236 彩花と紗也華と結婚式 3
1年8月6日
さてこの後は披露宴だ。
僕達が退場している間に会場には席や食べ物が用意されているはずだ。
彩花と紗也華はカラードレスに着替えている。
少し待っているとカラードレスに着替えた2人がやってきた。
「かわいい……」
「あ、ありがとう」
「ありがとうございます」
「準備が出来ました」
「ウィンドウちゃんありがとう」
「いえ、それでは扉を開けます」
3人で会場に入場する。
カラードレス姿を見て感嘆の声が上がる。
会場の周りや観客席から拍手が僕らに降り注ぐ。
座席に座ると拍手が止んだ。皆、訓練されているな。
すると突然、天使達が忙しなく動き回ってプロジェクターとスクリーンを設置した。
聞いてないよ?え?何が始まるの?僕の幼い頃の映像とか黒歴史とか映らないよね?
『大和王国首都の城のスタッフ一同です。国王陛下、王妃陛下ご結婚おめでとうございます。国王陛下にはいつも温かい言葉をかけていただきスタッフ一同、感謝しております』
『大和王国学園都市の冒険者ギルド、私ギルドマスターと職員一同です。国王陛下のアドバイスのお蔭でダンジョン攻略が捗り、死傷者も減りギルド一同大変感謝しております。これからもよろしくお願いします』
『大和王国トラバント地方の新京都、役所の職員一同と国民の皆さんです。まずは役所を代表して私アポフィライトが挨拶させていただきます。国王陛下いつも国民の為に色々と考えていただきありがとうございます。役所の職員を代表して御礼申し上げます』
『たまたま用があって役所に来た国民の1人です。先程アポフィライトさんからもありましたが、いつも国民目線で色々と考えていただき、謙虚な姿勢で国民と接する場面を見て素晴らしい国王陛下だと尊敬しております。フォルター帝国という負の遺産からトラバント地方へと名前を変えて負の遺産を改革してプラスに変えた国王陛下は本当に凄いです。国民一同、本当に感謝しております。少し挨拶が長くなってしまいましたがこれからもよろしくお願いします』
『リア王国……いえ、正式にはリア特別自治区の首都のお城の職員一同です。職員を代表して私アクアが挨拶させていただきます。国王陛下は少し考慮が漏れる事もありますが、いつも国民目線で現場の声を大切にされていると感じています。少し暴走して皆を驚かせる事もありますが、それも国王陛下の良さだと思っています。国王陛下を支えるのが我々の仕事です。これからもよろしくお願いします』
『偶然、城に用があって来た国民の1人です。国王陛下と王妃陛下の結婚式で流れると聞いて緊張していますが。とにかく国王陛下を尊敬しております。つい先日まで井戸で水を汲んで身体を拭いて生活していた事。火事になったら近所の住人がバケツリレーで消火するか燃え尽きるのを待つ生活をしていた事。食料や衣服の価格が高い慢性的な食糧不足だった事。病気や重傷で助からない命があった事。子どもを産むのも環境が整っていない為、母子ともに命がけだった事。これら全てを対策したり改善に動いた国王陛下を尊敬しない国民はおりません。断言できます。しかも街から街まで地下鉄という乗り物で楽に短時間で移動できるようになった事も素晴らしい事です。国王陛下には心から感謝しております。今後ともよろしくお願いします』
『まだまだ紹介したい感謝のメッセージがありますが最後に天使を代表してナビィがマスターにメッセージを伝えて終わろうと思います。マスターがこの世界に来た最初の頃は色々とありましたね。時にはお互い過労で倒れそうな時もありました。懐かしい思い出です。今は驚くほど沢山の天使がマスターの部下です。マスターの事です。今後も色々と考えているのでしょう。我々はそれを実現するために存在します。マスター改めて言うと恥ずかしいものですがいつもありがとうございます。いつもお役に立てて光栄に思います。新郎新婦、そしてご家族の皆さんこの度はおめでとうございます。以上です。マスターこれからもよろしくです』
天使の皆が忙しなく動き回って片付けをしている。
「フフフハハ。全くナビィ全力を出しすぎだよ。あーあ。目から汗が出そうだよ。フゥやれやれ少し空でも眺めるかな」
しばらく静かだったが観客席と周りから拍手が沸き起こる。
「光一、泣きたければ泣けば良いと思うわよ」
「私もそう思います」
「それは僕のプライドが許さないんだ。ちっぽけなプライドだけどね」
「まぁ気持ちは分かるわ」
「フゥ……あれ?この後の流れってどうなっていたっけ?」
「皆さん拍手ありがとうございます。ですがそろそろ静粛にお願いします。私、ウィンドウが司会を務めます」
拍手が鳴り止んだ。本当に訓練された観客だな。
「主賓の代わりにコウイチさんのお父様、ご挨拶をお願いします」
「え?俺?」
大丈夫かな?変な事言わなければ良いけど。
「僭越ながら私からご挨拶をさせていただきます。この度はお集まりいただきありがとうございます。このように沢山の観客の皆さんの前で話す機会は中々ありませんので緊張しています。正直、今日、先程の映像を観るまでは私の息子が本当に国王なのだろうか?小国の国王かな?等と考えていました。2人の女性と同時に結婚式をするなんて何を考えているんだとも思っていました。新婦のご両親には愚息が申し訳ないという気持ちでいっぱいでした。というのもシステムエンジニアという仕事で32歳になって身体を壊し退職しこれからどうするんだと思っていた事も背景としてあります。この世界に来る時に20歳まで若返ったようで国王をやっていると聞いた時には信じられませんでした。今日、地図を見せてもらいこのエリアを統治していると聞いても驚きが大きく信じてあげられませんでした。父親が言うのも何ですが息子はどこにでもいる普通の男です。つい先程までそう思っていましたが私の知らない内に息子は成長していたようです。愚かだったのは私の方だったようです。息子は沢山の人に尊敬される立派な男に成長していたようです。新婦のお2人、新婦のご家族の皆様、そして国民の皆様、どうか今後とも息子をよろしくお願いします。息子と異なり愚かな父親なのでこの程度のご挨拶しか出来ませんが以上とさせていただきます」
すると観客席と周りから拍手が沸き起こる。
良い国民だな。
「皆さんありがとうございます。一旦静粛にお願いします。コウイチさんのお父様、突然の挨拶の依頼にも関わらず素敵なご挨拶ありがとうございました。拍手からも分かる通り気持ちは皆に伝わったと私は思います」





