393 裁判開始ラスボス戦
1年9月4日
「それで刑務官は補助記憶装置を停止させた後、どうしたの?」
「記憶にはないが部屋はキレイになっており、死刑囚もキレイになっているので、つまりそういう事だろうと」
「あ、お察しするわ」
「光一、解説して?」
「はぁ……」
「ため息つかなくても良いじゃないの!」
「ブリタニア、ゴメン、今のは違うんだ。刑務官の事を思ったらため息が出たの」
「あ、そっちか。ゴメン」
「つまりね、記憶にないが自分達が部屋を掃除して元防衛大臣にシャワーを浴びせたんだろうとそういう事」
「あぁ~。それはお気の毒様です。そりゃため息も出るわ」
「国王陛下とマスター、ご理解いただけて助かります」
「それでどうなったの?」
「茫然自失としており話にならないのでさっさと自白魔法をかけて自白させたようです」
「あぁ、刑務官も大変だな」
「はい。それで2億以上の横領を認めたらしいです。それで十分だと判断して檻に戻したそうです」
「まぁ十分だな。よし裁判に行こうか。パトカー呼んでる?急ぎたい。ラスボスと親子も連れてきて」
「分かりました。パトカーは準備出来ています。こちらへどうぞ」
「それじゃアルバートさん、また後で。皆様失礼します」
「国王陛下、お疲れ様です」
「あっちょっ待ってってば~」
僕達はパトカーに乗って緊急走行で裁判所まで来た。
前回と同様に僕達は裁判官席が沢山並んだ立派な部屋に入った。
「国王陛下は中央にマスターは右の席にお座りください。ただいま裁判官や検察官の準備をしております。すぐに参ります」
「分かった」
「分かったわ」
僕達は席に座ると沢山の人が入ってきてそれぞれの席に座っていく。裁判官は僕とブリタニアを除き13人。検察官は2人。
前回と一緒。皆さんが座った所で僕は席を立って挨拶をする。
「皆様、お久しぶりです。……と言っても昨日お会いしたばかりですが本日もよろしくお願い致します」
皆さん1礼する。
「裁判の流れはアクアオーラから聞いているかと思いますが、基本的には今回も専門家である皆様にお任せします」
「大和王国国王陛下。分かりました。どうかお座りください。今回も私が裁判長を務めさせていただきます。よろしくお願い致します」
「ありがとうございます。失礼します。今回もよろしくお願い致します」
「今回も結論が決まっている異例の裁判です。形だけで手順を飛ばして行きます」
「はい。申し訳ありませんが僕の独断と権限で話を聞いて恩赦をしていきます。どうやら殆どが真面目な人な様なので」
「はい。裁判長として申します。ここにいる全員がアクアオーラさんから事情は聞いています。前回の事件も財務大臣が原因だと。だから国王陛下に全てお任せします」
「ありがとうございます」
「国王陛下、間もなく被告人が参ります」
「ありがとう」
ラスボス一家が法廷に入ってきた。
「私は裁判長です。皆さん証言台にお立ちください。これは非公開裁判です。検察官、メレディック一家の罪状を読み上げてください」
「はい被告人メレディックは国民の税金を死刑相当の金額、横領しました。また一家は不正を知っていた事も自白から確認しております。従ってメレディック一家全員に死刑を求刑します」
「裁判長から被告人に聞きます。検察官の読み上げた罪を認めますか?」
「お父さん、お母さん怖いよ」
「国王陛下及び裁判長、私はメレディックです。罪を認めます。私は死刑でも構いません。ですが妻と娘は見逃してください。お願いします。まだ3歳なんです」
「国王陛下及び裁判長、私はメレディックの妻です。罪を認めます。私も死刑でも構いません。ですが3歳の娘だけは見逃してください」
「カレンそれでは駄目だ。娘だけでは駄目なんだ」
「あなた。欲張りを言ってはいけないわ。私も覚悟は出来ているわ。娘だけは見逃してもらいましょう。国王陛下と裁判長、お願いします」
「静粛にお願いします。主文。被告人全員を死刑に処する」
「そんな!待ってください。分かりました娘だけは見逃してください」
「被告人、静粛に死刑は確定しました。国王陛下、ご意見をお願いします」
「国王陛下、お願いします。娘だけでも見逃してくださいまだ3歳なんです」
「裁判長ありがとうございます。被告人全員を僕の権限で恩赦とし有罪の言い渡しの効力を消滅させる。あーこの意味が分かるでしょうか?」
