66 目覚める国王と記憶喪失
1年6月1日
朝になった。天気は曇りだ。
なんだか私の心情を表しているみたい。
いけない、暗くなってどうするのよ!
「エイドちゃん、建設状況はどうかしら?」
「そうですね。予定よりも早く進んでまして後1時間程度で役所も完成します」
「そう。ありがとう。ゴメンね急がせちゃって」
「いえ、必要性は重々承知していますので問題ありません!」
「ありがとう。……そうだ一度天界に連れて行ってもらって良い?」
「良いですが。まだ起きていないと思いますよ」
「良いの。顔だけでも見たいから」
「……分かりました!それでは行きますよ!えいっ!」
景色が変わったこれは天界ね。
「創造神様コウイチの様子はどう?」
「まだ眠っておるよ」
「そう。顔だけでも見たくて来たの」
「そうか……」
「コウイチ」
私は名前を呼んで手を握る。温かい。
「ん?うん?」
コウイチが反応した!
「コウイチ!私よブリタニア!!」
「なんと!目が覚めるか?起きるんじゃ!コウイチくん!」
「う~ん……」
コウイチが起き上がった。
「ここはどこ?」
「コウイチくん、天界じゃよ」
「コウイチ……それが僕の名前?天界ということは僕、死んだの?」
「コウイチくん!?し、死んでおらんよ。ワシが誰か分かるかね?」
「死んでいないんだ。良かった。すみません分からないです。何も思い出せないんです」
「こ、コウイチ……私は?私はブリタニアよ!あなたの嫁のブリタニア!」
「ごめんなさい。分かりません。でも、あなた僕のお嫁さんなんです?こんなに可愛い子がお嫁さんだなんて幸せだ」
私はショックを受けた。覚悟はしていたつもりだ。
だけどやっぱり辛いわ。可愛いと言われたのは嬉しいけど辛さのほうが大きい
「コウイチくん、小鳥遊光一くん!君の国の名前は覚えておるか?産まれた星は?」
「ごめんなさい。国の名前も分かりません。星は地球?でしょうか?」
「そうか……そうじゃ地球で合っておる」
「僕に診せて」
生命神様がやってきた。
「僕は生命神だ」
「生命神…神様ですか」
「そう、それじゃ君のお嫁さんの名前は分かるかな?」
「ブリタニアさん?」
「そうだ。合っているよ」
「ご両親の名前は思い出せるかな?」
「すみません。思い出せないです」
「そうか。ここにペンがある。これの使い方は分かるかい?やってご覧」
コウイチはペンの頭のボタンを押して芯を出す。
「こうですよね?」
「そうだ。良いぞ。合っている。コウイチくん、疲れただろう?」
「はい、少し疲れました」
「そうか。それじゃ少し眠った方が良いよ」
「分かりました。それではおやすみなさい」
「うん、おやすみ」
生命神様が手を振った。多分、睡眠魔法をかけたんだろう。
「ブリタニアさん、辛いところを見せてしまって悪かった。でも廃人にならなかっただけ良いと思おうよ」
「そうですね。最悪、廃人も覚悟していたのでそれに比べたらまだマシです」
「ブリタニアさん、コウイチくんは引き続き僕が観ているよ。症状は一時的なものかもしれないし戻らないかもしれない」
「はい、引き続きお願いします。症状は……戻ると良いんですが。まだ分からないですよね。仕方ないです」
「うん、ごめん。まだ精神がすり減っているからその影響もあると思う」
「はい」
「見知った景色を見せて記憶を戻すというのも無理だと思う」
「あの状態ではそうですね」
「うん、改めて生命神として、そして神々を代表して申し訳ないと謝る。本当にごめん」
周りの神々も頭を下げている。
「僕は君の心のケアも必要だと思う。正直つらいのを我慢しているでしょ?」
「はい、自覚はあります。父も別の国の国王なんですが、その父と相談しようかなと思います」
「もし良ければどんな相談をするか聞いても良いかい?あ、信用できるならコウイチくんの状況も話して良いと思うよ。君だけ秘密を抱えるというのも辛いだろうから」
「そうですね。コウイチの症状と私の今の心情、出来れば母に来てもらえないかを相談する予定です」
「分かった。それが良いと思う。1人でいるよりも誰か家族と一緒にいた方が良いと思うよ」
「はい」
「君は賢い。冷静に判断が出来ている。僕は心からスゴイと思う。だから大丈夫だと思うけど言わせてほしい」
「なんでしょうか?」
「絶望しないでまだ希望はあるから。だから無理しない範囲で頑張って。泣きたい時は泣いたほうが良いよ」
「ありがとうございます。そうします」
「本当は泣き叫びたいって分かるよ。こう見えて僕も同じ気持ちだもん。引き続き僕に任せて」
「心情を理解していただけるだけでありがたいです。引き続きよろしくお願いします
「うん!」
「それでは失礼します。エイドちゃんお願い」
「はい、分かりました」
天界を後にし地上に戻った。





