30 国王と会談とお嫁さん
1年3月2日
現在の時刻は13時頃。
モーニングコートに着替えてリーベ王国へとやってきた。
今回は空間魔法のゲートを使った。
一度行った場所なら鮮明に思い描けば空間にゲートが開くタイプの魔法だ。
テレポートというのもあるが、あれは目に見える短距離なら問題ないが、長距離だと転移先が壁の中や足が地面にめり込むなど危険なのでゲートを使った。
そういえばアポ取っていないけどこのまま行っても大丈夫かな?失礼かな?
まぁ今更、難しいことを考えても仕方がない行くだけ行ってみよう。駄目なら帰るだけだ。
王城の門番さんに声をかける。
「すみません。コウイチ・タカナシという者ですが国王陛下にお取次ぎ願えますでしょうか?」
「タカナシ様ですか!お話はよく聞いております。恐れ入りますが少々お待ちください!上のものに確認に行きます」
名前を言っただけなのに本人だと信じてもらえた。あ、この服装の効果もあるのかな?
この世界にはないデザインだもんね。平民はもちろん貴族でもこのデザイン、この品質の服は入手出来ないだろう。
あ、門番さんと近衛騎士団長ヴェスターさんがやって来た。
「タカナシ殿!お久しぶりです。国王陛下にお話があると伺いました。案内させていただきます」
「アポも無く来てしまったのにご対応いただきありがとうございます」
「いえ、とんでもありません!タカナシ殿でしたらいつ来ていただいても歓迎致します」
「ありがとうございます。それではよろしくお願いします」
近衛騎士団長ヴェスターさんの案内についていった。
本来であれば僕は立場的に敬語を使うべきではないのだろうが、元SEの平民出身としては敬語を使うなと言われても難しい。
創造神様にも「そんなに丁寧な口調じゃなくて良い」と言われたが、やはり長年こうしてきたから染み付いて癖になっている。
そんな事を考えていたら会議室に通された。
「恐れ入りますが今しばらくお待ちください。間もなく国王陛下が参りますので。お茶でも飲んでお待ちください」
おぉ、このお茶けっこう美味しいな。
お茶を楽しんでいたら扉が開いて国王と宰相と王女のブリタニアさん、あと2人の男女は見たことない方が入ってきた。
僕は立ち上がって出迎える。
「お忙しい中、事前に連絡も無く来てしまい申し訳ありません」
「いえ、タカナシ殿でしたらいつでも歓迎致します。ささ、お座りください。こちらは第一王子のハミルトンと王妃のエイリーンです」
見たことのない人はなんと第一王子と王妃だった。
「私が第一王子のハミルトンと申します。よろしくお願い致します」
「私はエイリーンです。よろしくお願いしますね」
「はい。コウイチ・タカナシと申します。よろしくお願い致します」
「タカナシ殿、本日は私にお話があるとの事ですがどのようなことでしょうか」
「はい、本日は街が完成しましたのでそのご報告とご相談に参りました。こちらの写真を御覧ください」
そう言ってアイテムボックスから写真を何枚か取り出して机に広げる。
「おぉ、なんと!素晴らしい街並みですな。見たことのない素晴らしい街並みです。ところで写真とはなんですか?」
国王が敬語だとやりづれぇ…まぁしょうがないか。自分も一応国王だし。
「写真とは風景を記録するものです。あぁ分かりやすく説明するために今、お見せしますね」
そう言って今度はデジカメをアイテムボックスから取り出した。
「この道具で風景を記録する事が出来ます。失礼して使わせてもらってもよろしいでしょうか?」
「はい。構いません。是非お願いします」
デジカメで国王を撮影して、デジカメの液晶を国王に見せる。
「このように風景を撮影する事が出来ます」
「おぉ!ホントじゃワシが鮮明に記録されておる。便利な道具ですな…とすると先程の写真は全て絵ではなく実際の風景ということですか!それはなんと!素晴らしい!」
「地図もお見せしますね」
今度はアイテムボックスから地図を取り出す。
これは航空写真を撮影してイブに作ってもらったものだ。
「こちらが地図です」
「おぉ!詳細に綺麗に書かれておりますな。しかし、良いのですか?地図は軍事機密では?」
「いえ、私の国は平和国家を目指しており、地図は軍事機密ではありません。私の国では民間人にも公開し便利に使ってもらおうと考えております」
「なるほど…ところで相談というのは何でしょうか?」
「はい、ただいま写真と地図で私の国の様子を見ていただきました。それをもって私の国を『国』として認めてもらえないでしょうか?国名は『大和王国』と考えています。これは『大きい』という意味の言葉と『おだやか』『争いをおさめる』『仲良くする』という意味の言葉を合わせ『王国』と付けた…そういう国名です。まだ1つの街しかない小さな国ですが大きくしていこうと考えています」
「なるほど素晴らしい意味だとワシは思う。我が国は大和王国を国として正式に認めよう。この決定は後に国内に周知するようにする。その代わりと言ってはなんじゃがワシの頼みも聞いてほしい」
「はい、なんでしょうか?」
「ワシの娘、ブリタニアを嫁にもらってくれないだろうか?」
「すみません。政略結婚は本人の意志が…」
「政略結婚ではありません!これは私の意志でもあります!」
これまで黙っていたブリタニアさんが語気を強めて主張した。