「国王陛下、分かります。ありがとうございます。ですが良いんですか?私が多額の横領をしたのは事実です」
「構いません。理由は後で説明します。カレンさんも分かりますでしょうか?」
「はい!国王陛下、私も分かります。ありがとうございます。娘だけでなく私と夫を見逃していただいて」
「理由を説明します。お2人の取り調べの内容は部下から聞きました。全てです。お父さん、伝わるか分からないがとおっしゃっていたそうですが、ちゃんと伝わっていますよ」
「国王陛下は私の声をちゃんと聞いていただけたんですね。ありがとうございます」
「私はお2人のお話を聞く前は少なくとも実行犯は有罪として大和王国の法に則り10年以下の懲役刑にしようと思っていました。何故なら上司から横領の話が出ても断るか仕事を辞めれば良いと思ったからです。ですがお2人のお話を聞いて考えを改めました。他に手段が無ければ仕方ないですよね。給料がたったの15万円ですか?よく横領したお金に手を付けずに我慢しましたね。僕はあなたのように真面目で愛国心があり優秀な人材を失いたくありません。僕は財務職員に不正防止策としてエテルノを入れます。エテルノは優秀な僕の部下です。何かあれば僕に報告が上がります。僕はエテルノに聞いたことがあります。給料は要らないのかと。そしたらそんな物は要らない。定期的にメンテナンスしてもらっているし、使い道がないからと言われました。そうだよね?アクアオーラちゃん」
「はい。国王陛下」
「エテルノは僕の娘のような存在です。メレディックさん、1つ教えてください。もう財務職員は嫌ですか?あぁ給料はちゃんと適正な金額をお支払いするように改革するつもりですよ。どうでしょうか?」
「国王陛下、お聞きになられたかもしれませんが、私はこの仕事に誇りを持っています。嫌じゃありません。しかし、一度横領をしたような私で良いんですか?全員エテルノにした方が効率的ですし不正防止になると思いますが」
「あなたが横領をしたのは上司に脅迫されたからじゃないですか。確かにあなたの言う通り全員エテルノにした方が効率的です。ですが僕は人の仕事を奪いたくないんですよ。今後、もしも不正に気付いたらエテルノに相談してもらえば適切に対処します。お約束します。分かってもらえますか?」
「はい!国王陛下、ありがとうございます。ですが給料まで上げてもらっても良いんですか?」
「あなたは財務職員として真面目に働いていたから知っていると思いますが、この国はかなり儲かっているはずです。優秀な国の職員にそれに見合う給料を支払うのは当然の事だと思います。僕は今の所、最低でも月30万円で考えています。これは財務職員になって1年目の人の給料です。年数や役職で昇給すべきだと考えています。それは財務職員だけでなく全ての国の職員に対してです。僕はこの国の財政状況を具体的に把握しておりません。ですが最低でも月30万円は可能ではないかと思うんですが財務職員としてどう思われますか?」
「はい。国王陛下のお蔭でこの国が儲かっているのは事実です。全ては財務大臣のせいです。大臣や幹部が多額の横領をしなければ……もちろん我々、一般職員も横領しなければ国王陛下のおっしゃる金額は可能だと思われます。それから国王陛下は既にご存知だと思いますが、幹部以外は真面目で優秀で愛国心のある財務職員です。彼らとまた職場で会える事を期待しています」
「うん、知っていますよ。一般職員は25人で25人全員が証拠と自宅の金額が一致していたので。一致していないのは大臣や幹部です。だから、もし彼らが財務職員を続ける事を望めばまた会えると思いますよ」
「そうですか!それは良かったです!」
「カレンさんは最低でも月30万円の給料をどう思われますか?」
「国王陛下、私としても娘の為にも大変助かります。ありがとうございます」
「それは良かったです。娘さんもそうですがお2人とも怖い思いをさせてスミマセンでした。娘さんのお名前はなんですか?」
「こくおーへいか。私はローレアです」
「そっか。ローレアちゃん、怖い思いをさせてゴメンね」
「こくおーへいか。大好きです!」
「そっか。ありがとう。裁判長ありがとうございました。スミマセン損な役をさせて」
「いえ、構いません。仕事ですから。それではこれにて閉廷する」
警察官がご家族を案内していった。ふぅラスボス戦が終わったぜ。





