714 4割の人が消えた理由
202X年7月16日
「…う……さん!こう……ん!光一さん!」
「ハッ!っはふぅー。ふぅー」
「光一さん!大丈夫?」
「こ、光一、大丈夫?」
「あ、うん。イブとブリタニア、ゴメン。そしてありがとう。大丈夫だよ。驚いただけだから」
「そ、そう?なら良いんだけど」
「うん。ブリタニア、大丈夫。イブ続けて」
「ごめんなさい。もう少し配慮すべきだったわね。本当に続けて大丈夫?」
「イブ、謝る必要はないよ。僕の覚悟が足りなかっただけ。もう大丈夫。続けて」
「それじゃ続けるわね。警察官の行方不明者も決して少なくない。それにレッカー車や車の移動先の駐車場、土地が必要になる。だからなのよ。法整備や自衛隊、そして大和王国に支援要請をしたのは」
「なるほど……ところでそんなに消えたの?」
「まだ可能性だけどね。行方不明者届等で警察が情報を得ているのはそれだけの数ね。幸い転移による怪我人はいないわ。例えば走行中の車内に転移せず、安全な場所に転移されたから。皆、安全に転移したみたいよ」
「それは良かった。しかし4割かぁ。SNSや掲示板にフザケて僕の悪口を書いたりとかした人もいるだろうし、公の場で雑談する中で言っちゃった人もいるだろうからね。ある程度は覚悟していたよ。だけど僕に関する事以外にも何かやってしまった人もいるのかな?まさか4割とは思わなかった」
「マスコミの影響力がそれだけ大きかったのかもしれないけど、私達には今となっては分からないわね」
「ちょっと時空神さんに調査出来ないか聞いて来ても良いかな?あまりにも多すぎて気になるから」
「……ハロー!光一くん大丈夫?地球のサーバーを壊しちゃったから調査出来ないと思うけど、僕がチャチャッと聞いてくるよ」
「うん。生命神さん、僕は大丈夫だけど……聞いて来てくれるの?」
「まぁね。異世界の生命神だけど個人的にも気になるからさ。そんじゃ行ってくるよ」
生命神さんは消えた。
「光一、正直、私も驚きのあまり気絶するかと思ったわ。ファンが無事か心配になったけど考えても仕方ないから、それは考えない事にした」
「紗也華さん。仮に消えた人がいたとしてもその人はきっとアンチだから気にする事はないわ」
「そっか。そうよね。そう思うと安心した」
「やっほー連れてきたよ~」
「火星神様、お久しぶりです。結論を言いますと調査可能です。後で調査出来るように火星側のサーバーにバックアップ取っていましたから」
「それは助かる。悪いねわざわざ来てもらって。日本国内から4割消えたと聞いて驚いてさ」
「お気持ちは分かりますよ。それで……調査は完了したんですがお聞きにならない方が良いかと思います」
「あーうん。今ので今度こそ覚悟したから大丈夫。教えてもらえると嬉しい」
「それではお答えしますね。日本国内から消えた人は5割近いです。約4.8割といったところですね」
「や、約半分もなんだ……」
「はい。この数字には当然、死刑囚等の囚人も含まれています。それで消えた約4.8割の人……つまり天界の法的に問題がある人の殆どは火星神様に関する件ですね。公の場で不特定多数が神に対する侮辱を耳にしたというケースが多いです。これにはSNSでの拡散行為も含まれています。たったボタン1つ押すだけでも同じ発言をした事と同じ行為ですから」
「まぁそうだよね。分かるよ。でも割と僕達は日本の為に貢献してきたと思うんだけどな」
「これは恐らくですがマスコミの影響力の大きさもあると思います。そしてSNS等への投稿や拡散行為は面白半分、遊び半分というのがあるのだろうと思われます」
「まぁね。例えば芸能人で特に本人が悪い事をしていなくても、炎上させて死に追いやったケースもあるからね。何となくそれは分かるわ」
「ただ今回、消えた人は地獄行きにはなっていません。地球そのものが消えたので……簡単に言いますとパソコンに地球というフォルダと地獄というフォルダがあって。本来、罪のある人が亡くなると地獄というフォルダに移されますが、今回はパソコンそのものが破壊されたので地獄行きにならずに消滅したんですね」
「なるほど」
「まぁ火星の地獄に移してあげても良かったんですが……そこは恩情です。地球の神に問題があるというのもありましたから」
「そっか。僕はその判断を支持するよ。ありがとう。本人に問題があるとはいえ僕のせいで地獄行きというのも気分が悪いから」
「はい。こちらこそ支持していただきありがとうございます」
「まぁ1つ心残りなのは邪神の様な地球の神をぶん殴れなかった事だね。まぁこれは仕方ない。ありがとうわざわざ来てくれて」
「いえ、また何かありましたらお呼びください。ちなみにぶん殴りたかったのは私も同じです」
「そんじゃ僕も失礼するよ~」
「それでは失礼致します」
生命神さんと時空神さんは消えた。
「イブ、総理に一応、消えた人は約4.8割で確定と伝えてあげて」
「光一さん、了解よ。今、国家緊急事態管理担当大臣から国会で報告させるわ」
「そっか。了解した。そりゃ5割近くも国民が消えたら混乱状態にもなるわ。イブ」
「光一さん、何かしら?」
「ぼたんが総理大臣になれたのって、誰もそんな後始末をしたくなかったというのもあるんじゃないかな?」
「そうでしょうね。でも彼女はチャンスだと思って自ら総理大臣になった。彼女は本当に強いわ」
「光一さん。まつりは光一さんのメンタルが心配だよ」
「ありがとう。正直、ちょっと疲れたけど大丈夫。妻のお蔭で心は折れてないよ」
「そっか。無理はしないでね」
「うん。本当にありがとう」
「あら?国家緊急事態管理担当大臣から報告したら国会が一時ストップしちゃったわ」
「国家緊急事態管理庁創らせて正解だったかな。まさに今、国家緊急事態でしょ?」
「そうね。あれかなぁ?最悪は日本の主要企業をブルーローズテクノロジー社で友好的買収をする事になるかもなぁ」
「さっきの物流とかは本当に一部の例で色々とあるんでしょ?」
「その通り。『檻にいない囚人は脱走したんじゃないのか?』と言われていたけどこれは亡くなったと伝えたわ」
「そりゃ凶悪犯が消えたら大事だよね……悪いけどやっぱり休ませて。寝てくるよ」
「第一王妃として言うわ。紗也華、付き添ってあげて。ここは同じ日本人の方が良いでしょ?それも思考回路が似ている子ね」
「ブリタニア、分かったわ。ほら光一、行くわよ。ゲート」
「ありがとう」
僕はゲートをくぐって移動した。





