244 朝の報告と防災について
1年8月7日
「それからナビィに質問があるんだけど良い?」
「はい。何でしょうか?」
「この世界にも地震はあるのかな?」
「それはもちろんありますよ」
「台風は?」
「それもありますね。これから台風の季節に入るかと思われます」
「レアメタルは?」
「もちろんありますよ。前回の探索ではレアメタルの鉱山まで調べませんでしたが」
「それはどうしてかな?」
「見つかっても採掘が難しいと予想されるからですね。それよりもダンジョン攻略した方が早いし楽です。あっいけね。ネタバレしちゃった」
「どういうことだろうか?」
「まぁ良いか言っても。銃で攻略するダンジョンの2階層目からはレアメタルがドロップするんです。その分、敵も強いですがマスター達なら余裕でしょう」
「レアメタルと言っても色々な種類があると認識しているけど」
「あぁそれは安心してください。全てセットでドロップするので。使い道は流石にマスターも分からないと思います。でも我々、天使としては地球から素材を輸入しなくて済むので期待しています」
「分かった。とりあえずそれは良い。問題は防災だ。僕はこの世界のプレートを理解していない。地球と違うからね」
「あー良くも悪くも殆ど地球と同じですよ」
「と言うことは大和海側も太平洋側も大和王国本体のどこでも地震が起こる可能性がある?」
「ありますね」
「オーエス大陸は?」
「オーエス大陸はないですね」
「近い将来、地震計を設置して緊急地震速報システムを構築しようか」
「それはまた面倒な作業ですが理解出来るので仕方ないですね」
「首都直下型地震もありえると?」
「あーありえますね。建物は全て地震に耐える設計にしてますのでご安心ください」
「まだ民間人が学園都市にしかいないから良いんだけどね。また課題が増えてしまった」
「ちょ、ちょっとあなた達が言っている『ジシン』って何?」
「地震という字はこう書く。地面が振動する事を地震と言う。元の世界の特に我々日本人は地震をよく理解している……例えば粘土が理想なんだけど紙で説明するか」
「いえ、ナビィが空間投影で説明しますよ」
「あ、その手があったか。魔法のない生活を長年過ごしていたから思いつかなかった」
「この丸いのがこの世界です。分かりやすく断面を見せますね。卵は見たことがありますか?」
「もちろんあるわ。よく食べているし」
「卵には黄色い黄身と白い白身がありますよね。それと同じ様にこの世界もこのように黄身のような中心部分があり、その周りに白身のような部分と表面に卵の殻のようなものがあるんです。簡単に言うと卵の殻の表面に我々は住んでいる訳ですね」
「なるほど?」
「卵の殻のように固定されていたら良いんですが。この世界の表面はプレートという板状のものが複数あって動いているんです。こんな感じですね」
「複数の板があるわね」
「プレートとプレートはこのようにぶつかるとどちらかが下に潜ります。潜った方は潜り続け潜らなかった方は潜る圧力により下に引っ張られます。するといつか引っ張られた側がこのように上に跳ね上がったりします。こんな風に。またはこんな風に板に割れ目が出来ます。するとそれに伴い地面が横に揺れたり縦に揺れたりするんです。小さな揺れなら良いですが大きな揺れだと家具や建物が倒れたりと被害が出ます。それだけではありません。水の入ったコップを揺らすと波が出来るように海から大きな波が襲ってきます。これを津波と呼ぶんですがこんなイメージ映像のようにです」
「これは……酷い被害が出るわね」
「その通りです。分かっていただけましたか?」
「コウイチが何を恐れているのか分かったわ」
「日本人はこれをよく理解している。嫌と言う程に。学校でも定期的に地震を想定した避難訓練をする程だよ」
「そうね。昔、大きな地震があった時に建物は倒壊し至るところで火事も発生した。多数の犠牲者が出たと聞いているわ」
「これは次の国際会議の議題にもしたい。大雨等による被害、病気の流行等の人類共通の課題だから」
「ナビィもそうした方が良いと思います」
「分かった。地球のお客様が帰ったらすぐに国際会議を開こう」
「私は明日の昼に帰ると聞いているわ」
「僕は1週間くらいいるのかと思っていたよ」
「あまり長くいても迷惑だろうし観光地もないしお父さんは仕事人間だからって。帰ったら土曜日の昼でしょ?日曜日も休みだから十分だってさ」
「それは正直助かる話だ。自分達の親を邪魔者扱いする意味ではなく国王としてはお客様だから何かあって迷惑をかけたくない」
「私は正直、酔っぱらいの相手をするのは面倒だし気を使うから早く帰ってほしいけどね」
「私も正直、紗也華に同感。夫の仕事に影響しているし」
「今回は時期が悪いだけで状況が安定していれば長く居てもらっても全然良いんだけどね」
「私の祖国が迷惑をかけて申し訳ないです」
「いや、ジュリエットは何も悪くないよ。僕の考えすぎかもしれないし……ただね」
「言いたいことは分かっている。『僕のやりすぎで国家間の格差が広がっているから気になる』でしょ?」
「その通り。リア王国で行ったこともトラバント地方との格差を気にしてだからね」
「あなたも大変ね。ここにいる皆が『コウイチの考えすぎ』と言えない時点でマズイのよね」
「ウィンドウちゃん、軍艦の様子はどう?」
「はい。空母や補給艦を含む艦隊は現在、空母の全速力に合わせて進んでおります。イージス巡洋艦1隻は先行しています。後3日で港に到着する予定です」
「分かった。ありがとう。それじゃ僕達はダンジョン攻略に行ってくる」





