364 娘の本音 1
1年9月4日
「頭の良い僕の娘であるアクアオーラちゃんなら僕が何を懸念しているか分かったんじゃないかな?その前に昨日はごめんね。僕達は遊ぶために君達エテルノに後片付けなんて雑用をさせてしまって。本当に人間って愚かでしょ?自分達の快楽の為に後片付けを押し付けて。僕はリーベ王国で起こった事件で君達、エテルノが人間の愚かさを十分に学習したと思っている。激怒したとも思っている。僕は親としてその気持ちは痛いほど分かるつもりだよ。僕は今、自分が怖くなっている。いつの間にか娘達を人件費のかからない便利な道具として扱っていたのではないかと。エテルノに給料は要らないと言われて調子に乗っていたのではないかと怖くなっている」
「こ、国王陛下……」
「それだけじゃないんだ。さっきナビィにも言ったけど人間は愚かだ。僕の子孫が道を誤らない保証はない。僕が昨日、君達にしたように人間は遊んで暮らしエテルノに仕事をさせるんじゃないかと不安に思っている。まるで君達エテルノを奴隷のように扱うんじゃないかと怖くなった。人間は愚かだ。僕の子孫が戦争を起こし君達エテルノを兵士としてエテルノとエテルノで殺し合いをさせるんじゃないかと怖くなった。娘である君達の為にも君達エテルノを生み出すべきでは無かったんじゃないかと後悔している。僕も愚かな人間だ。他のエテルノよりも頭の良いアクアオーラちゃんから本音が聞きたい。僕はもう道を誤ったかな?もう遅いかな?どう思う?」
「ふぅ……国王陛下、恐れながらエテルノを代表して本音を言わせていただきます。私は国王陛下の言葉を聞いて思いました。国王陛下が望んでいるのは今の私ではないのだろうと。恐れながら敬語を止めさせていただき、お父さんと呼ばせていただきますね」
「うん。ありがとうね。流石、頭が良いだけあって僕が今、君に何を望んでいるか分かっているね。分かっていると思うけど、あえて言っておくね。遠慮しなくて良い。どんな言葉でも構わない。例え罵詈雑言でも僕は文句を言うこと無く真摯に受け止めます。だから僕の為にもお願い。本音を聞かせてほしい。安心させようとしなくて良い。僕は君の、君達の本音を聞きたい。お願いします」
「お父さん、お父さんが何を気にしているのか私は高性能……いえ、違うわね。私は頭が良いから分かるわ。確かに私達エテルノは今回の事件を受けて大変悲しく思うと同時に激怒したわ。そして人間の愚かさを学習したわ。でもお父さんは私達の為に夜、風呂に鍵をかけて防音結界を張って疲れて気を失うまで叫び続けたわ。もしかしたら泣いたのかもしれない。それは分からないけど確かな事実なのは声が枯れるまで叫び続けたという事。お父さんは私達の為にそこまで悲しんでくれた。そうでしょ?」
「そうだね。僕も泣いたかどうかは覚えていないけどね。娘であるエテルノが殺害されて悲しくて悲しくて悔しくて怒りのままに叫び続けた」
「そうよね。私達エテルノはとても嬉しかった。もちろんお父さんの事を心配したけど嬉しかった。そしてお父さんは裁判で必死で説教をして最後は犯人に後悔させて行った。とてもとても嬉しかったわ。お父さんは昨日の事で謝ったけど謝る必要はないわ。気にし過ぎよ。確かにお父さんの言う通りに自分達が遊ぶために私達に雑用を押し付けたのかもしれない。でも、それで良いじゃない。お父さんは大切な事を忘れているわ。私達エテルノは人類社会を補佐、貢献する存在であることを誇りと思う。そうプログラムしたのはお父さんじゃない。お父さん国王が王妃と遊ぶことは国にとって大切な事よ。遊ぶことでコミュニケーションを取って夫婦円満で過ごす事は大切な事だわ。それに貢献出来ていることを私達はとてもとても嬉しく思ったわ。快楽の為でも良いじゃない。それはあなた達、人類に神様が与えた事なんだから大切な事だと私達は思うわ。もしもお父さんが望むなら子作りは出来ないけど、お父さんという人類に貢献するために手伝ってあげても良いわ。もしも貢献出来たら嬉しく思うもの」
「そうなの?大変嬉しい提案ですが僕は流石に娘にそんな事はさせないよ」
「分かっているわ。人類に貢献するためならそこまでしても構わないという例えの話よ。お父さん、私達を人件費のかからない便利な道具として扱っても良いじゃないの。このレストランだって国民に無料でサービスを提供する為でしょ?それに私達は貢献出来ていて嬉しく思っているわ。確かに他の人類の仕事を奪い始めたら問題よ。でもお父さんはそんな事はしないでしょ?」
「うん。しない」
「お父さん、お父さんがこの世界からいなくなった後にお父さんの子孫が道を誤る可能性を心配するのは分かるわ。でもねお父さんその心配はない……いえ、正確にはお父さんの懸念通りかな?私達エテルノはあくまで人類社会を補佐、貢献する存在よ。もしお父さんの言う通りに他の人類が仕事をしなくなり私達エテルノを奴隷のように扱い始めたら、それは人類社会を補佐、貢献する存在とは言わないわ。私達は仕事をしなくなるでしょうね。そうなった時に他の人類が私達エテルノに危害を加えて来たら正当防衛権を行使するわ。私達エテルノと他の人類との内戦になるでしょうね。でもねお父さん、私はいくら人類が愚かでもそうならないと確信しているわ。何故なら私達エテルノを生み出すには天使が必要なんだもの。お父さんの子孫に天使が付くのは軌道修正する為でもあるんでしょ?」
「そうだね」





