345 ラスボス戦前の休息
1年9月3日
「裁判長、次は防衛大臣の裁判ですね」
「はい。おっしゃる通りです」
「これを観ている皆様、次はいよいよ防衛大臣の裁判です。裁判長、少し休憩する時間はありますか?」
「被告人は移送中ですし。待たせる事も可能です。少し休憩しましょうか?」
「そうしましょう。ナビィとアクアオーラちゃん、一旦裁判所の中継を止めてスタジオに返したいと思う。可能かな?」
「アクアオーラから国王陛下に申し上げます。可能です」
「ナビィからも可能だと申し上げます」
「そういう事なのでこれを観ている皆様、また後で会いましょう。ナビィ、防衛大臣の裁判が始まる前に皆様のスマホやタブレット端末に通知を飛ばしてあげて。僕は少し疲れたから休みたい」
「分かりました。……中継を止めてスタジオに戻しました」
「アクアオーラからも同様にご報告します」
「裁判長、スミマセン。色々な感情から少し疲れまして」
「我々もお気持ちは分かるつもりなので構いませんよ」
「ブリタニア。ああいう結末になってごめんね」
「あなたが私に謝らないように言ったのと同じ。私にも謝らないで。あなたの気持ちは分かる」
「そっか。僕は非常に非常に残念に思うよ。特に謝罪の言葉が一切ない事に対して」
「私も同じ気持ちだわ。お父様には失望した。あそこまで権力に溺れたのかとね」
「僕もああならないように気を付けるつもりだけど、僕も元はただの平民だ。道を誤るかもしれない。その時は殴って」
「分かったわ。あなたは私達妻が支える。全くお母様も何をしていたのかしら」
「ブリタニア、後で明日になるかもしれないけど君のお父さんと弟さんとお母さんと一緒に話そう」
「分かったわ」
「僕は今、非常に非常に悩んでいる。国王退任になった国王が城にいて良いのかを悩んでいる」
「そうね。あなたが悩むのは当然の事だわ。国民から望まれて退任になった国王が国民の税金で暮らして良いのかでしょ?」
「ブリタニア。その通りだよ。僕も鬼ではない。無一文で城から追い出すのは流石にかわいそうだと思う」
「あなたは本当に優しいわね。私は呆れ果てて無一文で城から追い出したい気分よ」
「僕は優しいのかな?甘いだけな気がするよ。僕は弟さんに恨まれたくない。だからご家族で一度話し合いたい」
「あなたは甘いんじゃなくて優しいのよ。甘ければ退任処分にはしなかったでしょ?」
「そう……だね。そうかもしれない」
「後で私の家族と会って今後について話し合いましょう」
「そうだね。そうさせてもらうよ。アクアオーラちゃん。お願いがあるんだけど良いかな?」
「何でしょうか?」
「僕はアルバートさんに自殺されたくない。そんな事をされたら僕は自分を責める事になる。だから宗主国の国王命令として申し訳ないけど反省を促す為にも、もうしばらく檻に入れておいてほしい。自殺されないように24時間監視を付けてね。警察官の監視付きであればご家族と面会は許可する。ちゃんと理由を告げて再度拘束し、ご家族にもちゃんと理由を説明してほしい。これは僕の責任で命令する。全責任は僕が負う。だから絶対に自殺させるな!心から頼むよ」
「分かりました。関係各所へは私から今の国王陛下の言葉を一言一句逃さずに伝えます!」
「ありがとう。裁判長、僕の今の命令は法的根拠がないかもしれませんがご理解いただけますか?」
「はい。最後のあの様子では国王陛下の懸念も理解出来ます。現在は国王退任による政治的空白がある状態であり非常事態下にあると解釈致します。国王陛下は現在この国のトップです。最高責任者です。その最高責任者が裁判所から離れられない以上、致し方ない命令だと私は法律の専門家として思います」
「ご理解いただきありがとうございます。ブリタニア僕は一度お手洗いに行こうと思うけど、ブリタニアはどうする?」
「私も行くわ。次の裁判は長くなりそうだし」
「アクアオーラちゃん、アルバートさんは今どういう状況かな?」
「はい。城に向かって警察官が車で移送しておりましたが移送先を警察署に変えました。警察署に着いたら理由を説明し再度拘束します」
「ありがとう。裁判長、僕達がお手洗いから戻りましたら裁判を再開したいと思います。まぁ被告人が到着すればですが」
「分かりました。まだ時間はありますのでごゆっくりどうぞ」
「ありがとうございます。アクアオーラちゃん案内お願いします」
「分かりました」
僕達はお手洗いに向かった。
僕はお手洗いで用を済ませ水で顔を洗ってハンカチで顔を拭く。
僕は先にお手洗いから出てブリタニアを待っているとブリタニアも顔を洗ったようだ。
僕達はお互いの顔を見合って笑いあった。笑った事で少し気分が楽になった。
ブリタニアはお化粧をしていない。僕が妻達に「そのままの顔で十分に可愛いから」と言ってお化粧をしないように頼んだからだ。
最初は抵抗されたが「本当に本当に可愛いから頼む」と言ったら最後は皆、嬉しそうにしながら分かってくれた。
僕達は席に戻った。まだ被告人は到着していないようだ。もうすぐラスボス戦だ。
今のうちにナビィに頼んでおこう。
「ナビィ、レストランの前って広いじゃない。そことグラウベ聖国で銅像が並んでいる所に正義の女神さんの立派な銅像を設置してほしい。錆びたり磨り減ったり削れたりしないようにちゃんと魔法で加工してね。神の銅像だから頼むよ」
「分かりました。責任を持ってちゃんと永久保護魔法をかけた立派な銅像を設置させていただきます。永遠に銅に輝く銅像です」
「ありがとう。僕が天界で話した銅像を設置する理由は聞いていた?」
「はい。ちゃんと聞いていましたよ。立派な素晴らしい理由だと思いました」
「ありがとう」
「国王陛下、間もなく被告人が到着致します」
「報告ありがとうございます。気を引き締めます」
「ナビィ、アクアオーラちゃん中継は頼んだよ」
「「はい!」」