「命を助けていただき、その後、馬車でお話をさせていただき、この人と結婚したい!そう強く思ったんです!ですので政略結婚などではありません!……それとも私のような者は嫌いでしょうか」
「そんな事はありません!心の底からとても素敵な方だと思います!私のような者と結婚してくれる。とても嬉しいお話です」
「そうかそうか、それは良かった。ワシとしても君なら娘を任せられると強く思う。どうじゃろう?1ヶ月後に我が国で結婚式をするというのは?衣装は君に任せたほうが良さそうじゃが後のことは我が国に任せてほしい。我が国で盛大に結婚式をする事で民衆にも新たな国の誕生を広められるじゃろう。我が国の隣国にもな…。結婚式は1ヶ月後じゃがその間、娘と生活してもらえないだろうか?それで親睦を深めれば良いと思う」
「分かりました。そうさせていただきます。とても嬉しく思います。よろしくお願い致します」
「良かった…断られたらどうしようかと心配していました。私も嬉しいです。よろしくお願いします」
あ、ブリタニアさんが泣いちゃった。
そんなに異性に好かれた事など生まれてから今まで全く無かったから正直、困惑している。
「まぁまぁ、ブリタニアったら。だから大丈夫だと言ったでしょ?私からも娘のことよろしくお願いしますね」
「はい!ブリタニアさんを幸せにすると誓います!」
「ワシからも娘をよろしく頼む」
やべぇ…僕も嬉しすぎて泣きそうになってきた。いかんいかん。
「このような雰囲気の中、恐縮ですが他にもご相談がありまして良いでしょうか?」
「おぉ!なんじゃ?」
「私の作った街とこの国を超高速の乗り物で繋ぎたくてですね。この国の領土の一部…と言っても建物1つ分ですが使わせてもらえないでしょうか?」
今度は僕の国とアーシア大陸の白地図をアイテムボックスから取り出す。
「私が街を作ったのはここでして、かなり距離がありますので超高速の乗り物で行き来出来るようにしたいと考えております」
「これは…ワシも長年生きているがこのような地図は初めて見た。君の国はこの青く塗られているところというわけじゃな?…この範囲全てを開拓したらかなり大きな国になるじゃろうな。ちなみにその超高速の乗り物でワシの国と君のつくった街はどのくらいの時間で繋がるんじゃ?」
「そうですね…5時間半程度だと思います」
「そんなに速いのか!にわかには信じがたいが嘘だとは思わん。ちなみにどこを使いたいのじゃ?」
「可能であればこの王都の空き地を使わせていただきたいです。そこを大使館兼駅とします。乗り物は地下深くを掘って繋げますが構わないでしょうか?」
「構わない。丁度この間、娘を殺害しようとして取り潰した領主の王都屋敷が放置されておる。そこなら好きに使ってもらって構わないし、地下深くを掘るというのも構わない。ところで大使館とはなんじゃ?」
「大使館とは国交が成立している外国に、自国の特命全権大使を駐在させて公務を執行する役所です。特命全権大使は自国を代表して貴国と交渉したり、自国民の保護等を行います。さらに自国と貴国との経済、文化等の関係を発展させ、友好関係を促進するように努める役目があります。…要は国家間の連絡役ですね。大使館は我が国とリアルタイムで連絡が出来るような体制とさせていただきます」
「おぉ、素晴らしいな!お互いの国で連絡が密に出来るのは大変素晴らしい」
「ただし、いくつか条件があります。外交特権というもので、その敷地は不可侵であり設置された国家の官憲は特命全権大使の同意なしに立ち入ることが出来ない。租税などについても全て本国の領土と同じ扱いを受ける。つまり、大使館の敷地内はその大使館設置国の領土と言っても過言ではなく、敷地内は大使館設置国の法律が適用されるようにしていただきたいです。また、設置された国家は私人による公館への侵入・破壊及び、公館の安寧・威厳の侵害を防止するために、適当なすべての措置をとる特別の義務を負う。…という条件でお願いしたいです」
「なるほど…」
「私は創造神様によってこの世界とは違う世界から来ましたがこの条件は世界共通のルールでした。詳細については後程、特命全権大使を派遣した際に交渉させていただき、お互いの国で条約を締結させていただけたらと思います」
「分かった。世界共通のルールということは必要なことなのじゃろう。詳細は後程、国家間で交渉しよう」
「ご理解いただきありがとうございます。それでは元領主屋敷の敷地に大使館と駅を建設させていただきます。建設は全て我が国で行いますね。それと後1点ご相談があります」
「うむ、分かった。それで相談とはなんじゃ?」
「貴国の孤児を我が国で引き取らせていただいてもよろしいでしょうか?教育等をし我が国の国民としたいのです」
「なるほど…それはむしろ我が国としては非常に助かる。費用等は大丈夫なのか?」
「はい。特に費用を頂くとかはありません。我が国で責任を持って面倒を見させていただきます」
「それで大使館と駅、高速の乗り物はいつ頃完成するんじゃ?」
「明後日には完成すると思います」
「明後日か!?随分と早いな!」
「優秀な部下と創造神様のおかげです」
「なるほどな…話は以上かな?」
「はい、以上です。長々とお時間をいただきありがとうございました」
「良いんじゃよ。改めて娘をよろしく頼むぞ」
「はい!」
こうしてリーベ王国国王との会談は終わった。
今回は少し長くなってしまいました。
結婚の話の部分は書いていて涙が出てきました。なんでだろう?





