50 初の国際条約締結と後始末
1年5月28日
「魔法使用に関する国際条約」について各国首脳と話し合った。
要約するとこんな感じの条約になった。
魔法は人類の共同の財産であり、この条約の締約国は神界のルールに反し魔法を濫用しないことを確認して次の通り協定した。
・「魔法の濫用」とは通常、神界のルールにより行使出来ない魔法を何らかの方法で無理やり行使することをいう。
・この条約の締約国は「魔法の濫用」をせず、神界あるいは他の世界に迷惑をかけないことを約束する。
・「魔法の濫用」が確認された場合、この条約の締約国はそれを行った国、集団等に対し武力等を用い制圧する義務を負う。
大体、こんな感じの条文。
普通、地球の条約だと前文から始まり長々としたものになるが面倒なので必要最低限とした。
一番目が定義で二番目が約束、三番目は抑止力だね。
当然、全ての国が署名した。この世界初の条約がこれって本当に残念に思う。
それから残念な事に「後始末」があるんですね。
「皆様、署名していただきありがとうございます。後は神々がどう判断するかですが…個人的には恐らく大丈夫だろうと思います」
皆、少しホッとしたような表情だ。
「まだフォルター帝国をどうするかという問題があるのですが…皆様お疲れでしょうし丁度お昼ですので食事休憩にしましょう。食事や飲み物は部下が持って参ります。好き嫌い等があるかと思ったので今回は私が元いた国で一般的な塩おにぎりを用意させていただきました。他のものが良い等ありましたら部下にお伝えください」
幸い誰からも文句が出なかった。
あぁ…ドワーフ王が「ワシにとっては酒は水なんだ!酒を持ってきてほしい」と言っていたのはあったな。
地球から個人的に輸入した日本酒を出したらスゴク満足していた。
「売ってほしい」と言われたけど、まだこの国で生産していないので売れないと丁重にお断りすると残念そうな顔をしていた。
「将来的にこの国でも生産するのでその時に輸入してください」と言ったら喜んでいた。
……やっぱりどの世界でもドワーフはお酒好きなんだな。
皆、食事が終わったようなので会議を再開しようと部下にお皿を下げてもらった。
ドワーフ王は「頼む!この酒は置いていってくれ!」と言うから置いてあるけど。
「それでは会議を再開しようと思います。現在、フォルター帝国は無政府状態でかつ残党が「魔法の濫用」をする恐れがありましたので現在もフォルター帝国では魔法が使えない状況です。この会議が終了したら魔法が使えるようにするつもりではいますが、問題は「フォルター帝国」だった場所をどこの国が受け入れるかです。リア王国さんは隣国ですがどうでしょうか?」
「私の国は先代の不始末を片付けている最中ですので申し訳ないですが余裕がないです」
「隣国となると…ドワーフの国ですがどうでしょうか?」
「ワシの国も人間の国を併合して上手くやっていけるとは思えん」
「それではオース王国さんどうでしょうか?」
「私の国も申し訳ないですが難しいですね」
「えぇ…」
「リーベ王国としては大和王国が併合した方が世界各国の利益になると思うがどうだろうか?」
「リア王国としては賛成です。オーエス大陸のどこかの国が併合すると一国だけ国の面積が大きくなり国家間のバランスが崩れるという問題もあると思います。大和王国さんでしたらオーエス大陸の各国も利益になり良いと考えます」
「ドワーフの国としても大和王国なら美味い酒を生産してくれそうだから良いと思う」
「オース王国としてもその方が良いと考えます。この学園都市という街を見て特にそう感じました。フォルター帝国は我が国からみても最悪な国だったんです。圧政で国民を奴隷として扱い拷問をする。大和王国さんならこの学園都市のように素晴らしい、人々が生き生きとしたそんな国に変えてくれると信じています」
どうしてこうなった。本当にマジで…
「わ、分かりました!我が国が引き受けます!ただし1つ条件があります。フォルター帝国内につくった我々の基地だけはリア王国さんの領土としていただきたい」
「それはどうしてですか?」
「その基地に今回の犯人が収容されています。せめて自分達の行いを後悔してから死んでもらいたい。その為には大和王国でもリア王国でもない軍法のみが適用される治外法権区域としたいんです…彼らが少女2人に行った残虐非道な行い、そして世界中に迷惑をかけた事は重罪です。彼らが全員死刑となり基地という名の刑務所が解体されたら…その時は我が国の領土とさせていただきたいです」
「わ、分かりました」
「申し訳ないです…故郷の少女が被害にあったのも理由の1つですが、神々に多大なる迷惑をかけた事、そしてスタンピードや魔法が使えなくなる恐れ、破壊神により破壊される恐れという世界中に迷惑をかけた事を簡単には許せないのでご理解いただきたい」
「いや、謝ることはない。グラウベ聖国としても今回の件は腸が煮えくり返る思いです。ここにいる多くの人が同じような気持ちでしょう。神々を信仰する我が国からも犯人には徹底的に後悔させてから死ぬようにしてほしいと願う」
「分かりました。フォルター帝国内につくられた大和王国さんの基地はリア王国の領土とします」
「それでは今回の会議は終了とさせていただきます。可能でしたらせっかくの機会ですので皆様、本日は泊まっていただき、明日は国家間のトラブル防止のための条約作りをさせていただければと思いますがいかがでしょうか?お帰りになる方は挙手していただければ私がお送りさせていただきます……いらっしゃらないようですね。それでは明日もよろしくお願いします。宿泊施設は部下がご案内致します」
無事に初めての国際会議が終了してホッとする。明日も頑張らないとな。
この時は今日はこれで終わりだと思っていたが後になって知るのである。
これからが外交の本番だということを。
ついに50話まで来ました。皆様の応援のお蔭ですありがとうございます。
引き続きよろしくお願い致します。





