262 大和語と自国通貨の提案
1年8月9日
「皆さんにお願いがあります」
「何だ?従属国だ何でも聞くぞ」
「大和語を世界各国の皆さんに習得してもらいたいのです。習得と言っても簡単です。頭に電極を貼って数秒あれば習得出来ます」
「それは凄いが理由を聞いても良いか?」
「1つは私の言葉が正確に伝わっているか不安だからです。言葉のニュアンス等、大和語は私の祖国の言葉でして良くも悪くも世界各国の言葉を導入している言語なんです。その為、私でも難しい言語だと思いますが表現の幅が広いという特徴があります。だからこそ私の言葉が正確に伝わっているか不安なんです」
「ワシはこれまで違和感を覚えた事はないが魔法か何かで自動翻訳しているんだろ?そりゃ不安だわな。言葉によっては真逆の意味になるからな」
「ご理解ありがとうございます。その通りです。2つ目は娯楽を広めたり新サービスをするのに効率的だからです。彩花と紗也華は地球ではアイドル活動をしています。アイドルとは人々の憧れの対象となる人の事を言います。歌を歌ったり雑談をしたり色々と活動しています。観る人を幸せにする活動です。それをこの世界にも輸入したいんです」
「なるほどな。この世界には娯楽がないし今までは皆、そんな余裕が無かったが楽しいことは良いことだな。読み書きも出来るようになるんだろう?」
「はい。なります」
「それは素晴らし事じゃないか。国民の教育の重要さは理解しているんだが財政面で中々出来なくてな」
「それに関連して提案なのですが各国で独自の通貨を導入してはどうかと思います」
「そう言えばリア王国の通貨はリアになったと聞いた。どうして変えたんだ?」
「僕も元平民なので詳しくないですが僕の元いた世界の通貨の歴史について簡単に説明しますね。今もそうかもしれませんが最初は物々交換で自分の欲しい物を手に入れて来ました。しかし物々交換は不便です。そこで次に珍しい貝殻や石を使うようになりました。すると何にでも交換出来て便利という事で貨幣の重要性が増しました。長い間使われていたのは金貨や銀貨、銅貨です。皆さんの国はこの段階かなと思われます」
「そうだな。特に金が貴重で重要だからお金をゴールドと呼んでいる」
「これからの話しかもしれませんが貨幣の流通量が増えるにつれて人々が保有する貨幣の量も増えていきます。そうなると段々と不便になっていきます。大きな買い物をするのに多数の金貨や銀貨を持ち歩くと重いですし盗まれるかもしれません」
「そうだな。特に国レベルになると扱うお金の量が多くなる。商人達もそうだろう」
「それによって誕生したのが紙のお金である紙幣です。国家が金と交換できる交換券である紙幣を発行し、人々は紙幣で買い物をするようになります。そうすると金や銀などの貴重な金属ではなく、紙が価値を持つようになります」
「なるほど金の交換券か。確かに紙なら軽くて持ち運びしやすい」
「はい。最初は金との交換券でしたが、紙がお金として価値を持ち出すと人々の考えが変わります。それまでは金との交換券でありそれを裏付ける金に価値があったのに、人々は紙の交換券自体に価値があるように思います」
「なるほど。紙に価値が生じるのか」
「当初、国は紙幣の価値を裏付ける金を保有しなければ紙幣を発行する事ができません。しかし、価値を裏付ける金が足りなくなってきます。それでも紙幣が必要だと言う事で、国は保有している金の量に関係なく紙幣を擦り始めました。金の交換券だったものが国の信用が価値の源泉となりました。きちんとした国が発行している紙幣なので価値があるだろうと。紙幣の信頼性は国の信頼によって担保されるようになったんです」
「なるほどな。それがワシらの国の未来か」
「はい。金という裏付けするモノがなくても自由に作り出せるという事は重要です。国にとって自国で発行する紙幣は、流通量をコントロールする事によって経済に影響を与える極めて重要な道具になりました。景気が悪くなれば市中のお金の量を増やしてお金の価値を下げることで物価を上げて景気を刺激します。景気が良くなって物価が急激に上昇すれば、お金の流通量を減らしてお金の価値を上げて物価を下げさせます」
「ほぉ、それは都合が良い」
「大和王国とリア王国は金の交換券という部分を飛ばしました。通貨を変えた際に最初から紙幣を発行したんですが金の交換券として発行していません。硬貨と同じモノだと国民は認識しているはずです」
「混乱しなかったのか?」
「しばらくは両方使えると言って国の機関でお金の交換に応じましたから。国民に演説する際にこんなような事を言いました『ゴールドよりも大和王国の円の方が価値があると思うが1ゴールドを1円で交換する』と。その後、しばらくした後に私と妻で物価調査をしました。その際に洋服店に訪れましたが価格がですね、ゴールドと円が併記されていました。円の方が安く書かれていましたね」
「商人はエンの方が価値があると考えたということだな」
「テーブルの上にお金を並べますので見に来てもらえますか?」
「よし!見よう!」
僕はインベントリから大和王国とリア王国の全種類の通貨をテーブルの上に広げる。
「おぉ!これは凄い!硬貨が美しい。ゴールドと全然違う。技術力の差を感じる」
「是非、紙幣を手に取っていただき色々な角度から見てみてください」
「おぉ!これも凄い!美しいリア女王の絵だけかと思ったら真ん中の白い部分にも透かしで描かれているんだな。更にキラキラと光るモノや角度によって文字が変わる加工がされている。これは偽造は不可能だ!信用と価値の高さが良く分かる。皆も見てどうぞ」
「ありがとうございます」
「私も見てみますね。本当ですね!これは高度な技術力が無ければ作れません!ただの紙なんかじゃありませんね!」
「はい。絶対に偽造できない紙幣です」
「コウイチさん、これを我々の国でも独自のモノを作っていただけるということでしょうか?」
「はい。ニコランド国王のおっしゃる通りです。リア王国のように各国で作らせてもらいます。当然、我が国でも各国の紙幣や硬貨を作ることが出来ますが、それをするメリットがありません。ご安心ください」
「そうですね。無償で食料を提供していただいたりしているくらいですからね。本当に色々と助かります」
「いえ、各国の人を思っての事ですから」
「流石、神になられるだけあって人格者ですね」
「ありがとうございます。あっ食事の準備が出来たみたいです。食事しながら会話しましょう」





