275 グラウベ聖国の問題点
1年8月11日
「この国に政治はないと聞いていますが本当ですか?」
「はい。本当です。信仰するのが我々教会関係者の務めですから」
「私は将来、聖女を他の国で言う女王の立場にして宗教のトップは教皇、政治のトップは聖女という風に明確に分けたいんですね」
「私も同じ考えです。新神様に言われたから言っているのではなく元からそう思っていました」
「そうなんですか?」
「はい。アーロイ前教皇は各国の首脳と国の代表として会談していましたがそれは違うと思うんですね」
「宗教のトップとして各国の首脳と会うのは良いと私は思います」
「おっしゃる通りです。私の考えを理解していただけて嬉しく思います」
「次期教皇があなたなら私も安心です。演説でも言いましたが誰とは言いませんが王の中には聖女と同じ能力がある人がいるんですね。その人はその能力を上手く使って国を導いています。同じ様に創造神様の言葉を聞ける聖女だからこそ国を正しい方向に導いて行ってほしいなと思うんです」
「次期教皇が私になるかは分かりませんが……そうですね。私も心からそう思います」
「神々の願いでもあるんですが私はこの国の人々の暮らしを良くしたいと思います。例えば井戸から水を汲まなくても水を使えたり、毎日お風呂に入ったり、快適に衛生的にトイレを使ったりです。また夜になっても魔法を使わずに明るく出来る。そんな生活環境にしてあげたいと思っています」
「それが神々の願いなんですか。私は全く真逆の事を考えていました」
「神に祈りを捧げたり精神を鍛えたりするのは大切だと思います。ですが貧しい生活を神々は望んでいません」
「そうなんですか。考えを改めました」
「私と聖女の娘が大人になるまでにこの国を安定させたいのです。まずこの国には政治が必要です。軍隊はありますか?」
「警備兵はいますが軍という程のものではありません」
「警備兵は主に何をしていますか?」
「教会の警備です。後は大きな騒ぎがあったら駆けつける程度ですね」
「なるほど。街の外は魔物がいると聞いております。まずはそれを駆除しようと考えています」
「それは助かります。街と街の間の物資の輸送も危険が伴うものだったので」
「食料と服の価格は下がっていますか?」
「いえ、高いままです」
「この国に商人はいますか?」
「小規模な店が何軒かあると言った感じでしょうか?ですので皆、貧しい生活で教会が定期的に炊き出しを行っています」
(ナビィおかしくない?物資の輸送は空輸でしているはずだよ?)
(多分、どこかで止まっているか、悪徳商人がいるかですね。調査します)
(お願いします)
「どうかされましたか?」
「いえ、おかしいんですよ。食料と服は大量にこの国に輸送しているはずです」
「え?」
(マスター、分かりました。物資は空港の倉庫に置きっぱなしです)
(他の国はそんなことないよね?)
(ありません。確認したので断言できます)
「空港をつくったのは知っていますか?」
「はい。よく飛行物体が飛んできますね」
「あれで物資を輸送していたんですがどうやら物資は空港で止まっていたようです」
「えぇ?」
「大使館を設置して教会に電話という機械を設置していることは知っていますか?」
「はい。大使館はもちろん、電話とやらは教皇の部屋に設置していました」
「我が国は物資を輸送すればグラウベ聖国さんで物資を適切に分配したりしてくれると思っていたんですが放置されていました」
「大使館や空港の設置は目的も含めて許可を取りましたよね?アーロイ元教皇に」
「それはもちろんです。他国に勝手に設置したら国際問題になります」
「フッフッフッハァ……私は頭を抱えたいです」
「僕もです。教皇が政治的な立場でいるなら最後まで責任持ってほしいところですよ本当に。それが放置って」
「アーロイを今すぐ呼び出して問い詰めて裁判をしたい気持ちですよ」
「僕は新神ですがそれ以前に国王です。創造神様に頼まれて大和王国を建国しました。その後、色々な功績から新神になりました。功績と簡単に言っていますが大変でした。一時期は倒れて寝たきり状態で目が覚めても廃人になったり記憶喪失になる可能性もありました。天界で生命神さんに面倒を見てもらって最初は記憶喪失でしたが今、この通り元気になりました。決して楽な道や運が良くて新神になった訳ではありません」
「大変な思いをされたんですね。普通の人は新神になれないのは理解しています。それだけのものがあってのことだと思っています。ですから私は貴方様を心から尊敬しています」
「ありがとうございます。僕が言いたいのはですね。聖女と結婚したことで僕が国王としてこの国の統治をすることになりました。世界各国の状況は聞いていますが、この国が今、一番マズイ状態です」
「そう……でしょうね。今お話をさせていただいて問題点が明らかになりました」
「はい。まずは貧困問題、次に放置された物資。政治が機能していたらどちらも解決出来る問題だと思います」
「そうですね。痛感しました」





