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40 リア女王と定期預金

 1年5月19日


 翌朝、夜中に起こされたこともあって9時に起きた。

 偵察用ドローンの映像を見ると街中にグロい光景がチラッと見えたので、ドローンに王城を映してもらった。

 そうしたら王城の庭で若い女の子が白い旗を振っている。

 服装をみた感じだと貴族か王族っぽいな。


 どうしようかなぁ…状況が分からないから判断が難しい。

 皆で話し合って僕だけが偵察に行ってみることになった。

 最初は危険だって反対されかけた。そう、されかけた。

 皆の顔が「あぁこいつなら何があっても無事に生き残るだろうな」という顔をしていた。

 …なんだろう何とも表現しにくい納得のいかない気持ち。僕だって不死ではないので死ぬこともありますよ!


 まぁ良い。とりあえず偵察に行ってみる。

 ゲートで相手国さんの王城の庭に直接行く。


「あ、どうもおはようございます。あなたはどなたでしょうか?私は国王のコウイチ・タカナシです」


「はひぃ?お、おはようございます。私は色々とあって女王になったリア・テイラーと申します」


「旗振ってて疲れませんでしたか?」


「つ、疲れましたが…そのお蔭であなたに来てもらえました」


「まぁそりゃ可愛い女の子が頑張って旗を振っていたら興味が湧きますよ」


「ひゃっ!か、かわいいって初めて言ってもらえた」


 うそぉ、こんなに可愛い女の子が可愛いって言われないわけがない。

 なんか反応も可愛い件について


「えっと色々とあった件についてお話を聞きたいんですが」


「あっはい!こちらへお越しください」


 大丈夫かな?ハニートラップだったりしない?怖いので念の為、魔法で薄く身体全体を覆う防御結界を張っとこう。

 客間に通された。


「ここでお待ちください。メイドにお茶を持ってこさせるので!」


 あ、メイドいたの?てか普通、メイドが案内したりするよね?女王のそばにいるよね!?


「お待たせしました」


 年配のメイドさんと一緒に入ってきた。


「スミマセン。メイドさんこの方しかいないので」


「あー他のメイドさんは…」


「色々とあって皆、辞めてしまったんです」


「それで色々とあった件についてなんですが教えてもらえます?」


「はい。昨夜クーデターが起きまして父と兄と義母と貴族達が皆、殺されました」


「えーっ…御父上と兄上様が殺されたと……謹んでお悔やみ申し上げます」


「あっ私、父と兄に嫌われていたので他人のようなもので何とも思っていないです。母と私はほぼ軟禁状態にあったんです」


「またどうして?」


「最初からご説明しますね。私の母は正妻ではなく側室なんですが、私は生まれた時から魔力が強く、碧眼だったんです。この国では生まれた時から魔力が強く碧眼の娘は名前を国名と同じ『リア』と名付け将来王女とするという建国した時からの決まりがあるんですね」


「なるほどだから国名と同じ名前なんですね」


「はい。しかし将来兄を国王にしようと考えていた国王と兄、正妻にとって私は邪魔者だったんです。とは言え殺すことは出来なかった。そんな事をすれば国民や軍部が黙っていないと考えたわけですね。なので身体が弱く病弱という事にして軟禁していたわけです。『病弱だから次期国王は兄にする』というつもりだったみたいです」


「それは大変でしたね」


「えぇ、ですが母と一緒に暮らしていたのでまだマシな方です。1人だったら孤独で耐えられなかったでしょう」


「お母様は今もお元気なんですか」


「はい、元気です」


「それは良かったです」


「それで話の続きなんですが、国王と兄と正妻はとにかく贅沢な暮らしが好きで国民に重税を課し、税金が払えない者は奴隷か使い捨ての兵士にして、近衛兵や使用人は安月給でこき使っていたので殆どの者が辞めていきました。他の国に行ったほうがマシだと考える人もいたんですね。そんな中、私と母の面倒を見てくれていたこのメイドさんだけは私達の為に残ってくれたんです」


