665 事件の同時多発とクー?
202X年6月8日
「イブ~。あのヘリは何だか分かる?」
「アレは警視庁のヘリね」
「そっか。こちらの人的被害は?」
「運転手だけよ。国防軍含め他に負傷者や犠牲者は出ていないわ。襲撃者については確認中」
「はぁ~良かった」
「すぐに襲撃者が乗っていた邪魔な大型トラックとバスの中に入って来た襲撃者をどけるわね」
「よろしく。至急、安全地帯に入りたい。ない事を信じたいけど第2、第3の襲撃があるかもしれないから」
「分かっているわ。もう少し待ってね。……よし、オッケー。国防軍が襲撃に備えて道をつくったからそこを通りましょう。まずは次期国王、次期女王からにしましょう」
「そうだね。了解」
次期国王、次期女王がバスを降りたら僕の妻が後に続いた。そして最後に僕とイブがバスを降りて大使館の敷地内に入った。
敷地内に入るとイブが転移魔法を使い、大和王国の領土にある僕達が住むマンション1階のレストランに戻って来た。
「皆、座ったね。まずは次期国王と次期女王の皆、初日から怖い思いをさせて申し訳ない。ごめんなさい」
「光一お兄さん、悪いのは犯人だから気にしないで。他の人はどうかな?僕と同意見の次期国王、次期女王は手を挙げて。全員だね。ありがとう」
「光一さん、僕はビックリしたけど。護衛が全力で守ってくれたから大丈夫だよ」
「ハミルトンくんとアーロルフくん。それから皆もありがとう」
「はい。僕もとても驚きましたがハミルトンさんの言う通りです。アレは仕方ないです」
「私も同感です。護衛の方が守ってくれたので我々も無傷ですし、お気になさらないでください」
「ロミオくんとパウラさんもありがとうね。イブ、アレはおかしい。大至急、尋問して。それから襲撃者側の人的被害は?」
「えーっと。まずは襲撃者は19人だったわ。偶然かもしれないけど、9人で一組の分隊を2つと、それを指揮する指揮官が1人の構成な気がするわ。襲撃者側は負傷者だけで亡くなった人はいないわ。とりあえず応急処置をして自白魔法で尋問中よ」
「了解。引き続きよろしくね」
「光一さん!マズイわ!勝どき高校にも襲撃予定みたい!我が国の防衛省から日本の内閣官房と警視庁に伝達済み!複数の大型人員輸送車に大和王国の国防軍を乗せて緊急走行で向かわせるわ!」
「はひぃ?」
「先程、我々を襲ってきた連中はイラス連邦軍だと判明したの」
「僕は地理が苦手だから知らないだけかもしれないけど……そんな国あったっけ?というかあのレベルの低い連中が軍人なの?」
「イラス連邦はインド洋にある国で3年前に独立運動で出来た国よ。レベルが低いのはどうやら短期間、訓練しただけの使い捨ての新兵だからみたいね。『CVSP事件』により負の感情を抱いている人が集められた部隊みたいね。国防大臣が最高指揮官であり大統領が知らない部隊のようだわ。だからデーモン部隊と呼ばれているらしい」
「ナニソレ怖い」
「……FAQ!」
「い、イブ?急にどうしたの?」
「ごめんなさい。学校に到着するのが遅かったみたい。現場から到着したら既に銃声がする。校内放送で『ふ、不審者が銃を持って侵入してきました!みなさん!体育館へ避難してください!』と流れた。と報告が来たのよ」
「到着が遅かった事を謝る必要はないよ。仕方ない。それよりもさぁ……。学校がそのマニュアルを未だに使っている事に驚いたし、呆れたんだけど。僕が小さい頃から何も変わってないのかい!校内放送は『不審者』も聞いている訳でさぁ。『不審者』が待ち伏せして得をするだけなんだよなぁ」
「あー。私が謝ったのは『FAQ』の方ね」
「あっそっちか。これは失礼」
「光一お兄さん、その校内放送は偽情報ではないの?」
「いや、僕が知っている限り本当に放送通りに体育館に避難するよ。その時代遅れのマニュアルを使っている学校は、アメリカの学校のロックダウンドリルから学んでほしいものだよ。アメリカはよく学校で銃乱射事件が発生するからね。少なくとも校内放送で体育館に避難を呼びかけるよりマシなマニュアルになっているよ」
「僕は偽情報であってほしかったな」
「こ、光一さん!フィリピン海の日本の排他的経済水域で我が国のタンカーが攻撃され大破したわ!」
「えぇ……乗組員は?」
「救命ボートに乗って救助を待っている!大至急、救助に向かわせるわ!」
「了解!攻撃して来た相手の特定は?」
「ただちに原子力潜水艦1隻を現地に派遣し調査させているところ。日本政府とアメリカ合衆国政府に状況を報告済みよ」
「イブ、タイミング的にイラス連邦軍の可能性が高い。我が国の国王代理ちゃんはイラス連邦の大統領と会話可能?」
「それが日本政府とアメリカ合衆国政府も試みているけどダメみたい」
「イブ、イラス連邦の状況を確認しよう。偵察用小型ドローンを投入可能?」
「そうね。すぐに準備させる」
「うん。ところで重傷のバスの運転手さんは大丈夫?」
「治療したから大丈夫よ。問題ないわ」
「それは良かった。イブも分かっていると思うけど念の為ね。運転手さんは何も悪くないから処分しないであげて」
「そうね。もちろん分かっている。あの状況では仕方ない。結果論で責任を追求する様な事、私もしないわよ」
「ありがとう。イラス連邦の大統領はどんな人なのか分かる?」
「それはもちろん。大統領は温和な性格の女性よ。国民からの支持率も高い」
「あー。という事はやっぱり国防大臣が怪しいね~。『クー』の可能性も考えられる。イラス連邦に日本かアメリカの大使館はないのかな?」
「日本とアメリカの両方の大使館がイラス連邦にあるわよ。『クー』というとクーデターね。私もその可能性を考えているわ。ただ、日本とアメリカの両方に現地の様子を聞くと、特に異変はないみたいね。まぁアメリカによるとイラス連邦の大統領は何故か30分程前……つまり現地時間の深夜に首都を離れて遠く離れた海軍基地に向かってヘリで移動中みたいだけどね」
「流石はアメリカって感じだけど、その海軍基地に何かあるのかな?」
「そこは国防大臣の拠点みたいなものらしいわ。イラス連邦にも大統領の権限継承順位があってね。大統領が職務遂行不能になったら国防大臣が権限を継承する事になっているの。だから怪しいのよね」
どうみてもクーです。本当にありがとうございました。
「クーデター」はフランス語で「coup d'État」だから英語では単に「coup」と言ったり表記する事が多いっぽい。
実際、アメリカの映画とかを観ると「クー」って言ってたね。





