官に2万人集めさせれば良かった。……まぁでも混乱していたんじゃないかな?本当に凄い人数だから」
「そんなに凄い人数なの?」
「うん。ナビィちゃんが組織化を終えたのは夕方。ヘトヘトになりながら真面目に頑張ったんだ。そしてナビィちゃんは指揮官を整列させた。そして人数を数えさせた。するとおかしな事が発生した。『数え間違えかな?』と思ってナビィちゃんは何度か数えさせたら2万5人の指揮官がいた」
「はぃ?聞き間違いかな?2万5人って言った?」
「いやいや、聞き間違いじゃないよ。2万5人って言ったよ」
「どこからツッコめば良いかな?2万5人って人数オーバーしているじゃん!それに2万人の部隊の指揮官が2万人いるという事は合計4億人の天使がいるって事じゃん!桁がおかしい!」
「そのオーバーしている5人は光一くんの生み出した天使7期生だよ。そう。地球の外交担当の神は頭が悪いから光一くんの天使の事をすっかり忘れていた。そしてこう考えた『人数が多い方が仕事が早く片付いて良いだろう』と」
「失敗した。アイツ地球を破壊する時に助けたりなんてせずに、地球と一緒に消し去れば良かった。元はと言えばアイツも火星騒動の共犯なんだし!烏合の衆って言葉を知らないのかね?指揮命令系統がないバラバラの集団の事を烏合の衆って言うんだよ。今から消し去る方法ないかなぁ。ないならせめてぶん殴って来よう」
「消し去る方法ないねぇ。あー安心して烏合の衆の話と共に僕がぶん殴っておいたから」
「あっそうなの?ありがとう」
「まず、ナビィちゃんは中間管理職な訳だよね?光一くんの天使を指揮している。仮にエイドちゃんの様に指揮していなかったとしてもだよ?光一くんの天使が現地で働いているんだからオーバーする。そもそもの話、指揮命令系統のない烏合の衆を援軍で送り込むって嫌がらせでしかないでしょ?それも4億とか何考えているのって話だよ」
「本当に……はぁ。それでナビィはオーバーした分を帰したのかな?」
「天使だからだろうね。しなかったというか出来なかったんだと思う。天使の自分が神に頼み込んで天使を貸してもらったのに帰すのは失礼だと思ったんだろうね。それに天使に対しても朝から夕方まで待機してもらったのに何もせずに帰せないと考えたんだと思うよ」
「それじゃナビィは……」
「そう。オーバーした状態で頑張って指揮をしたんだ。だからあんなに疲れ切っているんだよ。あっ母子ともに命に関わる事はないから安心して」
「教えてくれてありがとう」
「あっナビィちゃんは失敗はしたけど、悪くないから殴ったりしないであげて」
「僕は妻を殴ったりしないよ。妻というか可愛い女の子を殴ったりなんてしない。僕は大切にするの。……ブリタニアは僕を殴るけど、僕はブリタニアを殴らない」
「ちょっと!アレは光一が悪いでしょ!」
「私もブリタニアと同じく光一が悪いと思う」
「あれ~?紗也華までそんな事を言うの?酷いなぁ。…あっ冗談ですんでマジで怒らないで。そんな睨まなくても……」
「アレは光一が悪い!」
「はい。ブリタニアさん、すみません」
「全く困った夫だわ。光一!あなたねぇ、本当にそれで良いの?」
「うん。僕は可愛い女の子を殴ったりなんてしないよ」
「私が言っているのはそうじゃないわ!女の子以外に殴る相手がいるんじゃないのかって話よ!」
「あれ?もしかして生命神である僕の事?あぁ違う?良かった~。僕も悪くないからね。地球の外交担当の神がそこまで頭が悪いとは思わなかったんだよ。殴る相手がアイツだったら僕が既に殴ったから……」
「生命神さん。光一が殴る事に意味があるのよ。『おいゴラァ!テメーよくも俺の妻に迷惑をかけてくれたな?あぁ?』ってね」
「ブ、ブリタニア?いつそういうヤのつく職業の方が言いそうな日本語を聞いたのかな?」
「ハロメンのゲーム実況動画で聞いたわ」
「スゥーッ。まつりさん、どういう事か分かる?」
「あー。光一さん。一部のハロメンが一時期そういうゲームで遊んでいたから多分それじゃないかな?」
「なーるほど。ブ、ブリタニアさん。生命神さんが殴ってくれたようだし、僕はそういう過激なのは苦手なので説教で許してもらえませんかね?」
「もー仕方ないわね。その性格は光一の良さでもあるから許してあげるわ」
「ありがとう。……ねぇ紗也華。僕って妻の尻に敷かれてない?大丈夫?」
「さぁ?私に聞かれても困るわ。まぁでも大丈夫じゃない?……多分」
「多分じゃ困るんだよなぁ。彩花はどう思う?」
「ブリタニアさんは今は怒っているからそう感じるだけで、普段は大丈夫じゃないですか?……多分ですが」
「うん。まぁ良いや。皆、ちょっと待っていてね。ブリタニアは今は怖いから紗也華一緒に来て」
「光一!アイツに会いに行くなら私も連れて行きなさい!」
「これからナビィの所に行くだけだから。それから……あまり連れて行きたくないんだけどなぁ」
「光一!アイツの代わりにあなたを殴りましょうか?」
「分かった!分かったから勘弁して。うわぁ怖い怖い。人って自分以上に怒っている人がいると冷静になるんだね。僕だけかな?まぁ良いや。紗也華行くよ。ゲート」
「光一、分かったついてく」
僕達はナビィの部屋に来た。
「ピンポイントで寝室に来るとは流石は光一ね」
「魔法はイメージだからね~。ナビィ寝ているから静かにね」
「りょうかーい」
「メガヒール」
僕は右手を前に突き出して手からナビィに光を注ぐ。
「完了。それじゃ行こうか。ゲート」
「うん」
僕達はレストランに戻って来た。
「効果があるかどうか分からないけど回復魔法を使ってきたよ」
「まぁ光一くんなら大丈夫だと僕は思うよ。光一くんは世界管理システムと相性が良いからね~」
「さて文句を言いに行きますか。皆、準備は良い?……それじゃ行くよ!」
僕達は外交担当の神のプライベートエリアに向かった。





