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196 のぞみとシステムはバグるもの

 1年8月1日


 昨日は最初の銀行でお昼になったから皆と昼食を取った。

 それから再び銀行で説明して回ったら夜になってしまった。


 久しぶりに歩いて回って疲れてしまい起きるのが遅くなった。

 もう10時だ。


 皆におはようの挨拶をして書斎に入った。


「ウィンドウちゃんおはよう」


「おはようございます」


「ナビィ」


「はいー!」


「おはよう」


「おはようございます。今日は遅かったですね。昨日歩き回ったからですか?」


「うん。久しぶりに歩いたから疲れちゃってね。さて仕事しよう」


「はい」


「まず天使達にリア王国の銀行システムを構築してもらいたい」


「ネットワークの構築は本国からもう一本、海底ケーブルを敷設しますか?」


「うん、冗長化のためにもお願いしたい」


「いつ頃終わる?」


「2時間あれば十分ですね」


「本当に?」


「今度は本当です。10万人動員しますから当然です」


「分かった。よろしく頼む」


「今度はウィンドウからご報告です」


「何だろう?」


「7月の様々なサービスや物の販売による売上はこの数字です」


 タブレットを渡してくれた。


「マジで?」


「マジです」


 魔石や金属の購入で結構なお金を使っているけどこれは……

 大幅な黒字である。これが続けば良いがどうだろう?


「それから収穫作業が始まりました。明日には出荷できると思います」


「分かった。ありがとう」


「それからご報告です。服の貨物船と家電の貨物船が明日、到着予定です」


「あ、そう言えば家電の事を忘れていたけど頼んだっけ?」


「ナビィが手配しました。ミシン、冷蔵庫、エアコン、炊飯器、洗濯機を輸送しています。船は4隻向かっています」


「4隻?服と家電で2隻ずつ?」


「その通りです」


「ありがとう」


「マスターをサポートするのがナビィの仕事ですから」


「うん、助かる。それでナビィ」


「なんですか?」


「銀行システムのサービス開始後にリア王国の国民にアナウンスしようと思うんだけど」


「はい」


「銀行システムに口座情報を登録するのに窓口に人が殺到すると思うの」


「確かにそうですね」


「口座情報をシステムに登録するという特性上、エテルノを全銀行に配備すべきだと思うんだけどどう?」


「その件でしたらご安心ください。銀行に口座情報がありましたので漏れなくシステムに登録出来ます」


「そうなの?」


「また各銀行にATMも設置しております。サービス開始後に初めてご来店いただいた場合、キャッシュカードの発行とスマホにQRコードで簡単に口座と紐付け出来るようにします。最初にスマホから4桁のパスワードを設定していただけば、ATMでスマホかキャッシュカードで入出金や振り込みが出来るようになります。スマホは大和王国と同様に顔認証でロックを解除するタイプを配布する予定です。どちらか、あるいは両方を紛失した場合は口座をロックし、再発行手続きを行います。そこは日本と同じだと思います」


「僕はそこまで分かりやすく説明できる自信がないから分かりやすい動画をつくってもらえるかな?2時間後で良いから」


「分かりました。リップルの部隊に依頼します」


「銀行側にシステムの説明は?」


「それは部下の天使に依頼していますので大丈夫です」


「ちなみにサーバーはどこに作ったの?」


「リア王国の城の地下です。権限のない人は絶対に入れないようになっています。高性能で自我があるAIがシステムを管理します。名前を決めてあげてください」


「それじゃ『のぞみ』でお願いします」


「『のぞみ』ですか良い名前ですね」


「ありがとう」


「AIがシステムを管理していますので不正にはすぐに気付きます。また攻撃には量子コンピューターを用意しないと通用しません」


「それは最強だわ」


「スマホの顔認証は銀行システムへのアクセス時だけはAIが判別します。ですので成長したりで顔が変わっても対応可能ですし、写真を使うなんてことは通用しません。セキュリティは完璧です」


「ナビィ、悪いんだけど元社畜SEの立場から言わせてもらっても良いかな?」


「何でしょう?」


「システムは思わぬ障害を起こすし完璧なんてないよ」


「否定したいところですがおっしゃることも理解できます」


「日本では長年トラブル無く動き続けた、とある証券取引システムで障害があったけど、僕は長年障害なく動き続けた事は凄いことだと思ったよ。システム障害を起こさないって意外と難しいんだよね」


「銀行には『運用はリア王国さんでやってもらう』とお伝えしていましたが正確にはリア王国にある『のぞみ』が運用するんですよね。2重3重に冗長化していますが、それでもシステムが止まる可能性はゼロとは言えません。確かにセキュリティも量子コンピューターを用意されたら絶対とは言えませんね」


「『のぞみ』と命名した理由もシステムが止まってほしくないという望みからだったり、人々の役に立ってほしいという望みからだったりする」


「そうですか。1つの言葉に色々な意味を込めるマスターらしいですね。その望みが叶うと良いですね」

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