332 国王風呂で叫び続ける
1年9月2日
「ブリタニア、ゴメンね。でもあまりにも酷くてさ。ウィンドウちゃん、亡くなったエテルノは皆、復旧出来たのかな?」
「光一、構わないわ。私もアレはあまりにも酷いと思う。お父様は老害になってしまったのかもしれないわ」
「マスター、その通常ですとバックアップから復旧出来るのですが、亡くなる直前に混乱して自分の記憶をバックアップしようとしたエテルノが数名おりましてバックアップのデータが破損。数日前のバックアップデータから復旧したエテルノがおります」
「気持ちは痛いほど分かる。自分が亡くなると思ったら混乱して当然だよ。自我があるんだから。だから僕はエテルノは人類であり使い捨ての道具ではないと強く思っている。そして僕は娘のように思っているエテルノが亡くなり悲しいし怒っている」
「私も同じ気持ちよ光一。抱きしめても良い?」
「お願いしても良いかな。せっかく温かくなった心が冷え切って辛くて」
「私も同じよ」
「それじゃ皆で2人を抱きしめよう!」
「さ、紗也華ありがとう。グスン。辛くて辛くて堪らないの」
「ナビィ?それともウィンドウちゃんの方が良いのかな?」
「はい!」
「マスターなんですか?」
「明日のレストランはリーベ王国の後始末の為、閉店させてもらいたい。1日ずつ後ろにずらしてもらえないかな?お客様の都合もあるからそうはいかないか。どうしよう」
「紗也華から提案良い?ニュース番組で速報として緊急国際会議を先程開いたこと、明日は光一とブリタニアさんがリーベ王国の後始末の為に1日レストランを離れる事、私達、王妃だけで良ければレストランに来ていただいてご意見やご要望、雑談の対応をする。どうしても国王に会いたい人は希望日に日にちをずらすというのはどうかな?」
「ナビィも賛成です。希望者は結婚式の日を除いて希望日を聞くことにしましょう。それはナビィが対応します。ニュース番組はウィンドウさんお願いします」
「分かりました!」
「ありがとう。みんな温かいなぁ。僕は今、幸せだよ。ブリタニア?」
「なに?」
「明日はまず神界に行こう。そして創造神様にお義父さんは地獄行きかどうか聞こう。娘であるブリタニアは酷な話かもしれないけど、まずはそこをはっきりさせよう。僕はお義父さんを死刑や無期懲役刑にしたくない。妻のお義父さんなんだもん」
「光一、気持ちは嬉しいけど私情で法を曲げてはいけないわ」
「法を曲げる必要はないと僕は思う。ウィンドウちゃん、国王が退任という社会的制裁を受けた場合、判決はどうなると思う?参考意見で構わない」
「一般論として申します。十分な社会的制裁を受けた場合は減刑する事が多いです。国民から非難され国王退任は十分な社会的制裁だと考えます。従って考えられるのは執行猶予付きの有期懲役刑または無期懲役刑です。執行猶予5年というところでしょうか?」
「ねぇ光一?執行猶予って何?」
「判決で刑を言い渡すにあたり、被告の犯情を考慮して、執行猶予期間、法令の定めるところにより刑事事件を起こさず無事に経過したときは刑罰権を消滅させる制度だよ。簡単に言うと執行猶予期間何も罪を犯さなければ刑罰を受けなくて済む制度」
「なるほどね。お父様はそれになる可能性が高いと」
「ただし本人が罪を認め反省しないといけないよねウィンドウちゃん?」
「その通りです」
「そういう事だから。明日は色々とよろしくねブリタニア」
「こちらこそ。父がご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。明日は何卒よろしくお願い致します」
「ブリタニア、夫婦だから困った時はお互い様でしょ?固い言葉は要らないよ」
「ありがとう」
「そろそろ寝る準備をしようか。彩花、悪いんだけど今日は一緒に寝るの止めて明日にずらさない?」
「どうしてですか?」
「最も大きな理由は僕は今、抑えているけど凄いイライラしていて一緒に寝ると我を忘れて彩花と赤ちゃんを傷つけてしまう恐れがあって怖いからとそういう気分になれないから。ゴメンね」
「私は光一さんになら傷つけられても構いませんよ。それでイライラしているあなたを癒せるなら例え死ぬことになっても構いません」
「彩花その気持ちは正直、嬉しいと思う反面、嬉しくない。訳わからない事を言っているのは分かっている。そこまで僕を愛してくれている彩花に嬉しい気持ちを感じるけど、傷つけられても死ぬことになっても構わないなんて言わないでほしい。僕は妻を大切にしたい。傷つけたくない。分かってほしい。女性も気分が乗らない日は断るでしょ?それと同じだよ」
「そ、それじゃ今日は風呂でするだけにして普通に寝るだけなら……」
「彩花、僕は今、凄い凄い感情を我慢しているんだ。分かってほしいそういう欲求が強いあの僕がここまで言っている理由を分かってほしい。風呂で感情が爆発して妻を子どもを傷つけたくない」
「彩花、夫を癒やしてあげたい気持ちは私も分かる。だけど夫の気持ちを尊重するのも妻として大切だと私は思うわ。依存症になるんじゃないかと生命神様に心配されるほど欲求の強い光一がここまで言っているのよ。それはよっぽどの事よ。1人になりたい時もあるのよ。1人になって誰にも聞こえなくなったら叫ぶのかもしれない。光一の想いを尊重してあげましょう」
「紗也華……そうですね。紗也華は今日1日色々な光一さんを観てきたんですよね?私、知ってますよ?一緒にお風呂に入った事を」
「な、なんで知っているのよ」
「夫婦ですから。皆、気付いてましたよ」
「え?そうなの?皆、頷いているけど気付かなかったの私だけ?」
「ブリタニアさん気付かなかったんですか?2人から凄いお風呂の匂いしてましたよ」
「紗也華、今日1日何があったか教えてね?」
「コワッ!お手柔らかにお願いします」
「え?今の私、怖かった?軽くショックなんだけど」
「冗談よ。ほら皆、行くわよ。光一、また明日ね」
「うん、皆おやすみ」
僕は皆が部屋を出た事を確認すると風呂に入り鍵をかけ防音結界を張って浴槽に入り気が済むまで叫び続けた。





