202 リア王国に権利の譲渡を書類で明記
1年8月3日
書斎の棚の中から国旗と王族の紋章が入った正式な紙を出す。
先程アクアと会話した内容を書いていく……うん、問題ないな。
念の為、「リア王国に譲渡したものを我が国は返還要求することはない」と書いておこう。
後々、子孫が国王になった時に「やっぱり返せ」とか言い出すと面倒だからね。
内容に問題がないことを再度確認してサインする。
外交上のやり取りは言い回しや単語1つで問題になったりするからね。
軍事同盟を結んだけど記載に考慮漏れがあったせいで同盟国に助けに行きたいけど行けないみたいな例とか地球であった気がする。
「ナビィとウィンドウちゃんも付いてきて」
「はい、分かりました!」
「了解です」
書斎から出て再度リアの所に向かう。
「リア、悪いんだけどこの書類に記載してサインしてもらえるかな?」
「どれどれ……あーなるほど。つまり『大和王国からリア王国にこの書類に記載のある譲渡された権利をリア王国として受け取り、不可逆的なもので一切返還に応じない』と書いてサインすれば良いのね」
「話が早いね……やっぱり、リアは女王としての才能があると思う」
「そう?ありがとう」
「正直、羨ましいよ」
「あなたもあなたで才能があると思うわ」
「そうかな?」
「そういう物は本人は自覚しない物よっと。サインまで出来た」
「うん、ありがとう。文言を間違えると後々、問題になるからね一応内容を確認したけど問題ないよ」
「そうね。外交上のやり取りは慎重にやらないとトラブルになるからね」
「本当に軟禁生活をさせられていたのに何でそういう知識があるんだろう?」
「うーん、やっぱり才能じゃない?この世界って神がいるでしょ?」
「いるね」
「聖女様とかエルフの女王とか特別な力を持った人が生まれる世界でしょ?建国してから決められていた国名でもある『リア』という女性はきっとそういう才能があるのよ」
「そんな才能の持ち主を妻としておくのはもったいない気もするけどお互い好きだから仕方ないね」
「そ、そうね」
「そういう反応も可愛いんだよな」
「もう!からかわないで!」
「それじゃリア王国に行ってくる」
「いってらっしゃい」
皆にも「いってらっしゃい」と言われて「うん!」と答えた。
「ゲートを開くね」
リア王国の城の前に来た。後ろを振り返ると街だが誰もいなくて確かに寂しいな。
衛兵さんに声をかけよ。
「お疲れ様です。大和王国の国王です」
「こ、こ、国王陛下!」
「そんなに驚かなくても」
「し、失礼しました」
「アクアさんに会いに来たので失礼しますね」
「よければご案内しますが」
「この子エテルノなのでアクアさんと会話出来るので大丈夫です。お気遣いありがとうございます」
「いえ、とんでもありません!国王陛下!」
「何でしょうか?」
「私は女王陛下と同じくらい国王陛下を尊敬しております。街の発展、本当にありがとうございました!」
90度のお辞儀をされてしまって困惑したけど温かい気持ちになった。
「その言葉が聞けて僕は大変嬉しく思います。こちらこそありがとうございます」
「私のようなものがお声をかけ足を止めてしまい失礼しました」
「いえいえ、先程も言いましたが私は心の底からあなたの言葉が聞けて嬉しい気持ちになったんです」
「本当ですか!?」
「はい、私は現場の声を大事にしていますから。……これからもこの国の為によろしくお願いしますね」
「はい!精一杯がんばります!」
「いえ、気持ちは分かりますが程々に頑張るのが一番良いですよ」
「分かりました!ありがとうございます!」
「では失礼しますね」
「はい!」
「マスター嬉しそうですね」
「うん?僕は今、非常に幸せな気持ちだよ」
「それは良かったです。アクアさんが会議室で待っています」
「おっと。待たせてしまったか。それは申し訳ない」
「いえ、事情は伝えてあるので大丈夫です!こっちです!」
ウィンドウちゃんの案内で進んでいく。
「ここです!」
ノックして入ろうとしたら扉が開いた。
「あ、失礼しました」
「いえ、こちらこそ」
「どうぞお座りください」
「失礼します」
「はい」
「こちらが書類です」
「はい。問題ありません。わざわざお越しいただきありがとうございます」
「いえ、お蔭で嬉しいお話が聞けて来て良かったです」
「それは良かったです」
「仮にも僕がこの国のトップですがトラバント地方の統治で忙しくてこの国の事を理解しきれていないんです」
「それは仕方ない事だと思います。その為に我々が補佐させていただいています」
「助かっています。少しお時間をいただいてお話させてもらっても良いでしょうか?」
「はい。構いませんよ」
「ありがとうございます」