「なるほどそういう事だったんですね」


「貴族も好き勝手していたようです。国民も軍部も不満が溜まっていたけど証拠もきっかけもないから我慢していた…そんな時にあなたが現れた。どうやったのかは私には想像も出来ませんが、国王と貴族の会話を記録し王都中にそれを流し聴かせた。あまりにも酷い会話に国民や軍部の怒りが爆発し城や貴族の屋敷を襲撃した。すると不正の証拠が沢山見つかり処罰したようです。私は健康なのに軟禁されていたという事も明らかになり、次期国王は私に…という話になったわけです。建国した時からの決まりもありますし、私が次期国王に相応しいと民衆も軍部も一致したと…そんな感じで私が女王になりました。城の庭で旗を振ればあなたに気付いてもらえるかもと思って旗を振っていました」


「そうでしたか。しかしこれから大変ですね。私が議会を壊しちゃいましたし貴族もいなくなったようですけど…優秀な部下がいないと国の運営が出来ないのでは?」


「そうですね。でも前国王や貴族が貯め込んでいた莫大な資金があるので何とかなりそうです。議会は…どうしましょうね?」


「国民から選挙をして選ぶという方法もありますけど…それには国民に必要最低限の知識がないといけないので教育が大事だと思いますよ」


「なるほど面白そうですが…教育ですか」


「まぁ何事も徐々に進めていけば良いと思いますよ」


 うちの国もまだ民主主義は出来る状況にないし。


「あ、そういえば捕虜の件ですが、これから色々と大変でしょうからお金の請求無く引き渡しますね」


「いえ、私の国がご迷惑をおかけしたので賠償金はお支払いしますよ。金貨500枚でどうでしょうか?」


「いえ、要りませんって。我が国の立場を世界各国に伝える良い機会になったのでそれで十分ですよ」


「いえ、払います!」


「要りません!」


「払います!」


「…分かりました。この国に銀行というものはありますか?」


「ありますが?」


「金貨500枚持ってオススメの銀行に案内してもらえないでしょうか?あ、私これでも強いので警備上の心配はありませんよ」


「分かりました…?それじゃ金貨500枚用意するので少々お待ちください」


「はい」



「お待たせしました。それではご案内します」


「お願いします」


 しばらく歩くと到着したようだ。


「こちらです」


 受付に向かう


「女王陛下!?それと大和王国の国王?」


「はい。そうです」


「ほ、本日はどうされましたか?」


「この銀行に定期預金はありますか?」


「定期預金…?それはなんでしょうか?」


「ある一定期間お金を銀行に預けて銀行はその資金を元に誰かにお金を貸したりして儲ける。一定期間を迎えれば銀行が儲けたお金のほんの一部をプラスして預金者にお金を返すという仕組みですね」


「な、なるほど?」


「例えば金貨500枚を20年間預けるとします。預入期間満了まで払出しに応じないタイプです。金貨500枚の内、いくらかを1人や複数の人に貸して利子を取って銀行は儲ける。金貨500枚を元手にお金を貸して儲けるんです。預入期間満了になったら儲けたお金の一部をプラスして…例えば金貨510枚とかにして返す。あるいは1ヶ月間の自動更新期間に返すように言って来なければ金貨510枚を元手にまた20年間で儲ける。そういう仕組みですよ」


「理解できましたが何故その話を?」


「大和王国国王であるコウイチ・タカナシが今から金貨500枚を20年間の定期預金で預けます。20年後の1ヶ月間の自動更新期間に返すように言わなければ自動更新してください。良いですか?」


「き、金貨500枚を20年間預けていただけるんですか!?」


「はい、預けます。リア女王、金貨500枚を」


「あ、は、はい。どうぞ」


「ありがとうございます。それでは先程言った通りに預けますのでよろしくお願いしますね?」


「わ、分かりました!ありがとうございます!20年後にお待ちしております!」


「では帰りましょうか」


「えぇ、でも良かったんですか?」


「正直、お金をいただいても今の所、使い道がないです。それに我が国は資金に困っているわけでもないので良いんです」


「我が国としてはお金が外国に流出していないので助かりますが…」


「良いんですよ。細かい事は。それでは一旦失礼します。捕虜の引き渡しの際にまたお会いしましょう」


「分かりました。よろしくお願いします」

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