226 卸売市場について解説
1年8月5日
「ナビィ、スーパーマーケットの近くの空いている場所で豊洲市場を参考に閉鎖型の施設を作り、食品を高温や風雨の影響から守り鮮度を保つようにしよう。そして屋上は緑化しよう」
「首都は大きめの市場を作り地方は日本の地方の卸売市場を参考に閉鎖型の市場を作る形でよろしいでしょうか?街の中央に市場をつくると将来的に交通が混乱する恐れもありますが」
「その認識で大丈夫。問題が起こった際は移転すれば良いと思う。国がエテルノを動員して作った食品についてはエテルノが納入する職員になって売ってもらえば良いかな」
「分かりました。部下に命じて直ちにつくります」
「お願いねっと、ランドンさん。今、部下に命じて卸売市場を作ることにしました」
「卸売市場とは何でしょうか?」
「失礼ですがオークションはご存知でしょうか?」
「はい。知っています」
「それと同じ様に食品を市場に集めて売り主が多くの買い手に競争で値をつけさせ、最高の値を付けた人に売る場です。食品は市場に来た段階では値段が決まっていませんがそのような方法で適正な評価による価格形成を行うんです。これをセリと言うんですが」
「それは我々、商業ギルドや冒険者ギルドがその卸売市場で売り主になっても良いのでしょうか?」
「もちろん構いません」
「それは非常に助かります。冒険者から商品を売ってもらっても買い手が見つからない事もありますから。せっかくの食品が無駄になってしまう事もあるのです。市場は何時頃に行うんですか?」
「私の元いた国では朝早くに売買していましたね。やはりお店が開店する前に商品を仕入れる必要がありますから。具体的には朝5時頃から市場のお店を開き、セリは朝7時から始まります。大きな中央市場では朝2時頃から既に売買が始まり朝が開ける頃には落ち着くというのもあります」
「理由は元商人として理解出来ました。確かにそうですよね。そうなりますと首都は朝2時頃から開始でしょうか?朝7時には開店しているお店もありますから」
「そうですね。そこは今後、様子をみながらになると思います」
「一般人の買い物も出来るんでしょうか?」
「いえ、一般人への販売は原則お断りします。この理由は卸売市場の大きな社会的役割として物流を低コストで、薄利多売で行うことが求められる為、ある程度まとまった購買単位で取引する必要があるためです。失礼ですが商業ギルドではどのランクから店を構える事が出来るのでしょうか?」
「Dランクからですね。それよりも下のランクは店で雇ってもらって長期間働き店主が推薦したら審査して昇格します」
「そうですか。それならば商業ギルドDランク以上の人に売るという事にしましょう」
「商業ギルドが卸売市場を管理しては駄目でしょうか?」
「駄目ではありません。むしろ歓迎します。理由としては卸売市場の役割にあります。あ、ここは重要なのでメモしてくださいね。シャープペンシルとノートブックを差し上げますから少々お待ちください……あった。アクア悪いんだけどギルドマスターに渡して来てくれるかな?」
「承知しました」
「あ、ありがとうございます。助かります。ヒィ」
多分、恐れ多いと思って自分から取りに行こうとしたんだろうな席から立ち上がって近付こうとしたら近衛兵が動いた。
「近衛兵のみんな。ありがたいけど。そんなにピリピリしなくても大丈夫だよ。僕と女王は攻撃が効かないし」
近衛兵の皆、一斉に敬礼して元に戻った。
アクアはギルドマスターにシャープペンシルとノートブックを渡して戻ってきた。
「アクア、ありがとう」
「いえ、お役に立てて何よりです」
「卸売市場の役割には集荷機能があります。食べ物を、作った人達の希望を考えながら、なるべく作った全量を買上げて、必要に応じて保管します。作る人たちの『受け皿』となると同時に、十分な量と種類の食べ物を集めてきます。また、近隣で収穫されない産物や、地域に不足している食べ物を、他の街から取り寄せる機能もあります」
「なるほど集荷機能ですね。これは後で冒険者ギルドと調整しますが例えば冒険者が食品をダンジョンから大量に入手しても『売れないから買い取れません』とは出来ませんからね。ある地域では余っている食品も他の地域では不足しているかもしれませんし。理解しました」
「はい。次に分荷機能です。食べ物が欲しい人たちのために、十分な量と種類の食材を取り揃えて、それを必要な人に、必要な量だけ売り渡す機能があります。また余った食材を、保管しておいたり、他の地域の卸売市場を通じて、不足している地域にスムーズに流し、量を調整する横のつながりも持っています。これはエテルノが連絡役として役に立つと思います」
「分荷機能……なるほど先程のお話と似たような事ですね」
「それから価格形成機能。これは先程お話したオークションと似たような話です。売る人と買う人が直接話し合うと高く売りたい、安く買いたいとなかなか値段がつかなくなります。卸売市場は両者の間に入って公平な値段を見つけるのです」
「なるほど確かに直接やり取りすると喧嘩になるかもしれませんね」
「そして決済機能。売買したらお金が動きます。お金のやりとりを確実に、正確に、スムーズにする機能も卸売市場の役割です」
「それも理解しました」
「最後に衛生管理です。食材が安全で新鮮なものかを確認する必要があります。腐った食べ物は売れません。そこは鑑定魔法が使える人がいれば確認できると思います」
「確かにそうですね。鑑定魔法であれば珍しいものではないのでギルドの職員にも使える人が何人もいますので大丈夫です」





