58 被害者2人と会話
1年5月29日
魔導自動車で案内コースは大体1時間半から2時間といったところか。
その間、暇だな。……いや、やることは山程あるんだけどね。
待っている間にその内の1つをやってしまおうか。
「ブリタニア、皆さんの観光が終わるまでに天界に行って被害者2人と会話しようと思うんだけど一緒に来る?」
「うん、私も行くわ」
「分かった。そんじゃ行きますか」
いつもの白い床、うん天界に来たな。
「創造神様、被害者2人と話したいんですが記憶は後で消すとお願いしましたが、可能なら薄っすらと夢のような形で記憶を残すことって出来ますかね?」
「あぁ、それなら可能じゃよ。どこの世界でも神が神託を授ける際によく行われているからの」
「では、それでお願いします。2人は今はどんな状態ですか?」
「寝かせておるよ。あぁ、いくつか君に情報を共有しておこう。まず2人じゃが君も知っての通り身体的、精神的、魂的にかなり損傷があった。そこで出来るだけ修復する際に無事な場所から移植するような形で修復したんじゃよ…あまり体外の物質で修復すると拒絶反応を起こす可能性があったからな」
「腕の大怪我を腹の皮膚から移植して治療するような感じですか?」
「そんな感じじゃよ。それでそういう形で治療した影響で少し若返ったんじゃよ」
「どれくらいですか?」
「う~ん、そうじゃのぉ。2~3歳かのぉ」
「若い子の2~3歳は結構変わりますね」
「そうじゃな。でも仕方あるまい」
「それでは若返った事について聞かれたら天界に来た影響という事にしますか」
「それが良いかもしれんな」
「それからブリタニア」
「なぁに?」
「僕は元の世界では平民だし相手の態度が悪くても怒らないでね」
「わ、わかっているわよ」
「創造神様それではよろしくお願いします」
「分かった」
「ん?……ここはどこ?あ、彩花起きて!」
「んん?んはぁ~よく寝た。あ、紗也華おはよぉ」
「おはよぉじゃないわよ!よく周りを見て」
「あれぇ?ここどこだろうね~?紗也華知ってる?」
「知らないから焦ってるんじゃない!」
「あ、そう」
「『あ、そう』って……えぇいつもそうだけどマイペース」
そろそろ良いかな。
「2人ともこんにちは。僕は小鳥遊光一です」
「こんにちは。私はブリタニアよ」
「ゆ、誘拐犯ですか?」
「違うわっ!2人には訳あって天界に来てもらったの。周りを見て上は真っ暗で床は真っ白なのがどこまでも続いているでしょ?」
「やっぱり誘拐犯じゃないの!」
「だぁから違うって!」
「ねぇ紗也華この人達悪い人じゃなさそうだよ」
「それで?天界に私達を呼んだ理由はなんなの?異世界転生?異世界転移?私達どっちも嫌なんだけど」
「さ、紗也華。私はどっちも嫌じゃないよ」
「あ、安心してどちらも違うから。お話が終わったら無事に地球に戻れるから心配しないで」
「分かったわ」
「うん、分かった」
「それで2人を呼んだ理由なんだけどこれでも僕、異世界で国王をやってまして地球にお金が沢山あるんですね。というのも異世界の創造神様から建国を頼まれた給与として毎月1億ドル振り込まれるんですよ」
「「1億円じゃなく1億ドルッ!」」
「2人ともハロライブって知ってるかな?」
「私は知らないわ」
「私知ってます!バーチャル芸人事務所ですよね!」
「いや、合ってるけど違うから!オシッコ我慢しながらゲームしたり、マグマで全ロスしたり家燃やしたり、とんでも料理を作る人もいるけど、バーチャルアイドル事務所だから!今までに2回、所属タレント全員でのライブをやった時は皆、アイドルしてたから」
「バーチャルアイドルなら知ってるわ。私達、2人とも専門学校で声優の勉強をしていて将来は2人でアイドルになりたいねって話をしてたから。今はスマホがあれば簡単に出来るじゃない?2人でやってみようかって話をしてたんだ」
「そうそう、そうなの!」
「それなら丁度良い。2人ともバーチャルアイドル事務所のハロライブに入らない?」
「可能なら私は入って活動してみたいけど入れるの?」
「私も入ってみたい!」
「さっきお金があるって話したじゃない?そのお金で30階建てのマンションを建てる予定があって所属タレント全員はそこに入居できるようにする予定なんだ。家族と一緒に住んでも良いし家族と別の部屋に住んでも全然構わない。ただし部屋毎に3万円の管理費がかかるけど、それ以外の家賃とかお金は一切かからないから安心して。更に24時間365日、女性警備員が常駐するから安心!どう?」
「なにそれ超良い話すぎて怪しいんだけど」
「私も良い話だと思うの。紗也華この人は良い人そうだから信じてあげようよ」
「彩花がそこまで言うなら分かったわ。信じる」
「それじゃ、2人とも連絡先を教えたいからスマホ出してくれる?」
フォルター帝国の頭の悪い連中はスマホなどの所有物を没収した上、自分達が使えないと分かると焼却処分しやがった。
お蔭で創造神様が大変な思いをして所有物の復元をすることになった。
「あれ?私のスマホ新品みたいに新しくなってる」
「あーホントだ!私のスマホも綺麗になってる」
「天界に呼んだ影響でそうなったんだ」
「というか彩花、少し若くなった?」
「そう言われてみると紗也華も少し若返って見える」
「それも天界に来た時の影響なんだ」
「へーそうなんだ。なんだか得した気分」
「ねーそうだよね。持ち物が綺麗になって若返るって良いよねーまた天界に呼んでほしいくらいだよ」
「あはは。流石に今回だけね。スマホは準備できたかな?」
「はい、出来ました」
「私もー」
「それじゃ地球に帰るとここでの会話は薄っすらと夢のような感じでしか残らないと思うけど、この連絡先に電話してもらえれば僕に繋がるから」
「2人一緒の方が良いわよね?」
「そうだね。ただし多分、思い出すのに時間差があると思うから2人が思い出した後に連絡もらえれば嬉しいな」
「分かったわ」
「うん、わかったー」
「それじゃ、そろそろお別れだ。また後で会おう!」
「ありがとうございました」
「色々とありがとねー」
「ブリタニアどうだった?」
「2人とも辛い記憶を忘れているようで良かったわ。ただ、結婚して子どもを作る際にふと思い出したりしないかちょっと心配」
「創造神様そこのところはどうでしょうか?」
「う~ん、絶対にないとは言い切れないが可能性はほぼないと思う」
「僕が2人の道を勝手に決めてしまったようで複雑な思いですが、例え偽善でもやらないよりはマシだと思うことにします」
「うむ、それが良い。それに地球の声優業界は大変じゃと聞くし君の行いは良いことだとワシは思うよ」
「ありがとうございます。それでは地上に戻ります」
「うむ、またの。程々に頑張るんじゃぞ」
「はい」





