328 リーベ王国火に油を注ぐ
1年9月2日
その後のレストランは毎回、僕の録音したアナウンスが終わるとお客様の皆さん席を立って拍手してくれた。
そして必ず誰かが音頭を取って万歳三唱をするという流れが出来ていた。
前の席まで来て「国王陛下カッコよかったです」「国王陛下改めて尊敬しました」等など一言だけ言って席に戻っていった。
僕の決定は国民から支持されている証拠だから嬉しく思う。
それから国王直通電話に各国首脳から「我が国は大和王国の決定を支持するとお伝えください」とだけ言われたそうだ。
リア王国やグラウベ聖国といった僕の直轄地とリーベ王国を除く全ての国から同じ様な伝言があったらしい。
その報告をウィンドウちゃんから受ける度にお客様が席を立って拍手してくれた。良い国民だ。大切にしたい。
リーベ王国で働いているエテルノによると王城の前で国王と防衛大臣に対する抗議デモが発生。
警察官はエテルノだが違法ではないので静観。正しい判断だね。
愚かなことに国軍が出てきてデモ隊と衝突、抗議デモは更に激化したとの報告を受けた。
その報告にお客様は大爆笑。現地住民を思うと笑えないんだが火に油を注ぐ様な事をしたら愚行過ぎてそりゃ笑うよね。
今日のレストランは無事に閉店した。
ウィンドウちゃんの報告によるとリーベ王国の大使館職員が僕に会わせて欲しいと頼んできたらしいが当然拒否。
居座った為、警察官総出で城の警備を強化。レストランのお客様も迷惑そうにしていたとの事だ。
そのうちレストランのお客様達から帰れコールをされ心が折れたようで帰っていったそうだ。
……迷惑な話だ。5日間なんて甘いことを言わずに2日間で良かったかなと思った程。
今はレストラン無事終了後の休憩タイムだ。
「皆、今日はお疲れ様」
「あなたこそお疲れ様。今日は長い一日に感じたわ」
「ブリタニア本当に僕も心からそう思う。特に朝、会話した人が亡くなった事。殺人犯になった事に軽くショックを受けた」
「マスター、その殺人犯の動向について聞かれますか?」
「うん気になるから一応、聞いておく」
「娘を囚人1号母親を囚人3号と呼びます。囚人3号は真っ先に森に入って行き囚人1号と遭遇。抱きしめた後、頭を地に付けるほど土下座をして謝罪。囚人1号はそれに覆い被さってしばらくその状態が続きました。囚人2号とも出会い、お互い自己紹介をして3人でダンジョンに入って行きました。今はダンジョンから出てきて簡単な料理を食べています」
「そっか。まぁせめて余生は楽しんで死後苦しんだら良いと思うよ」
「それからリーベ王国及び大和王国で帰国ラッシュが始まっています。それから抗議デモですが軍とデモ隊が衝突した結果、デモ隊側に犠牲者が出たようです。警察は殺人事件と判断し捜査を開始、デモ隊側の証言や防犯カメラから犯人を特定し、多数の警察官で犯人を確保。殺人事件の容疑者として現在、拘束中です」
「エテルノに犠牲者は出なかった?」
「抵抗され負傷者が出ました。公務執行妨害として複数の犯人を現行犯逮捕しました」
「法的にはどうなっているの?」
「法的には軍が国内で行えるのは軍事訓練と治安出動です。法的には軍の今の活動は治安出動に該当しません。何故なら治安出動の対象は軍や兵士だからです。民間人は該当しません。そうですよね?ブリタニアさん」
「そうね。基本的には領主軍や他国の軍に対するモノだわ。民間人が武装すれば民兵となり対象となるけど現段階では武装していないんでしょ?」
「はい。デモ隊は看板を持って街中を歩いているだけです。城に侵入しようとしたら違法ですがそういう動きはないので警察は静観しています」
「だとすれば今の軍の行動に法的根拠がないという事になるわね」
「そういう事です。従って大和王国が法的にもしっかりと整備した警察権の範囲となるわけです。普通なら軍の職務中の違法行為は軍法会議の対象になるとマスターは考えると思いますが、その様な法はリーベ王国にはないので」
「そう。良くも悪くも軍に関する法はザルなのよ。警察がいない時代は好き放題出来たけど法的根拠がない軍と法的根拠がある警察どちらが優先されるかというとそりゃ警察になるわね。防衛大臣は警察に抗議したくても出来ないでしょうね。クスッ」
「ウィンドウちゃん、それじゃリーベ王国のニュース番組でその事件を取り上げれば良いんじゃない?」
「マスター!天才ですね!さっそく指示します!」
「そうでしょ?もっと褒めて」
「あなた私の祖国をどうする気?」
「それを決めるのは僕じゃないリーベ王国の国民だよ」
「はぁ。そうね……お父様か防衛大臣がやったのか知らないけど軍が国民から叩かれている時に軍によって民衆に犠牲者を出したら火に油を注ぐようなモノだわ」
「速報としてニュース番組で取り上げました!内容は軍が法的根拠も無く活動し非武装の民間人を殺害。民間人が武装していれば民兵となり治安出動の対象になるが現段階では民間人は非武装であり活動に法的根拠がない。従って一般の殺人事件として警察が捜査し犯人を特定。裁判所から発行された逮捕状を読み上げ多数の警察官で逮捕しようとしたところ、軍に抵抗され複数の警察官が負傷。公務執行妨害として複数の軍人を逮捕」
「良くやった!」
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